ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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サラちゃんきゃわわ。


砂神の巫女RTA

不味いことになった。

 

俺達が今滞在している町、ブリエデゼルで、大雨が降っている。

 

これが何を意味するのかと言うと。

 

イベント、『砂神の巫女』の始まりだ。

 

主人公不在でイベント?そんなの、アトリームじゃ考えられない……。

 

……冗談抜きで、どう言うこったこりゃ。ジータは今、ポートブリーズに着いた頃だぞ?

 

因果がズレている?え?これ俺のせいとか言わないよな?

 

……ジータとデートしまくったりして、原作開始が若干遅れた?

 

いやいやいやいや、まさかそんな。

 

俺のせいじゃねえよ。事の発端は帝国軍がザンクティンゼルに来ることだし。

 

うーん、しかし、これは、アレだな。

 

そうなってくると、アレだな。

 

俺が動くか。

 

いやしかし、まあ待て、よく考えろ。

 

原作には関わらないんじゃなかったか?しゃしゃり出ちゃいけないんじゃなかったのか?

 

俺は言わば神。下界に手出ししちゃならんのでは?運命を変えてはいけないのでは?

 

しかし、これを見逃すと、超絶美少女であるサラちゃん(九歳、十分守備範囲内)が、雨神マナウィダンの封印のためその命を失う訳だ。

 

………………。

 

よし、全てを蹴散らしてサラちゃんを守ろう。

 

女の子の命は世界より重い。

 

 

 

「マリンよ、この雨の中、外に出て何をしている?」

 

「あー、いやもう、めんどくせえな」

 

『ラナリオン』

 

雲を動かして晴れさせる。

 

「おおお……!相変わらず強力な魔法よな!天候を操るとは、その価値は計り知れんぞ!」

 

「野郎に褒められても嬉しくないから」

 

「む、褒め言葉くらい素直に受け取るが良いぞ」

 

ネツァワルピリと小漫才しながら、外で待つ。立ってるのが面倒なのでカフェテーブルを出して、そこで一服しながらだ。

 

紅茶のカップを傾け半刻。ヨダルラーハのジジイとマギサ、メルゥも来た。その頃。

 

「魔物だー!!って晴れてる?!!」

 

さて、千里眼。

 

……「うう……、あれ?晴れてる?」

 

サラちゃん発見ー!

 

「さて、行こうか」

 

「おお!魔物から民草を守るのだな!」

 

「馬鹿が、んな訳ねーだろ」

 

「では何だ?」

 

「美少女ハントだ」

 

 

 

「こんにちは、美しいお嬢さん。私はマリン。大魔導師マリン。君を守ってあげよう」

 

「えっ、あっ……、だ、駄目、です……」

 

おやおや。

 

「砂神、だろう?」

 

「えっ……?何で、それを?」

 

「奇遇だね、私も同じようなものを持っているんだ」

 

『召喚』

 

バハムート、リヴァイアサン、オーディン、イフリート、シヴァ、アレキサンダー、ヘカトンケイル……。

 

「凄い……!」

 

「だから私は、君のことを恐れたりなんかしないよ」

 

くっくっく、このくらいの歳の子になら、召喚獣を見せてもドン引きされないのは調査済みなんだよなぁ!

 

「私も君と同じさ、大きな力を持っている人間だ。仲良くしようじゃないか」

 

「はい!」

 

よーしよし。

 

「マリン……、追いかけて来てみれば、何事だこれは」

 

「今はこの子口説くのに忙しいから退がってろ」

 

「流石にその子は不味いのではないか?」

 

「うるせー、美少女だから守備範囲内なんだよ」

 

そして遠方から聞こえる声。

 

「サラー!サラー、どこだー?!」

 

「あっ、ボレミア!」

 

「なっ、何事だこれは!サラを返せ!」

 

「ああいや、誤解しないでくれ。彼女に危害を加えるつもりはないよ」

 

俺は召喚獣を帰還させる。

 

「お前は、何者だ?」

 

「大魔導師、マリン……」

 

「何だと?お前が、あの……?では、天気が晴れているのも?」

 

「ああ、私の力だ」

 

「成る程な、星晶獣並の力を持った大魔導師だとの噂、虚言ではない、か」

 

「これからマナウィダンの封印に出向くのだろう?私も同行しよう。良いかな、サラ?」

 

「はい!……マリンさんは、私と同じ、似た者同士ですから!」

 

