誰か助けてくれ。
「君、行商人なんでしょ?なら、滑走路通りに来なよ!」
「滑走路通り?」
「そう、この街の大通りだよ!」
ははあ、滑走路を大通りにねえ。
「この街は交易で栄えているのは知ってるよね?」
「ああ」
そうなん?
知ってると言うことにしておく。
「滑走路通りには、入った順からどんどん奥に詰めて店を開いてね!でも、大通りには、車が四台出入りできるくらいの幅を開けなきゃ駄目だから!違反すると罰金だよ!」
「分かった」
そうして、滑走路通りに着いた。
「羽田空港の滑走路がインドのバザーみたいになってやがる」
俺は思わず呟いた。
「え?何の話?」
「ん?ああいや、滑走路が面白い使われ方してるなーって」
「何が面白いの?滑走路って広い道路のことだよね?」
え?
「いや、飛行機の離着陸のための道路だろ」
「飛行機?飛行機って、町外れにあるあの鉄屑?」
あー、この時代には飛行機って概念がないのか。
まあ、世界が核で滅んでから百年以上は過ぎているみたいだからな、さもありなん。
「何でもない、忘れてくれ」
「そう?じゃあ、ここで店を開いてね!私達は側で監視してるから!」
「可愛い監視がいて俺は嬉しいよ」
「もぉー!褒めたって悪いことしたらぶっ殺しちゃうんだからねっ?!」
俺は、イロハ達と協力してブルーシートを敷き、品物を並べて、商売モードに入る。
「後は任せて良いか?」
「ん、任しとき!ばっちり儲けたるでー!」
「がんばる」
フミナとミヨコに任せて、俺はクイナに算数を教える。
イロハは警備員として、控えさせておく。
っと、その前に、お客さんのムサシとオオシオに軽食と椅子くらいは出してやらなきゃな。
「はい、座って」
「え?良いの?君、優しいんだね!ありがとう!」
「あ、ありがとですぅ」
おお、ちゃんとお礼が言えるとは。
社会人としてバッチリだな。
俺も、芸能界とは結構関わりがあったから、挨拶やらお礼やらはしっかり言うように心がけてきた。
人間の基本がー!などと偉そうに説教するつもりは毛頭ないのだが、俺は美容師なもんで、客を増やすためには客に口コミをしてもらう必要があった。
だから、客は丁重に相手していた。
来る客も、アイドル、女優、キャバ嬢、ホストに俳優……って感じで。
そんな人達に、雑誌やらで「髪のセットはカリスマ美容師の神楽坂さんにしてもらったんですよー!」とか言ってもらえたら最高だよな?
そんな訳で、挨拶も営業の一つと思えばおかしくない。
メリットがなきゃわざわざ他人に挨拶なんざする必要はないと俺は思うが、俺の場合はメリットがデカかったから、挨拶は欠かさなかった。
さてさて、とりあえず、茶でも淹れてやるか。
「紅茶で良い?」
「そんな、流石に悪いよ!売り物でしょ?」「お構いなく、ですぅ」
恐縮するムサシとオオシオ。
「良いって、遠慮しなくても。はい、クッキーと紅茶。監視は退屈だろうけど、しばらく付き合ってね。……あと、できるなら、斬る前に警告くらいはしてほしいなあ」
「もー、買収って思われちゃうよ?まあ、良いけどね。うん、美味しい!」
「あ、おいしーですぅ」
さて……、そんな感じでムサシとオオシオを接待して、算数の問題集を解いた後のクイナにご褒美に絵本を渡してから……、俺は端末でネットワークを漁って、俺がいない間に地球で販売されていたテレビゲームをやる仕事でしばらく引っ込むぜーーーッ!!!
