十五階層。
『ブゴッ!』
「へぇ……!」
十五階層は、オークだった。
オークは身長180cm前後、俺と同じくらいデカい。
だが、ラグビー選手と相撲レスラーを足して割ったかのような、分厚い脂肪と筋肉を併せ持つパワーファイターだった。
得物は鉄のスレッジハンマー。
まともに受ければ刀が折られるな。
『ブゴゴゴゴッ!!!』
お、突っ込んできたな。
「どおおおおおりゃああああ!!!!」
オークが俺の脳天にハンマーを叩き落とす前に、素早く踏み込んで胴を斬る。
だが、浅いな。
腹の分厚い脂肪がクッションになって、斬れなかった。
なら、喉だ。
胴を斬られて怯んだオークの喉を斬る。
『ブゲッ!』
よし!
「当たれば死ぬドキドキ感!気持ちいいな!」
「ワフ……」
おや、またもや早太郎にドン引きされてしまった。
だが、博打は外れたら痛い目を見るから面白いんだよなー。
しくじれば死ぬ博打なんて、心躍らねぇか?
命をかけたゲームなんて楽しくてたまらねぇよ。
そうして、オークを蹴散らしながらしばらく進むと……。
『ブルルッ……!』
身長2mを超える筋肉の塊。
オークの上位種らしき奴が、次の階層への扉を守っていた。
言うなればハイオークってところか。
普通のオークとは違って、ガチガチの筋肉に、デカい大斧を持っている。
『ブゴーーーッ!!!!』
うっは、何だありゃ?スキルだな?
頭がクラクラするぜ。多分、『咆哮』とかだろう。
こんなもん、至近距離で食らったらまずい。
一撃で仕留めるぞ。
「実は、さっきから考えてることがあってだな」
『ブゴッ!!!』
「俺の『御影流』と『スキル』を、組み合わせて使えばどうなるのか、なんてな」
『ゴゴゴアーッ!!!』
行くぜ……。
「『突進』!そして、御影流『幻夜』!!!」
まず、俺は前方向に突進スキルで直進する。
そこに、気合の声と共にハイオークが斧を振り下ろす。
だが、その一拍前に俺は後ろ方向に『突進』を使ったステップで残像を残すかのように退く。
そして、ハイオークが俺の残像を斬り、斧を振り抜いた瞬間に、再び『突進』し、思い切り胸を貫く。
これが幻夜である。
『ガ……?アァー!!!』
ハイオークは絶命。何が起きたのかわかっていない様子だった。
うむうむ、最高だな。
だが……。
「……身体痛え!」
無理な動きをしたせいで、身体が痛くなった。
しばらくはレベル上げに勤しむか。
休憩エリアへ。
そこで、素材を売る。
蛇の死体一メートル分!百ポイントだ。
蛇の毒瓶!二百ポイントだ。
ファンゴの牙!八十ポイントだ。
ウルフの牙!三十ポイントだ。
カエルの舌!五十ポイントだ。
水魔法のスクロール!千ポイントだ!
オークの牙!五十ポイントだ。
ハイオークの牙!百ポイントだ。
ハイオークの斧!三百ポイントだ。
うーん、まあ、こんなもんじゃない?
あ、水魔法のスクロールは売らなかった。念のために取っておく。
「どうだった?」
お、ソラが出てきた。
「こんなもんで良いと思うぞ。あとは、解体用と運搬用のアイテムの実装と、ドロップ率の調整だな」
「そうだね」
「それと、ステータスの数値化だが、モンスターの能力を数値化して、それを基準に人間のステータスを表示できるようにしないか?」
「なるほど!でも、モンスターにも個体差があるからなあ」
「じゃあ、最弱のモンスターの最弱の個体のステータスがオール1ポイントだとして換算すれば良いんじゃねえか?」
「うん、それでいこうか。その場合、モンスター図鑑にも、モンスターの平均ステータスとかを表示するようにするね」
「良いんじゃね。それと後はドロップ率だな」
「人数が少なければ少ないほど、稀少なアイテムが出るよ」
うーん、そうなのか。
俺がソロでこのドロップ率……。
「まあ、ドロップ率はこんなもんじゃね?」
スキルスクロールはレアドロップと思えばこんなもんだろ。
「二人だと半分、四人だとそのまた半分で良いかな?」
「待て待て、そりゃ低過ぎだ。まず、ダンジョンってのは何人で攻略するのを想定してるんだ?」
「え……?ええと……、そんなこと、考えたことなかったよ」
「お前の世界では何人で攻略されてるんだ?」
「それはまあ、一人の人もいるし、八人くらいのグループもあるし……、色々だね」
「じゃあ、間をとって四人が推奨人数としたらどうだ?」
「じゃあ、そうしようかな。四人の時がレアドロップ率が……、物にもよるけれど、大体10%としようか。一人なら20%で、八人なら5%でどうかな?」
「とりあえずはそれで良いんじゃねーの?」
「八人以上来た場合どうしようかな……」
「あー……、超過人数一人につき、1%ずつレアドロップ率を減らしていく、とかか?」
「うん、そうするよ」
そんなこんなで一月ほどレベルを上げて……。
「ステータスの数値化を実装したよ」
ってことなので見てみる。
×××××××××××××××
赤堀藤吾
Lv24
HP:121
MP:64
STR:85
DEX:80
VIT:68
INT:50
MND:120
SKILL
《火魔法》《突進》《咆哮》
×××××××××××××××
×××××××××××××××
早太郎
Lv20
HP:71
MP:49
STR:64
DEX:88
VIT:50
INT:33
MND:60
SKILL
《跳躍》《魔力爪》《咆哮》
×××××××××××××××
「ほーん?これ、各ステータスの1がスライムのステータスと同じってことだよな?」
「レベル以外はそうだよ」
ほんほん、大体わかった。
成人男性のステータスが大体、オール2か3ってところだ。それを考えると、俺は強くなり過ぎたな。
「あ、それと、このスキルスクロールを試しに使ってもらえるかな?」
「おう」
ん?『跳躍』じゃん。
使うか。
×××××××××××××××
赤堀藤吾
Lv24
HP:121
MP:64
STR:85
DEX:80
VIT:68
INT:50
MND:120
SKILL
《火魔法》《縦横無尽》《咆哮》
×××××××××××××××
ほーん?
「スキルは合成されたり進化したりするんだよ」
「なるほどね」
大体わかった。
面白い小説が書きたい。