「まあ、確かに、これだけの実力があれば……。良いだろう、同行を許可する」

 

さて、護衛のボレミアさんの許可も出たところで。

 

「さあ、行こうか、サラ。君を守るよ、必ずね」

 

 

 

「さて、目下の目標はサラの命を守り、マナウィダンの封印のためにその命を使うことのないように、俺がマナウィダンを封印すること。マナウィダンの封印を緩めた帝国軍を痛めつけること、その際に俺の力について知られ過ぎないこと。ああ、あと、ついでに、騙されて刺客にされたジンとか言う剣客を説得することかな。これはやらんでも良いが」

 

「……?!」

 

目を白黒させるボレミア。

 

「馬鹿な、貴様、何故知っている?!」

 

「うん?マナウィダンの封印にサラの命が必要なことかな?それとも黒幕が帝国軍であること?剣客のこと?」

 

「全部だ!!!」

 

「話すと長くなる、落ち着いて聞いてくれるかい?」

 

ボレミアに目を合わせて言う。

 

「……分かった、話してみろ」

 

「まず、正しい因果の流れがあった。しかし、なんらかの影響で、それにズレが生じた」

 

「うむ」

 

「正しい因果の世界では、サラは、ジータという運命の少女の手により、命が守られて、死なずしてマナウィダンを封印する運命だった」

 

「馬鹿な、ありえん」

 

「しかし、そうはならなかった。今ここにジータはいない。故に、代わりに私がサラの命を守り、マナウィダンを封印するべきだと思ったのだ」

 

「……信じられるか!」

 

「例え君が信じられなくても、事実は変わらないのさ」

 

「……しかし、マナウィダンの封印にはサラの命が使われることは確かだ。それをどうやって知ったと言うのだ?!」

 

「魔法でね」

 

「くっ、大魔導師の実力だと?」

 

「まあ、信じたくなければ、それで良いさ。……そろそろ休憩にしようか。サラ、好きなおやつは?紅茶とジュースどっちが好きだい?ボレミアも」

 

「え、えっと、イチゴのショートケーキと、オレンジジュースが好きです……」

 

パチンと、指パッチン一つ。

 

パラソル付きテーブル、椅子、ショートケーキによく冷えたオレンジジュースを出す。

 

「わあ……!魔法って凄い……!」

 

「馬鹿な……、なんだその魔法は?!兵站の概念が破壊されるぞ……?!」

 

物質創造はそれなりに得意な方だ。

 

「ボレミアは何か欲しいものはあるかい?」

 

「そ、それでは、コーヒーだ、コーヒーを出してみろ!!」

 

お望み通りにコーヒーを一杯。暑いので、気を利かせてアイスコーヒーにした。ついでに蜂蜜のクッキーも添えて。

 

「こ、こんな魔法が……」

 

「はあ〜、馬鹿みたいに緻密な魔法式を指パッチン一つで完全に制御してる……。相変わらず規格外ね……。マリン、私にはアイスティーを出して頂戴」

 

と、マギサ。

 

「儂には麦茶で良いぞ」

 

ジジイ。

 

「我にはよく冷えたアイスコーヒーを。仕事でなければこの前に出してもらったビールとやらが飲みたいところだがな!」

 

ネツァワルピリ。

 

「ん〜、トロピカルジュースが飲みたいかな〜」

 

メルゥ。

 

しゃあねえ、出すか。

 

おっさん共にも出してやらにゃならん意味が分からんが。

 

 

 

「すまんが、道に迷ってしまってな、あの山の麓まで某を案内してくれるかな?」

 

「見たまえ、これが帝国に騙された剣客のジンだ。ほら、言った通りだろう?」

 

「ま、まさか……」

 

「……何故、某の名を?」

 

「ああ、ちょうど今、帝国にまんまと騙されて、幼気な少女を誘拐しようとした剣客崩れがいると言う話をしていたところでね」

 

「………………」

 

「馬鹿な真似はやめたらどうだい?大体にしてちゃんと情報の裏をとったのか?本当に依頼主が正しいことを言っているとでも?」

 

「貴様……」

 

「でもまあ、運が良かったな。このままではこんなにも可愛い女の子を帝国にモルモットとして提供していたところだ」

 

「某が、騙されていると?」

 

「だからそう言っているだろうに」

 

「貴様が某を騙そうとしている、と言う可能性もあるぞ」

 

「いや、ねーよ。俺ならお前程度一秒で消し炭にできるんだ。これは善意で言ってやってるんだよ」

 

