ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

924 / 1724
飯が美味え。


8話 怪しい剣術

ダンジョンで魔法のスクロールを手に入れた。

 

それを使うと、俺に火魔法のスキルが!

 

「……これ、どうやって使うんだ?」

 

試してみるか。

 

手を翳して叫ぶ。

 

「ファイア!」

 

掌から一メートルくらいの距離に短時間火炎放射。

 

同じく、手を翳して。

 

「ファイアボール!」

 

二十メートル先くらいまで、握り拳ほどの火球が飛んでいった。

 

ふむ。

 

手を翳さずに、口だけでファイアボール!と叫ぶ。

 

「ファイアボール!」

 

結果、目の前の中空から火球が発生し、狙った標的からいくらか逸れてしまった。

 

詠唱を変えてみよう。

 

「火球!」

 

ファイアボールとほぼ同じものが出力された。

 

なるほど、大体分かった。

 

『イメージを固めて』『そのイメージに沿う魔法名を叫べば』、魔法は発動する。

 

「炎剣!……無理だ」

 

しかし、複雑な魔法はまだ無理。

 

それに、魔法を使うと疲れる。MP的なものを消費しているらしい。

 

つまりは、レベルを上げろってこったな。自分のレベルと、魔法の習熟度レベル、両方を上げる必要があるようだ。

 

 

 

八階層。

 

『チチチッ!』

 

角が生えたデカいウサギだ。

 

50cmを超えるくらいデカい。

 

まあ、そんなに強そうな見た目ではないが……?

 

『チッ!!!』

 

「ぬおお!スゲェ跳んだ!!!」

 

ジャンプで二メートルくらい跳んだぞこいつ?!物理法則って言葉を知らんのか?!

 

多分、『跳躍』とかのスキルを持ってるんだろうな。

 

まあ、跳んだからなんだって言うね。

 

『ヂッ!』

 

はい、両断。

 

あ、死体残るのか。

 

食えるのかもな。

 

角も何かしらに使えそう。

 

そして、数十匹の角ウサギを倒すと……。

 

「あ、出た」

 

『跳躍』のスキルスクロールだ。

 

これは早太郎に使わせよう。

 

にしても、スクロールは出にくいんだな。

 

ゴブリンメイジも百体近く倒したからなあ。

 

さて。

 

「どうだ、ハヤ?」

 

「ワオン!」

 

おお、四メートルくらい跳んだぞ。竜騎士かな?リューサンインザスカイだ。

 

ん?てか、それより……。

 

「ハヤ、お前、真っ黒じゃね?」

 

「ワフ?」

 

早太郎は甲斐犬だから、黒のマダラ模様だったんだが、マダラが消えて真っ黒になっちゃった。

 

「身体に変なところはないか?」

 

俺がそう訊ねると、早太郎は、自分の身体を嗅いだり、舐めたりしてる。

 

「……ワフ?」

 

うーん、異常はないみたいだ。

 

一応、GM(ソラ)に聞いてみるか。

 

「もしもし、ソラ?」

 

『どうしたんだい?』

 

「なんか、早太郎の色が変わったんだけど、心当たりない?」

 

『あー……、それは多分、早太郎君は君のテイムモンスター扱いになっているからだと思うよ』

 

「テイムモンスター?」

 

『そうだね。テイムモンスターはレベルが上がれば進化するから、色や模様が変わったり、大きくなったりするんだ。申し訳ないんだけれども、これは仕様だから変えられないよ。ごめんね』

 

「まあ、それは良いんだが……。うん、分かった、ありがとな」

 

さて……。

 

「ハヤ、このまま行くと、お前は甲斐犬じゃなくなるかもしれねーぞ?それでも行くか?」

 

「ワン!」

 

うん、大丈夫っぽいな。

 

なら、次に行こう。

 

あ、余談だが、角ウサギのポイントは四十だった。

 

 

 

九階層。

 

先日の赤犬とゴブリンナイト。

 

うーん、たまにはやってみるか?

 

ゴブリンナイトは鎧を着ている。

 

「御影流……、『鎧通掌』」

 

『ガ……、プゲッ?!!!』

 

「おー、効いた効いた」

 

この技は、相手の鎧に手を触れた状態で筋肉を硬直させ、衝撃を内部に与える技だ。

 

ゴブリンナイトは、どうやら内臓が全部潰れたらしく、夥しい量の血を吐いて死んだ。

 

「なるほど、威力上がってんなこれ」

 

普段なら、相手の心臓を一時的に止めたり、内臓にダメージを与えて気分を悪くさせるくらいしかできないんだが、まさか内臓を潰せるほどに強くなっているとは。

 

レベルアップの力ってスゲーや。

 

あ、ゴブリンナイトから『騎乗』のスキルスクロールが出た。いらねーや、後でポイントショップに売ろう。

 

ゴブリンナイトは四十、赤犬は三十ポイント。

 

 

 

十階層。

 

錆ロングソード持ちのホブゴブリンの群れだ。

 

まあ、レベルも上がったし……。

 

お?

 

へー、ホブゴブリンってポーションを落とすのか。

 

ドロップ率は十匹につき一つくらいかな?

 

で、十階層のボスは……。

 

『ガアッ!』

 

先日のゴブリンチャンピオンか。

 

鉄のロングソードと木のヒーターシールド、革製の鎧を装備している。

 

ふーん……。

 

やってみるか。

 

「御影流……、『断刃閃』」

 

『ガアッ?!!』

 

これは、相手の剣の平を打ち、剣を破壊する技だ。

 

これ、めっちゃコツがあるし、こっちの刀も痛むんだけど、俺の刀はレベルが上がってるから何ともない。

 

そして、丸腰になったゴブリンチャンピオンの首を刎ねた。

 

ゴブリンチャンピオンは、何と百ポイントだ。流石はボス。

 

 

 

うん、今日はこんなもんかね?

 

あ、ソラから電話だ。

 

「もしもし?どうした?」

 

『十階層攻略おめでとう!十.五階層の休憩ルームには、ワープゲートがあるから、それで戻ってね』

 

「おう、助かるわ。それとさ、返り血を浴びるから、Dポイントで使える……、なんかこう、浄化の魔法陣?みたいなの、用意できないか?」

 

『なるほど!それも良いアイデアだね、明日までに用意しておくよ』

 

よし、と。

 

さあ、帰って飯だ!腹減ったー!

 




天体魔導士のやらない夫が学園で頑張る話、めっちゃ面白えな。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。