ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

881 / 1724
グワーッ!


7話 あ、帰ってきた!おお、戦ってる戦ってる!

「僕は御白瑠衣!ルイルイの名義で女装ユウチューバーもやってるよ!」

 

「私は黒崎香苗。瑠衣の彼女で、撮影役をやってる」

 

瑠衣は、ピンクのフリフリのゴスロリを着た、白いロングヘアの美少……男だ。あの長髪は自前らしい。彼女より小さい155cmほどの小柄な男。

 

香苗は、短パンデニムに英字シャツ、シルバーアクセジャラジャラで、ピアス、茶髪に赤のウィッグをつけたロックミュージシャンみたいな女。

 

「俺は薬研理玖。来月に冷泉高校ってところに入学する」

 

「「えっ!」」

 

ん?

 

「奇遇だね!僕達もおんなじ高校に入学するんだー!」

 

「おお、そうなのか」

 

「ここで会ったのも何かの縁だね!友達になろうよ!リャインのID教えてー!」

 

リャインのIDを交換した。

 

「あれ?そっちのエルフコスプレの人は?」

 

セシルに目を向ける瑠衣。

 

「こいつ?まあ、知り合い」

 

「ふーん、そうなの?お名前は?」

 

「kvjokikvfca?」

 

あ、やべ。

 

こいつ、そういや、異世界語しか話せんのだな。

 

「うわ!外国人?!」

 

「そうだ。こいつはセシル、エルフだ」

 

「そっかー、よろしく、セシルさん!おいくつですか?」

 

「お前何歳?」

 

セシルに異世界語で話しかける。

 

『ん?ああ、私は今年で五百六十だ』

 

「五百六十歳だとよ」

 

と、俺が日本語で説明してやると……。

 

「え?あはははは!凄いね!そういうキャラ設定なのね、はいはい」

 

と、冗談だと受け取られた。

 

「二人はどうしてアキバに来たの?コスプレしに?」

 

と、瑠衣が訊ねてきた。

 

「いや、実は近々、異世界に行く予定なんだが、俺はこういう服しか持ってなくてな。異世界向きの服がないかと探してるんだ」

 

俺は、Tシャツに描かれた『SUSHI』のイラストを見せてやる。

 

「異世界に……?ああ、そういう設定のコスプレだね?確かに、セシルさんみたいなクオリティの高いレイヤーさんとイベントに出るなら、クオリティの高いコスを揃えないとだね。よーし!手伝わせてよ!」

 

と、俺の手を握る瑠衣。

 

「ん?手伝うとは?」

 

「僕はコスプレには一家言あるからね!良いお店とか教えてあげる!」

 

「おお、助かるわ。だが、良いのか?デートとかしてるんじゃ?」

 

と、俺が気を遣うと……。

 

「んーん、別にデートとかじゃないよ、今日は。さっきまでスタジオで撮影してたの」

 

とのこと。

 

「なら、付き合ってくれよ、にいちゃん」

 

「むむ!どっちかと言えば嬢ちゃんと呼んでほしいよ僕は!」

 

ええー……。

 

 

 

「へえ、じゃあお前、かなり人気があるんだな」

 

「うん!金額的にはもう、遊んで暮らせるくらいには稼いでるからね!一応、大学は出たいとは思うけど……」

 

「動画配信って儲かるんだな」

 

「まあ、素人がやって稼げるほど甘くはないけどねー」

 

俺は、瑠衣と話しながら道を行く。

 

四人で、瑠衣おすすめのコスプレ用品店に入って……。

 

「これなんか良いんじゃない?」

 

『どうだ、セシル?』

 

『ふむ、亜麻か?大麻の布よりかなり高価だが……、金持ち商人のドラ息子とでも言えばごまかせるはずだ』

 

「OK、こいつを買おう」

 

亜麻の冒険者っぽい服があったので、それを購入。

 

茶色の無地シャツ。地味なデザイン。これに、白革のズボンと革靴を合わせて、その上に鹿革製のチャコールグレーの外套と、赤い腰布に黒いベルトをつけた姿にコスプレする。

 

これは、アサシンブリードなるゲームのコスプレ衣装らしい。

 

「ふわー……!めっちゃ似合うね、理玖君!理玖君は体格がいいし、背も高いし、おまけにイケメンだから、何着ても似合うよ!」

 

「はっはっは!そうかそうか!」

 

俺は瑠衣を撫でながら、服を購入して外に出る。

 

「うん、まあ、こんなもんだろ」

 

替えの服もたらふく買って、買い物は終了。

 

異世界に行くことにした。

 

 

 

「異世界ウオオーッ!」

 

来た。

 

秋葉原で、路地裏に入ると見せかけて、セシルと二人で転移。

 

そして、例の森の中まで転移してきたって訳。

 

「じゃ、案内頼むぜ」

 

「ああ、任せろ」

 

と、移動を開始。

 

その道中で、この世界についての説明を受ける。

 

ここは、ヘロス州旧ハリオーのリードバーグ王国。

 

この大陸は、立ち上がって吠える獅子のような形をしている。

 

ヘロス州は、獅子の上側の前足の先端を指す領域で、この辺の臨海部をハリオーといい、そこをリードバーグ家という小さな王朝が支配している。

 

地域的にはマナウェイという。

 

この辺の風土は、軽く見た限りではイングランドに近い。

 

ということは、植物の植生も、その植物を食べて生きている動物も、イングランドに近いであろうと当たりをつけた。

 

セシルの話では、隣の州や、船でしばらく行ったところにあるリーシア地方……、獅子の前足の下側の地域や、アギト地方……、獅子の顎の部分の地方などからも人が来るらしい。

 

とは言え、基本的には人があまり移動しない社会ではあるようで、「旅行」という単語がないくらいには、世界は未開拓だそうだ。

 

最近では、北方から、比較的暖かいこのマナウェイ地方に移民が来ているそうだ。デーン人かな?

 

ついでに言えば、獅子の形をしたこの大陸の食道部分には、クソでかい山脈があり、山脈以北の獅子の背中の部分には、まだ何があるのかわかっていないらしい。

 

セシルの出身地は常盤の森と言うところで、獅子の腹部であるポリゾナ地方にあるそうだ。

 

なるほどな……、中々に面白い。

 

世界は違えど、似たような風土なら、似たような現象が起きるんだな。

 

などと考えていると……。

 

「止まれ!」

 

セシルが叫んだ。

 

「どうした?」

 

「モンスターだ、来るぞ!」

 

ん……、ああ、本当だ。

 

赤い瞳をした狼がこちらを見ている。

 

とは言え、俺は丸腰だ。

 

素手で野生動物は殴りたくない。

 

あ、そうだ。

 

「そら!」

 

俺は手刀で木を切り、それを持つ。

 

「丸太!」

 

『ギャン!!!』

 

針葉樹で狼をぶん殴り、叩き潰す。

 

「めちゃくちゃだな貴様はぁ?!!」

 

目を白黒させるセシルを他所に、俺は木で狼をボコる。

 

「丸太アターック!」

 

『ギャイン!!!』

 

「アタタタターック!!!」

 

『ギャン!!!』

 

狼は、仲間が一瞬で叩き潰されて恐れをなしたのか、逃げて行った。

 

「勝った!」

 




新作欲が!新作欲が!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。