「はぁい、いらっしゃい。今日の給料、前払いしとくね」
三人に北条銭で金を払う。新日本円は貴重なので俺が持っておく。と言うより、新日本円は給料として払えるほど持っていない。
「前払いは良くないぞ、持ち逃げされたらどうするんだ?」
イロハが言った。
「するの?」
「いや、しないが……」
「じゃあ良いじゃん」
「……何故、そこまで私達を買ってくれている?」
「うーん、そりゃ俺も完全に信用してる訳じゃないよ?渡す額も、一日商売すればすぐに稼げる程度の額しか渡してないし」
「この程度、端金だと?」
「そこまでは言わないけどさ。だがまあ、持ち逃げしたらその時点で信用を失うってのは分かってるでしょ?」
「それは、まあ」
「それに……、俺、裏切られるのは慣れてるんだよ。裏切りそうなやつはなんとなく分かる」
賢者時代にちょっとね。
「さ、早速商売をしようか。とりあえず今日は、フミナが終われと言うまでは商売をしよう」
「えっ、何でや?!」
「ん?昨日、良いものを売り過ぎると周りの商人が困るとか言ってたでしょ」
「あ、ああ、せやけど、聞いてくれるんか?」
「そりゃね?別に世界の全てを敵に回そうとか、『俺は』思ってないよ。『自発的に』敵を作りたいとは思わないね」
でも、スキルがバレたら敵がぽこじゃか湧くだろうけどねー!
「なんや、金持ちやから人の話なんて聞かんかと思っとったんやけど、案外ええ人なんやな!」
「それほどでもない」
じゃあ、商売していこうか。
イロハは護衛、フミナとミヨコは店員。
俺は来た人を整体することに。
あ、クイナは今日はカタカナの勉強だ。
そして、午前の七時から二、三時間が過ぎた頃……。
「おい、すげー商人がいるって聞いたんだが、お前か?」
何かおっさんが来た。
敬語という文化が廃れたのかな?そういや、俺より若い女の子達も平気でタメ口きいてくるし。
「まず、あんたは誰だ?」
「俺はこのジュージョーダイを『ホウジョウ ケイマ』様から預かっている代官の『ナリタ マサト』だ。よろしく頼む」
「ああ、よろしく。俺はグレンだ」
「早速だが、街の防衛に役立つ何かを売って欲しい」
「何かとは?」
「このジュージョーダイは、食料が豊富で、その分賊徒にも狙われやすい。街の周りのバリケードは頑丈なんだが、街が広い分、どこかを破られたら押し切られるかもしれねー」
「兵を増やせば良いんじゃないの?」
「そうもいかん。既に用心棒を雇う金でいっぱいいっぱいだ」
「正規兵は?」
「だから金がねーんだよ」
「となると……、休みなく働く兵士が欲しいと」
「そうだ。例えば、ロボットとかな。あるか?」
「あるぞ」
俺は、何体かのロボットを創造する。
「ふ、ふおお……!軍用重装型の『紫苑』に、民生用警備犬型の『千草』、そして民生用アンドロイドの『緑』……!げ、激レア!」
「おおっ!いくらだ?!」
「フミナ、いくらくらいだと思う?」
「えっ?ええと、軍用の動くロボットなら三千万円、民生用ロボットなら八百万円、アンドロイドは五千万円くらいやろか」
「ミヨコはどう思う?」
「ん……、まあ、それくらいで良いと思う」
さて、どうだ代官さんよ。
「んー、犬のロボット、複数買うとしたら値引きされねえか?」
「良いだろう、何台買う?」
「十台買うから半額にしてくれ」
「半額はちょっとなあ、六千万円なら良いぞ」
「高い、五千万円!」
お、値段交渉か。
「五千万円でも良いが、可能な限り新日本円で払え」
「よし、良いだろう!金を運ぶから、ロボットの用意をしておいてくれや!」
「おう」
俺は、ミヨコと一緒にマニュアルを読んで、千草を起動した。
『システム起動』
「おほー!」
ミヨコは、非常に喜んでいるようだ。
その隣にいるフミナも……。
「すっごいわぁ!街相手に大商い!商人の大きな夢、叶えてるやん!」
喜んでいるみたいだ。
イロハは……。
「ご、五千万円……。下手したら、二、三十年は暮らしていける額の金を、一瞬で……」
慄いている。
その後、金を持ってきた代官にロボットを引き渡し、金を数えて、今日は撤収。
夕方頃、俺は三人とクイナを連れて、町外れに来た。
「今日はみんなのお陰で儲かったよ」
「そんな……、ウチ、何もやっとらんよ!」
「私も、何もしてない」
「私もただ突っ立っていただけだが……」
「そうか?イロハはちゃんと警備してくれたし、フミナとミヨコは、クソめんどくさい札束数えを手伝ってくれた上に、販売額のアドバイスもしてくれただろ」
「それは……、そうだけど」
「今日は儲かったから、軽く贅沢しよう。バーベキューするぞ」
俺は、バーベキューセットをアイテムボックスから取り出す。
三人には、日本製のビールを持たせて、乾杯だ!
「私も飲んでみたい!」
「お、クイナも飲むか?たくさんは駄目だぞ、一つだけな」
「わーい!……にがい、けどしゅわしゅわで不思議ー」
「ひ、冷えた戦前のビール!す、すごい贅沢品だ!」
そして肉と野菜を焼く!
「変異してない肉と野菜?!」
あ、今知ったんだけど、昼間に食った作物って全部、放射能の影響でおかしくなってるらしいね。この世界の野菜や魚、家畜は、味を大幅に犠牲にして、育ちやすくなっているらしい。
「「「う、美味い……っ!!!」」」
みんな、喜んでくれてよかったよ。
いい加減にどれか完結させろって感じ。
だが、どんどん新作は増えていく……。
そもそも、定期連載して完結まで突っ走るなら、思いつき集じゃなくて独立した一本の作品にしてます。独立しないってことは中々終わらないってことだね。