ウルトラマンオーブ ─Another world─ 作:シロウ【特撮愛好者】
多少読みづらいかと思われますが(いつもの事)、よろしくお願いします。
前回で自分の本来の力を取り戻したガイだったが、これまで同様、ウルトラ戦士の力を借りて立ち向かう!
「ウルトラマンさん!」
【ウルトラマン!】
「ティガさん!」
【ウルトラマンティガ!】
「光の力、お借りします!」
【フュージョンアップ!ウルトラマンオーブ!
スペシウムゼペリオン!】
テツコを連れて安全な場所へと移動する最中にも関わらず、ジェッタは彼女をナオミ達に任せて、オーブの登場と共にカメラを向けた。
「渋川さん変身だぁ〜!……えっ?えっ、えっ?えぇーっ!?」
『俺の名はオーブ!闇を照らして、悪を撃つ!』
未だに渋川がオーブだと信じて疑わないジェッタがその目に捉えたのは、怪獣と対峙するオーブと、宇宙人に銃口を向ける渋川の姿だった。
これによって、ジェッタの「渋川=ウルトラマンオーブ」と言う仮説は脆く崩れ去った。
「オーブ!そっちは頼んだぞ!」
登場したオーブにそう言った渋川は、より一層気を引き締める。
ここに、「ウルトラマンオーブvsベムラー」並びに、「渋川一徹vsシャプレー星人カタロヒ」の闘いの火蓋が切られた。
両者共に睨み合い、オーブとベムラーが動いたと同時に渋川は引き金を引く。しかしヤセルトニウムの母体石によって弾かれてしまい、2発、そして3発と撃ち続けるが、それらも無効化された。
カタロヒは超人的な飛躍を繰り出し、廃工場の屋根に着地。渋川は狙いを定めて銃を撃つが、カタロヒは瞬間移動でこれを翻弄する。
遂に渋川の攻撃が母体石に直撃するが、母体石はこれを吸収する。
スーパーガンリボルバーは実弾を発射するのでは無く、リボルバーの中のエネルギーカートリッジでエネルギーを充填して、これを放つのだ。
母体石はスーパーガンリボルバーから放たれた一撃を吸収する事によって、これを打ち消したものと思われる。
さっきのお返しと言わんばかりに、カタロヒは母体石からエネルギー弾を渋川の足元目がけて発射。渋川はこれを躱したが、オーブとベムラーの戦闘で飛んで来た流れ弾によって吹き飛ばされてしまう。
それを天高く跳ぶ事で回避したカタロヒは、再びエネルギー弾で渋川を追い込んで行く。
『ウゥリャアッ!!』
オーブは飛び上がり、ベムラーの頭部にチョップを叩き込むと、連続で回し蹴りを繰り出す。だが強化されているだけあってか、ベムラーはびくともしない。
すれ違いざまに飛び蹴りを喰らわせて、一度ベムラーと距離を置いたオーブは、早期決着を狙って必殺光線を放った!
