ウルトラマンオーブ ─Another world─   作:シロウ【特撮愛好者】

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どうも。

今回で終わるギャラクトロン回。
少しばかり、手を加えてお送り致します。


第15話 ネバー・セイ・ネバー ━前編━

永遠(とわ)なる勇者──」

 

 ギャラクトロンを追うワゴン車が、トンネル内を走行する。そんな中で助手席に座るシンが、俯きながら呟く。

 

「正義のロボットだなんて……勝手に思い込んで、僕はバカです……」

 

 彼は、突如現れたギャラクトロンに、自身の夢である災害救助用ロボットの姿を重ねていた。

 だからこそ、ギャラクトロンのした事と、自身の先入観との食い違いを嘆いていた。

 そんなシンを労るように、ワゴン車のハンドルを握る惣一が、1つの例え話を語り出す。

 

「……2種類の人間がいるんだよ、シン君。他の連中が疑ってるものを信じる奴と、他の連中が信じてるものを疑う奴。発明家は、その両方でなくちゃいけねぇ。だから……無理にでも顔を上げて、前を見るんだよ、シン君!ん?」

 

 それを聞いたシンは鼻を啜り、その言葉通りに顔を上げて前を向く。やがて車はトンネルを抜け、外の景色が見え始める。

 その時彼らの目に飛び込んで来たのは、ギャラクトロンシャフトに首を掴まれ、腹部を貫かれたウルトラマンオーブの姿だった。

 

「オーブが……!」

「オーブッ!」

 

 後部座席の窓からそれを目撃したジェッタとシンヤが声を上げ、惣一とシンも思わず苦悶の表情を見せた。

 

『グォアァ……!ウウッ……』

 

 深々と腹部を貫かれたオーブの身体から、苦しみに悶えるジャックとゼロの幻影が漏れ出す。

 ギャラクトロンは左腕のブレードを引き抜くと、シャフトを振るって強引にオーブを放り投げる。

 最早立ち上がる気力も残されていないオーブにギャラクトロンは近付き、取り込んだナオミの声でオーブに忠告をする。

 

[私は、私に与えられた唯一のコマンドを実行中だ。君はこの星とは無関係な存在。邪魔はするな]

 

 そう告げられたオーブは、再び立ち上がる事も出来ないまま変身解除、その場から姿を消した。

 

「オーブが消えた……!」

 

 橋の上に駐車したワゴン車から飛び出したシンヤ達。オーブが消失した事で、立ち尽くしたままのギャラクトロンに向けて、シンが大声で叫ぶ。

 

「……ギャラクトローンッ!!」

 

 その声に反応したのか、ギャラクトロンがゆっくりとシンヤ達に振り向く。

 彼らと向き合う形となったギャラクトロンは、下顎を動かして言葉を発するが、それはシンヤ達にとってとんでもない言葉だった。

 

[──人間の文明から争いが無くならないのは、この星の残虐な自然界を模倣しているからだ。この宇宙には最初から、有り余る程のエネルギーが満ちている。別の生物からエネルギーを奪わずとも済むように、全てがデザインされている。

 だが、この星の生態系は、自分の生命を永らえさせる為に他の生命を奪い、この星そのものも傷付け疲弊させ、天然資源を掘り尽くすような、低レベルの文明を良しとしている]

「僕達の文明は、低レベルだって言ってるんですか!?」

 

 感情を一切感じさせない、無機質な眼差しを向けるギャラクトロンにシンは反論するが、対するギャラクトロンも冷徹に言い返す。

 

[──耳が痛いか?だから君達は耳を塞ぐ。都合が悪いからと無視する。だがこの星は、君達の都合で存在しているのでは無い。

 よって、この星の文明と、「食物連鎖」と言う間違った進化を選んだ生態系を、総てを、リセットする]

 

 それを聞いたシンヤは嫌悪感を露わにし、惣一は怒りを滲ませながら吠える。ジェッタもまた、ギャラクトロンを激しく批難した。

 

「好き勝手に言ってくれる……!アイツ、神様にでもなったつもりかよ!」

「文明だけじゃなく、大自然を根絶やしにするってか!?」

「何勝手な事言ってんだよ!?お前だって、キャップの事利用してるじゃんか!平和が望みなら、他の星の女の子を拉致ったりするなよ!!」

 

