なんか知らんが、ヨダルラーハに、外道に堕ちた元弟子の始末を手伝わされた俺。
魔法のゴリ押しでぶっ潰して来た。
するの次の日、ヨダルラーハのジジイはアレーティアのジジイを連れて来やがった。
なんでも、昔の知り合いにたまたま出会ったから連れてきた、らしい。
またジジイかよ、どうせなら女の子連れて来いやとキレる俺に、きーっちっち!と笑うだけのジジイ。
舐めやがって。
アレーティアはアレーティアで、同じ二刀流同士仲良くしよう的なことを抜かす。俺のメインウェポンは魔法だからと断りを入れる。
それと、恒例の、山の中で召喚獣を呼び出しタイムをしていたら、またもや人が引っかかった。
ビリビリおじさんことアルベールが。
なんだか知らんが、俺のことを危険人物と思ったらしく襲いかかってきた。
祖国が星晶獣でめちゃくちゃにされたから、星晶獣を操っているように見えた俺は危険だと思われたらしい。
剣術では勝てないんで、バフ魔法でアルベールの雷速に追いつき、魔法でゴリ押して半殺しにした。
その後、割とこの団の良心と化しつつあるネツァワルピリに諭され、アルベールも仲間に。何故だ。
同じような要領で、戦場で出会ったアギエルバも仲間に。
傭兵紛いの仕事の時に絡まれ、そのままアギエルバの娘のアルドラたんに気に入られ、何だかんだで入団してきやがった。
クソが、むさい男ばかり集まりやがる。
流石にキレて普段封じている占星術を発動、女の子の仲間はどうすれば増えるのか占う。
すると、今いる島の巷で人気な占い師に会えと結果が出る。
その通りに動くと、アルルメイヤが仲間になった。なんでも、俺のことは読めないから興味が湧いたらしい。なるほど、俺も一種の特異点なのか。
抱っこしたら二十九歳だからと怒られた。
しかし満更でもなさそうだったので悪くはないだろう。
そして帰り道の途中で褐色肌のエルーンを発見。ネモネだった。
当然のように声をかけると、妹であるメルゥについて行くと言い張って、仲間に加入。やったぜ。
お姉さんぶって可愛いが、残念ながら俺は修行していた年数を含めると数百数千歳なんだよなぁ。
さあさて、そんなところで、ネツァワルピリに、そう言えば団名はどうするのかと尋ねられる。
しばし考えて、白き翼でええやんってことに。
由来は?と聞かれたが、カービィやり込んだからとしか言えない。
しかし翼の王的には満足だったらしく、気に入られた。
どうでもいい話だ。
それより、吉報だ。
俺がグダグダとお空を旅している間に、ジータがアウギュステにまで辿り着いたらしい。
運命の針は正しく進んでいるってことだ。
さあて、水晶玉、ではなく、魔法で作り出した55インチモニターにジータの姿を映し出す。
水晶玉?いやそんなん使わないでしょ、現代社会の製品の方が機能的なんだし、魔力で稼働する電子製品を使うわ。
……それに、そろそろ会いたいしな。
ここまで頑張ってきた弟子にプレゼントの一つでもやらにゃ。
騎空艇の進路をアウギュステにとりつつ、俺は。
モニターを点けた。
×××××××××××××××
「うあー、師匠ー」
「またかよ、ジータぁ……」
「だってえ、もう暫く師匠と会ってないよー」
「会ってもセクハラされるだけじゃねぇか……」
「えー?でも優しいよ、師匠は」
「でもよぉ……」
ビィは師匠のことあまり好きじゃないみたいだけど、私は師匠のこと大好きだよ?
「すまない……、いつも、突っ込むべきか悩んでいたんだが……、ジータの師匠とは何者なんだ?」
カタリナが聞いてくる。
「聞いて驚け!私の師匠はねー、な、な、なんと!全空にその名を轟かす大魔導師、マリンなんだよ!」
「なっ……?!あの、大魔導師のマリン殿か?!」
「へえ、そりゃ凄え!俺がガキの頃くらいに現れたんだっけな、大魔導師マリン」
ラカムが言う。
「あ、私も知ってる!隕石を落としたとか、空を焼き尽くしたとか、星晶獣を使役したとかって噂の大魔導師でしょ?」
イオが言う。
ふっふっふ、そうだよ!師匠は大魔導師なんだから!
