ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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疲れた。


16話 街へ武器を

ぶっちゃけ、羽田の街がどうなろうと知ったことではない。

 

俺が欲しいのはムサシとオオシオだ。

 

二人は、賄賂代わりに接待しても、俺の監視という職務から手を抜かなかった。

 

職務に忠実な人間は得難いものだ。

 

この二人を一門に加えて、俺の護衛をさせたい。

 

その為には、この二人に、合法的に無職になってもらう必要がある。

 

 

 

俺は、ムサシとオオシオの仲介により、羽田の街の代官に会うことになった。

 

ムサシとオオシオは、浪人なのに代官に直接口利きができるくらいに信用されているようだ。やっぱり、捨ておけないな。是非欲しい。

 

「俺は、ホウジョウ家に仕える代官のマツダコージだ」

 

「俺は神楽坂御一門衆の筆頭、グレンだ」

 

と、名乗るべきだとイロハに教えられた。

 

「『カワサキ』に陣取る黄巾賊共を退治できると言ったらしいな?」

 

「そちらが金を出せば可能だ」

 

「いくら欲しい?」

 

「俺も掃討には参加するから、一門への報酬金として、新日本円で五百万円」

 

「その程度で良いのか?」

 

五百万円……、命がけで、百人近くいる高度な武装を持つ賊徒を退治するには少ない額だ。

 

「もちろん、俺の一門だけでやる訳ではない。そちらにも戦力を出してもらう」

 

「しかし、戦力は、出せても三十の正規兵と、浪人が二十ってところだぞ?どうやって倍の戦力を覆す?」

 

俺は、エクステンダーとロボットを並べる。

 

「武器の差でひっくり返す」

 

「ほう……」

 

代官は嘆息した。

 

「そちらが金を出せば出すほど、こちらの武器の質は良くなり、この辺の黄巾賊を潰せる確率が高くなる……、分かるか?」

 

「もちろん、貸してやるだなんて舐めた話じゃあねえよな?」

 

「いや、適正価格で売ってやるって話だ。金はあるんだろ?」

 

この交易都市羽田では、行商人の税金は、『店頭に並べている商品の中で最も高額なものの五倍の値段』を税金として毎日徴収する、と言うことになっている。

 

なので俺は、店頭には、一つ一万円の手榴弾を最高額商品として並べて、一日五万円の税金を払っていた。

 

定住の商人の税金システムは違うらしいが、行商人だけでも、毎日百人近い人が集まるこの羽田。

 

一人一万円くらいの税金を取ったとしても、たった一日で百万円ほど溜まるのだ。

 

それを考えると……、この都市には億単位の金があってもおかしくはないと見ている。

 

「ムサシ、どうだ?」

 

代官はムサシの意見を聞いた。

 

ほう、代官に意見を求められるほどの信頼を得ているのか。ますます欲しくなった。

 

「うーん、そうだねえ、私としては、予算に糸目をつけないとすれば、防弾のエクステンダー一台と、盾になる防弾の車両三台、兵士の代わりに肉弾特攻するロボット十台もあれば、馬鹿でも百人の黄巾賊も殺れると思うよ」

 

「そりゃ流石に無理だ。こっちが干上がっちまう。予算は……、一億五千万だとしたらどうだ?」

 

「おっと、支払いについてだが、紙幣であれば出来る限り新日本円で、もしくは金塊なら、割引きしてやるぞ」

 

俺は横から口を出した。

 

因みに余談だが、新日本円は、印刷装置が稼働している工場がある京都で作られている。

 

しかし、各国のダイミョウが発行する貨幣は、紙幣ではない。

 

このホウジョウで使われているのは、各国のゲームセンターやカジノで使われていたカジノチップである。

 

他の国で両替はできるとは言え、そんなもんもらっても困る感はある。

 

なので、信頼度が高い、全国で通用する貨幣である新日本円や金塊が欲しいんだな。

 

「となると……、金塊2キロと新日本円で八千万は出せる」

 

「でも、それって、グレンが金塊をいくらで引き取るかにもよるでしょ」

 

とムサシ。

 