 これを聞いたギャラクトロンは、左腕のギャラクトロンブレードを解除し、一時停止する。それはまるで、ジェッタ達の指摘に対して耳を塞いでいるかのようにも捉えられた。

 そんなギャラクトロンに向かって、ジェッタはナオミの身柄を返還するように声を荒らげる。

 惣一とシンはその隙に、ギャラクトロンへの対抗策を考えようと、あらかじめワゴン車に積んでおいた解析用の機材をセットし始めた。

 

 

 

 

 

 ギャラクトロンに敗れ、満身創痍と言ってもほぼ過言では無いガイは、片膝を突いたまま携行しているカードホルダーから1枚のカードを取り出して、それを一点に睨み付ける。

 そのカードに描かれているのは、紛れも無くウルトラマンベリアルだ。

 そもそもガイ達が持つウルトラフュージョンカードとは、歴代のウルトラ戦士の力の一部を宿した結晶。だと言うのに、このベリアルのカードからは、ベリアル本人の強過ぎる邪悪な気配が漏れ出ているような感覚があった。

 腹立たしい限りだが、ヨミの忠告通りこの力を頼らざるを得なくなってしまった事に、ガイはより一層不満を募らせる。

 それと同時に頭を過ぎるのは、この力を託して消えた、玉響姫の言葉であった。

 

──強過ぎる力は、災いをもたらすこともあります。

 

 ギャラクトロンと言う脅威に太刀打ち出来るのは、現状ベリアルの力のみ。

 だが、また制御が効かずに暴走してしまうのでは無いかと言う恐れが、ガイを踏み止まらせる。

 

「確かに俺には……アンタを制御出来ない……。

 くっ……!」

 

 ベリアルのカードを見つめながら、舌打ちをするガイ。苦悩するガイは、先日撮影を行った際のナオミの言葉を思い出す。

 

──ネバー・セイ・ネバー。出来ないなんて言わないで……?

 

 その時のナオミの表情を思い浮かべながら、ガイはただ無気力に空を見上げていた。

 

 

 

 一方、地球の生態系と文明のリセットを始めようとするギャラクトロンへの対抗策を考えようと、一晩掛けて集めたデータの解析を進めるシン。

 その傍らで、ジェッタと共にギャラクトロンの動向を探り続けるシンヤの元に、惣一がやって来た。

 

「よぉ、兄ちゃん。今日は調子良いみてぇだな。

 ……にしても驚いたよ。まさか兄ちゃんが、あんな風に啖呵切るとはよぉ。見直したぜ、俺は」

「いえ、そんな……」

 

 こちらに歩み寄った惣一に会釈をしたシンヤだったが、先程彼のすぐ側でギャラクトロンを批難した事を思い出し、やや恥ずかしげに答えた。

 そんなシンヤを見兼ねた惣一は、気にしていないと言った風に笑いかけ、シンヤを励ます。

 

「そんなに謙遜するこたぁねぇさ。……何だか、兄ちゃん見てたら、血気盛んなアイツの事を思い出したぜ」

 

 誰かをしみじみと思い出すように口を開いた惣一に、シンヤはふと尋ねてみる。

 

「……?その人、どんな人だったんですか?」

「ん?まぁ、良くも悪くも真っ直ぐな奴だったなぁ。それによ、誰が何度止めたって無茶ばっかりしやがる。そんでいっつも、俺が目くじら立てて、そいつを叱るんだ。……でもその度にアイツは言うんだ、『無茶かも知れないけど、無理じゃない』ってな」

「っ!」

「……最近は何してんだかよく知らんが、無鉄砲なアイツの事だ。世界中あちこち歩き回って、また無茶ばっかしてんだろうよ」

 

 惣一の言う「アイツ」と言う人の言葉に、聞き覚えのあったシンヤは、思わず目を見開いて驚く。

 それに気付かずに惣一は、遠くの空を見上げながら思いを巡らせていた。

 

 

 

 惣一とシンヤが語り合うその一方で、ギャラクトロンの解析を続けていたシンだったが、途中で作業の手が止まってしまう。

 それを心配した惣一が、シンに声を掛けた。

 

「……どうした?」

「科学って、最初から暴走する宿命にあるのかも……」

 

 シンがそう呟いたと同じタイミングで、優しげなメロディと共に、ギャラクトロンが再起動する。

 

