ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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調子がいい時と悪い時の差がヤベェ。


9話 なるほど、商人ルートだね

で、この都市の名前はウルカストル。

 

カストルは城郭都市を表す言葉らしい。

 

ランカスターと一緒だよ。

 

街には、石造りの建物を覆うようにぐるりと城壁があり、街の中に川が通っているようだ。

 

にしても……、城壁、かなりボロいな。

 

「なあ、あの城壁って修理しないのか?」

 

俺はセシルに聞いてみた。

 

するとセシルは。

 

「そんな金はないだろう」

 

と答えた。

 

「でもよ、城壁を建てる財源はあったんだろ?補修することは……」

 

「ん?ああ、いや、あの城壁は古代に建てられたものだ」

 

「古代に?」

 

俺が首を傾げた。

 

「ああ。西方にはインパス朝ゼイン帝国という巨大な帝国があってな」

 

あー?

 

ローマみたいなもんか。

 

確かに、中世の城郭都市には、ローマ帝国時代の城壁を再利用して都市を作った……、みたいなケースが多い。

 

「ゼイン帝国ってのは滅んだのか?」

 

「ああそうだ。偉大な力を持つゼインの民は、国が滅ぶと同時に何処かへ消えた」

 

「ふーん」

 

かなしいね。

 

「まあ、要するに、金はないってことか」

 

「そういうことだ」

 

世知辛いねえ……。

 

日本も赤字ガー借金ガーと不景気なのに、異世界もかよ。

 

 

 

まあ、それはそれとして、ウルカストルへ入門。

 

うわー、くっせぇなこの街。

 

アフリカの田舎の方みたいな匂いする。

 

ヒト、モノの雑多な匂い。

 

体臭、煮炊きの煙、打ち捨てられた生ゴミの匂い。それだけじゃなく、道の陰には死体とかも転がってるんだろうな。

 

なるほど、なるほど。

 

慣れりゃ何てことねぇな。

 

建築様式はロマネスクに近くて……、城壁が二重にあるカルカソンヌ風?

 

都市の中に川が流れていて、人口は……、パッと見た感じでは五万人いるかいないかってところか?

 

しかし、城壁の外にも人間はたくさん住んでいるので、城壁の外にいる人間も住人に含めてカウントするとしたら十万くらいはいくんじゃねえかな?知らんけど。

 

「で?どうすんだ?」

 

観光したいところだが、まずは現地民の話をよく聞かねば。

 

「まず、お前は商人ギルドに登録するべきだろうな」

 

セシルがそう言った。

 

「ははあ、商人ギルド」

 

「そうだ。お前のそのスキル、それを金に替えるとしたらそうなるだろう?」

 

金!

 

そうだな、確かに金は必要だ。

 

だが……。

 

「商人ギルドに入らなきゃ、商売はしちゃならない?」

 

「この辺ではそうなるな」

 

ほーん。

 

「なるほど。デメリットは?」

 

「年会費くらいではないか?」

 

「いくら?」

 

「知らん。だが……、大商人でもない限り、そこまで無理な金額を要求されはせんだろうな」

 

ま、そりゃそうか。

 

にしても、こっちの世界でも金!金!金!か。

 

悲しいな。

 

いや、とはいえ、貨幣経済が存在しているならそれに越したことはないか。

 

物々交換オンリーの原始世界とかじゃなくって助かったと思おう。

 

「あ」

 

「どうした?」

 

「ギルドってのはさ、入ったらやっぱり、弟子入りとかしなきゃならないんだろ?」

 

「いや?」

 

「え?」

 

「弟子入りする場合もあるだろうが、しなくても良いはずだ。登録料を払って、後は毎年年会費を払いながら行商をやるような形でも良い」

 

「……登録料?」

 

「食事分の金は返してやるさ」

 

「おお!ありがとな!」

 

良い奴だなこいつ。

 

 

 

商人ギルドはどこか?

 

道行く人々に訊ねて、位置を特定。

 

辿り着いたのは、城壁の内側にある、石の建物。

 

木製の扉。若干ボロくて隙間風とか酷そうだ。建物も石だし、冬とか寒そうだな。

 

窓にガラスなんかはない。作る技術がないのかね?

 

扉を開く。

 

建物の中は、蝋燭の光と、窓の採光部からの光でぼんやりと照らされている。

 

建物の中に一歩入ると、建物の中にいる商人らしき奴らはこちらをチラリと見るが、すぐに目を離した。

 

「ありゃ?もうちょい注目されるかと思ったんだが」

 

「商人ギルドには、お前のようなでかい図体をした傭兵やら冒険者やらが、護衛にと呼ばれることが多々ある」

 

なるほどね。

 

さ、とっとと登録しておくか。

 

カウンターは、あそこか。

 

「もしもし?」

 

「はい?」

 

「商人ギルドに登録したいんですが、こちらの窓口でよろしいですかね?」

 

「はい、もちろんです。では、こちらにサインと、魔力紋を」

 

魔力紋?

 

よく分からんが、差し出された水晶に触ってみる。

 

「……はい、魔力紋を登録しました」

 

あ、良いんだ。

 

じゃあサイン、っと。

 

お、《異世界言語》スキルのおかげで、こっちの世界の文字がスラスラ書けるぜー。

 

「リック・レーゲンさんですね」

 

「はい」

 

「では、規約の説明を軽く……」

 

まあ、年会費から税金を取るから税金を払えよ!ってこと。

 

それと、ランクアップすると行商人から店持ち商人になれるよ!ってこと。ランクアップすればするほどでかい店を設置できるみたいだ。

 

ランクアップすると払うべき年会費が増額!また、ランクアップするのにはまとまった金が必要!ってこと。

 

そんな感じのことが言われた。

 

まずは、行商人資格を得る。

 

行商人の登録料は、銀貨三枚だそうだ。

 

後で確認したが、大体日本円で三万くらい?

 

セシルから借りて払う。

 

すると、情報が書かれたドッグタグのでかいやつをもらう。

 

ここに、名前と魔力紋が書かれているらしい。

 

つまり、平たく言っちまえば、免許証みたいなもんだ。

 

ま、何にせよ。

 

これで、自由に商売ができるってことだ。

 

 




調子が良い感じだったので、ここ一週間で新作が17話くらい書けた。

やっぱり、ノってる時はいくらでも書けちゃうな。

新作、田舎剣士の現代ダンジョン、めっちゃ書けちゃってます。

ヒロインは後輩と人外ハーレムで決まり!

今、ダンジョンが一般公開されて社会が揺れるところを書いてるんですけど、こういうところが本当に描いてて楽しい。

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