ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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主人公が人間の屑の超人になるのが僕の悪い癖。


小話
ヤンデレCD攻略編


ハロー皆さんこんにちは。

 

俺は野々村大河。

 

大河、たいが、タイガー、つまり虎だ。尊敬する人はタイガーマスク。あとクソル。

 

所属は……、県立南条高校2-1、26番。

 

どこにでもいる普通の高校生だ。

 

今時のラノベのように転生も憑依もしてない、本当に、ただの高校生。

 

好物は、幼馴染の河本綾瀬が作る八宝菜。

 

趣味は格ゲーで、特技は格闘技かな。いや、マジでタイガーマスクを尊敬してるからね、ネタじゃないよ?確か最初は親戚のおじさんにオススメされたことだったっけかな。タイガーマスクは俺のヒーローだ。

 

まあ、俺自身は割と反則上等なんだけど。俺はヒーローにはなれない。

 

それで……、家族構成は……。

 

「お兄ちゃん❤︎」

 

妹だけだ。

 

両親は二人で暮らしていくには十分な遺産を残して、俺達が子供の頃におっ死んだ。事故だった。

 

……思えばその頃、格闘技を始めたんだと思う。妹を守らないと、と。そう思って。

 

でも、今は……。

 

「また、綾瀬さんとデートしたんだって……?」

 

「うおおおお!危ねえ!!!」

 

主に、自分の身を守るのに役立ってます。

 

 

 

「渚、自衛のために買った特殊警棒を家の中で振り回すのはやめろ、いいな?」

 

「お兄ちゃんこそ、私以外の女と付き合うのはやめて」

 

「んああう、俺はほら、別に……、付き合ってる訳じゃねーし」

 

「嘘でしょ」

 

二枚の写真を見せられる。

 

幼馴染、河本綾瀬と抱き合ってキスしている写真と、友人、柏木園子に壁ドンしながらキスしている写真。

 

んー……。

 

………………。

 

「ちょっと……、帰るわ」

 

「どこに?お兄ちゃんの家はここでしょ?」

 

「帰してくれ」

 

「だからどこに?」

 

「違うんだよ……、これは違うんだよ……」

 

「何が違うの?」

 

ハイライトの完全に消えた目で詰め寄る妹の渚。

 

「兎に角違うんだよ」

 

「だから、何がどう違うの?」

 

「……ってかお前妹だろォ?!俺がどんな女と付き合おうが勝手じゃねーかよォ!!!」

 

「違うッ!!!お兄ちゃんの恋人は私!!!私だけなのッ!!!」

 

なーに言ってんだこいつ。

 

「お前妹だろがい」

 

「お兄ちゃんは昔、渚は可愛いから割とマジで恋人にしても良い、ワンチャンあるって言ってたじゃない!!!私その言葉、ずっと信じてたんだよ?!!」

 

え?そんな冗談みてーな一言を?

 

「悪い、冗談だ」

 

「今更冗談だったなんて通用しないから」

 

どうしろってんだ。

 

「渚、許してくれ、気の迷いだったんだ」

 

「駄目、絶対に許さない!」

 

「あー、ほら、頭撫でてやるからさ、機嫌直せよ」

 

よしよし、渚はー、良い子だー。

 

「許さない」

 

「撫でるのやめるぞ?」

 

「それは駄目」

 

はいはい……。

 

「お兄ちゃん……❤︎」

 

おっと、首を掴まれた。

 

引き剥がして、腕を捻りあげる。

 

「痛い痛い痛い痛い?!!」

 

「あっ、悪い悪い。いきなり首掴んでくるもんだから、つい癖で」

 

伊達に十年以上格闘技やってねえわ、いきなり首を掴まれたら反射的に腕を捻りあげるくらいやってみせる。

 

「酷いよ、お兄ちゃん……」

 

「悪かったって」

 

「えい!」

 

襟首を掴んできたので、そのまま身体全体の回転を使って片手を引きつけ、もう片方の手で頭を逸らしてやる。力を回して外側に流す、防御の基本だ。

 

「ふぎゃ?!」

 

