ダンジョンに入った。
この一階層には、目算で百人以上の冒険者がいる。
だが、ダンジョンは拡張されており、相応に広いので、モンスターの取り合いなどはまだ起きていないようだ。今後、冒険者が増えればどうなるかは分からないが……。
一階層から十階層までは、石畳に石壁、石壁に一定間隔で松明。道は曲がりくねってはいるが一本道……、というダンジョンなので、正確な大きさは分からないが、あくまで体感で、一階層の入り口から二階層の入り口まで一、二キロメートルほどと言ったところだな。
モンスターは、何もない空間に魔力が集まり、そこから生まれる形式のようだ。
その、モンスターが生まれる魔力溜まりは、見ればわかるくらいに光っているので、魔力溜まりの位置を記憶しておけば、挟撃されることもないだろう。
さて、そんな訳で、キチレンジャーにはその辺にいるスライムを殴らせることにした。
スライムは最弱のモンスター。
しかしそう言っても、体当たりされたら、一般成人女性に思い切りビンタされたくらいのダメージは普通に受ける。
なんでそんな例えかって？今まで俺を振った女は、大抵別れ際に思い切りビンタしてきたからな。威力はよく分かってるんだよ。
……俺の話は良いとして、そんな感じでスライム叩きだ。
一時間かけて、一人につき二十数匹のスライムを叩けた。
青峯が『無魔法』のスキルスクロールを手に入れたのを確認したところで、次のフロアに移動。
二階層は大ネズミだ。
まあ、キチレンジャーは普通にキチガイなので、血を見ても騒いだりはしなかった。
意外なのは杜和がガタガタ言わないところだ。
「怖くないのか？」
「へ？別に……？」
「そうか？女は血を見ると騒ぐだろう」
「ああ、いやその、うちの実家って病院やってるんすよ。たまに事故とかでぐちゃぐちゃになった人とか来るんで、そう言うのを見ることあるんすよね。だから慣れてるんすよ」
へえ、そうなのか。
「ほら、やってみろ」
俺が近づいて来たネズミの首を刎ねると、杜和もそれを真似する。
「ほいっと」
うーん、相変わらず、こいつの模倣技術は素晴らしいな。
俺の御影流を一目見ただけで完全コピーしやがる。
まあ、身体能力の差で、動きは遅いし力もないんだが、それでも、型がしっかり真似できているから、この大ネズミくらいなら簡単に斬れるな。
「やったっすよ！褒めてくださいっす！」
「褒めてやるが、敵から目を離すな」
「あ、すんませんっす！」
全く、抜けているな。
剣技はすぐに覚えたようだが、心構えの部分はまだまだのようだ。
さて、大ネズミの『噛みつき』なんてスキルは誰も要らんので、大ネズミの二階層は早々にスルーして、先の階層に進む。
三階層の大コウモリも危なげなく撃破。
「やあ」
気の抜けた声と共に、木杖を振り下ろしたのは青峯。
こいつ、腕力は女よりもへなちょこだが、度胸はある。
この道中でのレベルアップもあり、飛びかかってくる大コウモリくらいならはたき落とせるようだ。
そして、地にはたき落としたコウモリを……。
「えい」
体重をかけて、身体全体で突く。
『ギャギ！ギャァ！』
「痛ひのかな？申し訳なく思ふよ。でも、死に給え」
恐怖による硬直がまるでない。流石はキチレンジャー、メンタルがおかしい。
「行きます」
黄場も、空飛ぶ大コウモリに良くもまあ当てるもんだ。
アーチェリー用の弓矢で、飛行するコウモリを貫いている。
後で聞いたが、黄場のアーチェリーの腕は、日本大会常連レベルらしい。
そんなこんなで三階層も楽勝。
大コウモリのスキルスクロールである『聴覚強化』はスルー。
四階層のゴブリンも、大分弱体化しており、簡単に倒せた。
俺が戦った時よりも明らかに弱くなっているな。
「シャッ！」
『ギィッ？！』
緑門が素早くマチェットを振るい、首を薙いでいく。
圧倒的な直感力から、構えは素人なのに、動きや勝負勘は達人という、ちぐはぐな存在になっている。
その上、武術的な変な癖がないから、自然体から急所を的確に突いてくるという、モンスターに近い戦い方をしてきているようだ。
また、手先が器用で、手首の回転などが巧く、流れるような動きで敵を斬り裂いている。
一方で、桃瀬は力強い。
こりゃフルコン空手の動きだな？
「やあっ！」
『ピギッ？！』
裏拳の要領でシールドを叩きつけて、ゴブリンを殴り殺している。
実戦慣れした動きだ。特に、受けの動作が円滑で良いな。
そんな感じで、ゴブリンの『強打』のスキルスクロールは桃瀬が得た。
五階層には、ゴブリンソルジャーとゴブリンアーチャーが出た。
そして、五階層のボス、ホブゴブリンも弱体化してたんで、割とあっさり始末できた。
こりゃ難易度が大幅に緩和されたな？
ゴブリンソルジャーの『斬撃』のスキルスクロールは緑門が得た。
また、ゴブリンアーチャーの『強射』は黄場が得た。
……『斬撃』？ちょっと待て、そんなのが出るようになったのか？！ズルいぞ！早く言えよ！俺も習得した。
五階層をクリアして、全員が端末を得た。
そして、それぞれがスキルを習得する。
ついでに、ステータスも見せ合った。
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赤堀藤吾
