何ともねぇなあ?
「はい、では早速、街づくりの方を始めていきたいと思います!」
俺とセシルは、日本最大のジオラマ作成スタジオである『株式会社ランバージャック』に来ていた。
「こんにちはー」
俺は笑顔で店員さんに声をかける。
「はい、こんにちは」
店員さんも笑顔で対応する。
「ジオラマが欲しいんですけど」
「はい、どれくらいのものですか?」
「できるだけ大きなものを。出来合いのものがあるならそれで良いです」
「大きなものとなりますとこちらになりますね」
案内されたのは、150cm×60cmほどの鉄道模型だ。
「良いですね。この十倍くらいデカいやつってありますか?」
「……は?」
「もっと大きいやつか……、それとも複数買うかでも良いですよ?」
「し、失礼ですがご予算の方は……?」
俺は鞄から五百万円を取り出す。
「とりあえず五百万円持ってきたんですけど、足りますかね?」
「ごひゃ……?!!!しょっ、少々お待ち下さい!!!」
店員さんが超スピードで引っ込む。
その後、眼鏡のおっさんが来た。
「こんにちは、店長の白井です。今回はジオラマのご購入依頼だとか?」
おお、偉い人だ。
「はい、とにかく大きいものが欲しいですね10m×10mくらいの」
「そうなりますと……、かなりの予算と時間がかかりますが」
「五百万円でできるだけ早くと言って、どれくらい早く出せます?」
「少なくとも半年は……」
「一千万円でできるだけ早くと言ったら?」
「社員を総動員して三ヶ月……、いえ、二ヶ月で仕上げて見せましょう!」
俺は契約書にサインして、前金に五百万円渡す。
「では早速、軽く注文をしたいのですが……」
俺がそう言うと、店長はメモを構えた。
そして俺は、セシルと話し合って決めた内容を話す。
「コンセプトは、『異世界転移チート能力者が異世界に作る街』です。サブテーマとして『魔法と科学の融合』ですね」
「なるほど……、そちらのエルフコスプレの方と、何かのイベントで使われるのですか?」
「まあそんな感じですね。えー、それと注文は、『魔法の列車を四本通すこと』と、『農場や放牧地など、このジオラマの街一つで自給自足生活が可能であること』『川と湖を作ること』『大きな図書館を作ること』ですかね」
「なるほど。列車模型の方ですが、こちらを電動で動かすギミックをつけますと、工期が伸びてしまうのですが……?」
「列車は動かなくても良いです。ただ、線路はちゃんと作ってください」
「はい!そして放牧地などですが、人や動物も配置した方がよろしいでしょうか?」
「動物やモンスターは好きなだけ配置なさってくださって結構ですが、人は不要です。もちろん、人型のオートマタやゴーレムなどを配置したい場合はそれでも構いませんが」
「具体的なデザイン画などを完成次第お送りしたいので、連絡先の方を……」
「ああ、デザイン画については用意しておいたので、これを参考にしてください」
そう、先週のうちに、ツブヤイターにて有名なイラストレーターにデザイン画を描いてもらっておいたのだ!
俺はやってないので知らないけど、有名なソシャゲのデザイナーだったらしい。
何だったか?『グランドゲイルファンタジー』だったっけか?
見た感じ、かなり綺麗な油絵風のイラストで、綺麗で気に入ったから依頼したんだけど、正解だったな。
五百万円で異世界のデザイン画を十四枚と設定画を二十五枚!
バッチリですわ……。
「これは素晴らしい!では、すぐに仕事に入ります!」
「はい、お願いします」
さて。
そんな訳でね、異世界での仕事は終わった。
とりあえず、二ヶ月待とう。
丁度その頃には、夏休み前ってところだろうな。
そういや、今年の家族旅行はどうなるんだろうか?
小学生の頃から毎年、夏と冬には2、3ヶ月の家族旅行をするんだが。
いやあ、懐かしいな。
財布に一週間分だけの旅費を持たされて、外国の街角で解散して、三ヶ月後にあらかじめ指定された場所に集合して帰国、っていう。
路銀がなくなった時どうするかを考えて、スリをしたり、酒場で演奏をしたり、バイトしたりして食いつなぐのは、シミュレーションゲームのような趣があるぞ!
一番ヤバかったのは中二の頃かな?あん時は中東の紛争地域のど真ん中に放置されてさあ。
まあ、それはどうでも良いか。
今日は大人しく学校に行こう。
登校、と。
「さて、友人キャラ」
「何だよ?」
俺に話しかけられた勘次は、若干素っ気ない態度をとる。
「なんか面白い話とかないか?」
「面白い話ぃ?あのさあ、俺は恋愛ゲームの友人キャラじゃないんだぜ?」
「ないのか?」
「いやあるけど」
あるんじゃねーか。
やっぱり友人キャラだな。
「とは言え、あまり愉快な話じゃねーけどな」
ふむ?
とりあえず聞いてみよう。
「剣崎亜里沙っているだろ?あのハーフの」
ああ、いたな。
ものすっげー美人の。
「なんか、ビッチらしいぜ。風俗店で働いてるとか」
ほー。
「で、それをネタにして、周りの女共がいじめを始めたっぽくてよ……」
なるほど。
「何が駄目なんだ?風俗業も立派な社会の一員だろうが」
「いやそりゃ、お前はそういう考え方かもしれねえけどよ。普通は、風俗やってる女とかおかしいんだよな」
おかしいのか?
よく分からんな。
キャバ嬢なんてむしろ尊敬に値するだろうに。
つまらねぇ話しかしねえハゲたおっさんの話を聞いてあげるとか、最早聖母だよな。
キャバ嬢は現代の聖母だ。
懺悔室のシスターだ、神聖だよ。
「それが男子にも噂が流れてるらしくて、剣崎は悪い奴らに『やらせてくれ』と迫られてるんだと」
ほーん……。
書きたくなったのでプログラマ転生書き始めちゃった❤︎