「あ、やべ」

 

……またやっちゃった。

 

「何で大人しく引っ張られないの?!!」

 

「格闘技的観点から抵抗すべきかと」

 

「抵抗しないで!!!」

 

「抵抗しねーと殴るだろお前」

 

「殴らないから!こっちに顔を寄せて!お兄ちゃん背が高いんだから!!」

 

「何する気だ」

 

警戒。

 

「ーーーッ、キスするの!!!悪い?!!!」

 

「まあ、それくらいなら……」

 

しかし、利き腕を引いて半身になっておく。

 

「えへへぇ、お兄ちゃん❤︎ちゅっ、ちゅ❤︎」

 

おおう、妹よ、兄貴の口にキスして楽しいか?流石に近親相姦なんだが。

 

「お兄ちゃんの口❤︎他の女とキスして❤︎汚くなってるから❤︎私で上書きしなきゃ❤︎んむ、ぺろ、ちゅぱ❤︎」

 

………………。

 

がぶり。

 

「はええ?!!にゃ、なんで舌を噛んだの?!」

 

「いや、何となく……」

 

「お兄ちゃん、最近冷たくなったよね……」

 

「気のせいだろ」

 

「お兄ちゃんは私を傷つけるようなこと言わないもん!そんなのお兄ちゃんじゃない!!!」

 

おっと、暴れだした暴れだした。逃げよう。

 

 

 

「おっ、綾瀬。丁度良かった、匿ってくれ」

 

「へ?な、何が?」

 

綾瀬の家に上り込む。

 

「お茶くれない?」

 

「え?うん、今淹れるね」

 

「ありがとな」

 

「確か、猫舌だからぬるめに淹れろって言うんでしょ?貴方のことは何でも知ってるんだからね❤︎」

 

「え?じゃあ、俺のブレイブルーでの持ちキャラと得意技は?」

 

「……え、あ、ごめん、それは知らないかも」

 

アズラエルで5A始動のヴァリコンな。

 

「趣味は?」

 

「イタズラだよね?」

 

「違うけど」

 

「えっ、いきなりパイ投げしてきたり、フィリピン爆竹を持ち歩いていたり、スカートめくりしたりしてるじゃない?」

 

「それは暇つぶしでやってるだけで、趣味は格ゲーだぞ。近所の中野TRFってところに入り浸ってるだろ」

 

「ゲーセンが好きなのは知ってたけど……、格闘ゲームにハマってたんだね。あそこ、女の子が入りづらい感じで、あまり中に入れなかったから……」

 

「じゃあ、俺の尊敬する人は?」

 

「あっ、それは知ってるよ!タイガーマスクだよね?」

 

「半分正解、それともう一人」

 

「え?えー、っと、お父さん、とか?」

 

「はい外れ、正解はクソルです」

 

「誰?!」

 

「プロゲーマー。……なんだよお前、俺のこと全然知らねーじゃん」

 

「そ、そんなことないっ!たまたま!たまたま知らないことを聞かれただけよ!!!」

 

「じゃあ、何でもは知らないって訳だ」

 

「……ううううう〜!!!」

 

悔しそうな顔をした綾瀬から、お茶を出される。

 

おし、お茶。

 

「ありがとよ」

 

「あっ、そうだ!好きな女の子のタイプは分かるよ!私みたいな子でしょ?」

 

「そんなこと言ったっけ?俺は可愛い女の子なら誰でもウェルカムよ?」

 

「……は?忘れたの?!私を抱きしめて、綾瀬みたいな女の子が一番好きだよって言ってくれたじゃない?!!」

 

あー?

 

うー。

 

「リップサービスだよ」

 

「許さない……」

 

やべ、怒った。

 

逃げよう。

 

 

 

「園子ー、いるかー」

 

「!、はい、大河君!いますよー!」

 

「よー、ちょっと匿ってくれない?」

 

「匿う……?よく分かりませんが、上がって下さい!」

 

園子の家に逃げてきた。

 

園子とは、いじめっ子から助けてやったのが縁で仲良くなった。頭が良いので主にテスト前に頼る。

 

「紅茶を淹れますね!」

 

「ああ、ありがとよ」

 

しかし園子も明るくなったなあ。ちょっと前まではあんなに暗かったのにな。

 

いじめっ子の女共には、出会うたびに顔面にパイをぶつけてやっていたら、いつのまにか学校に来なくなったし。丸く収まってるな。

 

ん、この紅茶……、ザラザラした何かが入ってるな?

