IS 〜バイクと名人とSchoolLife〜 作:無限の槍製
4月27日(木)AM08時20分
「ヤッホー!一夏久しぶりー!元気して………た?」
私、凰鈴音は、昨日の夜にこのIS学園にやってきて、1組に一夏がいると聞いて、ウキウキして寝れなくて、朝起きてから試しに違う髪型にしたけど結局いつもの髪型にして、そんで怒られない程度に走って一夏に会いにきたというのに。
「なによこれ……クラスみんなの目が……死んでる!?」
一夏だけでなく、クラスの女子みんなの目が死んでいるのだ。いや全員じゃない。金髪ロール髪の女だけはウキウキハツラツしてる。後のみんなは目が死んでる。
「よ、よお……鈴じゃ……ない…か」
「ちょっとどうしたのよ一夏!なんでみんなの目が死んでるわけ!?」
「まあ、がくがくじかじかじがしががくが………」
「言えてないわよ一夏…」
「……早く帰らないと織斑先生が来るぞ〜」
「っと、あんたが2人目の男性操縦者?にしてもなんで制服にアロハ柄が入ってるわけ!?」
「それは、それが自分のチャームポイントってな」
2人目の男性操縦者、九条桐也だったっけ?そいつはまだマトモな目をしている。死んでる目じゃなくて死にかけの目。どのみち酷いじゃないのよコレ!
「なにをしている凰。早くクラスに戻れ」
「げえ、千冬さん!?って千冬さんの目に隈が!?」
「あまり大きな声を出すな。頭に響く」
フラフラと歩く千冬さん。これって何があったのよ……。
◇
4月27日(木)PM00時10分
「よお鈴。朝はゴメンな、まともな対応ができなくてさ」
「一夏!?あんた大丈夫なの!?」
「ああ、今は問題ないよ。もっとも今日の夜にから明日の朝にかけてまたあの状態になると思うけど」
「何があったのよ…一体」
「まあ、少し前になるんだけどさ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
4月13日(木)AM08時40分
「というわけで、1組のクラス代表は織斑君に決定ですね!あ、一繋がりで縁起がいいですね」
「どうしてこうなった!?」
朝のホームルームで発表された謎の決定事項。俺は昨日負けたはずなのにどうしてだ?
「それは私が辞退したからですわ」
「辞退?どうしてだよ、セシリアはクラス代表がしたいんじゃ」
「確かに、クラス代表に相応しいのは私だと思っています。ですが!!どうやら一夏さんは昨日の試合で
「………」
セシリアの目が笑ってない。怖すぎる。これが噂のブラックセシリア。又の名を黒リア。今初めて使った。
「まあ、こればっかりはお前が悪いよ」
「そんなキリヤん!」
「頑張ってね〜オリム〜」
「のほほんさんまで!」
「ま、決定事項は覆らんだろうな」
「なんとかしてくれ箒!!」
「無理だな。だがまあ訓練ぐらいなら付き合ってやる。キリヤんもな」
「そうだな。まあ頑張れよ」
◇
4月13日(木)PM04時20分
「今日から専用機使っての特訓か……セシリアが教えてくれるって言ってたけど」
「嫌な予感しかしないんだけど……大丈夫か?」
「昨日はまあまあ乗りこなせたし大丈夫だと思う。だと思うんだけど」
「どうした?」
「セシリアって、絶対スパルタだよな?」
「だろうな」
セシリアとの特訓をイメージする。『何をしているのですか!』『こんなこともできないのですか?』『これだから軟弱な男は』『ほら、早く立ちなさいこの〔ピーーー〕!!』『〔ピーーー〕!!〔ピーーー〕!!』
「いやそんなはずない。セシリアがそんなこと言うもんか」
「どうした独り言なんて喋って?」
「なあキリヤん。セシリアって口悪いかな?」
「それはお前が一番わかってそうだが。まあ上から目線なとこは少しあるけど、いい奴だろ」
「だよな。そうだよな。セシリアはあんな悪口は言わない。言わない」
◇
「そうです一夏さん!その調子ですよ」
「こ、こうか?」
「一夏さんは飲み込みが早くて助かりますわ!さあ次のステップに行きましょう!」
セシリアの特訓は親切丁寧だった。どちらかと言うと体を動かして覚えようとする俺や箒と違い、どちらかと言うとキリヤんみたいに頭で覚えるタイプだ。
少なくとも箒の『スッ!といく感じ』『グワッ!と飛ぶ感じ』『ガーン!って武器を出す感じ』よりかは百倍ぐらい分かりやす、箒が睨んでる……。
「どうしたキリヤん。さっきから表情が険しいが?」
「ああ。なーんか嫌な予感がしてさ。自分と箒も巻き込まれるような気がする」
「それはないだろう。私たちはまだ訓練機も貸してもらってないんだぞ?」
「それもそうだが……まあ言っちまえばISなしでも特訓はできるだろ。それこそ箒の剣道みたいにな」
ISに乗っているとそんな会話も筒抜けだ。それこそスラスターの調子とか周りの状況判断のためとか、耳を使うことは多々あるらしい。スラスターの調子は変な音がなるらしい。そうなったらメンテものだ。
『ただいま午後17時をお知らせします。自主訓練を終わってください。訓練機を持ち出している生徒は18時までに返却してください』
「おや、どうやら今日はこれまでみたいですね」
「そうか。今日はありがとなセシリア。ISの特訓に付き合ってもらって」
「いえいえとんでもない。一夏さんにはクラス代表として恥をかいて欲しくありませんから。それに特訓はまだ終わりではありませんよ」
「だろうな。明日も頼むぜ」
「いえ、この後も行いますわよ?」
「………はあ?」
箒もはあ?といった顔をし、キリヤんはやっぱりといった顔をしている。何々?これから何するんだよ?
