ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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カツオのたたきって何付けて食います?

僕は生姜醤油かニンニク醤油なんですが。

これ、地方によって違うの?

東京では東北とは違うの?


41話 まーた誘拐だよ

シドニアの願いを聞いた。

 

科学を世に広める、か。

 

「そうだなあ、俺、今度領地がもらえるんだよ。そこで、科学の教育とかしてみたらどうだ?」

 

俺はそう言ってやった。

 

ぶっちゃけた話、領地は適当に運営するつもりだったのだが、それをやるにはこの世界の人間は力不足だもんね。

 

現代日本人レベルの教養と道徳感があれば、俺が作る街さえあれば余裕で生活できるはず。

 

だが、この世界の人間には無理だ。

 

よく、ブラックな日本から優しい異世界に転生して救われた!みたいな話が創作されてるが、そんな訳ねーだろと返したい。

 

皆さんは、アフリカや南米、東南アジア、中東……、海外に行ったことはあるかな?

 

ない?じゃあ今度行ってみろ。日本がどれほど幸せな国か、心の底から理解できるはずだ。

 

この世界、「治安がいい」と評価される地域でも、治安レベルは現代の地球で例えるとアフリカくらいだ。

 

分かるか?

 

ブラック企業?若者の貧困?「仕事そのものがない」「他人から奪わないと生活できない」「福祉もない」そんな国が山ほど世の中にはあるんだ。この世界もそれと同じってことだよ。

 

国民の殆どは農奴や小作人で、ちょっと不作になれば家族を人買いに売らなきゃならない。そうじゃなくても、日々の食事にも事欠く始末。

 

街の人々も、非科学的な医療、福祉の少ない社会、理不尽な貴族優先の法律の中で生きている。

 

貴族だって、様々な制約の割には多大な責任を抱えて生きている。

 

人々が心優しいかと言えばもちろん、全然そんなことはない。

 

むしろ、暴行や窃盗、殺人が起きない日はなく、人々は他所者に不親切で、性別や人種による差別は凄まじいの一言に尽きる。貧すれば鈍すると言うことなのか、その日食うのも困るような人々に道徳心を期待しちゃならんってことよ。

 

言わせてもらうが、こんな世界で生きていくのは絶対にごめんだね。

 

異世界に夢見ちゃいかんよ。

 

話を戻そう。

 

つまり、だ。

 

このクソッタレな異世界人達には、俺の領地が任せられないのだ。アホ過ぎて。

 

ではどうするか?

 

教育してやるしかない。

 

シドニアがタダで教育の一端を担ってくれるんなら、万々歳だ。

 

少なくともアホではないことは、ここ最近の会話で分かっているからな。

 

十三世紀前後レベルのこの世界で、近世並みの話をするからなこいつ。

 

 

 

先週は、セシルと一緒にネイピア数の話をしてたし、その前は熱力学、更にその前は原子論について触れたな。

 

ポーション屋の店番はリーゼに丸投げだ。

 

どんな感じだったか、というとこうだ。

 

「だからまず、無秩序さの度合いを関数Hと置くだろ?このHが……」

 

「ふむ、その点においては認めてもよいだろう。だが、この場合、その分子とやらの速度を一斉に反転させたとすれば……」

 

「いや、そこは確率が極めて高いだけで、実は確実な因果性は……」

 

俺、シドニア、セシルの三人が、ホワイトボードに図や数式を書き殴り議論をしている……、その横で。

 

「ポーションの発売中です。こちら、大変お安くなっております」

 

リーゼがポーションの売り子と会計を同時にやっている。

 

 

 

と、まあ、こんな感じだった。

 

つまりは……、話の合う知人。

 

となると……、多少の援助は構わないかね。

 

俺の、領地に来い宣言を聞いたシドニアは……。

 

「おお!そうか!我がパライゾ一族を集めておこう!」

 

と、そう言った。

 

「年俸とかどうすりゃ良いんだ?相場が分からん」

 

「食うに困らぬ程度あれば良いわ。そんなことよりも、彼方の叡智をくれ!」

 

叡智……、叡智か。

 

「じゃあ、本屋でも行くか」

 

 

 

俺、シドニア、セシルの三人は、東京に来た。

 

場所は、池袋。

 

ジェンク堂という本屋の本店だ。

 

ネットで調べた感じだと、ここは理工系の技術書が多いらしい。

 

「欲しい本を持って来い」

 

俺はそう言った。

 

「これは……、なんとも……」

 

セシルは、目を見開いて驚いている。

 

「これが全て、本なのか?」

 

「ああ、そうだ」

 

「これは、一つの階層だけで、国立図書館の蔵書に匹敵するぞ。それが、八階建ての建物だと?」

 

「そうだな」

 

「しかもこの本は、売り切れても『インサツ』されるのだろう?つまり、紙がある限り、好きなだけ同じ本を量産できる訳か……。なるほど、敵わんな」

 

そして、シドニアは……。

 

「……素晴らしい」

 

と、一言呟いた。

 

「我が家名、『パライゾ』とは、彼方の稀人の国の言葉で『楽園』を指すという」

 

ふむ。

 

「楽園は、ここにあったのか……」

 

ははは。

 

「何言ってんのお前?」

 

「見ろ……、叡智だ。これほど分厚い本を書くには、一生をかけて研究せねばならんだろう……。ここは、星の数ほどの『カガクシャ』の墳墓であり、遺産なのだな……!」

 

「いや、全然そんなことないけどな。お前の世界と違って、実験に使う機材も、文字や図を書く道具も、写本をするからくりも、色々あるからな。学術書も、年に一回くらいは出せるんじゃねえかな?知らんけど」

 

もし、共著とかでたくさんの人が一つの本を書く場合なら、もっと早く刊行されんじゃねえの?

 

「ワハハハハ!何だそれは!凄まじいな!ならばここは墓ではなく、碑であったか!」

 

心底愉快そうに笑うシドニア。

 

「とりあえず、入門書関係を買うぞ」

 

「うむ!だが、いずれは高度な書物も貰えるのだろうな?」

 

「もちろんだ」

 

そう言って、小学校の教科書や『子供の科学豆知識』みたいな本を買い集める。

 

セシル?あいつはなんか最近、政治学の本とかを集めてるぞ。よく分からんけどなんかするんじゃねえの?

 

 

 

次は東供ハンズ。

 

ここで、実験器具の類を買い集める。

 

ビーカーに試験管のような小さなものから、電子顕微鏡に真空分離機なども購入。

 

それと、大型のホームセンターで旋盤とかも買った。

 

買い物はこんなもんかな。

 




プログラマ転生、20話くらい書けた。

けど、実際に書いてみると全然違う方向に話がぶっ飛んでいきますねぇ!!!!

最初は、兄上!兄上!と可愛らしく慕ってくれる弟に、色々な勉強を仕込んで、自分の身代わりに次期当主にさせる……、みたいな感じのシーンだったんですよ。

それなのに、弟を鍛えすぎて、弟は、ボウガンを装備した猟兵部隊を率いて現当主の父親を殺して、「父上は病死なされた。王都へ、騎士爵継承の伝えを出せ」とか言うようなのに育っちゃったよ……。


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