 

舌の上からザラザラを掬い取る。

 

……白い錠剤のかけらだ。

 

「園子、なんだこれ」

 

「……さあ?」

 

「正直に答えたらディープキスしてやるから」

 

「睡眠導入剤です」

 

ははぁん、成る程?

 

「言っておくがな、薬局で手に入る程度の睡眠導入剤じゃ、いくら飲んだって死なないし、すぐにパタリと寝る訳じゃねーぞ?」

 

「え"?そうなん、ですか?」

 

「睡眠薬でもそんなに。ちょっと眠くなるくらいだ。そもそも、日本の薬は効果が弱いから」

 

「そうですか……。じゃあこうします!!」

 

スタンガンを首筋に向けてぶつけてくる園子。

 

「おっと」

 

手首を掴んで捻りあげる。

 

「痛あああああ?!!」

 

「いやそりゃ襲いかかってくるならこうするだろ」

 

「ギブギブギブギブ!ギブです!」

 

スタンガンを取り上げる。

 

「お前頭は良いけど馬鹿だよな。俺を相手にすんならお前じゃ刃物持っても多分勝てねえぞ」

 

「貴方は、私の運命の人なんです……。だから、どうしても、結ばれたいって……」

 

「つまり何?気絶させて逆レイプしようと?」

 

「……はい」

 

「そんなことしなくても、ワンナイトラブくらいなら別にお相手するがね」

 

「ワンナイトラブ……?!そんなふしだらな……!!私の運命の人はそんなこと言いません!!!」

 

怒ったな。

 

逃げるか。

 

 

 

「あー、どうすっかなー」

 

家に帰ったら渚の野郎がいる、綾瀬も園子もおかんむりだ。

 

「しゃあねえな、同じ格闘ジムの知り合いのジョンの家に逃げ込むか」

 

俺は飲み干した缶コーヒーの缶を公園のゴミ箱に捨てて、立ち上がった。

 

立ち上がった、んだが……。

 

「お兄ちゃん」

 

「大河」

 

「大河君」

 

おっとー?

 

包丁を持った渚と五寸釘とハンマーを持った綾瀬とスコップを持った園子。

 

さぁて?

 

「ご、ごめんなしゃい……」

 

取り敢えず、俺の口から出たのは弱々しい謝罪だった。

 

なんかもう、謝るしかなかった。

 

「良いよ、お兄ちゃんは悪くないもの。悪いのは……」

 

「そう、貴方は悪くないよ。悪いのは……」

 

「貴方に悪いところなんてありません。悪いのは……」

 

「「「この女共でしょ?!!」」」

 

一斉に武器を振り上げる三人。

 

あーあーあー、ヤバイねこれは。

 

はいまず渚!

 

「シィッ!!!」

 

ローキック。

 

パーンと良い音が響く。

 

「あい"っ?!!痛ぁあ"あ"?!!!」

 

包丁を落として、片足を抑えて倒れこむ。

 

次、綾瀬。

 

「ハァッ!!!」

 

顔面に張り手。

 

「ぷげっ」

 

ハンマーと釘を取りこぼしてつんのめって倒れる。

 

ラスト、園子。

 

「シェエイ!!!」

 

リバーブロー。

 

「え"ん"っ?!!!」

 

スコップを落として、腹を押さえて崩れ落ちる。

 

「ミッスンコンプリーィト」

 

さて、各々が落とした凶器を回収して、公園のゴミ箱に捨てる。

 

そして、痛みで蹲る三人に、語りかける。

 

「で、何?」

 

「くっ、は、鼻血が……」

 

綾瀬にハンカチを渡す。

 

「ありがと……」

 

「それで?君達は何の集まり?俺のファンクラブか?」

 

「「「恋人でしょう?!!!」」」

 

んーんん。

 

「俺、恋人作った覚えはないけど」

 

「渚みたいな恋人が欲しいって!」

 

「綾瀬を一番愛してるって言ったでしょ?!」

 

「園子は俺の会った女性の中で一番綺麗だって言ってくれましたよね?!」

 

「……言ったっけ?」

 

「お兄ちゃん!!!」「大河!!!」「大河君!!!」

 

あーあーあー、言った言った、そんなことも言ったんじゃないかなー?!

