ウルトラマンオーブ ─Another world─ 作:シロウ【特撮愛好者】
『ウルトラファイトオーブ』にライトニングアタッカー参戦!やったね!
今回は『THE ORIGIN SAGA』の要素をちょっぴり混ぜて見ました。
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それでは、どうぞ。
太陽系第三惑星、地球。
我々の住んでいるこの星に、遥か彼方の宇宙から「何か」が飛来した。
このことを受けて、ビートル隊の各員に緊張が走る。それの正体が不明な現状では、侵略目的の宇宙人の円盤が来た可能性も否定出来ない。
ビートル隊の解析班が、飛来した物体に生命反応を感知した。
つまり飛来したのは、宇宙怪獣。
ビートル隊が迎撃準備を開始し出したと同時に、宇宙怪獣は日本国内のとある山間部に墜落したとの補足の情報が伝達された。
これを受けてビートル隊日本支部は、情報特務隊らに現場検証の任務を命じたのだが、ビートル隊に一本の通信が入る。
「怪獣保護団体?」
「そんなのあったの、おじさん?」
「あぁ、俺も詳しいことは今まで知らなかったんだけどな……あっちぃ!」
SSPのオフィスに、いつものように現れた渋川さんは差し出されたコーヒーを啜る。でも淹れ立てのコーヒーは当然熱く、渋川さんはその熱さに顔をしかめる。
怪獣保護団体とはその名の通り、怪獣を保護することを目的としているらしく、渋川さん達が調べたところ長い歴史のある団体なんだとか。
一時期怪獣が頻繁に出現していたことがあって、その頃に発足。元々は大きい組織で、数多くの怪獣達を保護したらしいけど、全く終わりの見えない怪獣出現の影響から、各国は怪獣を保護するのではなく撃退する方針に変更。次第に組織は解体、そして現在の形で落ち着いたとのこと。
「じゃあ、その団体さんが今回の事件を預かった……ってこと?」
「んまぁ、そんなところかな」
今度はしっかり冷ましてから、渋川さんはコーヒーをくいっと飲み干す。
ここで1つ疑問が浮かんだ僕は、渋川さんに問う。
「じゃあ渋川さんは、今日はどう言った用件でこちらに?」
「それなんだけどな。……お前ら、怪獣見たくないか?」
渋川さんは、この場にいた僕ら全員に向けて尋ねた。でもナオミさん達のリアクションはほぼ皆無に等しかった。
その気持ちは分からなくもない。僕らはこれまで、数々の怪獣達やオーブの戦いを間近でスクープして来たのだから、渋川さんには悪いけど「えっ、今更?」と思わざるを得ないだろう。
この冷めた空気を察したのか、言い方が悪かったと渋川さんは改めて説明を始める。
「……この団体が私有する島があってな、この島に先日の宇宙怪獣が保護されてるんだ。んで、お前らにその島へ来ないかって話が来たんだよ!」
「「「……え?……えぇ~!!」」」
渋川さんの言葉は誰も予測していなかったようで、これまで能面のような表情で澄ましていたナオミさん達が一気に食い付いた。
こうして後日、僕らSSPはその怪獣島へ向かうことになった。
都内の港からビートル隊の保有するボートに乗って、怪獣島に向かう僕らSSP。どうして移動手段がボートなのか渋川さんに尋ねたけど、「行けば分かる」の一点張りだった。
シートに並んで腰かけたジェッタさん達は興奮を抑え切れないようで、年甲斐もなくはしゃぐ2人をナオミさんが注意する。
「宇宙怪獣と対面かぁ……!いやぁ、楽しみだねぇシンさん!」
「一体どんな姿なのでしょうか……。僕もワクワクしてきましたよジェッタ君!」
「2人とも、はしゃぎ過ぎ。遊びに行くんじゃないんだからね」
「「はぁ~い」」
のんびりとした返事をしたジェッタさん達から視線をずらすと、いつもの茶色い帽子を深く被ったガイさんがいた。