「今からは2時間ほど休憩をはさみまして、19時からは箒さんとキリヤんさんもご一緒にお勉強会ですわ」
「やっぱり巻き込まれたか……」
「なあセシリア?今日は一夏に教えるので疲れただろう?なにも私たちの面倒まで見ることはないんだぞ?」
箒もオロオロしながらセシリアを説得する。しかしセシリアには効果がないようだ。
「いいえ、御三方とも成績はあまりよろしくないと織斑先生から伺っております。ですのでこの私が家庭教師を任されたわけですわ」
「はい集合ーー」
キリヤんが俺と箒を集める。勿論セシリアは置いてけぼりだ。
「どうすんだよ名人!あ、一夏は女たらしの名人な」
「それについて後で抗議するにして。この様子だと就寝時間まで勉強会だぞ?それはどうしても避けたい。俺もテレビみたい」
「それは私も同意見だ。何とかならないかキリヤん?」
「適当な理由つけて逃げるしかない。といってもそれがバレた後が面倒だ。セシリアのことだから後々撃たれかねない」
「怖すぎだろ!セシリアでもそんなことしないって……多分」
「とまあこうなったら出来ることは1つだ」
「「1つだけ……」」
キリヤんは俺と箒の肩に手を置いて諦めた顔でこう言った。
「勉強会……しようぜ」
結局そうするしかないのか。まあ仕方ないことだよな。俺も箒もキリヤんも頭はあまり良くはない。こうして勉強を教えてくれることが本当はありがたいことなんだと自分に無理矢理言い聞かせて、俺は自室でテレビの録画予約をしに戻るのであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
4月27日(木)PM00時20分
「セシリアは別にスパルタすぎることはないんだ。たださ、休憩が欲しいなって……2時間じゃ足りないよ……」
「まさか毎日特訓してるわけ!?ちょっとバカじゃないの?確かに特訓は大事だけど、それで無理して体壊したら全て無駄になるのよ!」
「いや特訓は別に毎日じゃないんだ。基本2日やって1日休んでって」
「あ、そう。なら大丈夫じゃない。特訓なんてそんなものでいいのよ。まさか一夏!そんなことで泣き言言ってたわけ!?男ならもっとシャキッとしなさいよ!!」
「お前はどっちの味方なんだ!!」
さっきからこの2人の会話を隣で聞いてるわけだが……一夏とこの女の間には一体どんな関係が。
「おい一夏」
「どうした箒?唐揚げ欲しいのか?」
「ああ、レモンは絞らなくて大丈夫だ、って違う!!」
「こんなノリツッコミ、千冬さん以来だわ」
「この女とは一体どういう関係なんだ?」
「ん?いや鈴とは幼馴染だけど?」
同時に私の両サイドの友人がお茶を吹き出した。セシリアは苦しそうな顔をして、キリヤんは小声で「何爆弾発言してんだよ名人は」と笑いながら呟いている。
確かにこれは爆弾発言だが笑い事ではない。
「一夏!幼馴染は私だけではなかったのか!!」
「ええ?そんなこと言ってないけど…」
「ちょっと一夏!アタシ以外の幼馴染ってどういうことよ!!」
「いや鈴まで何乗っかってきてるんだよ!」
「まさか一夏さん………浮気?」
「ちょっと黙ろうか!セシリアさん!!」
「違う違うセシリア。名人はただの女たらしだ」
「キリヤんは余計なこと言わないで!!」
「オリムーは〜女たらし〜!」
「のほほんさん、やめてぇぇぇぇ!!!!」
お昼から絶叫する一夏を千冬さんが沈めたのは言うまでもないだろう。
鈴が転入してきました。しかし例のごとく鈴は2組。だから食堂ぐらい鈴に主導権握らせないとね!
次回は何処まで行きましょうか……
ではではsee you next game!