ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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なろうに転載は常に考えているが、ウケなかったらどうしようとか、パクリだ何だとか言われたらどうしようとか、怖くて中々できない。


10話 良いねえ、君は偉人になるべきだ

免許証ゲット。

 

これ以降、行商人として活動することが許される。

 

だが……。

 

「行商人って何やりゃ良いんだ?」

 

その辺の人にポーション売り付けても良いのか?

 

「何でも良い。人に売っても、商会に売っても構わん。流石に、貴族には相手にされんだろうがな」

 

なーるほど。

 

アレかな、CtoCとCtoBってことか。

 

マーケティングとかそういうのは詳しくないが。

 

 

 

とりあえず、行商人らしく、バザーに行く。

 

その移動の最中に色々とセシルから聞いた。

 

銅貨一枚、百円くらい。

 

銅貨は百枚で銀貨、銀貨百枚で金貨と替えられるとのこと。まあ、国によって、硬貨によって色々と違うそうで、大まかな目安としてそれくらいだそうだ。

 

消費税はない。そもそも、消費税を取れるくらいに成熟した経済活動はない。

 

金本位制だそうだ。

 

金本位制ということは、信用創造もない訳で、この世界に存在する金の総量以上は、経済規模が膨らまないってことね。

 

あー……、そう、分かりやすく言えば、この世界の人々はみーんな貧乏で、オカネそのものがこの世界に少ないから、消費税は取れないってこと。

 

まあ、税金だ何だとピンハネされねえのは嬉しいね。

 

おっと、バザーに着いたぞ。

 

そう来ると思って、俺はあらかじめアウトドアセットをアイテムボックスに入れていたからな。

 

アウトドア用の敷物を敷く。

 

そして、テーブルと椅子を二つずつ設置。

 

俺はメモ帳を一枚ちぎり、そこに『ポーション売り〼』と書いて、その辺に落ちている石ころを乗せた。そして、低級のポーションを並べる。

 

「でさ、この世界のことが何も分からんから、客が来るのを待っているうちに色々聞かせてくれよ」

 

とセシルに頼み、客を待った。

 

 

 

「まず最初に、創造神ゼロは、この星をお作りになった。そして次に、この星に宇宙を駆ける猛獣であるヴィオンを落とした。これが、大地だ」

 

「何故ヴィオンなる獣を捕らえたんだ?大地にするなら他の獣じゃ駄目なのか?」

 

「それは、ヴィオンは最も獰猛な獣で、他の獣を殺して回っていたからだ。その罪を贖わせる為に、罰として大陸にされたのだ。……そして、同じ頃に七つの星が生まれた」

 

「ふむ」

 

「太陽、月、淵陽、煌星、蒼星、朔星、魔星だ」

 

「どれがどれだよ」

 

「太陽は最も輝いている星、月は夜にのみ見える白い星、淵陽は夜にのみ見える黒い星、煌星は太陽の次に輝く赤い星、蒼星は夜に見える青い星、朔星は魔星の輝きを受けて白く輝く黒い星で、魔星は夜に紫に輝く星だ」

 

「あー、あれか。なんか変な星見えるなーって思ったら」

 

「太陽は戦争と炎の神『マグナ』が、月は智慧と風の神『ファナ』が、淵陽は鍛治と土の神『ガリン』が、煌星は農耕と光の神『テビラ』が、蒼星は海と水の神『ハバス』が、朔星は芸術と無の神『ヤナン』が、魔星は魔法と闇の神『ザガン』が、それぞれ生まれた」

 

「オリンポスかな?」

 

「商人であれば、月神ファナを信仰していれば良い。月神ファナは、智慧、契約、商業、法律などを司るからな」

 

「なるほどね、要するにアテナか。やっぱり、女神だったりする?」

 

「うむ。ファナ、テビラ、ヤナンは女神だ。そして、創造神と七人の神々は、八日で世界をお作りになった。それから、神々は、自らの直属の僕である天使を作り、世界の管理をする苦力たる人を作りたもうた」

