ウルトラマンオーブ ─Another world─ 作:シロウ【特撮愛好者】
今年もあっという間でしたね~……。
皆さんはやり残したことはありませんか?
今回は、本編のストーリーに多少手を加えてみました。ゼロとジャックに縁のある「あのお方」が登場しますよ~
お気に入り登録して下さった方々、
どうもありがとうございます。
それでは、どうぞ。
ある日の明け方。僕は走り込みをしていた。
始めようと思ったのには理由がある。別にダイエットとか、健康のためとかではないのだけど。
先日までの出来事で、僕の身体に変化が起こっていたのは明白だった。どうしてそうなってしまったのかはさっぱりだけど、またそんなことが起こった時、身体が動きについて来れなくなるかも知れない。
そんな時に備えて、身体作りをしておこうと思ったのだ。
「ふっふっ、ふっふっ……。ふぅ~……」
とある公園に到着した僕は、呼吸を整えようとして足を止める。日頃運動をほとんどしなかった僕にとっては、ほんの数時間走っただけでもかなり息切れをしてしまう。
(『男はいつも1人で戦うんだ。自分自身と戦うんだ』……か)
そんな時僕が思い出したのは、『ウルトラマンメビウス』第34話に登場した「ある男性」の台詞だった。宇宙人に負けた主人公の特訓を、その男性が遠くで見守っている時の台詞だ。
その人は、最初は厳格な態度を取っていたけどその回のラストでは、昔と変わらない優しい笑顔を見せてくれたっけ。
「……よし、そろそろ再開しなきゃ」
その台詞を思い出した僕はその人に背中を押された気がして、まだ頑張れそうだと思った。
そしてまた走り出そうとした時だった。後ろから聞き慣れた声が聞こえた。
「お、シンヤじゃないか。何やってんだ?」
「ガイさん!おはようございます。えっと……走り込みを」
「へぇ、頑張ってるみたいだな」
「えへへ……。ところでガイさんは、どうしてここに?」
「あぁ、そうだった。さっきこれ拾ったんだけどさ……」
ガイさんが持っていたのは、腕が取れかかった人形だった。それもどうやら手作りのようだ。
誰かが昨日にでも落としたのだろうか。そうだとしてもこれを直して、持ち主の元に返さなきゃいけない。
「じゃあ、今からうちのオフィス来ませんか?確か裁縫道具ありましたし」
「なら決まりだな」
SSPのオフィスにて。早見ジェッタが目にしたのは、同僚の松戸シンが謎の装置を組み立てている光景だった。
「何?今度は何ひらめいちゃった訳?」
「3時間待ってくれたらジェッタ君にも分かりますが、これは未来予測システムです!時間は直線じゃなく螺旋で進むんですよ~……」
「未来は予測するもんじゃないでしょ、自分で作るもんだよシンさん!」
それぞれが未来に対する持論を展開する中、オフィスに上がって来る足音が2つ聞こえた。
「来たのは誰だ……?」
「ただいま戻りました~」
「シンヤ君おはよー。あ、ガイさんも一緒だったんだ」
「はい。あの、裁縫道具ありませんか?ガイさんがこれ拾ったんです」
「ちょっと貸してもらっていいすか?あー、ここの腕のとこっすよね?」
僕がガイさんの持っている人形を示すと、ジェッタさんがガイさんからその人形を受け取る。
人形を見ただけで、ジェッタさんはそれが手作りだと見抜き、自分もよく妹にこういうのを作っていたと話す。そして自分のデスクから裁縫道具を取り出し、慣れた手つきで修理を始めた。
「そう言えば、ナオミさんはまだ帰って来てないんですか?」
僕がそう言うと、シンさんがさっき着信があった気がすると言った。僕も自分のスマホを確認すると、ナオミさんからの着信が来ていた。
ジェッタさんも自分のスマホを確認していて、録音されたメッセージを再生した。
『起きて、ジェッタ君!SSPに情報提供が来たんだよ!宇宙人と怪獣が隠れてるんだって!あたしの位置情報を確認して……』
「ちょっとシンさん、シンヤ君!」
それを聞いたジェッタさんは、嬉しそうな表情で僕らを手招く。そして、次のメッセージを再生する。
『助け……』
さっきの嬉しそうな声とは一変して、聞こえたのは何かに怯えるナオミさんの声、金属音、ナオミさんのものではない高らかな笑い声。そして、
──ゼットン……。
「…………!」
最後に聞こえたのは、聞き間違えようのないあの怪獣の鳴き声だった。
僕の周りで慌てるジェッタさん達に目もくれずに、僕はすぐにでもナオミさんの元に走り出そうとした。
でも、次に聞こえたメッセージが僕の足を止めた。
『えっと、クレナイ・ガイって名乗ってる人に伝言です。この女を、助けに来てね』
最後にかけて若干脅迫のような声を聞いたガイさんは立ち上がり、ジェッタさん達に問いかける。
「彼女はどこだ?」
とある地下施設にて。
宇宙人に捕まったナオミは鎖で張り付けにされて、身動きが取れずにいた。
(どうして……!どうしてこんなことになっちゃったの……!?)