『スペリオンッ、光線!!』
しかしベムラーは、必殺のスペリオン光線を頭部の角で吸収する。
光線技を得意とするスペシウムゼペリオンにとって、このベムラーは相性が悪かった。
反撃に出たベムラーはハイパーペイル熱線を撃ち、オーブを弾き飛ばす。
ピンチなのは渋川も同じで、遮蔽物を利用しながらカタロヒの攻撃を躱しつつ銃撃を繰り出すものの、母体石によって全てが無に帰してしまう。
「ムダだ、ムダだぁ!!」
「ちきしょう……!」
いくら渋川が柔道5段・空手3段の腕前で、尚且つスーパーガンリボルバーの名手だとは言え、相手のカタロヒは宇宙人で、渋川は地球人。いかにしても埋める事の出来ない身体能力の差がある事を、渋川は痛感した。
一方オーブも、反転攻勢に出たベムラーに追い込まれて行く。仰向けで倒れたオーブをベムラーは踏み付けるが、負けじとオーブもベムラーを蹴り上げて態勢を立て直し、ベムラーの首を掴んで放り投げる。
『シュワァッ!!』
すぐさま起き上がったベムラーは、ハイパーペイル熱線を放射。オーブは何とかこれを回避した。
「うわぁっ……!」
カタロヒとの激戦で発生した爆発で、地を転がった渋川だったが、すかさず身を潜めてカートリッジを排莢し、次のカートリッジを装填しようと懐に手を伸ばす。
しかし不幸な事に、手持ちで残されたカートリッジは後1つだけであった。
「残り1発か……」
銃を使える回数が限られてしまった事に、渋川の顔は曇ったが、何も無いよりはマシだと最後の1発を装填して身構える。
だが、いつの間にか目の前に現れていたカタロヒに胸ぐらを掴まれ宙吊りとなってしまう。
「フハハハッ、つーかまえた♪」
「こ、の野郎……!ぐっ……!」
「ぐわっ……うらぁ……!うっ、ごふっ……」
……誰かが、苦しそうにしている声が聞こえた。
辛うじて意識を取り出したテツコが見つめる先には、満身創痍になりながらも宇宙人に立ち向かう、自分の大嫌いな父親の姿があった。
決して状況が好転する訳では無いのに、渋川は何度も立ち上がり、そしてカタロヒの格闘術に圧倒されて傷を増やす。
そんな父親の姿を見つめるテツコの脳裏に、ガイとシンヤの言葉が思い浮かんだ。
──太陽は沈んだら見えなくなる。でもね、地平線の向こうでは、ずっと輝いているんだよ。
──見えないところで輝いている光もある……ヒーローなんてのはそんなもんなんだよ。
──誰かを守りたいと思う心。単純な事だけど、それがヒーローにとって、一番大切な事です。だからもう少しお父さんの事、信じてみませんか?
最後まで闘志を絶やす事無くカタロヒに挑んだ渋川だったが、カタロヒは決着を着けようとする。
「これで最後だ……!」
カタロヒが渋川を力任せに投げると同時に、ベムラーもオーブに突進を喰らわせる。吹き飛ばされたオーブは道路に背中から落ち、巨大なクレーターを作り出す。
投げ飛ばされた渋川は、積み重なった段ボールに激突、立ち上がる気力はほとんど残っていない。
それはオーブも同じで、カラータイマーの点滅が始まった。
『グォアァ……』
勝利を確信したカタロヒとベムラーが、渋川とオーブにゆっくりと迫る。
絶体絶命の大ピンチに追い込まれた両者だったが……。
「お父さん!頑張れーーーっ!!」
「テツコ……!!」
「頑張れっ!!……っ頑張れーーー!!」
生体エネルギーを吸われ自分も限界のはずの娘から、名前では無く「お父さん」と呼ばれた事で、渋川の中で再び闘志が燃え上がり、彼はもう一度立ち上がる。
そしてオーブも立ち上がり、真の力を解放する!
【覚醒せよ!オーブオリジン!】
オーブオリジンのフュージョンカードをリードしたオーブリングの輪から、勇者の聖剣が召喚される。
「オーブカリバー!」
オーブカリバーを手に取ったインナースペース内のガイは、カリバーホイールを高速回転させ、オーブカリバーを高く掲げる。
そして柄のトリガーを引く事で、本来の姿へと変わる!
『♪~、♪~、♪~』
オーブカリバーを右手に握ったウルトラマンオーブ オーブオリジンが登場し、名乗りを上げた!