人間
侍
Lv70
HP:368
MP:299
STR:300
DEX:290
VIT:242
INT:206
MND:397
SKILL
《烈火の業》《絶燃破壊》《縦横無尽》《咆哮》《金剛》《斬撃》《斬撃波》《爆砕波》《燕返し》《虚空瞬動》《再生》《火属性耐性》《寒さ耐性》《魔法耐性》《気絶耐性》
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×××××××××××××××
青峯弥太郎
人間
魔法使い
Lv15
HP:28
MP:121
STR:20
DEX:18
VIT:14
INT:140
MND:50
SKILL
《無魔法》
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黄場由乃
人間
弓士
Lv15
HP:45
MP:82
STR:31
DEX:48
VIT:21
INT:100
MND:50
SKILL
《強射》
×××××××××××××××
×××××××××××××××
緑門結弦
人間
剣士
Lv15
HP:52
MP:40
STR:38
DEX:42
VIT:28
INT:57
MND:53
SKILL
《斬撃》
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×××××××××××××××
桃瀬鈴華
人間
戦士
Lv15
HP:65
MP:77
STR:40
DEX:35
VIT:37
INT:46
MND:55
SKILL
《強打》
×××××××××××××××
×××××××××××××××
白崎杜和
人間
剣士
Lv15
HP:55
MP:70
STR:34
DEX:30
VIT:28
INT:67
MND:65
SKILL
《斬撃》
×××××××××××××××
「うお、ジョブが表示されるようになったのか」
にしても、俺が侍？大丈夫？名前負けしてない？
このジョブって、どうやって設定されてるんだ？
《お知らせ
・ジョブを表示するようになりました。ジョブは、ご本人のステータス、スキル、装備などにより変化します》
なるほど。
「うわ、なんやこのステータス？！」
「俺がランク1冒険者だからな」
「うわー……、ドン引きやわ」
なんなん？
強くて文句言われるとか意味わからんわ。
田舎剣士は48話まで書けました。
ネタはもうないです。なので、続きを考えなきゃ……。
オチは多分、ダンジョン最深部でソラと対決して勝利し、神の後継者になるー、みたいなクッソベタな展開になると思います。
けど、そこに行くまでの道のりがナオキです……。
一応、ダンジョン発生により海外から危険なところだと見捨てられて経済が地獄のように悪化、しかし赤堀ダンジョン研究所がダンジョン素材の研究結果を公開したことで経済は少し持ち直す。しかし、ダンジョンに利益があると知った海外が、散々足元を見てきた癖に、今更手のひら返しして横から手出ししてこようとするので、日本はキレてちょっとした鎖国状態になる……、みたいな展開まで書いたんですけど、ここからどうするか……。
露骨に海外叩きみたいなことを書くと、フィクションと現実の見分けがつかない人に殴られるかもと思うと怖い……。
自重した方が良いんですかねえ……？
でも、コロナの時の外国人を見てると「あー、やりかねねえなあ……」ってならない？コロナの時は、発生地が中国なのに、何故かアジア人で一括りにされて虐められたし、大震災の時は放射能がどうこうで虐められたじゃん。
今時人種差別とかやってるようなのがいるんですよ？この前、「ボーボボは黒人だから、黒人が活躍するのは道徳的」とかって外国人の書き込み見てたまげたわ。ボーボボは何人とかないでしょ、強いて言えば「アニメ人」でしょ。ってか毛の一族は人かどうかですら……。
シコシコ書き溜めたゾンビものは40話程度書けました。一章29話、以降二章ってことで。
あー……、なんか新作が書きてえなあ。
前言ったポストアポカリプスVRゲームプレイヤーが大正風日本ローファンタジー世界で暴れる話と、けもフレみたいなゆるゆる世界観のソシャゲプレイヤーがゲームキャラと共にポストアポカリプス世界へ転移。あとはテンプレ異世界転生貧乏領主もの。
大正転生はモロ政治の話になるから顰蹙買いそう。
ソシャゲものは安パイだし書きやすそう。あらゆる事件の発端を「強くて優しいソシャゲヒロイン達が、人助けしようとして面倒ごとを持ってきた」とすれば良い訳だし。
貧乏領主ものもなー、テンプレブレイクしたいだけ感はあるんだよなあ。
多分、皆さんの総意は、「既存作の続きを書け」なんでしょうけど、既存作の続きを書く息抜きで新作が生まれてるんですね。公開してないだけで新作は常に二、三本ありますし。
やっぱり感想欄とかDMで叩かれるとスッゲェびっくりするほどにやる気無くなりますし、逆に応援されると続き書こうかなーって気にはなりますね。
前、旅人提督の方でなんか気持ち悪いDM来て、それでめっちゃやる気無くした記憶があります。お陰様で更新速度停滞中……。