人間、労働も込みで考えると、自由に使える時間全然なくない?
「うーん?あ、こうか」
この『斬撃』などのスキルだが、一つ裏技を発見した。
このスキルは、使おうと念じれば身体が勝手に動くと言うか、使い方が分かると言うか……、例えるなら、格闘ゲームのコマンド技のような感覚で使える。
だが、これを、人力で再現すると……?
そう、消費MPとリキャストタイムがゼロになるんだな。
ソラに電話で確認したところ、慣れないスキルを使うと、その人間の身体を強化したり動きを補正したり、そう言ったことで『不可能を可能にする』ので、そこで神秘の力たるMPを浪費してしまうそうだ。
俺のように、スキルの補正力に頼らずとも、正確にスキルが使えるならば、消費MPないしリキャストタイムは減る、とのこと。
これが、スキルは使い続ければ進化する、スキルにもレベルがある、ということの正体らしい。
つまりは、スキルを使い続ければ、スキルの動きを身体で覚えて、最適化されていくって話だな。
魔法だろうがなんだろうが同じで、使えば使うほど最適化され、強化されるみたいだ。
ま、要は、修行あるのみってことか。
さて、日光ダンジョンの新十階層までは、初心者向けの至れり尽くせりお仕着せダンジョンであった。
俺から言わせりゃ激甘難易度であったのだが、どうやら、一般人達からするとそうではないらしく、手古摺らされていると聞いたな。
十階層のゴブリンチャンピオンが全然倒せないそうだ。
冒険者は現在、十万人前後だそうだが、その半分がスライム狩りを生業としているんだとよ。
そして、進行度だが、俺がトップなのは良いとして、二位はなんと、ジジイだ。
うん、自衛隊じゃない。
自衛隊は三十階層のオークで、隊員の一人が半身不随の大怪我を負ったらしく、それで及び腰になっているそうだ。
全く……、戦っている以上、死ぬことやら怪我することはよくあることだろ?
一人二人潰されたくらいでピーピー騒ぐとは、情けないな。
……いや、それがお役所仕事ってことか。日本にはもう、本物のいくさ人なんていやしないんだな。
一方で、ジジイ以下、御影流の使い手達は、四十階層まで到達。
オーガ狩りでブートキャンプしているらしい。
今は六月十三日……、冒険者資格を得た日から丁度一ヶ月過ぎたくらいかね。
一ヶ月で四十階層とは、やるなあ。
まあ、俺の方が強えけど。
とは言え、追い越されてドヤ顔されるのも嫌だし、久々に本腰入れて攻略を再開するかー。
おっと、でもその前に、十一階層からどう変わったのかも見ていこうか。
十一階層。
ベノムバイパー(毒蛇)とダンシングキャット。
ダンシングキャットは、イエネコの二倍くらいでかい猫だ。
色はいろんな色……、黒白茶、銀色、灰色辺り。
後で聞いたが、オセロットというネコ科の動物に似ているそうだ。
ダンシングキャットには『魔力爪』のスキルがある。
十二階層。
ファンゴ(猪)とジャイアントスパイダーだ。
ファンゴ肉はマジで旨い。
味は豚肉なのにサシが入っていて、脂身もあっさりしている。
なんかアレだね、高級黒豚みたいな?
そしてジャイアントスパイダー。
『蜘蛛糸』というスキルで動きを止めにくる。
この蜘蛛糸に捕まっているときに、ファンゴの『突進』の直撃を食らえば、死ぬこともあり得るな。
十三階層。
グレイウルフとピクシー、キラープラント。
グレイウルフは『魔力牙』スキルに変更されてた。
キラープラントは、倒すとトマトがドロップした。トマトなんだこいつ……。確かに、赤い果実っぽいのが生ってるのは分かってたけどさ。
十四階層。
ビッグホーンブルとハンターイーグル、スプリントバード。
ハンターイーグルは、白頭鷲くらいの大きさの猛禽。『魔力爪』持ち。
スプリントバードは……、あー、なんだろうか。
要するに、走る鳥だ。
人間一人、上に乗せて走れるくらいの黄色い鳥。『荷運び』なんてお誂え向きなスキルを持っている。
十五階層。
オーク、ラプトル、そしてボスのハイオーク。
オークは『咆哮』を、ハイオークは『咆哮』『斬撃』を持っているようだ。
ラプトルは……、なんかほら、アレだよ。
二足歩行の恐竜?みたいなの。
俺は詳しくないからよくわからないが、鋭い牙と鉤爪を持ち、『跳躍』で襲いかかってくる奴だ。
大きさは、人間一人を背中に乗せられるくらいだな。
色は白で、背中が青い感じ。
あと、実は、このラプトルの肉はかなり旨い。
うーん。
十一〜十五階層を見た限り、ソラのメッセージは……、『テイムしろ』って感じかねえ?
人を乗せられそうな鳥や恐竜、人間が見ても嫌悪感が湧かない狼や猫、一部の人が欲しがりそうな蛇や猛禽にピクシー……。
もう完全に、テイムしろって言ってるようなもんだよな。
あと、ついでに食品も手に入る感じ。
……ソラはテイムモンスターをやたらとゴリ押ししてくるが、なんでなんだろうな?
聞いてみるか。
「もしもし?何でこんなにテイムモンスターをゴリ押しするんだ?」
『それは……、まあ、罪滅ぼし、かな』
はあ?
またなんか訳のわからんことを。
『モンスターは、私と戦った悪神の権能によって創り出されたしもべなんだ』
「はあ、そうか」
『悪神を滅ぼした後、その権能を私が受け継いで、使わせてもらっているんだよ』
「罪滅ぼしってのは?」
『……悪神はね、私の弟だったんだ』
ああ、なるほど。
罪悪感を感じちゃってる訳か。
詳しい話は聞かない。めんどくさいんで。
『モンスターの創造は亡くした弟の権能だからね。それを偲んで……、と言ったところかな』
「ふーん」
『まあ、そんな話は興味がないだろうし、良いよね。私が個人的に、モンスターに思い入れがあるってだけの話だよ。裏はないから安心して欲しい』
そんなもんか。
今日水炊き鍋作ったんすけど水炊き美味いっすね。
最近クソ寒くなってきたから、温かいものが美味いわー。
あっつあつの汁物を食べながら、ちょっと窓を開けるのが最高なんだよなあ。……早死にしそうな思考回路だ。
とりあえず、田舎剣士は48話まで書き溜めました。そこでちょうどひと段落って感じです。
次はネットスーパーおじさんの書き溜めを作りたいと思います。
新作のソシャゲ転移は……、まあ、プロットが先っちょだけできてるんで、書こうと思えば……。
でも実際、結構イライラする場面が多そうなので、クレーム来たら怖いなあ。
コンセプトがそもそも、「サーバルちゃんとポストアポカリプス世界を旅する話」みたいな感じなんで。善人にイラつくタイプの人にはおすすめできない作品になりそうです。
実際、作者も善人は偽善だろうが真の善だろうが大嫌いなので、書いてるとイラついてしまう……かと思いきや、善人の女の子達がどうしようもない絶望(貧困、モラルの欠如、戦争、詐欺など)に打ちのめされる曇らせものになりそうなので、多分気持ちよく書けそう。
何かこう……、ソシャゲキャラの女の子達は、裏表のない善意で行動するじゃん?それをリアリストの主人公が咎めるじゃん?そして案の定、ソシャゲキャラの女の子達の善意が裏切られたり裏目に出たりするじゃん。そして女の子達は酷く悲しむじゃん。それを主人公の視点で、「あーあ、だから言ったのに……」する話になりそう。