『♪~……、♪~……』

 

 複数の魔法陣を纏わせたギャラクトロンシャフトを、天高く伸ばしながら浮遊。その徒ならぬ雰囲気に、シンヤ達も本能的に警戒する。

 

「ヤバい……!何かすごいヤバい気がする……!キャップー!!」

 

 ギャラクトロン内部のナオミに向けて、ジェッタが届かぬ叫び声を上げる。

 するとビートル隊専用の乗用車に乗った渋川が駆け付け、ゼットビートルがこちらに向かっている事、後は自分達に任せるようジェッタらに告げて、再び車を走らせた。

 その間にもギャラクトロンは、無数の火柱らしきエネルギーの充填を始める。これに見覚えのあったシンヤは、ギャラクトロンに向けて声を荒立てた。

 

「まさか……!やめろぉおぉぉぉぉ──!!」

 

 シンヤの叫びも空しく、ギャラクトロンは最大の必殺技「ギャラクトロンスパーク」を発射。

 彼方の山岳地帯に命中した光線は、超巨大な魔法陣を広げると同時に大規模な爆発を起こし、そこで生きていたであろう全ての生命諸共、辺り一面を焦土へと変貌させた。

 この光景を目の当たりにしたガイは、遂に覚悟を決めて、オーブリングを構える!

 

「……やるしかねぇ!!」

 

「ベリアルさんッ!」

【ウルトラマンベリアル!】

「ゾフィーさんッ!」

【ゾフィー!】

 

 オーブリングに2枚のカードを読み込ませると、ガイの両脇にベリアルとゾフィーのビジョンが並び立つ。

 ガイが右腕を突き上げ、両腕をゆっくりと振り回す動作をすると、その2人も同様の動きを取る。

 この動作を一通り終えたガイは、左手に握るオーブリングを掲げた!

 

「闇と光の力……お借りします!」

【フュージョンアップ!ウルトラマンオーブ!

 サンダーブレスター!】

 

 初陣とは打って変わり、一度目で変身が完了したウルトラマンオーブ サンダーブレスターが、ギャラクトロンが破壊した森林に現れる。

 彼はおもむろに立ち上がると、猛獣のような雄叫びを上げた。

 

『……ウ゛ォア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ──!!』

 

 この咆哮と共に、オーブの全身が紅く光り出す。やはり今回も、暴走の兆候が見え隠れしていた。

 その一方では、現場に到着したゼットビートルが、浮遊するギャラクトロンに向けてオーブの頭上を空高く飛んで行く。

 これを目撃したオーブは力強く大地を駆けると、ギャラクトロン目掛けて飛び上がった。

 

 

 

 ゼットビートルを操縦するパイロットがギャラクトロンの周辺を旋回し、敵の一瞬の隙を突いて捕獲用電磁ネットを発射する。

 

「捕獲用電磁ネット、発射!よしっ……!」

 

 作戦は上手くいき、見事ギャラクトロンの捕獲に成功。これに安心し切ったパイロットが、気を緩めた次の瞬間。

 彼の目の前にウルトラマンオーブが高笑いをしながら出現し、思わず彼は息を呑む。

 何とオーブは邪魔な小バエを叩き落とすかのように、ゼットビートルを自らの手で撃墜させる!

 これに続けて、内部にナオミが囚われているにも関わらず、ギャラクトロンに重い一撃を叩き込んだのだった!

 オーブが叩き落としたゼットビートルが、墜落し爆発するのを、シンヤ達は瞬きもせずに見つめていた。

 

 先の一撃で引き摺り降ろされ、地に落ちたギャラクトロンを力任せに蹴り上げるオーブ。ギャラクトロンも再び起き上がると、オーブを完全に敵と認識して、戦闘を開始する。

 ただでさえ凶暴なサンダーブレスターの容赦の無い猛攻をも耐え凌ぐギャラクトロンは、右腕のアームを変形させた砲塔から雷撃を放射。

 オーブがそれにたじろいだ隙に、ギャラクトロンは右腕を射出し、それを自在に操作してオーブを翻弄する。

 だが、これで引き下がるオーブでは無かった。

 頭上から雷撃を放射し続けるギャラクトロンの右腕を両腕で掴み取ったオーブは、それを武器にして投げ返す。

 これによってギャラクトロンは右腕を喪失、戦力を削られてしまった。

 だがオーブの猛威は止まる事を知らない。怯んだギャラクトロンの隙を見逃さず、背後に回ったオーブは後頭部のギャラクトロンシャフトに狙いを付ける。

 それをがっしりと掴むと、オーブは力任せに引き千切り、何度も踏み躙りながら愉しそうに嗤う。

 