「おーい、そろそろ見えて来たぞ~!」
渋川さんに呼ばれて、僕らは甲板に向かう。今日は日本晴れで、外に出た途端に青空と大海原が僕らを歓迎していた。
ちょうど季節は夏だけど、風を切って進む船がその暑さを飛ばしてくれる。
渋川さんが言った通り、正面に巨大な島が見え始めた。
この島は、元々実在していた無人島をモデルに作り上げた人口島らしく、その元となった島もまだ健在しているそうだ。
島に目が釘付けになっていた時、シンさんが叫び出した。
「皆さん!あ、あれ!見て下さい!」
シンさんの指差す方角を見ると、島の上空を飛び回る巨大な鳥の群れを目撃した。
「すげぇ……、さすがは怪獣島!スケールが全然違うよ!」
早速ジェッタさんが、持参したビデオカメラで撮影を始める。今回はカメラとバッテリー両方の予備を数台持ってきているらしく、余程の力の入れようだ。
島の船着き場にボートを係留させて、僕達は初めてこの島に上陸した。
島中が自然に溢れていて、日頃都内で過ごしている僕らにはそれがとても新鮮に見えた。
その風景をぐるりと撮影していたジェッタさんが、ふと動きを止める。
そこには青いジャケットを着た男性がいて、僕らに歓迎の挨拶をしようとする。
でも僕は、誰よりも先に飛び出す。その人は僕が良く知る「真の勇者」その人で、いてもたってもいられなかった。
「皆さん、ようこそお越しくださいました。僕は……」
「「ムサシさん!?」」
「……へ?」
青いジャケットのその人は、当然不思議そうな顔をした。
それよりも僕が不思議だったのは、僕と一緒にガイさんも飛び出していたからだ。
「『夏空』……、ムサシさん?」
「えぇ、夏空ムサシです」
夏空さんから名刺を受け取り、それをじっくり見つめたり夏空さんを見比べたりを何度も繰り返す。でも何度見ても名刺には「春野」とは書かれていない。
しかし、この人はどう見ても「春野ムサシ」さんだ。それがどうしても信じられなくて、僕は夏空さんの顔を凝視する。
そんな僕に戸惑ったのか、夏空さんは少し苦笑い気味に尋ねてくる。
「あの……。もしかして僕ら、どこかで会ってますか……?」
「あ……。いえいえ、今日が初対面で合ってます。
……すみません、知っている人に、とてもそっくりだったので……」
「あ、なるほど……。でも世界には自分にそっくりな人が3人いるって言いますし、何も可笑しくはないですよ」
僕は申し訳なくなって、夏空さんに弱々しい声で謝る。それでも夏空さんは笑顔で対応をしてくれた。
すると夏空さんはガイさんの方を向いて、僕の時とは異なる意見を発した。
「でも……、クレナイさんとは不思議と、初めて会った感じがしないんです。ずっと前に、どこかで会ったことがある。……そんな感じがします」
そう言ってガイさんを見つめる夏空さん。
しばらくして、夏空さんは手を叩いて気を取り直す。
「では立ち話も何ですから、皆さんをご案内させていただきます!どうぞ、こちらです!」
先導する夏空さんに続いて、僕らは森の道を進んで行く。その道は左右どちらを見ても木々が並び立っていて、時々見上げれば木漏れ日が差していた。
そうしている内に森を抜けて、丘の上に立つ研究施設に辿り着く。
夏空さんに連れられて施設の中に入ると、男の子が廊下からこっちに向かって元気良く走って来た。
「お父さん、おかえりなさい!」
「ただいま。ほら、お客さんだよ。挨拶して?」
「こんにちは、夏空ダイチです」
そう言ってダイチ君はぺこりとお辞儀をする。
ナオミさん達も笑顔で返事をすると、ダイチ君が背負っていたリュックサックからスマホに良く似た機械を取り出す。
夏空さんを除いた僕ら全員の視線が、その機械に集中した時、機械から女性の声に似た音声が聞こえた。