『銀河の光が、我を呼ぶ!』
一方、再び立ち上がった渋川だったが、危機的状況である事に間違いは無かった。身体はボロボロ、残された銃弾も残り1発。
一体どうすればいいのかと策を講じていた時、視界に飛び込んできた「ある物」を見て、1つの妙案を思い付く。
厭らしく笑うカタロヒを見据えた渋川は、その作戦の実行する為の行動に出た。
「……っうあぁああああっ!!」
叫び声を上げながら、カタロヒに特攻する渋川。
オーブカリバーから繰り出した横一閃で、ベムラーを斬り付けるオーブ。
渋川は、密かに隠し持っていた粉塵をカタロヒの顔にぶつける事で視界を奪い、その隙にカタロヒの背中に飛びかかり、その首を絞め上げる。
ベムラーが放つハイパーペイル熱線を、オーブはカリバー中央のカリバーホイールを盾替わりにする事で防ぐ。
テツコ達が見守る中、渋川は絞め上げたカタロヒを引きずって、ある場所まで誘導する。
「こっちだよオラァ……!」
「離せェ……!!」
ハイパーペイル熱線を弾き飛ばしたオーブは、その一瞬を見逃さず、ベムラーの角を2本同時に叩き斬る!
それに怯んだベムラーにトドメを刺すべく、オーブはオーブカリバーを構える!
ガイはカリバーホイールの回転を火属性の紋章部分で止めた後、トリガーを引いて再びホイールを回した!
『オーブフレイムカリバァーッ!!』
大きく描いた円状の炎の輪がベムラー目がけて飛んで行き、ベムラーを閉じ込めるように高速回転した直後、丸い結界となる。
それを目撃した渋川も、最後の仕上げに移った。
「今だっ……!!」
カタロヒの拘束を解き、最後の1発が込められたスーパーガンリボルバーを向け、カタロヒに白い歯を見せてから引き金を引く。
スーパーガンリボルバーの弾丸は、カタロヒの背後に置かれた「火気厳禁」と書かれたドラム缶に着弾した。
オーブカリバーでベムラーを縦一文字に斬り付け、オーブはベムラーを倒す。
ベムラーの爆発と同じタイミングでドラム缶も爆発し、当然その間近にいたカタロヒは、その爆炎をまともに浴びた。
「──あばよ」
ドラム缶の爆発を背にして、渋川はカタロヒへの手向けの言葉を呈するのだった。
持ち主を離れたヤセルトニウムの母体石は、原型を残す事無く粉々に砕け散った。
勝利したオーブと渋川は互いに無言の挨拶を交わして、闘いを終えた。
飛び立つオーブにサムズアップを向ける渋川は、力尽きたように倒れてしまった。
これにいち早く駆け寄ったのは、もちろんテツコだ。
「大丈夫!?」
それを見た渋川はすっくと立つと、何でも無いと言った具合に笑ってみせた。
「あぁ、大丈夫だ!俺はビートル隊の渋川一徹だぞ?こんな事くらいで、へこたれる俺様じゃ……」
「ちょっ、ちょちょちょちょ……!」
強がっていたのか全身の力が抜け切ってしまい、へなへなと倒れる渋川。
それを支えたテツコは、まんざらでも無い様子を浮かべた。
「……カッコよかったぞ!」
「あ、いててて……。へへっ……」
後に判明した事だが、渋川はシャプレー星人カタロヒがばら撒いていたヤセルトニウムを回収しようとしていた。だから、女性とばかり会っていたのだ。
……つまり、タカヒロ(カタロヒ)がテツコにネックレスをあげた時に言ったとされる「君だけにあげる」というのは嘘だったという事だ。
渋川の一連の行動の訳にSSPの面々が納得した時に、オーブとしての闘いを終えたガイが駆け付けて来た。
「おぉ、ここだったか」
「ガイさん……。渋川さん、オーブじゃなかったんだ。オーブって、一体誰なんだろうなぁ?」
「……ん?さぁな」
ジェッタとの会話を続けていたガイだったが、遠くから声が聞こえた方を向く。
事件解決と同時に誤解も解けたが、相変わらずケンカばかりの渋川親子の姿が、そこにあった。
「……父さんって呼んでくれたな?いつでも父さんって呼んでも良いんだぞ〜?テツコー!」
「あー、ちょっと触んないで!てゆーか……あ、ゴメン……。てゆーか、テツコって呼ぶの止めて!私の名前はキャサリン♡なんだから!」