ナオミは数時間前のことを思い出していた。
アルバイトが終わって、身支度を整えていた時。
突然自分のスマホに電話が入った。知らない番号で戸惑いもしたが、出ることにした。
「はい、もしもし……」
『私今、宇宙人を追いかけてます!』
「え!宇宙人!?」
電話の相手はどうやら少女のようだった。
少女が言うには、自分は今宇宙人の後ろを追いかけていて、1人では不安だからすぐに来て欲しいとのこと。
いわゆる、情報提供だった。
場所を聞いたナオミはジェッタとシン、シンヤに同様の連絡を入れるが、誰も出なかったためジェッタにだけメッセージを送った。
その場所に辿り着いたナオミは連絡をくれた少女「
ナオミは真渡子の先頭に立ち、薄暗い通路を進んで行くと奥の方で蠢く謎の人型を見つけた。
すると突然真渡子がナオミの口を塞ぎ、近くの壁へと追いやる。
驚いたナオミだったが、彼女の声がだんだん違うものになっていくことに気付く。
「おっと……。警戒心無さ過ぎ。だから簡単に罠に掛かっちゃう……!諦メテ大人シク餌ニナレ!」
最後は全く違う声になっていた。怯えるナオミは抵抗しようと暴れる。すると施設の何らかの装置が作動し、漏れ出た白煙が少女を襲う。
真渡子はナオミから離れると、バレエのようにくるくる回って本来の姿へと変わる。
それに驚いたナオミは逃げようとするが、後ろの鉄柱に激突し、気を失ってしまった。
それがナオミの、最後の記憶だった。
そして現在、ナオミは自分を拘束する宇宙人──「ゼットン星人マドック」に反抗しようとした。だが身動きが取れない今の状態では、何の意味もない。
「やめて……!」
「餌は生きが良いほど獲物の食い付きが良くなる……。暴れろ!」
マドックはナオミにけしかけるが、それは逆効果だったようで、ナオミはただ目の前の宇宙人を睨み付けていた。
「あぁ?どうした、暴れろ!……何だよ」
ナオミの態度に呆れた彼は、これまで着用していたセーラー服を脱ぎ始め、身近にあったケースから黒い作業着を取り出し、袖を通した。それを間近で見たナオミは、明らかに不快な表情を見せる。
それに気付いたマドックは、ナオミに近付き更に脅しをかける。
「あぁ?どうした?もっと叫べ!思いっきり悲鳴を上げろ!」
「こんな地下室で叫んでも、悲鳴なんて誰にも聞こえない……!」
「ハッ、他の人間には聞こえなくてもヤツには聞こえるさ」
「……ヤツって誰のこと?」
「すぐに分かる……」
ゼットン星人は、ナオミの履いていた片方の靴を暗がりに向かって投げた。靴はしばらく転がったが、次の瞬間巨大な鎌のようなものが現れ、靴を潰して引き摺り床を削った。
ナオミがその方を見ると、黄色い発光体がいくつも浮かび上がっていた……!
『ゼットン……!』
それを見たナオミは耐え切れなくなって、ついに絶叫を上げる。
その発光体──ハイパーゼットンデスサイスは、ナオミの叫びに反応するように、頭部の発光体を怪しく点滅させる。
ゼットン星人がナオミの絶叫を聞きながら高笑いをしていた時。
どこからかハーモニカのメロディが聞こえた。
『♪~』
「言ったろ?狙い通り、餌に食い付きやがった!」
「罠よ!ここに宇宙人がいるの!だから来ちゃダメ!」
そのメロディを聞いたゼットン星人は上手くいったと言わんばかりに、笑い出す。
ナオミはどこかにいるあの風来坊に向けて叫ぶ。
「ひねくれ者でね……。来るなと言われたら、逆らいたくなる」
非常口に立っていたガイは、ついにゼットン星人と対峙する。するとゼットン星人はどこからか取り出したビーム砲をガイに放つ。それをかわしたガイは、落ちていた歯車をゼットン星人に投擲する。頭部に直撃した歯車は、その勢いのままゼットン星人を吹き飛ばす。
その隙にガイは、ナオミを拘束する鎖を解く。
「危険を考えずに飛び込むからこうなる!」
そう言いつつもナオミを救出することに成功したガイ。だが、ハイパーゼットンデスサイスの鎌がガイ達を襲った!その一撃は直撃はしなかったものの、近くにあった汚水菅を切り裂き、中身を溢れさせる。
「ガイさん……!」
「大丈夫だ、掠っただけだ。行くぞ!」
ナオミにスマホを手渡し、脱出しようとするガイ。
だがナオミは、ゼットンを撮影しようとカメラを向ける。
するとゼットンは、胸の発光体に熱エネルギーを集中させ、「暗黒火球」をナオミに放つ!