[初めまして。ビートル隊の渋川一徹さん、Something Search Peopleの皆さん。私は、ダイチの友人のAI『UX』です。以後お見知り置きを]
突然喋ったUXに驚いたナオミさん達だったけど、その驚きはすぐに消えて、UXに興味津々な様子だ。
夏空さんの話によれば、知り合いの若い科学者さん達がAI込みで発明した高性能マシンで、それをダイチ君にプレゼントしたものらしい。その方々の写真を見せてもらうと、1人が若干ぽっちゃり気味の男性で、もう1人が眼鏡をかけたテンションの高めな女性だった。
(どう見ても……。マモルさんとルイさんだ……。)
その写真を見て、僕はそう思うしかなかった。
つまり夏空さんもダイチ君も、この世界における「春野ムサシ」と「大空大地」に当たる人物だと言うことだ。ダイチ君は子供だけど。
それからまた場所を変えて、今度は大きなモニターが設置された、いかにも特撮作品に登場しそうな雰囲気の部屋にやって来た。
「まずは、これをご覧下さい」
夏空さんが部屋にいた別の職員さんに指示すると、モニターにこの島の全貌が表示された。
そこには、多くの怪獣達が映し出される。
確認できるだけでも、モグルドンやリドリアス、果てはティグリスなど……。様々な怪獣達やその親子が生息していた。
それには僕も驚きを隠せず、ナオミさん達はよりいっそう驚いていた。
「わあっ……!すごい……!」
「こんなに怪獣達がいるなんて……!」
夏空さんがこれもまだほんの一部ですが、と補足の説明を入れて語り出す。
「彼らも、この星で生まれた生命です。今はこうして保護という名目で僕ら職員以外の人間達とは隔離されていますが、僕の理想は彼ら怪獣達と人間が共に暮らせる世界を創ることなんです」
「僕も大きくなったら、父さんのお仕事のお手伝いするんだ!」
夏空さんが話を終えた後、ダイチ君が僕らに元気良く話し出す。そんなダイチ君を、夏空さんが撫でる。2人とも、互いに嬉しそうな表情をしていた。
「さて、今回の本題に移りたいと思います。モニター切り替えて下さい」
他の職員の方がモニター切り替えると、そこには鳥に似た怪獣が大きなお腹を擦っていた。
「ブフッ、何あのでっかい腹ぁ!」
「すげぇ腹だなぁ、おい!」
「あれが宇宙怪獣……、ですか?僕が思い描いていたのと全く違う……」
ジェッタさんと渋川さんが、あの怪獣の特徴的なお腹を指差して笑う一方で、未知の怪獣との遭遇に心を踊らせていたシンさんはかなり肩を落としていた。
でも僕は、それどころではなかった。
「ザランガ……!ザランガじゃないですか!」
「ザランガ……?あの怪獣?」
「そうです、あの怪獣はザランガです!」
ナオミさんが尋ねて来たから、僕はそれに答えた。すると今度は、夏空さんが僕に詰め寄る。
「君は、あの怪獣のことを知っているのかい?」
「はい。そうだ夏空さん!ザランガの体温を計ることが出来ますか!?」
「それは、えっとぉ……。これか!」
夏空さんは部屋のコンピューターを操作して、ザランガを撮影するカメラの機能をサーモグラフィに変更する。
サーモグラフィとは、物体から放射される赤外線を分析する装置のこと。
さすがは怪獣達を保護している施設、こういった設備も充実しているということか。
そこには、ザランガの体温をリアルタイムで計測した映像が映る。そこには僕が考えていた通り、腹部を中心として高い熱量を発するザランガが映し出されていた。
「やっぱり……!この怪獣、妊娠してます!」
僕のこの一言に、この部屋中が一瞬で静まり返る。
そうしてしばらくして、ガイさんと僕以外のその場にいた全員が驚きの声を上げた。
……えぇ~~~~~~~~~~~~~~!?
