時城総理からの要請で、冒険者達はメガフロート新出島に来ていた。
新出島は、メガフロート……、要するに「馬鹿でかくて動かない船」のようなものである。
その上に、ブランチダンジョン三つを配置して、ダンジョンシティを発生させてある。
それが、『新出島大異界』だ。
異界なのでもちろん、モンスターであるマザーマシンを配置して、ドローン型のモンスターを放ち、亜人の従業員が各地に配置された未来都市になっている。
そこで……、冒険者達の仕事とは。
ダンジョンの調整。
正確に言えば試験だ。
ダンジョンに入り、難易度の検査をして、レポートを上げる訳だ。
しかも、期間は四月一日までの二ヶ月間。
かなりタイトなスケジュールだ。
無論、調査員は藤吾一人ではない……。
藤吾とキチレンジャーはダンジョンAに向かうことに。
鬼腕人(オーガス)設楽九郎と、天翼人(エンジェリー)鷺沢シャロン、笹耳人(エルファン)瑛伝蔵人と妖眼人(フェアリス)礼譲莉愛無。
この四人がダンジョンBに向かう。
そして、獣牙人(ビースター)草薙鷹音、蟲脚人(ヴァーミナー)御坂三笠と、星脳人(スターナー)北斗垓人、水鰭人(アクアイア)海千頑真、鋼指人(メタロン)真壁無限の五人がダンジョンCに……。
因みに、ダンジョンA、仮名を、『新出島鉱物小ダンジョン』、Bを『新出島有機素材小ダンジョン』、Cを『新出島動物性素材小ダンジョン』と定義されている。
さて、世界最大のメガフロートだと言うのに、たったの三ヶ月で施工が終わり、あとは人々を受け入れるのみとなった新出島。
その新出島に降り立った冒険者達は、即座にダンジョンへ向かっていった……。
彼らも大概にサイコパスの社会不適合者だが、引き受けた仕事はしっかりこなすくらいの分別はあるし……。
「早めに仕事終わらせて、メガフロートの観光するでぇー!!!」
「「「「おおーっ!!!」」」」
という邪念もあるのだった。
キチレンジャー側、鉱物小ダンジョンから見ていこう。
鉱物小ダンジョンは、全百階層。
洞窟、坑道、迷宮の三種の領域に分かれた簡易なダンジョンだ。
『ギギャア?!!』
現れたモンスターはコボルト。
因みに、日本風な犬人間ではなく、海外風な矮躯のトカゲ人間だ。
緑のトカゲ人間は、緑門の鉈剣の一振りで首が飛ぶ。
「んー……、ちょいムズやない?」
鉈剣には、血の一滴もついていない。
限りなく速く繰り出された真空の一撃は、刃に触れる事なく物質を切断するのだ。
『ボハ』
「そだねー、ちょいムズってカンジ?初心者にはキツめじゃね?」
桃瀬……、もう結婚済みなので緑門なのだが、旧姓桃瀬の鈴華は、魔力の塊を纏うタワーシールドで突進し、コボルトを壁とのサンドイッチにする。
赤い液体を飛び散らせながら、彼女はそう同意した。
「ここ、一階層なのに五階層くらいの難易度あるっぽくない?」
「そうそう、ボクらからすれば誤差みたいなもんやけど、低レベルでこれはちょいとキツイんやないかな」
「五階層のモンスターは、冒険者ではない一般的な成人男性が刃物で武装しているくらいの強さはあるね」
青峯は、そう言って無詠唱の水属性魔法でコボルトを打ち払った。
そして、その青峯の言は正しい。
ゴブリンやコボルトは、ファンタジー小説では雑魚の代名詞のような扱いをされていることが多いのだが……。
この世界では、と言うか、ソラの創造したモンスターは、基本的にかなり強い。最低ラインでも健康な成人男性くらいは強いのが普通だ。
オリジンダンジョンの一階層から五階層をチュートリアルにしたことがまず、ソラの本来の世界に生きる人々が見たら驚くであろう事だ。
だがしかし、ブランチダンジョンは、そのソラの意向をいくらか無視できるのだ。
流石に、ゴブリン一匹倒しただけで大判小判がザクザクとまではいかないが……、あまり極端な事をしないなら、かなり自由にカスタマイズできる。
その結果が、この難易度なのだ。
無論、この設定を考えた時城総理らに、殺意はほぼない。
総理の、閣僚の考えは大体これ一つ。
「『Dマテリアルを極力避けたラインナップを供出する』、だったか?」
今の日本の根幹である超技術、ダンジョン産の物質『Dマテリアル』の出土(ドロップ)の制限であった。
「そうですねえ、コボルトのドロップアイテムは、『銀』か『コバルト』ですから……」
旧姓黄場……、現青峯の由乃が射抜いたコボルトの肉体が光に包まれ……、掌大の銀色の鉱石がその場に残る。
これが、ドロップという現象だ。
本来、死体が残り、その死体から皮や肉を剥ぎ取るべきなのだが、パーティメンバーの数によって変動する「ドロップ率」という数値によって、確率的に死体が貴重品に「変じる」のだ。