主にサラの目の前で殺しをしたくないからなんだが。

 

「ならば、やってみるが良い!!」

 

おっと、刀を抜いてきた。一流の剣士並。

 

しかし、俺も剣術ならば並の一流並くらいだ。

 

マジスティックソードとウィザーソードガンの二刀流で戦う。そして一頻り相手したところで。

 

「消し炭にするのではないのか!」

 

「サラの目の前でそんなことできる訳ねーだろ」

 

『チェーンバインド』

 

よし、隙を突いて捕らえた。

 

「くっ、光の鎖が!外れん……!」

 

「取り敢えずついて来い、判断するのは自分の目でしっかり見てからにしろ」

 

 

 

メルゥの相棒の仮面の獣、さっちゃんの後ろ足にジンを繋いだチェーンバインドをくっつけて引かせる。

 

道中の魔物?

 

ははは、こっちの戦力を考えて欲しい。

 

世界を好きにできる大魔導師、翼の王、剣の達人、魔神を従える魔導師、戦闘民族の元女王。

 

鎧袖一触ですわ。

 

さて、途中足を痛めたサラちゃんをお姫様抱っこしたりと言う素敵イベントを挟みながらも、マナウィダンの封印されている山に到着。

 

「さあ、巫女を渡すんですネェ!!!」

 

「何と……、某は騙されていたのかっ!」

 

「ああ、確か、ポンメルンとか言ったか。弟子が世話になった」

 

「弟子?」

 

「ジータと言う少女なんだがな」

 

「ジータ、ジータ……、ああ、ザンクティンゼルの。あのガキの師匠と言う訳ですネェ」

 

「お初にお目にかかる、大魔導師マリンだ。さて、とっとと魔晶なり何なりを使うと良い。俺には通用せんよ、真正面から叩き潰してやる」

 

「ほぉ、では、お言葉に甘えさせていただきますネェ!!!」

 

さあ。

 

『メ』

 

『ラ』

 

『ゾ』

 

『ー』

 

『マ!』

 

『フィンガーフレアボムズ!!!』

 

「がああっ?!!そ、そんな、一撃でェ?!!!馬鹿な、魔晶の力をォ?!!!」

 

すまんなぁ、相手にならんのよ。

 

「それで?魔晶の力でマナウィダンを暴走させて逃げる算段だろう?」

 

「もう遅いですネェッ!!!」

 

ああ、ああ、良いんだ。

 

俺にとっては変わらない。

 

羽虫がいくら強くなろうと羽虫であることには変わりがないように……。

 

「星晶獣が強くなったところで、俺のやることは変わらんからな」

 

「あ、あ……、マナウィダンが……!わ、私が封印を……!」

 

「サラ、その必要はないんだ」

 

「で、でも、私のお役目は」

 

「違う、君の役目は」

 

『リリカルマジカル☆マナウィダン封印!』

 

「幸せに生きることさ」

 

 

 

エピローグ。

 

「あの、その、ですね、ウ、ウマル様」

 

「なんじゃ、歯切れの悪い」

 

「マ、マナウィダンの封印に成功しました……」

 

「おお!それは良かった!……む、う?!何故、サラがここに?!」

 

「その、ですね、実は……、封印をしたのは、サラではなく、ここにいる大魔導師マリンなのです」

 

「な、なんと、それは誠か?!」

 

「信じ難いことに、大魔導師マリンは、リスク無しでマナウィダンを完全に封印したそうです……」

 

「そ、そんな、馬鹿なことが……」

 

「そして、大魔導師マリンは、マナウィダン封印の功績により、欲しいものがあるとか」

 

「な、なんだ、申してみよ」

 

そりゃ欲しいもんは一つだ。

 

「サラを貰う」

 

「「えっ」」

 

「ボレミアも貰う」

 

「「えっ」」

 

俺は、サラとボレミアの手を握りながら、言った。

 

「ば、馬鹿なことを!またマナウィダンが暴走した場合はどうするのだ?!」

 

「かなり強固に封印しておいたから、それはないと思うが……、もしその時はまた来てやっても良いぞ」

 

「し、しかし……」

 

「兎に角、二人は俺のものだ」

 

「お、おい、待て!待たんか!」

 

空間転移、と。

 




アレーティア、ネモネ、アギエルバを予定。

イベント無しで加入する奴優先かなぁ。

あと、ジータちゃん目線での大魔導師とか書きたい。

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