全員が落ち着いた後、ザランガについての説明を任された僕はモニターを背にして全員の前で話し出す。
「『宇宙怪獣 ザランガ』。あれは……。いえ、彼女は、出産のためにこの地球にやって来たんです」
「「出産!?」」
「シンヤ君、それってあれか?卵を産む時に何万キロも泳いでくる……。えっと……、マグロ!マグロみたいなもんか!?」
「渋川さん、それを言うなら鮭だよ……」
「そうそう、それだよそれぇ!」
「遠くの宇宙から来るなんて、何だかロマンチックな怪獣ね……」
夏空さん親子が口を揃えて驚いて、渋川さんとジェッタさんがいつものにぎやかな会話を繰り広げる中、ナオミさんがザランガへ向けて好感の意見を述べる。
「話を戻します。ザランガは出産時期が近付くと、体温が急上昇します。それが起これば、母子ともに死亡する恐れがあります」
「それって結構ヤバいじゃん!」
「えぇ。でもザランガは、身体を冷やすために海の惑星を目指す習性があると聞きます」
「シンヤ君に頼まれて調べてみたところ、どうやらあの怪獣は江戸時代にも地球にやって来ていたようです。これを見て下さい」
職員さんからパソコンを借りたシンさんが、モニターに古い書物の画像を表示する。
「『座濫駕。天より落ち、燃える獣。海原より大小の獣となりて天に上る』とあります。あの怪獣は、以前生まれたザランガが、再び帰って来たのではないでしょうか」
「『地球生まれの宇宙怪獣』……ってことか」
夏空さんがぽつりと呟き、僕はそれに頷いて夏空さんに提案する。
「どうやらまだ出産時期には到達していない様子ですから、ザランガを海まで誘導する作戦を考えましょう」
「あぁ、よろしく頼むよ!」
こうして、僕らと夏空さんとの共同作戦が行われることになった。
ムサシ達大人が難しい話し合いを始めた時、ダイチはこっそり部屋を抜け出して施設付近の森へやって来た。
そして辺りに誰もいないことを確認。大きく息を吸い込み、森の奥に向かって大声で叫んだ。
「……お~い!バモ~!」
ダイチが叫んでからしばらく経った後、茂みの中から体毛に覆われた人間大の怪獣が現れた。
「今日も来たぞ、バモ!」
「バモバモ~♪」
その怪獣とダイチは何度も会ったことがあるようで、「バモ」と呼ばれている怪獣はダイチに
戯れ付くバモの瞳を見つめながら、ダイチは言い聞かせる。
「いい?これから父さん達がお仕事始めるから、絶対に森から出ちゃダメだよ?」
「バモ?」
「……バモのことは父さん達にも言ってないんだ。だから、絶対びっくりされちゃうよ」
「バモ……」
ダイチの言葉を理解しているのか、バモはへこんだ。そんなバモを元気付けようと、ダイチは明るく振る舞う。
「だいじょぶだよ!今日だけだから、終わったらまた来るよ!」
[ダイチ。ムサシさん達が知らなくても、私は知っているぞ?]
「UX!父さん達には内緒だからね!」
「バモバモ!」
「もうバモまで~!ハハハッ!」
そうやって笑い合っていたダイチ達の後ろから、枯れ枝を踏む音がした。反射的に振り向いたダイチは、バモを庇うように立ち上がる。
そこには黒い装いのいかにも目立つ青年がいた。
青年はバモを見て、卑屈に嗤う。その笑みにダイチは幼いながらも背筋がゾッとする感覚を覚えた。
「へぇ、珍しい怪獣だねぇ?」
「お兄さん……誰?どこから来たの?」
「エヘヘ……。ナ・イ・ショ♪」
悪戯っぽく人差し指を口に当ててそう言うと、青年──ヨミは左手に持っていたダークリングに1枚のカードを読み込ませる!
【ロックイーター!】
黒い波動がダークリングの中央から溢れ、そこから小型の「凶暴竜 ロックイーター」が数匹出現した!
凶暴竜 ロックイーター。
恐竜に良く似た姿の怪獣で、単独で行動する大型種と群れを成して行動する小型種が存在している。
肉食性の凶暴な気性の持ち主であり、人間との共存は不可能に近いと思われる。
これまで見たことのない凶悪な怪獣を目の当たりにしたダイチは、驚きの余り尻餅を着く。
「な、何この怪獣!?」
「アハハッ!楽しい愉しい鬼ごっこの、始まりだぁ!」
ヨミの声が号令になり、ロックイーターが一斉にダイチ達に襲いかかった!
