ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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あーあ、空から金が降ってこねえかなあ。

……でも、仮に降ってきても、それを勝手に持っていったら犯罪なんだよね?五百円以下しか拾えないみたいなことを重ちーが言ってたような?


25話 主人公ムーブしてそうな予感……

「薬研君だよね?!野球部入らないか?!」

 

「バスケとかどうだ?!」

 

「空手部は良いぞ!」

 

スポーツテストで人外スペックを見せつけて、210cmの筋肉モリモリマッチョマンの変態であることが校内の全員に知られた俺は、運動部の猛烈な勧誘合戦に巻き込まれていた。

 

「ええい!男臭えんだよ!散れ散れ!」

 

「「「「ぬわー!」」」」

 

俺は、センパイ共を蹴散らしながら教室に入る……。

 

 

 

「大変そうだね!」

 

と、瑠衣が笑顔で伝えてくる。

 

「何だこのやろー、舐めてんのか?」

 

「ひえっ、暴力はんたーい!」

 

「オラァッ!!!」

 

ムカつくんでケツを強めに握る。見た目は女だけど性別は男だからセーフだろ。

 

「おほぉっ♡」

 

「えっ」

 

「……僕はね、後ろの穴は開発済みなんだ。理玖君みたいなイケメンにセクハラされると大変なことになるから、やめてね?」

 

「そ、そうですか……」

 

思わず敬語になる俺。

 

そっか……、開発済みなのか……。

 

そ、それはさておき。

 

「いやあ、勧誘うっぜぇなあ」

 

「きっぱり断ったらどうだ?」

 

おっと、勘次か。

 

「うーん、可愛いマネージャーとかいたら、それを食いたくはあるんだよな」

 

「ドクズかな?」

 

「食べる?人を食べるとはどういう事だ?」

 

お、今度は千佳か。

 

「い、いや、その〜……」

 

勘次が言葉に詰まっているな。

 

「食うってのはセックスするって事だよ」

 

「……君は最低だな」

 

絶対零度の視線でこちらを射抜く千佳。怖いなー。

 

「そうか?その辺りを隠す男って気持ち悪くないか?」

 

「人として最低限のことだろうに」

 

「いやらしい視線だけを向けてきて、表面上は取り繕うんだぞ?嫌じゃないか?俺はその辺正直に言うぞ。という訳で千佳、今日も可愛いな!」

 

「はぁ……、それはどうも」

 

呆れ果てた様子の千佳は、自分の席についた。

 

「おはようございます……」

 

お、栞か。

 

「よう、栞!相変わらず体調悪そうだな!」

 

「えへ、へへ、はい……。ゴホッ、ゴホッ」

 

「因みに、何の病気なんだ?」

 

「っ……、そう、ですね。ちょっと、治りにくい……、病気です」

 

ふむ、『鑑定』っと。

 

《シオリ・フクミ

十六歳 女性

Lv1

 

HP30

MP0

 

筋力:3

魔力:0

耐久:2

敏捷:1

器用:10

知能:15

運勢:1

 

スキル

《裁縫》

 

バッドステータス

《末期癌》》

 

ははーん。

 

なるほど?

 

「よっしゃ!栞!今日は学校サボってデートするぞ!」

 

「え?ええ?!ちょ、ちょっと待ってくださーい!」

 

 

 

「行っちゃったねえ」

 

「行っちまったなあ」

 

「僕もさっきイッちゃったけどね!」

 

「勘弁してくれ……」

 

 

 

はい!

 

では早速、デートをしていきたいと思います。

 

「映画とか好きか?」

 

俺は栞と手を繋ぎながら、街のど真ん中を歩く。

 

「え、映画ですか?ま、まあ、好きですけど……」

 

「好きな映画は?俺は『ダーティハリー』かな。クリント・イーストウッドの大ファンでね、マカロニウエスタンも好きだな」

 

「ダーティハリーですか?あの、乱暴な警察官の?」

 

「そう、乱暴な警察官の」

 

「す、すみません、詳しくは見ていないので知らないのですが……」

 

俺は、栞の肩を抱き寄せる。

 

「良いさ、女性向けの映画じゃないからな。あれは要するに、正義感による私刑の話だからな」

 

「私刑、ですか」

 

「ああ。まあ、サイコパスの外道が人殺しをするも、証拠不十分で釈放。主人公はそれが許せなくて犯人を追い続ける……、上の命令を無視してな。そして最後は、銃を持った外道と銃撃戦をして、殺しちまうんだ」

 

「それは……、恐ろしい話ですね」

 

「こんな台詞があった。.44マグナムを犯人に向けてさ、『you've got to ask yourself one question: "Do I feel lucky?" Well, do ya, punk?』ってな。分かるか?」

 