 

「で?結局、俺にどうしろって?」

 

「誰を選ぶの?!」

 

んーあー。

 

「やだよ、選んだら選んだ子を殺しにかかるでしょどうせ」

 

「「「そりゃあ、まあ……」」」

 

「だから俺は決めた。海外に飛ぶ」

 

「「「………………は?」」」

 

「俺を巡って喧嘩されるのはもううんざりだ。俺は海外で外人部隊に入る」

 

「何でそんな!」「危ないでしょ?!」「い、嫌です!!」

 

だってしょーがねーじゃんかよー。

 

「フランスか……、その他傭兵か。訓練は死ぬ程厳しいらしいが、俺のメンタリティとバイタリティなら不可能じゃないな」

 

「だ、駄目だよ、お兄ちゃんは私のたった一人の家族じゃない!家族は一緒にいないと……」

 

「私、貴方の幼馴染よ?ずっと一緒って約束したわよね……?」

 

「恋人を置いて戦場に赴くなんて、そんな酷いこと……」

 

「それが嫌なら、三人とも仲良くするこったな。殺し合いなんてしてみろ、俺はすぐさま海外へ飛ぶ」

 

それだけ告げて、俺は家に帰った。

 

 

 

その夜。

 

「で?」

 

「「「………………」」」

 

深夜、俺の部屋にこっそり侵入してきた三人。

 

しかし、曲がりなりにも武術を志す者である俺、気配で分かる。

 

超人的?いやいや、俺の妹はハンカチの匂いを嗅いだだけで所有者を特定するぞ?これくらい野々村家じゃ普通よ、普通。

 

「今度は何だ?眠いんだけどなー」

 

「「「海外に逃げられる前に、身篭ろうと……」」」

 

んー。

 

「君らは何でそう極端なのかね?」

 

「だって!一人じゃ勝てないからもうこうするしか!」

 

と綾瀬。

 

「恋愛とかそういうのは勝ち負けじゃないんじゃない?知らんけど」

 

「大河君がいなくなってしまう前に、せめて忘れ形見を……」

 

「園子よぉ、高校生が妊娠するリスクはちゃんと考えたのか?」

 

「それは……」

 

「お前らも分かってんの?在学中にガキなんてできたら百パー退学よ?高校中退の肩書きのヤバさ分かる?」

 

「そう、ですけど」

 

「お互いせめて大学は出ようや、三流大でも良いからさ。今の時代そういうもんだろ?」

 

「はい……」

 

しゅんとする園子。

 

「えっ、でも海外に行くって」

 

綾瀬が言う。

 

「お前らが馬鹿な真似するんならの話だろ。大人しくしてりゃ一緒にキャンパスライフでも何でもしてやるよ」

 

「本当?!」

 

「ああ、マジだよ」

 

「分かった……、それじゃあ私は、貴方の重荷になりたくないから、大学までは身を引くわ」

 

「私も……」

 

「お兄ちゃんの為なら……」

 

「良し、一件落着だな。今晩はもう遅いし、泊まってけよ」

 

 

 

まあ、この後。

 

大学を無事卒業した後、酔った勢いで綾瀬と園子と肉体関係を持ち、なし崩し的に渚ともヤる羽目になったんだが、俺の人生に支障はねえ。

 

「ほーら、パパでちゅよー❤︎」

 

「お父さんですよー❤︎」

 

「お兄ちゃんでお父さんだよー❤︎」

 

「「「ばぶー」」」

 

支障は、ねえ。

 




ヤンデレに暴力振るいたい。

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