ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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俺杖。


小学校の一幕

俺、風見新九郎。

 

九歳。

 

小学校三年生。

 

そんな俺の日常を見ていこう。

 

まず、朝。

 

健康優良児である俺は六時前には起きる。

 

パパ上もママンも生活力は何故か皆無であるが故、三食きっちり食べたい俺が飯を作ることに。

 

一人分も三人分も大して変わらん。

 

ご飯を炊いて、シャケの切り身をグリルにシュート、ほうれん草を鍋へドン、ミッソスープの出汁をとり、だし巻き卵と浅漬け。

 

ほうれん草はおひたしに、味噌汁は豆腐とわかめ。

 

「起きろ駄目人間共ー、朝飯だぞー」

 

俺の号令を受けて、駄目親共がのそのそと起床する。

 

「んー、良い匂い……」

 

ママ上だ。

 

ドチャクソセクシーなネグリジェ姿だが、これは前の世界で言う、「パンツ一丁で家の中を出歩く親父」になる。

 

最初はちょっとドギマギしたが、今では見慣れた。

 

「ごめんね、新ちゃん〜、私料理とかさっぱりで」

 

「ああ、良いよ、期待してない」

 

この世界では、母親とは前の世界の父親に相当する。

 

いわばこの人はおっさんだ。

 

しかも、デザイナーとかやっちゃってる偏屈おっさん。

 

そりゃお料理なんざ無理だわな。

 

「新九郎、おはよう」

 

「テメーは少し手伝えよ親父」

 

逆に、親父は前の世界における母親に相当する。

 

朝飯作りくらい手伝って欲しいところだが、この男にそんなことはできない。

 

作詞作曲と演奏しか能のない使えない男だ。

 

「パパって呼んでくれないかな?」

 

「はっはっは、殺されてえのか?」

 

良いから座れ駄目親共。

 

もうね、本当にね。

 

最初は、デザイナーとかミュージシャンとかすげーじゃんと思って尊敬してたんだけどね。

 

こいつら、私生活駄目駄目なのよ。

 

俺も前世は一人暮らしのおっさん、いや、おっさんってほど歳食ってなかったな……、だった訳だし、生活力はそれなりにあった。

 

だが、こいつらは本当に駄目だ。

 

少なくとも、小学校三年生が家事を取り仕切ってる辺りで察してくれ。

 

「それじゃあ」

 

「「「いただきます」」」

 

「うーん、おいひい〜、新ちゃんはお料理が上手ねぇ。良い旦那様に……、旦那様?新ちゃんは誰にもやらないぃ!!」

 

「あはは、ママンったらー。黙って食えー?」

 

殺すぞー?鍛えに鍛えた空手で殺すぞー?

 

「そう言えば新九郎、ちひろちゃんとは最近どうなんだい?」

 

とパッパ。

 

「どうもこうもねーよ」

 

「他にも何人か女の子がいるみたいじゃないか。重婚かい?やめておいた方がいい、僕なんてママ一人の相手で一杯一杯」

 

重婚……、この世界は男性が少ない。なので、男性の重婚が認められているのだ。だがな親父。

 

「食事中にそう言う話すんのやめてくんない?」

 

親の情事の話とか聞きたくねーんだけど?

 

はぁ、全く。

 

こんなんでも、全世界にその名を轟かせるスーパーモデル『風見玲』と、音楽界に革命をもたらしたロック歌手『風見新吾』だってんだから、世の中って分からねえよな。

 

 

 

んで、飯食って良い感じの時間になると。

 

家のチャイムがピンポンと景気良く鳴った。

 

「ん、来たか。じゃあ行ってくる」

 

「はぁい、新ちゃん、ママに行って来ますのキスはー?」

 

「マジでキモい」

 

「ひぎぃ」

 

「うわあママがショックで倒れた?!」

 

「行って来まーす」

 

と、ドアを開けると。

 

「新九郎君!おはよう!」

 

「ハローちっひ」

 

態々毎朝お迎えに来てくれるんだな、俺のちっひは。

 

千川ちひろ。

 

近くに住んでる女の子。

 

長めのアッシュブロンドの髪を編んでいる、いつも黄緑の服を着た、可愛いあの子。

 

いや本当、可愛いんだ。

 

幼稚園の頃から一緒だが、本当に可愛い。綺麗になってきた。ロリコンになりそう。

 

で、同学年の美優、留美、麻理菜とも合流。

 

俺はランドセルの代わりに、漫画の画材一式が入った鞄とギターケースを背負い、いざ学校へ。

 

ん?

 

学校に行くスタイルじゃない?

