ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

805 / 1724
実際どうなの?

ざまあ展開とか見たい?


5話 演技派俳優八面六臂

俺は、異世界転移に巻き込まれた、何の能力もない無能なおじさんとして喚き散らし、騎士に脅しつけられてビビり、腰を抜かして見せた。

 

高校生諸君は、唯一の大人である俺が、情けない、何の力もないただのおっさんであると見て、哀れに思いつつも見下してくれたようだ。

 

そうだ、それでいい。

 

俺に頼るな。

 

迷惑だ。

 

 

 

さて。

 

スキルなしの無能と発覚した俺は、高校生諸君が上等な晩餐にありつくのを余所に、城の外にある狭く汚い物置小屋に放り込まれた。

 

「な、こ、ここは?」

 

「お前の部屋だ」

 

「そ、そんな!」

 

俺を案内した騎士は、俺の言葉を聞き入れず、飯だ、と一言言ってガチガチの黒パンを一つ投げつけてから、戸を閉めた。

 

がしゃ、がしゃ、がしゃ。

 

足音が遠ざかる。

 

『察知』スキルにも、周囲半径五十メートル範囲内に人は居ない。

 

「よっしゃ!」

 

俺は早速、ネットスーパーを発動!

 

レストランモチヅキに入店して、カツカレーメガ盛りを食った。

 

「おほ、うっめ!」

 

かなりレベル高いぞこれ。

 

俺もグルメ系バラエティ番組には何度か出演したが、これは地方の人気の名店って感じだ!

 

実は俺、かなりの大食いで、雁吉ゼミの大食いコーナーのレギュラーもやっていた。ギャル曽良さんと一緒に。

 

「ごちそうさまでーす!」

 

マネキン店員に声をかける。

 

「ありがとうございました」

 

じゃ、帰ろうか。

 

 

 

さて、部屋は埃が酷い。

 

既に役者には戻れないのだろうが、喉や身体を壊したいとは思わないな。

 

明日掃除しよう。

 

今日は快晴だし、夏の終わり頃で天気もいい。

 

あったかいんで、外で寝ようか。

 

ハンモックで寝ることにする。

 

おっと、忘れちゃいけない蚊取り線香。

 

とは言え、夜にはまだ早いかな?

 

ネットスーパーの書店で今週のジャプンを買っておいたので、それを読む。

 

 

 

そして、読み終わった頃に察知スキルに反応が。

 

四人、女だ。

 

やべやべ、ハンモック収納!ジャプンも収納!

 

物置小屋の前で、「クビになった中年のサラリーマン」みたいな雰囲気を出さなきゃ!

 

よし、役に入り込め……、よし、よし!

 

「おじさーん!」

 

「あ、ああ、陽ちゃんか……、どうしたんだい?」

 

くたびれた、強がりな笑顔!

 

「えっと、その……、様子を見にきたんですけど……」

 

「そうなんだ、私は……、この通りだよ。よく分からないけど、スキルなしの使えない奴、らしいからね……」

 

「食事とかは……?」

 

「黒いパンがひとつだけ……」

 

「そんな……。おじさん!私、お城の人にお願いして、パンと毛布をもらってきたんです!使ってください!」

 

な、何が狙いだこの平らな胸族ゥッ……?!!!

 

よ、読めない!

 

こんな良い子がリアルに存在するのか?!!

 

否!

 

女なんてみんなクズばっかりだ!

 

顔が良くて稼いでるからー、とか言って近づいてきた女は、大抵ロクでもないクソ女だった!

 

俺が、「生活するお金はお互い自分で稼いで、家事は分担、子供が生まれたら養育費は折半ね」と伝えると、どんな女もキーキーがなりたてて逃げていくのにッ!!!

 

こ、怖い!

 

この子、何を考えているんだ?!!

 

「困ったときは助け合いじゃないですか!」

 

「い、いや、しかし……」

 

ここで恩を受けると、見捨て辛くなると言うか……。

 

まあ、見捨てる予定ではあるんだけど、多少は罪悪感ってものがあるでしょ。

 

うーむ……。

 

しかし、断るのも変だし、もらうしかないか。

 

「ありがとう……。でも……、うう、女の子に物乞いをするようで、惨めだよ……」

 

「おじさん……」

 

ちょっとしんみりか?

 

まあ、なるべくきて欲しくないってのは本音だ。

 

ほっといてくれ。

 

「ヘイ、ミスター!泣かないで!」

 

おっと、アンジェラちゃん。

 

「そ、そうですよ!物乞いだなんて!本当に、助け合いですから!」

 

明良ちゃん。

 

「同じ地球人同士、仲間なんですから、お気になさらないでくださいね!」

 

風香ちゃん。

 

ええ子や……。

 

「で、でも、私は本当に無能なんだよ?図体は大きいが、気は小さいし、見た目ほど力も強くない。中年で太っているし、高卒で頭も悪いしね……」

 

嘘だ。

 

高卒なのはマジだが、腹筋バキバキで体脂肪率は12%ほどをキープし、ベンチプレスはノーギアで150kg行ける。体力もバッチリ、格闘技もやっていて、スタントもばっちりだ。

 

「そんなことないですよ!それに……」

 

「それに?」

 

「異世界転移ものでは、巻き込まれて召喚されたおじさんは最強チートなんですよ!おじさんがチートになったら、私達を助けてくださいねっ!」

 

えっ、そうなんですか?

 

 

 

そんなこんなで、もらったパンとチーズとワイン一瓶を収納。

 

察知スキル範囲内まで四人娘が出たのを確認したら……。

 

「よっしゃ、マガズン読も!」

 

そして……。

 

「ん、夜だな、寝るか」

 

マガズンを収納して、ハンモックで蚊取り線香を焚きながら寝る!

 

 

 

次の日の朝。

 

ネットスーパーの訓練所でランニングと筋トレを済ませた後、軽い朝食を食べてから……。

 

「訓練開始だ」

 

そう言って、ネットスーパー訓練所のマネキン店員に話しかける。

 

「俺はアンソニー訓練所のアンソニー軍曹だ。口からクソを垂れる前にサーと言え」

 

「サーイエッサー」

 

「はい。訓練コースはいかがなさいますか?」

 

・一週間初級コース(Lv5UP)

・一ヶ月中級コース(Lv20UP)

・三ヶ月上級コース(Lv50UP)

 

と提示された。

 

「質問いいですか?」

 

「はい、何ですか?」

 

「金取りますかこれ」

 

「初級が百万、中級が千万、上級が五千万になります」

 

「レベルの目安って?」

 

「世界最強の人間がレベル50です」

 

「死んだりしますか?」

 

「死にません」

 

「そういや、この世界で三ヶ月過ごしたら、三ヶ月分、現実世界は三ヶ月止まったままなんですか?」

 

「はい」

 

よし、OKだ。

 

さあ、やろうか。

 

 

 

全てを終わらせた後、休息をとってから、小屋の前で体育座り。

 

そこに騎士が来て、俺を無理やり訓練場に連れてきた。

 

「や、やめてくれ!何するんだ?!」

 

「良いから来い、クズ!」

 

そして、城に隣接された騎士団の訓練場に連れてこられた。

 

ここで俺は、全身全霊で醜態を晒すこととする……。

 




主人公を無能として見下していた高校生と後で会って、豊かな生活をしている主人公が高校生グループを見下すところとか、見たいですか?

俺としてはまあ、どっちでも良いかなー?って感じですね。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。