「何がキャサリンだよ〜?お前はテツコだろ!」
「いや、キャサリンだから!」
その様子を微笑ましく見つめるSSP一行。
ケンカばかりだが2人とも楽しそうで、『喧嘩するほど仲がいい』とはよく言ったものだなとナオミ達は思った。
「信じ合える人がいるって、いいもんだな……」
目には見えない「親子の絆」を感じ取り、そう呟いたガイに反応してか、シンヤが口を開いた。
「……僕はそうじゃないんですね。残念です」
「いや、そういう意味で言ったんじゃなくてだな……」
「ふふん、分かってますって!皆さん、僕らも帰りましょう!」
シンヤのその提案に乗ったナオミ達も、帰路に着く。その最中に、何か思い出したかのようにガイが全員に尋ねた。
「……そう言えば、テツコって、誰だ?」
──その夜。
「くそっ、人間共め……覚えておけ……!」
命からがらあの爆発から生還したシャプレー星人カタロヒは、人間に負けた屈辱を味わいながら、傷だらけの身体を引きずっていた。
人間への復讐に燃えるカタロヒだったが、突如何者かの気配を感じ取った。
「お、お前……!ぎゃああああああ……!」
鮮血のような紅い満月が照らす夜。
カタロヒは謎の男が振るう刃を受けて、絶命した。その亡骸は、男の足元にいつの間にか広がっていた泥のような真っ黒い闇の中に沈み出す。
秘密裏にカタロヒを始末した男は、邪な笑みを浮かべてその場を後にした。
「「ガイとシンヤの、ウルトラヒーロー大研究!」」
シンヤ「うぐぐぐ……!」(シンヤ、重そうなアレイを持ち上げようとする)
ガイ「どうした、シンヤ?特訓か?」
シンヤ「……やっぱりダメだ。もう少し軽いアレイにするべきだったかなぁ……」
ガイ「特訓も良いが、今やるべき事はそれじゃ無いよな?」
シンヤ「あっ、そうでした!では、今回紹介するのはこの方です!」(シンヤ、そのアレイを軽々と持ち上げる)
シンヤ「あっ、出来た!」
【ウルトラの父!】
シンヤ「『ウルトラの父』。本名は『ウルトラマンケン』さん。M78星雲光の国では、宇宙警備隊の大隊長兼最高司令官を務めている方です。ウルトラマンタロウさんのお父さんでありながら、エースさんの養父でセブンさんはウルトラの父の義理の甥に当たります。
血の繋がりの無いウルトラ戦士の方々からも『ウルトラの父』と呼ばれているのは、その偉大さや人柄から、実の父親のように慕われるようになったからだそうです」
ガイ「タロウさんのウルトラホーンは、ケンさん譲りだったんだな」
シンヤ「このウルトラホーンは、ケンさんの一族にのみ生えているらしく、宇宙のあらゆる情報をキャッチする器官なんです」
ガイ「あらゆる情報を!?すごいな……」
シンヤ「初登場は『ウルトラマン
ガイ「すごいな、ケンさんは……!さすがタロウさんのお父さんだな(まさか……今回紹介するのがケンさんだったから、シンヤはアレイを使っていたのか!?)」
シンヤ「どうしました、ガイさん?もう終わっちゃいますよ?」
ガイ「あ……あぁ、気にすんな。ちょっと考え事をな?」
シンヤ「なるほど。では皆さん、今回はこの辺で!」
ガイ&シンヤ「「次回も見てくれよな!」」
SSPのオフィスに突然やって来たキャサリン。
キャサリンが言うには、渋川のおっさんの様子がおかしいんだと。
思わず呆れちまった俺達だったが、これが町を揺るがす大事件の始まりだった!
次回!
『ウルトラマンオーブ ─Another world─』
『キャサリン・ストラグル』。
親子の力、お借りします!
……いかがだったでしょうか。
何とか書く事が出来た今回でしたが、次回からもまた間隔の空いたノロマ投稿になると思うので、ご了承くださいませ。
隠れたサブタイトルは、『ウルトラセブン』第22話『人間牧場』でした。
次回、久しぶりのオリジナル回。
何が出るのかバレバレですが、ちゃんと書けるかどうか不安だな……。
では、またいつか……ノシ