①この作品は来春リリース予定のスマホゲー『マギアレコード』の二次創作です。情報が今のところ皆無なので、ほぼオリジナル展開になるかと思われます。
②『魔法少女まどか☆マギカ』のキャラはほとんど出てこないです。オリキャラメイン。
③絶望成分薄め。コメディ色強め。ゲーム要素強めでプロット組んでます。
④作者は超遅筆。
以上の事を踏まえて、無理そうだったらスルーしてつかーさい。
【偽広告】
あなたも女神様に導かれた魔法少女の一人になって、【円環世界】で新たな魔法少女ライフを始めませんか?
悲劇も絶望ももうたくさん!
優しい世界で、個性豊かな魔法少女達を仲間にし、共に冒険に出掛けましょう!
敵は呪いの塊『魔女』とその使い魔!
円環世界の魔法少女として魔女を倒し、呪いを浄化して女神様のお役に立ちましょう!
頑張れば女神様からのご褒美も……?
他にも楽しいイベントが盛りだくさん!
毎月行われる交流戦では、過去と未来、そして未知なる平行世界の魔法少女達とも出会えます!
時空を超えた魔法少女達の出会いと絆。
かつて涙と共に別れたあの子も、
背中を預けて戦ったあの子も、
全ての魔法少女達が、あなたの帰りを待ってます!
【円環世界のマギアレコード】来春リリース!
(※この広告は全て架空の物であり、実際のマギレコとは一切関係ありません。たぶん)
◇◆◇◆◇
かつて、一人の心優しい少女がおりました。
少女は終わらない悲劇の連鎖を知り、涙を流します。
――希望の果てには、絶望が待ち受ける。
――希望を抱く限り、誰も救われない。
それが【世界の理】であると、魔法の使者は言いました。
けれどもそれに少女は何度でも言い返します。
『そんなの間違ってる!』と胸を張りながら。
少女は悲劇を産み出す【世界の理】を壊したくて、変えてみせたくて。
世界にその身を捧げました。
『もう誰も絶望する必要なんてない。
全ての因果は、私が受け止めるから――』
世界は希望を願った少女の祈りを聞き遂げました。
けれどもその対価として、世界は少女の存在を概念――『
悲劇の連鎖を絶ち切るため、神様となった少女はやがて『円環の理』と呼ばれるようになりました。
『円環の理』――それは全ての魔法少女達の希望であり、絶望する因果からの救済。
女神様の救済を受けた少女達は、人の世の輪廻から解脱し、新たな世界へと導かれます。
そこは【円環世界】と呼ばれるこの宇宙から外れた場所にある概念世界。
悲劇も絶望もない、女神様が見守る魔法少女達の楽園。
今もまた、一人の魔法少女が女神様に導かれようとしていました。
◇◆◇◆◇
――――とある魔法少女の戦場にて。
一人の魔法少女の戦いが、いま正に終わりを迎えようとしていた。
見渡す限り一面の瓦礫の山。
その頂上に一人の少女が佇んでいる。
まだ幼さの抜け切らない少女だった。
戦い、傷付いたその身体はいかにも華奢であり、人智を超越する力を持った『魔法少女』だとはとても思えないほどだ。
肩口ほどで揃えられた銀色の髪は、戦塵によって汚れてなお黄昏の光を反射している。
砕けぬはずの魔法の剣は半ば程から折れ、今は膝を付く少女を辛うじて支える杖代わりとなっていた。
満身創痍でありながら、それでも少女の瞳は未だに力を失ってはいなかった。
「……まだ終わりじゃ、ない」
立ち上がる力すらとうに尽き果てているにも関わらず、少女は折れた剣にしがみつき倒れることを拒絶する。
今や廃墟となったこの街が、ほんの数時間前までは高層ビルの立ち並ぶ近代都市だったなどと、一体誰が想像できるだろう。
地震などの災害にも等しい『天災』によってこの惨状は生み出された。
少女は足元の残骸に目をやる。
黒い障気を上げながらゆっくりと消滅していくのは、この災害の元凶である『魔獣』達。
それは人類の天敵であり、呪われた障気の中から生まれ、人間の感情を見境なく食らう正体不明の存在だ。
彼女達『魔法少女』はそんな魔獣達から人々を守るために、日夜連綿と戦い続けてきた。
どこか焦点の定まらない視点で、少女は生き残った魔獣がいないかを確かめる。
残骸の中で最も数の多いのは『ノーマル魔獣』と呼ばれる個体だった。僧侶のような恰好をしており、髑髏の面貌と枯れ木の様な身体は干からびたミイラを思わせる。
その他にも絶対数の少ない希少種である『シュゲン』、『サトリ』といったノーマル魔獣よりも遥かに強い魔獣共の死骸もあった。
魔獣は強い個体になるほど人型から掛け離れていく。
『シュゲン』魔獣はまだ人型だと言える姿をしているが、『サトリ』魔獣まで強くなるとブロック状の内臓で攻撃してきたり、最早頭も腕もなく胸部だけが宙に浮かんでいる状態だ。
そして現在、魔法少女達の間で最強種と目されている魔獣『ゲダツ』。
その姿は巨大な結晶体であり、水晶の様な姿をしていた。
周りの『温もり』を奪い、周囲を極寒の地へと瞬く間に変える力を持っている。
だが今や少女の手によって、『ゲダツ』魔獣はその特徴的な水晶体を粉々に砕かれていた。
その破片は一体分だけに収まらず、瓦礫の山に埋もれるよう無数に散らばっていた。
少女の視線はそれすらも一瞥し、無関心に通りすぎる。
(……『これ』は、もう倒した。でも『あれ』は、どうなった?)