 

「エルフは?」

 

「エルフは月神ファナがお作りになった。ガリンがドワーフを、マグナが獣人を……、とまあ、そんな風に人を作った」

 

「エルフも人なのか?」

 

「それはそうだろう。なんだと思っているのだ貴様は」

 

「人種差別とかは?」

 

「当然ある」

 

「ふーん?じゃあ……、っと、客だ」

 

俺は、セシルに色々と習いながら客を待っていた。

 

すると、黒い鎧を着込んだ女がやってきた。

 

その女は、俺の目の前に立ち、ポーションの瓶を手に取った。

 

「一つ……、あー、どうする?」

 

俺はセシルの方を向いた。ポーションの値段なんて分からんからな。

 

「三千フリンだ」

 

セシルがそう言ったので。

 

「三千フリンで売るぜ」

 

と答える。

 

女は……、鎧を着込んだ上背の高い女。冒険者ってやつだ。

 

顔はまあ美人さんだな。胸はそこそこ。

 

年齢は二十歳前後か?

 

白人だ。それも、北欧系の。

 

くすんだ色の金髪を後ろで一つにまとめる……、いわゆるポニーテール。

 

すらりと長い手足に、アスリートのような筋肉が載っていて、見るからに格闘技経験者って感じ。

 

彼女が着ている、黒鉄の磨き抜かれた鎧には、茜色のラインが引かれていて、やたらとヒロイックだ。

 

それも、単なる主人公カラーって言うよりかは、日本人が描くようなファンタジーものゲームのライバルキャラのような装い。

 

鎧は鋭角なデザインで、曲面を多く使った中世ヨーロッパのフルプレートアーマーよりも大分アニメ調に見える。

 

さて、この装備から察するに、素人新人冒険者とは思えないが……?

 

さあ、女が口を開いた。

 

「おい、お前」

 

ハスキーだ。

 

低めながらも女らしさを忘れない、それでいて少々やんちゃでヤンキー風の柄の悪さを感じられる。

 

「ポーション、一つくれよ」

 

そう言って、銅板……、銅板は一枚で銅貨十枚分の価値がある。そう、銅板を三枚、投げ渡してきた。

 

態度が悪い。しかし、それが嫌味っぽくないんだな。

 

俺は、空中に踊る三枚の銅板を一息でキャッチした。

 

「まいどあり」

 

「おう」

 

女は、俺の言葉を聞いているんだかいないんだかってな感じで、テーブルの上にあるポーションを太陽に透かしてみたり、匂いを嗅いでみたりしている。

 

「淀みのねぇ青色、向こう側が透けて見えらぁ……!匂いも……、お!スゲェな、青臭くねぇ」

 

なんだか、そんなことを言って喜んでいる女を見て、俺は……。

 

「何?なんかおかしかった?」

 

とセシルに耳打ちした。

 

「品質が良いから驚いているのだろうな」

 

「品質?」

 

「ああ。低品質なポーションは、濁っていて、青臭くて、苦いのだ」

 

ほへー、なるほどね。

 

「低品質だと何が悪いんだ?」

 

「回復量、保存可能な期間、ポーション中毒の問題がある」

 

なるほど?

 

「良いポーションはたくさん回復して、長持ちする。それは何となくだがそんな気はするな。だが、中毒ってのはなんだ?」

 

「ポーションには、微弱な毒があってだな。短期間に大量のポーションを飲むと、毒がどんどん蓄積する」

 

「するとどうなるんだ?」

 

「ポーションを飲んでも回復しなくなっていくのだ。無論、しばらくポーションを飲まなければ、毒素は排出されるがな」

 

ほへー。

 

なるほどね。

 

そんな話をしていると、女は、ポーションをグイッと一気に飲んで……。




新作、やる気ブーストがあるうちにたくさん書き溜めておこう。

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