「え、えと……、その、スラングですから……。それにしても、発音が綺麗ですね!」

 

「ん、まあな。意味は……、『今日は幸運な日かどうか、自分に訊ねてみやがれ、クソ野郎!』ってところさ」

 

「は、はあ」

 

「このセリフの前に、マグナムで散々銃撃戦をやってたんだ。もう何発撃ったのか、主人公ですら把握していない。で、犯人の肩を撃ち抜いて、犯人は銃を落とすんだ。そこで、銃を拾おうとする犯人に向けての一言だな」

 

「えーっと、鉄砲の中に弾が残っているかどうか、賭けてみろ!と宣言している訳ですね?」

 

「そういうこと。そして主人公は、見事賭けに勝つ……。幸運の女神様は良い男に微笑んでくれるのさ」

 

「な、なるほど……?」

 

「まあ、女の子は人が死んだりする映画は好きじゃないかもな。それなら、『のだめカンタービレ』は観たか?」

 

「はい、観たことがあります!」

 

「あれは面白かったよな!おっと、喫茶店で続きを話そうぜ」

 

喫茶店に入店。

 

「いらっしゃいませ、お席へどうぞ」

 

「おう」

 

そのまま席に座り……、メニューを開いて栞に見せる。

 

「何にする?俺はブラックコーヒーとウルトラジャンボパフェにするけど」

 

「私は、オレンジジュースで……」

 

「ん、ケーキは?」

 

「す、すみません、食欲が……」

 

「そうか、大変だな。じゃあ、注文するぞ」

 

そして注文が届く。

 

「うわあ……」

 

ウルトラジャンボパフェは、代金が三千七百円もする、普通のパフェ六個分の大きさを誇る特大パフェだ。

 

「うおー、うまそう!いただきます!」

 

味は……、おお!コスト削減の為に低品質な材料を使っている、とかそんなことはなく、ちゃんとした美味しいパフェだ!

 

「栞も一口どうだ?」

 

「で、では、一口だけ……」

 

「はい、あーん」

 

「あ、あーん……。んん!おいひいです!」

 

 

 

そうやっていちゃついた後は、映画を観に行く。

 

「あ、あの、お金……」

 

「んあー?良いの良いの、こういう時は女の子は払わなくて良いんだって」

 

「で、でも……」

 

「俺この前、宝くじで十億円当てたからさ、金に心配することはないのよ。まあ、そんなことはどうでも良いでしょ、映画館に着いたぞ」

 

映画の内容は、なんてことはない恋愛映画。

 

正直、俺の好みではないのだが、相手に合わせるって大事だぞ。

 

そして、映画の後は……。

 

「どうだった?」

 

「はい、やはりヒロインの一目惚れの瞬間の演出が……」

 

そんな話をしながら、昼食を摂る。

 

公園の共用スペースで弁当を広げる俺。栞はいつものゼリーだ。

 

「なあ、栞」

 

「はい?」

 

「病気が治ったら何したい?」

 

「そう、ですね。美味しいものをたくさん食べて、スポーツをして、友達と夜通し遊んで……。いっぱい、いっぱいやりたいことがあります」

 

「そうか……。治るのか?」

 

「……お医者さんの話だと、難しい、そうです」

 

「ふーん……。まあ、ほら、あまり気負うなよ。もしかしたら、明日には治ってるかもよ?」

 

「ふふふ、そうだと良いですね……」

 

 

 

そうやって、街を巡り、あまり体力を使わないデートをして。

 

最後は、夕陽に染まる空の下で……。

 

「さて、デートはお終いだ。楽しめたか?」

 

「はい、とても……、とても楽しかったです」

 

微笑む栞。

 

儚げな、消えてしまいそうな微笑みだ。

 

「夢、だったんです。普通の女の子みたいに、デートをして、恋をして……。とても、楽しかった……!」

 

涙を零す。

 

「でも、でも駄目なんです。私は、私の身体は、もう……!!!」

 

あー……。

 

「おっと、俺としたことが忘れていたなあ!」

 

「は、はい?」

 

「デートの最後には、やっぱりこれだろ」

 

俺は、唇に濃縮されたエリクサーを塗る。

 

「夕陽の下でキス」

 

「ふぇ?んっ……♡」

 

俺はそう言って、栞に口づけをした。

 

「んっ、あ……、薬研君……♡」

 

「栞、またデートしような。来年も、再来年も。いや、卒業したって会いにきてくれて良いぜ」

 

「で、でも、私の病気は!」

 

「そんなもん、明日には治ってるって!多分!」

 

じゃあ……。

 

「またな!」

 

と、俺は去っていった。

 

 

 

いやー、主人公ムーブはクッソ気持ちいいですねぇ!!!!

 




クソみてぇな悪役キャラの設定を考えてると頭おかしなるで。

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