ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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こう言うの好き?


3話 プロローグでヒロイン拾わなきゃいけないのは大人の事情なんだよ、勘弁してくれよ

朝、起床。

 

作り出した水で顔を洗う。そして、シャワールームで汗を流して、ジーパンとシャツに着替える。

 

朝食はベーコンエッグとパンで良いだろう。

 

それから髪を整えて歯を磨き……。

 

さあさあ、どうしようか?

 

家なき子、俺。

 

ああ、可哀想な俺!

 

家もない!世界も滅んでる!親兄弟も友人ももういない!

 

「でも俺には親友のパンチがいるから!」

 

『オッ、そうだな』

 

さて、冗談はここまでにして、と。いや、冗談ではないのだが。いろんな意味で。

 

俺は、近くの交番から地図を引っ張り出す。

 

パチ屋の隣に交番があったんでな。

 

ええと、何々?

 

「自衛隊駐屯地か」

 

そういや、北区には自衛隊駐屯地があったな。

 

そこになら、誰かいるかもしれない!

 

「よーし!目的地は自衛隊駐屯地!イクゾー!」

 

『デッデッデデデデ!』

 

カーン!

 

 

 

俺は、愛車のフォーティーエイトに跨がり、自衛隊駐屯地を目指して移動している。

 

その最中に……、いや、もう外を出た瞬間に。

 

「行き倒れだ」

 

行き倒れの男女を見つけた。

 

「へい!生きてるかい?」

 

当然、気さくなハンサムボーイの俺は、社交的なので話しかける。

 

「き、君は……?」

 

死にかけのジジイが濁った瞳でこちらを見てきた。

 

「俺は神楽坂紅蓮だ。なんか大変そうだな?薬とか欲しいか?」

 

俺はそう返す。すると……。

 

「いや……、儂はもう、いい……。いいんだ」

 

「良いってなんだよ」

 

「疲れたんじゃ……。日本軍に追われながら生活するのに……。実験体917号も、もう、限界じゃ……」

 

「何言ってんだお前?笑うツボどこ?」

 

「無理だったんじゃ……、散々にあんな非人道的な実験を繰り返した儂が、たまたま一人を助けたからって……。はは、善人になったつもりだったのかのう……?」

 

「あ、これ、もう目も見えてねえな?死にかけだ」

 

「すまない……、917号……。結局、儂は、君に何もしてあげられなかった……」

 

あ、死んだ。

 

うーん、死にたがってたな。こう言う人を無理やり蘇生するのは駄目だろう。

 

よく分からんが……、こっちの白髪の女を実験体917号って呼んでたし、日本軍から逃げたみたいな話もしてた。

 

「おい、あー、えーと、917号さん?」

 

「あ……」

 

「あんたも、この男と一緒に死にたいか?」

 

「い……」

 

「ん?」

 

「生きたい……!」

 

「そうか」

 

なら、生きれば良いじゃん。

 

俺は、『万能薬エリクサー』を創り出す。

 

 

 

「あ……、ここ、は?」

 

「お、起きたか?」

 

「……ユウジ博士は?」

 

「ん?ああ、連れの爺さんか?死にたいって言って死んじまったよ」

 

「そう、なんだ……」

 

「この家には庭があったから、そこに埋めてやった」

 

「え?何で?」

 

何でとは?

 

「何でって……、火葬とかやり方が分からねーからな。土葬にしたんだよ」

 

「どそー?何それ?」

 

んんー?

 

実験体……、ってそう言うアレかな?

 

ひょっとして人造人間とかそう言う系のアレですか……?

 

「そのー、あー、土葬ってのは、死んだ人を土の中に埋めて弔うことだ」

 

「とむらうって?」

 

「弔うってのは……、えーと、死んだ人を忘れないでいるために、死体を土に埋めて、埋めたところに印をつくっておくことだ」

 

「じゃあ、私も、ユウジ博士にとむらうをする」

 

「そうか、なら来い」

 

俺は、917号さんをユウジ博士の墓まで案内する。

 

「ほら、ここでユウジ博士は眠ってるんだ。ユウジ博士の冥福を祈ってやれ」

 

「めーふくを祈るって?」

 

「あー……、魂は分かるか?」

 

「魂……、わかる」

 

「魂はな、人が死ぬと、良いことをした人の魂は天国へ、悪いことをした人の魂は地獄へ行くんだ。天国に行った魂は穏やかに過ごせるが、地獄に行った魂は酷い目に遭うんだよ」

 

「じゃあ、ユウジ博士の魂が、てんごくに行けるようにお祈りする?」

 

「まあ、そんな感じだ」

 

「ユウジ博士、てんごくに行ってね。助けてくれてありがとう……」

 

 

 

「で、917号さんはこれからどうするんだ?」

 

「もう、お薬がないから、死んじゃうと思う」

 

「ん?そうなのか?」

 

「うん……、一週間に一回、『調整薬』を飲まないと、身体が崩れて死んじゃうんだって」

 

「前飲んだのは?」

 

「えーと、私はどれくらい眠ってた?倒れた時点で六日目だったんだけど」

 

「三日だな」

 

「……え?あれ?私、死んでない?」

 

「まあ、エリクサーをかけてやったからなあ」

 

「えりくさー?」

 

「どんな病気でも、生まれつきの障害でも、怪我でも何でも、完璧に治す薬だよ。それをたまたま持ってたから、使ったんだ」

 

「助けてくれたの?」

 

「美人はほっとけないんだ。それに、君は生きたいって言っただろ?なら、生かしてやるよ」

 

「ありがとう……!あなたは、私の恩人。私にできることなら何でもするね」

 

ふーん?

 

「じゃあ、俺の恋人になってくれ」

 

「恋人?」

 

「そう、恋人だ。意味は分かるか?」

 

「大好きな異性の人のことだよね」

 

「そうだ」

 

「うーん……、私はまだ、あなたが大好きなのか分からないよ」

 

「じゃあ、これから大好きになれば良いさ」

 

そうして、美少女を一人ゲットした。

 




何も知らない人造人間ちゃんにセクハラ、しよう!

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