「──え?」

 

 オーブがギャラクトロンシャフトを引き千切った拍子に、ナオミを洗脳していたコードが耳から抜けた。

 これによって、ナオミは正気に戻った。

 だがしかし、身動きの取れない事には変わりは無く、未だ状況が飲み込めないナオミは、薄暗い空間に怯える一方だった。

 

「ここ、どこ……!?」

 

 

 

 ウルトラマンオーブとギャラクトロンの戦闘を、遠くから傍観する者が1人。

 すっかりオーブに圧倒されているギャラクトロンに、侮蔑的な視線を向けたヨミは、がっかりした様子で溜め息を吐く。

 腰掛けに丁度良かった岩石から、重い腰を上げたヨミは身体中の関節をゴキゴキと鳴らし、悪戯な笑みを浮かべて独り言ちた。

 

「──さぁてと。少しばかり、ちょっかいを出しにでも行きますかねッ!!」

 

 そう呟くとヨミは、常人とは思えない跳躍を発揮して、一気に戦場まで飛び立った。

 

 

 

 

 

 戦況は変わらず、ギャラクトロンが不利。

 自慢のギャラクトロンシャフトを引き千切られ、その箇所から白煙を上げるギャラクトロンは、背後のオーブと向かい合う。

 オーブは未だにギャラクトロンシャフトを踏み付けており、こちらが振り向いた事にまだ気が付いていないようだった。

 その隙を突こうと、ギャラクトロンが密かに企んだ時。「ギャラクトロン」と言う1つの個体を形成する為のプログラムが、ある異常を感知する。

 どうやら外部から自身のメインシステムにアクセスする何者かが存在していて、システムを書き換えようとしている。始まりは何とも無かったが、その進行は凄まじく、プロテクトを実行しようにもそれすら凌駕するスピードで侵攻される。

 目の前の巨人以上の脅威を感じ取ったギャラクトロンのプログラムに、謎の声が直接語り掛ける。

 

(無ダな抵抗は、スるナ。じキニ貴様ハ、俺ノ操リ人形トなるノダかラナ……!!)

 

 まるで、自分自身が塗り潰されるような例え用の無い恐怖に、機械である筈のギャラクトロンが支配される。

 そして、ギャラクトロンが迎えた最期の瞬間。

 巨大な翼を大きく広げた、おぞましき漆黒の魔獣の幻影を、彼は垣間見た。

 

[─────────ッ!!]

 

 ナオミの声とも違う絶叫を上げるギャラクトロン。この光景を目撃したシンヤ達も、思わず目を見張った。

 叫び続けるギャラクトロンに気付いたのか、オーブは今一度この強敵と向かい合う。

 するとどうした事か、純白のギャラクトロンの全身が黒く染まり、喪失した部位を代替するように、新たな右腕とシャフトが発現した。

 紅く輝く双眸だけを残し、闇の巨獣として生まれ変わったギャラクトロンは吠える。

 その雄叫びは空気を振動させて、ビリビリと響く感覚をシンヤ達に与えた。

 

「一体何が……!?」

 

 ギャラクトロンの異変に驚愕するシンヤにも、突如として事変が起きた。

 彼がその目に捉えたのは、オーブとギャラクトロンだけでは無く、ギャラクトロンの内部に囚われているナオミと、これを強大な闇の力で支配している因縁深き相手の姿だった。

 透視に近い能力が現れた事への驚きもあったが、裏で暗躍する存在を目撃したシンヤは、心の底で毒づいた。

 

(ヨミ……!アイツ、また……!!)