最強の魔獣『ゲダツ』は並の魔法少女が目にする機会など滅多にない。あるとすれば、その時がその者の死地だと言ってもいい。
だが、最強のはずの『ゲダツ』すらも超える脅威があった。
少女は空を見上げる。
そこには倒れ付してなお小山ほどもある巨大な魔獣が、空の一角を黒く染めながら消滅していく姿があった。
超級魔獣『ネハン』。
曼陀羅のように周囲に『ゲダツ』達を引き連れ突如現れたこの魔獣は、魔獣達のスタンピード『ニルヴァーナ』を引き起こし、都市を瞬く間に崩壊させた。
ここまで物理的な災害をもたらす魔獣は、これまでに類を見なかった。あのゲダツでさえ、魔法少女にとっては最悪の敵だが、街を壊滅させるほどの力など持っていない。
だが果たして、誰が想像できただろう。
たった一人の魔法少女が、その絶望すらも打倒したなどと。
掠れていく視界の中で、少女は最悪の魔獣『ネハン』が完全に消滅していくのを見届ける。
そして全ての魔獣達が消え去った後に、少女はついに力尽きて倒れてしまった。
(……ここまで、か。我ながら良くやった……のかな?)
倒した魔獣の数はノーマル魔獣を含めれば優に千は超えるだろう。
強化魔獣に限定しても、百は確実に屠っている。
お陰で何度も死にそうになった。
実際、少女の身体はぼろぼろであり、魔獣共に大分『食われて』しまっていた。
こうなってしまえば最早どんな魔法があろうとも、少女の命はここで尽き果て、ソウルジェムは臨界を迎えるだろう。
諦めと共に少女は仰向けになって空を見上げた。
するとその時、天から光と共に一人の女性が舞い降りた。
それはとても美しい女性だった。
白い羽衣を幾重にも重ねたようなドレスを纏い、背には白き翼を背負っている。
空から舞い降りる彼女の姿を見た者は、誰もが神かあるいは天使のような存在だと確信する事だろう。
今わの際の幻か、少女が自身の目と頭の正気を疑うくらい、彼女の存在はあまりにも神々しく……眩し過ぎた。
(…………女神……さま……?)
朦朧とする意識の中、少女は最後の力を使を振り絞り、女神へと手を伸ばした。
それは救いを求めての事だったのか、最早彼女自身にも分からない。
女神は少女の手を取ると、見る者を安心させる包み込むような微笑みを見せた。
『もう大丈夫だよ。あなたの因果は私が受け止めるから』
彼女の声が少女の耳に心地よく響く。
女神は慈愛に満ちた眼差しで、少女のソウルジェムに触れた。
すると穢れ切っていた少女のソウルジェムが黒い煙を上げて瞬く間に浄化される。
驚きに目を丸くする少女を余所に、浄化されたソウルジェムは煌めきと共に消滅していった。
絶望に囚われるはずだった魂が。
変えようのない運命が書き換えられたのだと、少女は何故か確信する事ができた。
『さあ行こう。もう絶望する必要なんてない。これからはみんなが一緒だよ』
その言葉を最後に、少女は自身の根源――言うなれば『魂の楔』が外れるのを感じた。
輪廻の理から解脱し『円環の理』の一部となって現実世界から消滅する。
魔法少女たちの間に伝わる、御伽噺のような伝承だとばかり思っていた。
だがそれは迷信の類などではなかった。
けれども少女は真実を知った高揚感もなく、ただ女神の言葉に泡沫のような疑問を抱く。
(『みんな』って……? そもそも私は――『誰』なの?)
そんな自身の記憶に違和感を覚える。
自身が魔法少女であること、戦いの果てにソウルジェムの限界を迎えた事は理解している。
けれどここに至るまでの過程や、少女自身のパーソナルデータが全く思い出せなかった。
『全ての魔獣を
それ以外の全ての事柄が、少女の中から消えてしまっていた。
だが最早どうすることもできず、少女は大人しく女神の救済を受け入れる事にした。
何にせよ、絶望に囚われるはずだった自身の魂を、目の前の女神が救済してくれたのには違いない。
(なら……もういい、かな……)
自らの記憶の欠落など事ここに至り、どうでも良いと思ってしまった。
魔法少女として戦い抜き、こうして女神の救済を得られた。
ならばこれで良いのだ。
自身が何者なのか思い出せないが、己の人生はここで終わる。
それは全ての魔法少女たちが通ってきた道だ。
ならば無様に恐れることだけは、少女の中にあるちっぽけなプライドが許さなかった。
(……でも、なにか……『約束』が……あったような……)
ソウルジェムが完全に消滅すると、少女自身の肉体もまた現世から消え去った。
人知れず街を救った少女は、最後には跡形もなくこの世から消滅したのだ。
一人の魔法少女の戦いはこれで終わりを迎え、物語は終焉を告げる――かに思われた。
「ようこそ、
――これより記されるのは、魔法少女たちの新たな物語。
『円環の理』に導かれた魔法少女たちが繰り広げる、愛と希望の第二幕が開かれようとしていた。
【MEMO】
『魔獣』
円環の理により、世界の法則が書き換えられた後に登場する人類の天敵。人々から希望も絶望も関係なく感情エネルギーを吸い取り廃人にする。その目的は不明。また感情エネルギーを吸い取る対象は、魔法少女も例外ではない。
(架空)『ネハン魔獣』
小山ほどの巨体を誇る超級魔獣。全高は600mを超える。その正体は魔獣達のコアが集合して出来た群体。その脅威は旧世界における『ワルプルギスの夜』にも匹敵する。
体を構成するコアを解放することで、魔獣を無尽蔵に召喚することができる。