ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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最近、ステーキ食ってねえなあ。


77話 時城改革

『時城改革』……。

 

2023年から始まったそれは、時城政史郎が放った三本の矢だ。

 

第一に『大幅な減税と規制緩和』と。

 

第二に『亜人雇用』……。

 

第三に『ダンジョン公共事業』だ。

 

まず、年金や生活保護の支給額を減らすなどして、無駄を省く。

 

無駄と言っていいものではないのだが、膨れ上がった福祉の費用、社会保障を削らなければ、財政はもう保たない。

 

年金制度は既に崩壊し、生活保護や保険の類も機能していないのだ。

 

であるならば、バッサリと制度そのものを無くすか収縮し、その分の資金を他にかける。

 

ダンジョンに潜ればアホでも金は稼げるのだから、生活保護だの失業保険だの四の五の言わずに働けと、そういうことになったのだ。

 

年金暮らしの老人達も大抵は、国営の老人ホームなどに入れられた。

 

それにより当然、老人達は怒り狂ったが、そこで亜人雇用だ。

 

亜人……、エルフやドワーフ、ハーフリングなキャットピープルなどの人型知性体モンスターのことを亜人と、半人間と定義し。

 

その亜人達に、『亜人権』という擬似的な人権のようなものを持たせて国民として編入。

 

介護やサービス業などに従事させた。

 

年金生活を送る老人達の元にこの亜人を派遣して、この亜人の労働によって養ってもらうことで、年金の減額を飲ませたのだ。

 

亜人は基本的に、人間と同じような姿形をしていても、思考回路は全く違う。

 

ダンジョンの中で、モンスターとして原始的な生活をするよりも、人間社会の中で働く方が食っていけると判断した。

 

他のモンスターを狩り、木の実を拾い、いつ死ぬかわからない原始的な生活よりも。

 

人間からすればきつい介護やサービス業の方が、亜人からすればよっぽど「マシ」と言うことらしい。

 

それに、亜人は多くを望まない。

 

人間のように、一つの欲望を満たせば更に次の欲求が湧いてくるような、強欲な存在ではないのだ。

 

それは、進歩しないとも言い換えられるが、とにかくその特性により、賃金が少なくても、仕事が辛くても、特に苦には思わないのだった。

 

また、亜人もモンスターの一種であるからして……、痩せ細った老人くらい片手で軽々持ち上げられるし、老人が暴れても怪我することなどない。体力もまさに疲れ知らずだ。

 

つまり、亜人からすれば、か弱い人間ちゃんのお世話をするだけで、あらゆる権利が保障される楽な生活ということらしい。

 

そしてそのついでに、亜人が準国民として、少ないが賃金を持つようになり、その賃金を亜人が使い、経済が活性化。

 

底辺層とはいえ、実質的に国民が数千万人増えた計算になるのだから、その経済効果は計り知れない。

 

亜人も含めば、今の日本の人口は二億人を優に超えるのだ。

 

また、亜人は、老人の介護やサービス業以外にも、農業や漁業にも従事した。

 

日本には、第一次産業へ従事する者が足りなかったので、ちょうど良い。

 

何せ日本は、東京などの都会では、世界屈指の人口密度を誇るくせに……。

 

東北だの、島根だの北海道だのでは、悲惨なほどに土地が余っているのだ。

 

そう言った過疎地域に亜人を押し込めて、一次産業に従事させる。

 

言わば、国の中に従順な植民地があるようなもの。

 

一次産業を無限にやってくれる労働者の群れが、過疎地域に住み着いて、働き続けてくれるなど。雇用する側からすれば、国側からすれば、天の遣いのようなものだった。

 

そうして、介護やサービス業、農業などから解放された人間は、冒険者を始めることとなる……。

 

これが、ダンジョン公共事業である。

 

ダンジョンでのレベル上げや、スキルスクロールやポーション集めを国の事業とするのだ。

 

今の日本の身近な成功者のモデルは、ダンジョンで強くなり亜人をテイムし、その亜人を働かせて不労所得を得るというものになっていた……。

 

マイホーム、マイカー、ニコニコ家族に、追加で亜人のお手伝いさんが選択肢に入る新時代である。

 

 

 

さて、そんな時城改革だが。

 

前段階として、時城政史郎は、ダンジョン省に自らの義理のひ孫である赤堀藤吾を配置するだけでなく。

 

新たに親戚となった香月家や戦場家の者を多数送り込んだ。

 

これは、側から見れば完全に「お友達人事」と取られかねないことだが、大局を見れば、『冒険者界』『政界』『財界』『官界』は一つに繋がっていますよと内外に示す一手にもなっていた……。