そんなこんなで一週間。
「いやー、悪いなあ!私達までご馳走になっちゃってー!」
「本当に申し訳ないですぅ!」
監視の二人に餌付けしつつ、順調に商売を重ねていた。
「でも、感謝はするけど、仕事もちゃんとやるんだからね!悪いことはしちゃ駄目だよ?」
「俺、そんなに何かしでかしそうに見える?」
「割と」
そっかー。
さて、売り上げは一日で百万円ほど。
店の前には毎日大行列ができている。
それもそのはず、この辺りの賊徒は、かなり強いらしい。
賊徒と言えば、武器なんてバットやバールくらいのもので、たまに粗悪なパイプ銃を持っているくらいだ。
それが何故か、この辺りの賊徒は、正規品のリボルバーや猟銃で武装しているらしい。
その上、噂によると、エクステンダーを所有している賊徒もいるとか……。
エクステンダー……、強化外骨格と言えば、介護や建設現場などで使われるような、装甲なしでパワーだけ高めるようなものでも、この時代においては最低一千万円はする。
野盗……、この世界風に言えば賊徒。
賊徒がそんな高価なものを持っているとは思えないのだが……。
まあ、そんなのに対抗するには、やはりこちらも強い武器を持つしかない。
銃を持った悪い人間に対抗するには、良い人間が銃を持つしかないということだな。
「最近増えてるのよね、強い賊徒」
俺は、この一週間ですっかり仲良くなったムサシとオオシオと世間話する。
「へえ、そうなの」
「うん、なんかね、強い賊徒は身体に黄色い布を付けてるんだって」
「はっ、黄巾賊かよ?ここは日本だぞ」
「そう、黄巾賊って言うらしいよ。で、黄色い布を着けてれば威嚇できるからって、弱い賊徒まで便乗して黄色い布を着け始めてるんだって」
「ひっでえ展開だなあ」
まさに黄巾賊そのものじゃん。
「でも、だからこそ、私達みたいな武辺者の仕事があるんだけどねー」
ふむふむ。
なるほど。
「もしも、この辺りの賊徒がいなくなったらどうする?」
俺はそう訊ねた。
「え?そりゃ嬉しいけど、仕事がなくなっちゃうなあ」
困り顔のムサシ。かわいいね。
「そうだよね、そしたらどうするつもり?」
「うーん……、分かんないな。まあ、なるようになるでしょ!この近くの黄巾賊はかなり多いらしいから、しばらくはここで戦うよ!」
ふーん?
「じゃあ、仮に……、この周辺の黄巾賊が俺に全滅させられたら、どうする?」
俺がニヤリと笑いながら言った。すると……。
「……やるの?」
真剣な顔をしたムサシが、こちらに強い意思の籠もった視線を向けた。
「やっても良い。報酬があるなら」
少し考えて、ムサシは更に一言。
「できるの?」
「可能だ」
俺は自信満々な様子で言い返してやった。
「でも……、いや、これだけの武器があれば……。うん、代官に話してみるね」
そういうことになった。
鷹の団のガッツみたいな少年時代を過ごして、殺人罪で投獄されていた主人公が提督になる艦これもの!
提督になれるのは千万人に一人くらい!艦娘は召喚できるのは八〜十人、同時に制御できるのはどんなに優秀な提督でも六人まで!(つまり、ゲームの仕様そのものってこと。スミカ・ユーティライネンです)
艦娘の艤装はアルペジオ方式!とは言え、艦娘の身体能力は人間を遥かに超えている。
ある日、深海棲艦が沸いて世界あぼん。この世界は旅人提督と違って一般人しかいないので、人がいっぱいしんじゃった(飯塚)。特に、古来から信仰されていた神霊を尊ばなかった国はほぼ滅亡した(文革で文明焼いた中国や、インディアンを抹殺したアメリカなど)。
みんな頑張って戦ったんだけど、通常兵器は深海棲艦に効か(ないです)。
そんな時、どこからともなく艦娘登場!深海棲艦を辛くも撃退することに成功する。
だがしかし、艦娘は提督がいないと本来の力を発揮できないと提言。
提督になれて、艦娘を呼べて、艦娘の艤装を制御できるのは、『資格』があるもののみ。
自衛隊内から、資格ある男が2、3人見つかるが、こんなんじゃ反抗作戦できないんだよ!こっちの都合も考えてよ。って訳で、最早、志願制の自衛隊ではもう持たんって事で徴兵制復活。
民間人の中から2、30人くらい提督が見つかる。
それにより、何とか本土の近海くらいならギリギリ守れた。
だけど、まだ足りねえよなあオイ!って訳で、犯罪者の中にも提督資格者がいないかテスト。
年少刑務所にも軍からのテスト員が来て……、こいつ提督っすよ!!!と主人公が発見される。
こんなんどう?
当然、主人公は刑務所送りにされるような狂犬なので、ぼのたんが「クソ提督!」とか言ってきたらぶん殴るんすよ。
でも、ぼのたんは悪気は全然なくて、ハッパかける目的で言ってたのね?それなのに本気でキレられちゃったから悲しくなって大泣きして許しを請うのね。
「わ、私、そんなつもりじゃ……!ごめん、ごめんなさい!嫌いに、嫌いにならないでっ!」
とか。
その癖、才能だけは圧倒的にあって、同時に十二隻以上の艦娘を制御可能、最終的に百人を超える艦娘を召喚するのね。
「お前らが好きなのは妖精とやらに選ばれたこの身体であって、俺の人格ではないんだろう?」とか拗らせ発言する。
そんな酷く歪んだ提督に、全艦娘があの手この手で癒そうとしてくる話。
ラブのないラブコメに近い感じ?でも、主人公は身体能力は凡人です。