「……よし、ではこの作戦でいきましょう!」
「夏空さん。私達にも、何かお手伝いさせて下さい」
「ありがとうございます、助かります」
ナオミさん達が夏空さんに、今回の作戦で自分達が何をすべきなのかを聞いていた時、ガイさんからラムネの差し入れがあった。
「お疲れさん、ほら」
「どうも。……そうだ、ガイさんってムサシさんのこと、ご存知だったんですね」
それを受け取ってから、僕はガイさんに気になっていたことをようやく聞くことが出来た。何度か聞こうとはしたけど、ザランガについての説明やら何やらでその機会がこれまでなかったのだ。
尋ねられたガイさんは少し考える素振りを見せたけど、遠くの空を眺めながら語り始めた。
「『慈愛の勇者』ウルトラマンコスモス。俺は昔、彼に会ったことがあるんだ。ほんの少しの間だけだったが、一緒に戦ったんだ」
「すごい……。そんなことが……」
「あぁ。僅かな時間だったが、俺にとっては忘れられない思い出だ」
僕の羨望の眼差しに照れ臭そうに笑いながら、ガイさんは昔のことを話す。
そんな時突然、大きな地鳴りが起こる。何事かと、ガイさんはすかさず構える。
すると、施設から連絡を受け取った夏空さんが大声を出して驚く。
「夏空さん、どうかしたんですか!?」
「シンヤ君……!島の怪獣達の様子が変なんだ!」
夏空さんがタブレットを操作して、この島に生息する怪獣達の映像を僕らに見せる。
姿の違う怪獣達はどれも、空を見上げて遠吠えをしていた。夏空さんによれば、これまでこんなことは一度もなかったとのこと。タブレットに釘付けになっていた僕らのすぐそばでも、怪獣達の遠吠えが聞こえ始めた。
「怪獣達が、何かを伝えたがってる……?」
「何か……?それは、一体!?」
「僕にも分かりません。でも……怪獣達には、僕らに伝えたいことがあるんだと思います」
僕の推測を夏空さんが問い質すけど、僕は言葉にならない考えを無理矢理言葉に変える。
「そう、例えば……。『警告』」
僕がそう呟くと、夏空さんの携帯電話に連絡が入る。夏空さんは操作を誤ったのか、通話をスピーカーにした。
通信機の向こう側からは、プログラムされているような機械的な女性の声が。
[ムサシさん!良かった、繋がった!]
「UX!?どうして君が……!」
[非常事態です!正体不明の怪獣が、我々の前に出現しました!]
「何だって!?」
[こちらで独自に解析しましたが、この怪獣には攻撃と捕食の感情しか識別出来ませんでした……]
「それよりも、君達は今どこにいるんだ!ダイチは……!ダイチは無事か!?」
[ダイチは無事です!こちらの座標を転送します!]
それっきりで通話は途切れ、代わりに島の地図が画面に映る。その地図には僕らのいる場所が青い矢印で、近くの森の中に点滅する赤い点があった。
「すぐ近くじゃないか……!行かなきゃ……!」
夏空さんが駆け出したと同時に、施設の職員からザランガの体温が上昇を開始したと連絡が入る。出産時期に突入したのだ。
「こんなに嫌なことが立て続けに起きるなんて……」
「どうしよう……キャップ、シンさん!」
「そんなこと言われても僕には……!」
「お、落ち着け、かまいたち!……いや、お前達!」
ナオミさん達は一気にパニックに陥っていた。そしてナオミさん達を落ち着かせようとする渋川さんまでもが焦り出す。
すると地図を見終えたガイさんがすかさず走り出す。そのガイさんを追うべく、僕は夏空さんに事情を話す。
「夏空さん……。ダイチ君は僕達に任せて、皆さんとザランガを海まで誘導して下さい」
「でも君は……!」
「大丈夫です。絶対に助けますから……!」
夏空さんにしっかりと言葉を伝えた僕は、森にいるダイチ君を目指して疾走する。
小さな子供相手にロックイーターを仕向けるヨミさん、ホント鬼畜(作者ェ…)
後編に続きますよ。