 

確かに、これでは国家の専横そのものだが……。

 

実際の話、政治家の家系以外に政治家をやらせて、良い結果が出るのか?と言う話だ。

 

その辺の俳優やスポーツ選手が、選挙という人気取り合戦で勝ったからと言って、政治の知識などこれっぽっちもないのに政治の世界に入ってきて。

 

頓珍漢な政策を声高に叫び、馬鹿な国民を扇動する……、そんな事態よりはまだマシなのだ。

 

無論、無能極まりない政治家の子が政治家になるのもそれはそれで困るのだが……。

 

だがそれでも、金持ち政治家の家系の子供が良い大学で政治を学んだと、そう言って政治家をやってくれる方がまだ安心できる。「お勉強しかできない政治家」などとよく煽り文句を見るが、「お勉強すらできないアホ」が国政に口出しする方が困る訳だ。

 

そう言うのは、「お勉強ができる奴等の内、クズな連中」が「学歴が高いのに悪いことをした」から目立っているだけの話で、ニュースにもならないようなつまらない犯罪者は大抵、高校すらまともに出ていない奴らであることを忘れてはならない。

 

第一、よく考えてみても欲しい。真面目に政策を考えて、本気で政治家をやろうとしている立派な人が、元人気芸能人などに人気の差で選挙で負けるなんて、常識的に考えてあってはならないことのはずだ。

 

国民一人一人が、候補者の掲げる政策を吟味し、考え抜いた結果を一票として投じる。これが選挙の正しい姿であろう。

 

……そうなっているだろうか?

 

国民は考えているだろうか?

 

増してや、野党の中には、敵対する立候補者と同姓同名の人間を無理矢理立候補させて、投票数を奪って妨害することすらある。

 

政策の妥当性ではなく、「何となく人気だから」とか「イケメンの立候補者だから」とか、クソのような理由で投票することもままある、そんな国民もいる。

 

共産主義はそもそも破綻している理論だと容易に理解できるが、民主主義もまた、愚かな人類には早過ぎるシステムなのかもしれない……。

 

故にこそ、まだ未熟な人類には、わかりやすい看板が必要なのだ。

 

政策の是非など理解せずに、何となくで投票するアホにも分かりやすく、「時城の家系に投票すれば全ては安泰ですよ」と、そういう看板を掲げていかなければならないのだ。

 

無論、時城の家も間違えることは必ずある。

 

だがそれでも、本当に何も分からない政治の素人が、人気だからというだけの理由で国政に口出ししてくるようになるよりかは、余程マシなのだ。

 

それに今回で、時城家は香月家や戦場家とも繋がった。

 

その中から定期的に、しっかりと教育した候補者を複数出せば、一人くらいアホがいてもなんとかなるはずだろう。

 

とにかく、今の日本の現状では、民主主義などというアホなことを言っていられる段階ではない。

 

今、アホが総理大臣になったら、国が終わるからだ。

 

独裁をして、強権をもって国難を乗り切らなければならない。

 

むしろ、アホな国民の押さえ込みの方が大変な有様だ……。

 

最低限、民主主義の体裁を崩さずに、事実上の独裁をやっている時城政史郎は、かなり有能だった。

 




別に特定の政治家を貶めているつもりはないです。



それはさておき、異世界鍵師的なのを書いてみたい。

今、ジャッジアイズというゲームをやっているんですけど、探偵ってひょっとして異世界で斥候役としてやっていけるんじゃね?と思いまして……。

もちろん、本当の探偵があんな感じとは思っていませんけどね?

けど、ある程度戦えて、静かに対象を尾行したり、目敏く手がかりを見つけるとか、完全にRPGの盗賊だよね。

つまりアレだよ、「龍が如く的システムと運命の元生きている探偵が、異世界転移しても龍が如く的生き方をする話」だよ。

異世界転生したクソ強探偵おじさんが、チート探偵スキルを持って異世界生活して、探偵事務所開設の為に冒険者を始めるも、あまりにも有能すぎて引っ張りだこにされ、段々足抜けできなくなっていき……、みたいな?

神室町的な街で探偵やってるオッサン、シリーズにして七つとか八つくらいの激闘と、クソみたいな面白サブストーリーを駆け抜けて、マルチな技術の塊になっていたが、新シリーズの最後の最後で主人公交代みたいなノリで死亡。

そのまま異世界転生……、チート能力は多機能スマホとかで良いんじゃない?(適当)

スキルは全部リセットされて、龍が如くみたいなノリで経験値注いでスマホから成長!みたいな。

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