 

 周囲を見ても、ヨミの存在に気付いているのは自分を措いて他におらず、真相を知っているのはシンヤだけだった。

 姿を変えたギャラクトロンに気圧される事も無く、オーブはギャラクトロンの胸部──現在、ナオミが捕えられている箇所──に正拳突きを叩き込む。

 

「キャアアアアアーッ!!」

「キャップーっ!!」

 

 ギャラクトロンがその一撃を喰らったと同時に、ナオミの悲鳴が響き渡る。これを聞いたジェッタは叫喚し、ナオミの名を呼ぶ。

 しかしギャラクトロンはそれすら気にせずに、復元した右腕の砲塔から紫色の雷撃を発射。先程よりも威力の増した雷撃に、流石のオーブでさえ多少引き下がる。

 それを見逃さなかったギャラクトロンは、引き伸ばしたシャフトでオーブの右腕を掴み取り、彼の行動を制限する。

 このやり方に苛立つ様子を見せたオーブは、空いた左手で作り出した「ゼットシウム光輪」でシャフトを切断して、拘束を強引に振り解く。

 接近戦に突入したオーブとギャラクトロンは、両者共に引けを取らない大乱戦へと発展する。

 彼らが争い合う度にナオミの阿鼻叫喚が轟くが、それを打ち消すように、両者の雄叫びがその場を埋め尽くす。

 

 一度距離を取り合った双方だったが、オーブが突進を仕掛け、ギャラクトロンは左腕のギャラクトロンブレードを装備して迎え撃つ。

 だがオーブはこの時左手の爪にエネルギーを溜めており、すれ違いざまに「Zクロー霞斬り」を繰り出し、ブレードの接合部を破壊した。

 再び両者は近接戦に縺れ込み、オーブは赤黒い波動を両手に纏ってギャラクトロンを殴打する。

 それは最早ウルトラマンでは無く、本能に従い暴れ狂う「凶暴な怪獣」と全く変わらなかった。

 ジェッタはこの争いを止めて欲しいとシンに懇願するが、無気力同然となった彼に出来る事は皆無であり、ただ匙を投げた。

 

「シンさん……!オーブ止めてよ……!」

「無理です……僕には何も出来ません……」

 

 するとここに来てようやく、オーブのカラータイマーが赤く点滅を開始。これまで何度もそれを見て来たシンは、弱々しく発言した。

 

「ジェッタ君……。オーブはもうすぐ消えてくれます……」

 

 後はオーブが力尽きて、消滅するのを待つだけ。自分の無力を痛感したシンはそう呟いて、その時が来るのを待っていた。

 それに対してオーブの動態は一切止まず、先程斬り落としたギャラクトロンブレードの刀身を握り、ギャラクトロンの身体を乱暴に叩き付ける。

 砲塔を兼ねた右腕のクローで反撃に打って出るギャラクトロンだったが、得物を持ち替えて刀身部分を振るったオーブによって、それも叩き斬られてしまった。

 大半の装備を失ったギャラクトロンを蹴り倒しても尚、攻撃の手を緩めないオーブに向けて、ジェッタは悲痛な叫びを上げた。

 

「キャップがホントに死んじゃうっ……!やめろぉぉぉっーー!!」

 

 ジェッタの叫びで理性を取り戻したのか、オーブは攻撃を中断して沈静化。

 ……しかし、その隙を突いたギャラクトロンが両眼から閃光光線を撃つ。

 咄嗟にギャラクトロンブレードを盾代わりにして防御を取ったオーブだったが、これには耐えられずに弾き飛ばされてしまった。

 身体を起こして立ち上がったギャラクトロンだったが、そこには本来の高貴なボディは跡形も無く、見窄らしさだけが残っていた。

 戦線復帰したオーブと対峙したギャラクトロンは何かを伝えるかのように、先日ジェッタとシンを仲裁した時と同様の優しげなメロディを流し始めた。だがそれは同時に、命乞いをするかのようにも見受けられた。

 

『♪~……。♪~……』

 

 両陣営の間に、安らかなメロディが流れる。

 しかしそれすら無視したオーブは情け容赦無く、必殺の「ゼットシウム光線」を放つ。

 オーブが十字に組んだ両腕から放出された光線は、無防備のギャラクトロンに着弾。内部のナオミとヨミ諸共にギャラクトロンは爆散し、この世界から消滅した。

 この激戦を勝ち抜いたオーブは、かつては森林が生い茂り、今では焼け焦げてしまった大地に1人立ち尽くす。

 やがて時間切れを起こしたオーブは、赤い粒子となってその場から消失したのだった。




むぅ……。
毎度の事ながら、どうにもくどさが残るなぁ……。
後編は、夕方に投稿しますよ~。
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