咄嗟にガイがナオミを突き飛ばしたことで、ナオミは回避出来たが、代わりにガイが喰らってしまった!
「あぁ……!ごめんなさい、ごめんなさい!」
何度も床に転がり、肩を押さえながら立ち上がるガイにナオミは誤りながら駆け寄る。
そんな時でも、ゼットンは鳴き声を止めようとはせず、それはまるで恐怖を駆り立てるようだった。
ガイとナオミは、ドラム缶の後ろに移動して姿を隠す。
マドックは余裕を見せ、ドラム缶の向こうのガイに語りかける。
「クレナイ・ガイ……。お前のことは全て、調査済みだ。どうしても助けに来たくなる大事な女がいる、ということもなぁ……!」
ナオミが「大事な女」という言葉をおうむ返しで呟くと、ガイは体勢を変えながらナオミに言う。
「いいか?あいつが何を勘違いしてやがるかは知らないが、あんたは逃げろ。俺は残る」
「ガイさんも逃げよう?風来坊なんだもん、逃げるのは得意なはずだもん!」
「俺はただ……、他人と関わるのが面倒なだけだ」
「なら……どうして助けに来てくれたの?」
「余計なお世話なら帰るぞ……?」
マドックの指示で、ゼットンはまた暗黒火球を放つ。火球がこちらに飛んで来るのをを見たナオミは、ガイを掴んで即座に移動する。
「危ないっ!」
2人を追い詰めたマドックは、まるで楽しむようにもう一発放つと予告する。
ナオミはその場にあった消火器を構えて、今までのお返しと言わんばかりにゼットン星人に突っ込んで行って、顔に目掛けて噴射する。
「この~っ!」
不意を突かれたマドックに、それの効果は絶大だった。
……むしろ、ゼットン星人の眼球は顔の真ん中にあるため、眼球へのダメージの方が大きいのかも知れない。
「何やってんだ!行くぞ!」
ガイに手を引かれて、ナオミはそこを後にする。
だが2人を逃がすまいと、ハイパーゼットンは巨大化する……!
建物のシャッターのわずかな隙間から脱出した2人だったが、地下から巨大化したハイパーゼットンデスサイスが天井を突き破り現れる。
『ゼットン……!』
2人を追うのはハイパーゼットンだけではなく、マドックも2人を追跡する。
「待てコラァ!」
ナオミは地下から持ったままの消火器を再び構えてマドックと対峙する。
「あたしは逃げないっ!」
するとマドックの頭上からコンクリート片が落下、それに驚いたマドックは転びかける。
「いいから逃げろ!無茶と勇気を間違えるなッ!」
ガイの言葉に反抗しようとするナオミだったが、ハイパーゼットンの姿を見て了承し、去って行った。
「死んじまったら……。どんな秘密も解き明かせないぜ……!」
ナオミが去った後ガイはそう呟き、オーブリングを構える……!
「ウルトラマンさん!」
【ウルトラマン!】
「ティガさん!」
【ウルトラマンティガ!】
「光の力、お借りします!」
【フュージョンアップ!ウルトラマンオーブ!
スペシウムゼペリオン!】
町に現れたオーブは名乗りも上げず開幕早々、ハイパーゼットンデスサイスにスペリオン光輪を投げる。
だがハイパーゼットンデスサイスは、スペリオン光輪の中央の空白部分に鎌を差し込み受け止めて見せた。
「ハッハッハ!お前の力は調査済みだ!お前に、ハイパーゼットンデスサイスは倒せない!」
ハイパーゼットンデスサイスに対して絶対の信頼を寄せていたのか、ゼットン星人マドックはご満悦の様子を見せる。
だが、オーブは一切たじろぐ様子もなく、マドックに言い放つ。
『なら、アンタの知らない俺を見せてやるよ!』
上空に跳んだオーブは後方宙返りを繰り出し、その姿を変える!
「ジャックさん!」
【ウルトラマンジャック!】
「ゼロさん!」
【ウルトラマンゼロ!】
ガイの側に、先程リードしたカードに描かれていたウルトラマンジャックと、ウルトラマンゼロのビジョンが並び立つ。
ガイは一度右腕を高く掲げて、オーブリングを目の高さくらいの位置に構えた後、勢い良くそれを突き上げた!
「キレの良いヤツ、頼みます!」
【フュージョンアップ!ウルトラマンオーブ!
ハリケーンスラッシュ!】
青い姿に変わったオーブは、ビルの屋上に乗る。だが驚くことに、ビルが崩れることはない。
太陽の光を背に受け立ち上がった「ウルトラマンオーブ ハリケーンスラッシュ」は、ハイパーゼットンデスサイスとマドックに向けて名乗りを上げた!
『光を越えて、闇を斬る!』
後編に続きます。