「俺は、金塊1キロを五千万円として引き取る」

 

と、俺が言うと。

 

「ってことは、予算は一億八千万かあ。えーとね、まず、防弾のエクステンダーは絶対に欲しいよね。だって、この辺の黄巾賊はエクステンダー持ってるんでしょ?エクステンダーに対抗するなら、同じレベルのエクステンダーか、相手のエクステンダーより強いロボットが欲しいよね」

 

ムサシは言葉を続ける。

 

「とは言え、エクステンダーよりも強いロボットなんて、並のエクステンダーより高いからねー、無理だよね。となると、やっぱり、防弾機構のあるエクステンダーが欲しいよね」

 

代官は頷いた。

 

「防弾機構は『4号』くらいあって、パワーアシストは最大三百キロもあれば良いと思う。あ、ちゃんと格闘機構も付いた警備用のじゃないと駄目だよ。それと、エクステンダーに持たせる用の重機関銃もあるとなお良いよね」

 

それを受けて、俺は、指定の条件に一致するエクステンダーを出す。

 

「これはどうだ、民生用警備型のエクステンダー、『香染』と、ミニミ機関銃だ」

 

「す、凄いね……、まさか、稼働するエクステンダーをこんなに持ってるなんて。ホウジョウの『黒備え』部隊は軍用のエクステンダーを八機配備してるらしいけど……」

 

「軍用が良いなら、『山吹』『白練』『瑠璃』『翡翠』『菖蒲』それと『漆黒』何であるがどうだ?」

 

俺は、エクステンダーを複数創造する。

 

「なっ……?!い、いや、良いよ、軍用なんて一億八千万じゃ買えないもん。でも、持ってるんだ……、国に匹敵するほどの力を……」

 

「じゃ、香染か?香染は八千万で良いぞ」

 

「う、うん、じゃあそれで。それと、肉弾特攻してくれるロボットが六台は欲しいかな。民生用警備型で、ライフル弾にも耐える、防弾機構4号持ちのやつ」

 

「となると、『照柿』はどうだ?」

 

照柿は、タイヤの付いた四脚に人型の上半身を持つ、野外警備用のロボットだ。色は照柿と言っておきながら砂色だ。モノアイはピンクに発光。

 

人型のマニピュレーターを持ち、銃器や格闘武器を巧みに操る。

 

「凄い……!こんなロボットまで!」

 

「もっと上等なのだと、『紫苑』『猩々緋』『涅』『蒲葡』そして『暗黒』がある。軍用アンドロイドは『朱』『天』『藍』『霞』そして『金』『銀』『桜』もある」

 

「は、ははは……、ここにあるロボットの値段だけで、このハネダの街そのものを買い取っても余るよこれ……」

 

「そうなのか?」

 

「この『桜』なんて、『キョート』の『テンノウ』を護衛する側近として、一体だけ日本に残っているって聞くけど……、本当に何で持ってるの?おかしいよねこれ?」

 

「まあ良いとして、照柿は一体千五百万だ」

 

「え、えと、じゃあそれを六体買うから、千万円値引きしてもらえる?」

 

「良いだろう」

 

「え?!い、いいんだ……。じゃあ、残りの二千万円で買えるだけの銃火器をよろしく。.30-06スプリングフィールド弾と9mm弾を山程用意して。それとさっきのミニミ機関銃も一つ買う。他にもアサルトライフルが欲しいんだけど」

 

「AK47なら、マガジン6個付きで一丁五十万円でいいぞ」

 

「なら、それを三十よろしく。それと、追加の弾丸も」

 

「分かった」

 

そして、武器弾薬を用意した後、料金をもらって……。

 

「じゃ、早速、うちの正規兵に、新しい武器の訓練をさせるぜ」

 

代官が部下に武器を回収させた。

 

「とりあえず、一週間は訓練に費やす。来週に突撃だ。その時になったら、前日に連絡するぜ」

 

「分かった」

 

そう言うことになった。

 




とあるやる夫スレ作者が、短編を三十作品くらい同時進行しているのを見て、「ああ、俺も焦らなくて良いんだな」と変な方向に悟りました。

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