 

いやいや、こんなもんよ。

 

俺、あまりに勉強でき過ぎるし、男だしでわがままし放題なのよ。

 

だから、授業はスルーして音楽室でギターか教室で漫画描いてるか論文読んでるかなんだよね。

 

まあ他の男子諸君もわがままし放題で学校来てないとかザラだしね。

 

クラスの人数四十人中男子は十人、学年の男子集めても六十人に届かないくらいだ。

 

その、十人の男子のうち二人は不登校、残りの七人も親の車で送り迎えしてもらうと言うVIPっぷり。

 

前世の記憶からすりゃ異変も異変だが、まあ、良いんじゃない?そう言うもんなんだと納得して久しい。

 

俺?

 

俺も母上にボディーガードつけられそうになったけど、護衛の女さん達全員を中野流空手で叩きのめして、ひとりでできるもん!と証明した。

 

なので一人で登下校を許可されている。護衛の女さん達を殴り飛ばすシーンでの両親のドン引き顔は忘れられない。

 

と言う訳で俺は同い年のちひろ、美優、留美、麻理菜、菜々、心と行動を共にすることが多い。

 

他にも、一つ下の真奈美、楓、瞳子、夏美なんかとも遊んでやってる。

 

一つ上にレナと礼って子もいるんだけどその子らも可愛くて、暇な時は遊んでやってる。

 

 

 

そして昼。

 

給食だ。この歳になって給食ってのは逆に新鮮……、いや、俺は九歳の少年だったな。別に普通だよ普通。

 

食後はすぐに、これから作りたい創作物のストーリーを書いたり、デザイン画を描いたり、漫画を描いたりして、煮詰まったら音楽って感じ。

 

ちっひ達は何が楽しいのか俺について回る。

 

「ちィっひ、楽しいか?」

 

「え?うん。新九郎君と一緒だと楽しいよ?」

 

んー、今の俺は……、勉強スポーツバッチリのイケメンで芸術活動に勤しんでいる。

 

おお、イケメンじゃん。

 

幼稚園から変わらずモテまくってる。

 

他の男子諸君は、と言うと、「女は獣なんだよ!」とか「女子ってフケツ!」とか、そんなことを言ってあまり女子と絡まない。

 

一方俺は、女子からすれば、気さくに話しかけてくるイケメン。その上心に余裕があるのでいつも笑顔。更に頭も良くスポーツ万能、歌も絵も上手い。

 

まあ実際は高嶺の花過ぎて話しかけてくる女の子はちっひ達を除いてほとんどいないんだけども。

 

いわば俺は藤崎詩織だ。品性はアレだが。

 

「あ、あのっ!風見君!こ、これっ!読んでくださいっ!」

 

なのでまあ、このように、ラブレターを毎回もらう。

 

最初は困惑したが、もう慣れた。

 

こう言う子にはこう。

 

「ごめんね、今は忙しいから、付き合ったりはできないけど……、俺を好きになってくれてありがとう!嬉しいよ!ちゅっ」

 

「………………ほへぁ」

 

頬にキスしただけで幸せそうな顔をして失神する女の子。

 

この世界の殆どの女の子は処女(童貞)。ビッチムーブで惑わせるのだ。

 

にしても小三だぞえ?

 

色気付くのが早えんじゃねーの?

 

二次性徴もまだでしょ君ら。

 

俺も下の毛生えてないよ?

 

 

 

放課後。

 

週に4回は中野道場に通ってるが……、最近師範代が子供を作って、育児だなんだで忙しいからあんまり道場には行けてない。因みに、生まれたのは娘で、有香と名付けたそうだ。

 

会ったけど可愛い子だったよ。まあまだ一歳くらいだから分からんけど。

 

と言う訳で本日は帰宅。

 

小学校に入ってから三年間で近所の大学の図書館の本や論文は読み尽くしたからな。どうやって?速読覚えたんだよ。

 

あとはインターネットの普及を待つしかないか。ネットがないと手に入る知識の範囲に上限がある。

 

……さて、小学生なんて暇なもんで、放課後はちっひに付き合って遊んだり勉強を教えたりして無駄に好感度を稼ぐ。

 

帰宅後は作詞作曲してると言う名目でだらけてる親父に音楽を習う。

 

前に、戯れで、目の前でクイーンの名曲を弾いてやったら。

 

「……新九郎、ミュージシャンにならないかい?作詞作曲の才能も歌声もギターも僕レベルだよ」

 

と勧誘された。

 

因みにママ上に適当に描いたデザイン画見せたら。

 

「……新ちゃん、デザイナー目指さない?その才能、放っておくの本当もったいない」

 

と勧誘された。

 

他にも中野道場と、近所の大学から来てくれとラブコールが。

 

マルチチートは辛いぜ。

 

正直言って飛び級とか楽勝だけど、それやったら青春が楽しめないじゃん?

 

俺はギフテッドだけど、この才能、全力で無駄遣いするから。

 

さて、晩飯作ってと。

 

あ、買い物は昼間にママンがやってくれる。

 

お使いくらいはできるようだ。

 

成長を阻害しないように、十時頃にはお休みだ。

 

あー、人生楽しー。

 




ちっひすこすこ。

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