「Dマテリアルをケチる事で、外国にダンジョンを解放したとしても、ダンジョン関連技術の発展を抑えることができる……、ってことか」
「そっすね、時城のお爺さんは、十年後を目処に『長崎』と『横浜』、『新潟』『神戸』『函館』の開港を目指して、そのまた十年後くらいに本格的な本土への入国を許すとか……」
「ああ、なんかそれ、日本史で習ったかもしれん。日米修好通商条約だったか?」
「お、偉いっすね!そうっすよ!……まあでも、外国は絶対何かやらかすから、やらかしたらそれをネタにして開国を引き伸ばして、交渉カードにするとか言ってたっすよ」
へー、そうなのか。などと、興味なさげに流した藤吾であるが、実際の話国家機密であった。
「あーあーあー、ボクはなーんも聞いてへんでー」
緑門……、夫の方である結弦は、耳を塞いで聞いてないふりをする。
保身に長けた男であった。
その癖、ギャンブルとなると命を捨てた狂人のような賭け方をするので始末が悪い。
前の高校を退学になった理由も、高レート麻雀のマンションに出入りしたとか、謎の客船でジャンケンカードゲームをしたとか、裏カジノで荒稼ぎしたとか、そんなヤバいものだった。
それを考えれば、大企業の社長から欧州貴族までを幅広く相手にパパ活をしていた鈴華や、三歳の頃から数学の未解決問題を十や二十ではきかないほどに解決している弥太郎、完全記憶能力で一日に百冊を超える本を読むと言う由乃と……。
刀一本あればアメリカの大統領すら暗殺できる田舎剣士と、一度見た事は全て再現できるその嫁は。
まあ、まともな方かと思われる。
明確に法律違反をしていたのは結弦だけだから……。
それはさておき、である。
「まあ、この辺は雑魚だけど、このダンジョンに来るのは外国が自分の国で厳選した戦士だそうっすから。これくらいの難易度が妥当じゃないっすか?」
杜和が、操り糸のようなもので、魔力人形を動かしてコボルトを斬らせる。
そんな事をどうでも良さげに言いながら、だ。
「まあ、確かにそうだな。平和ボケした日本の一般市民には、チュートリアルダンジョンが必要だ。だけど、鍛えられた外国の精鋭達には、それは要らない、と」
「どうせアレっすよ、グリーンベレーだのSASだのの特殊部隊っす」
「ほー、強いのか?」
「まあ、地球の武装でって意味なら、この辺くらいまではこれるんじゃないっすかねっ、と」
『?!!』『ーーー!!』
そう言って、杜和が操るマリオネットは、目の前のダンシングジュエルとクリーピングコインの核を貫く。
それぞれ、宝石と金貨をドロップ。
お喋りしながらダンジョンを進んでいた一行は、既に十階層にまで来ていた……。
今見直したらクソMODとスパダリも同列かよ。
書けねえー!!!
クソMODとスパダリは、設定資料集が二、三万文字くらいしかない。本編は書けてない。
スローライフ主人公は、18話までしか書けてないし、続きも思い浮かばない。
一応考えてるのが、スローライフ主人公は、初期の数話で山に籠り、山で隠棲するんだけど、それを勝手に「山には賢者がいる!」みたいな噂が流れて、人が尋ねてくる……。みたいな、短編集みたいなノリになっています。
基本的にマジで何にもやらないスローライフ主人公が、山で暮らしていて、そこに弟子を名乗る精神異常美少女が集まって勝手に仕え始める感じ。
そして、自称弟子が勇者的なアレになって、外の世界で暴れ回り、「勇者の師匠である隠者様ってすごいんやろなあ」みたいな話になり……、みたいな。
無論、誰かが尋ねてきてもマジで何にもしないので、適当に相手して、正当な取引して、言いたい事をズバズバ言ってるだけなんだけど、教えを乞いに来たアホ共はそれを勝手に「尊い教えを受けた!」とか言って、勝手に悟って英雄になっていく……。そして、その新たなる自称弟子の英雄的評判で、主人公のお株も無限に上がっていくと言うお話になるかと。
最初は、「スローライフ主人公とか言って全然スローライフしないなろう主人公さんはムカつく」という反骨精神から案を出しましたが、途中で、「師匠系キャラってなんか厳しいこととか悟ったようなことを言うけど、実際全部適当だよなアレ」って気持ちが湧いてきまして……。
隠者師匠系主人公が「は?キモ。それはお前が悪いでしょ」とか「お前のことはお前が決めろよ、それが普通だろ」とか、普通に悪口を言ってるのに、周りの奴らが勝手にリスペクトしてくる!みたいな感じがね、書きたくなったの。
クソMODは、ギャグ風味のBF×アサシンクリード。
スパダリは、某スレの影響。