「あれ?どうしたのオイゲン?」
「何、だと?お前さん、今なんて言った?!大魔導師マリンの弟子だと?!」
「え?うん、そうだよ?」
「十数年後、蒼き少女、予言の子……、なんてこった!お前がそうか!!」
え?何?
「俺ぁ、昔、大魔導師マリンに会ったんだよ」
「えっ、そうなの?!それで、師匠はなんて?」
「俺に、お前さんを守れって予言を残していきやがった……。まさか、本当のこととは……」
「へー!珍しいなー!師匠は、未来が見えるとつまらないからって占星術はあまり使わないのに」
「ああ、それと……、自分のことを神よりも偉大だとか言ってやがったっけな」
「うーん、師匠は確かに、神様レベルのことは平気でやるからなぁ……」
「ああ、ありゃバケモンだ。俺みたいなただの人間じゃどう逆立ちしても敵いっこないだろうぜ」
「あんたがそこまで言うってこたぁ、相当だな、大魔導師マリンってのは」
ラカムが半笑いで言う。
「笑い事じゃねえぞ。あいつは……、あいつは俺の目の前で、時間を止めてみやがったんだ。その上、何もないところから玉座を創造しやがった……。ありゃ正に、神のみわざだぜ」
「時間停止?!確か、時間停止の魔法は、支配領域の制御の難易度とか、魔力の消費量とか、諸々の問題から不可能って言われてるのよ?!それに、物質の創造?!とてつもない魔力と複雑な構成式を必要とするのに!!」
魔法使い見習いのイオが叫ぶ。
「師匠はそれくらいやるよ?」
「信じたくねぇけど、あの人はやるんだよなぁ……」
私とビィが言い返す。
「師匠が本当に得意なのは、生命創造らしいけどねー。師匠の召喚獣は本当に凄いよー!」
「召喚獣?」
「師匠の創った星晶獣みたいなものかな」
「確か、マリン殿は星晶獣を自在に操るとか……。それはその、召喚獣のことなのか?」
と、カタリナ。
「うん、そうだね。今までで百体くらいは創ったって言ってたかな」
「ひゃ、く……?!星晶獣レベルの魔物を百体も創っただと?!」
「それとね、それとね、異世界転移もしたんだー!トーキョーってところに連れてってもらって、ゲーセン、とか、色々行ったよ!」
「オイラも無理やり人間にされて連れて行かれたっけなぁ……」
「なっ、ビィ君を人間に?!」
「ああ!トーキョーにゃあヒューマンしかいないってんで、魔法でヒューマンに化けさせられてな」
「成る程……。聞けば聞くほど、凄いお方のようだ」
「そう言えばビィさん?その、ジータが死んじゃった時にも、師匠さんを呼んでいましたよね?なんでですか?」
ルリアが尋ねる。
「うーん、これは秘密なんだけどよぉ、師匠は、死んだ人間を生き返らせることができるんだって言ってたぜぇ」
「ええー!!」
「馬鹿な、死者蘇生だと……?!魔法は専門ではないから分からないが、不可能だと聞いている……!第一それは、神の領域ではないか?!」
カタリナが驚いて言う。
「師匠に不可能はねぇんじゃねぇかな……」
私もそう思うかな。
「まあ、ティアマトもコロッサスも、師匠にかかれば三分いらないだろうねー」
「そうなのか……?」
そうだねー。
「しかし、それなら、何故マリン殿はジータを助けに来てくれなかったのだ?」
「んー、これは、イスタルシアに至るまでの試練なんだって」
「試練……?」
「数多くの試練を乗り越えてこそ、父さんの想いに報いることができるからって。確かに、師匠にお願いすれば、簡単にイスタルシアまで辿り着けるし、星晶獣も敵じゃないと思う。けど、私は、そんなことはしたくない」
自分で冒険して、仲間達と一緒に、自分の力でイスタルシアに辿り着きたい。
全部が全部、師匠におんぶ抱っこはカッコ悪いからね。
「そう、か……。そうだな。強大な力に縋るのではなく、自らの手で道を切り拓く……。それこそが大事だな」
私の答えに対して、満足したかのように頷くカタリナ。
こんなところかな。
「それじゃあ、皆んな!警備に行くよー!」
「「「「おう!!」」」」
師匠、私、頑張ってるよ。
だからまた、会いに来てね。
ジータちゃんは割と天使って設定です。