ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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生きるのいい加減飽きてきたな。

異世界転生したい。


33話 示威

何故俺がこのような示威行為をしたのか?

 

それはやはり、この世界の人々に道徳心がないと思っているからだ。

 

契約で縛られている奴隷だとしても、何らかの手段で俺を裏切るかもしれない……。

 

そう思うと、やはり、力で抑えるしかないように思ったのだ。

 

だが、抑えつけるだけでは良くない。

 

俺は、倒れ臥すバイロンを立たせながら、こうも宣言した。

 

「だが、安心してほしい。お前らが俺に忠実でいる限り、俺もお前らに利益を与えよう」

 

と……。

 

俺はまず、先ほどの俺の蹴りで骨を折ったバイロンに、ハイポーションを渡した。

 

「こいつは……!」

 

バイロンは驚きの顔を見せる。

 

ポーションはこの世界では非常に高価だし、その製法は全て宗教関係組織に独占されているから、下々の民には届かないのだ。

 

とは言え、バイロンは、戦場で貴族達が飲むポーションの青白い輝きを目にしたことがあったので、これがポーションであると気付けたようだ。

 

「さあ、飲め」

 

「よ、よろしいんで?」

 

「俺は大商人でね、ハイポーション程度いくらでも手に入るんだよ」

 

「ありがとうございやす……、ぐっ!おお……、これがポーションか……」

 

バイロンの、先ほどまでにだらりと垂れ下がっていた左腕が、一度大きくビクリと動くと、すぐに骨が繋がった。

 

自分で試す気はなかったし、さりとて、女達にやらせるのもなと思っていたのだが……、

 

丁度いい人体実験ができて助かるよ。

 

「さて……、良いか?俺に従え、そうすれば利益があるぞ。裏切れば、地獄を見るぞ。理解したか?」

 

俺がそう言って奴隷達の顔を見回すと、全員が頭を垂れた。

 

そして……。

 

「あ"の、ぐずり、ぐすりを、ぐだざい……!」

 

ミレディーと言う女エルフが土下座してきた。

 

足りない手足で、地面を這って、俺に縋り付く。

 

「いも"ゔと、たっだひどりの、いもゔどなんでず!!!いもうどを、だずげて……!」

 

ぐちゃぐちゃに焼かれた顔で、ぐちゃぐちゃの口からぐちゃぐちゃの言葉を吐く。

 

「ああ、もちろんだとも。お前が従うなら、薬なんていくらでもくれてやる」

 

「じだがいまず!なんでもじまず!!!」

 

俺は、懐からエリクサー(三百万ポイント)を取り出した。

 

それを、こいつの妹のケティに飲ませる。

 

すると……。

 

失った肉が盛り上がり、再生された!

 

「あ……、ああ、あああ!」

 

へえー、すげえなぁ、エルフ。

 

こんな美人なんだ。

 

芸能界に出てくる、やたらと数だけは多いアイドルグループとかと比べると、天と地ほどの差があるわ。

 

いや……、うん。

 

申し訳ないんだけどね。

 

芸能人の必須能力は容姿ではなくキャラクターとしての面白さだから……。

 

俺はイケメンだが、芸能人としての知名度は上の下から上の中ってくらいのものだった。

 

イケメンであることよりも、人間的魅力ってやつの方が大事ってことだな。

 

「お、お姉ちゃん……!」

 

「ティガーざま!ありがどう!ありがとゔございまず!!!!」

 

おっと、エルフの話だったな。

 

妹が治ったことに対して、必死に礼を言う姉のミレディー。

 

「ミレディー」

 

「……ぁい?」

 

「まだあと三本薬はあるんだ」

 

俺は、アイテムボックスから、三本のエリクサーを取り出した。

 

「あ……、あ……?!」

 

「ミレディー、欲しいか?」

 

「あ、い、はい!ぼじいでず!!!」

 

「アンヌ、シャルロット!欲しいか?!」

 

俺は、全身を切り刻まれた双子のエルフ姉妹である、アンヌとシャルロットに声をかけた。

 

まるで、扇動するかのような声の掛け方で。

 

「「くだざい!おねがいじまず!なんでもじまず!」」

 

三人は、地面に頭を擦り付けて、俺に乞うた。

 

「良し、いいだろう」

 

三人に薬を飲ませた。

 

治った……。

 

四人のエルフは非常に美しい。

 

ミレディーは、金髪で、吊り目がちな鋭利な印象のエルフ。

 

ケティはその真逆で優しげな印象。

 

外見の年齢はミレディーが十八歳くらいで、ケティは十六歳くらい。

 

アンヌとシャルロットは、銀髪のエルフだが、アンヌの瞳は翠、シャルロットの瞳は紫だ。

 

年齢は十七歳くらいに見える。

 

「治った……?治った!ああ、ああ……!」

 

「シャル、シャル!」「アンヌ!ああ……、良かった……!」

 

喜びを噛み締める四人に、俺は声をかける。

 

「うんうん、良かったな。……で、一本で金貨一万枚の薬(嘘)の代金をどうやって返してくれる?」

 

と。

 

俺は貴族になる予定だが、文官……ってのかな?そういう方面をこいつらに任せる予定なんだが……。

 

「「「「我ら、氏族の名にかけて、ティガー・コルレオーネの命ある限り従うと誓います!」」」」

 

無給で文官四人、四百万円……。

 

安い買い物だな!

 

……と思ったのだが、この世界、文字の読み書きができる程度でインテリ扱いなので、文官としての仕事がこなせるレベルの存在なんて一流大卒くらい貴重だと気づいた。

 

一流大卒……、外資系とかなら、三十代くらいでも億稼ぐんじゃないの?知らんけど。

 

そんなのがたった四百万円で終身雇用できる……!

 

そう考えるといい買い物だったのかもな。

 

 

 

さて、こんなものか。

 

バイロンを人間奴隷の班長に。

 

ロボを獣人奴隷の班長に。

 

ローガンをハーフリング奴隷の班長に。

 

ミレディーをエルフ奴隷の班長に。

 

では、まずは親睦会と言う名目で、軽く食事と酒を出そう。

 




偽マフティーめっちゃ面白かった。


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