IS 〜バイクと名人とSchoolLife〜   作:無限の槍製

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ガンバライジングBM1弾、遊んで来ました。ビルドのホークガトリングのLRが当たりました。そんでもってるLRポッピーとCPファイズブラスターで全国対戦に殴り込み。リアルタイムバトルで余裕で勝てました。これが現行ライダーの力か。

今回は一夏とシャルルのお話。


第20話 即決 〜Diligence〜

6月10日(土)PM06時40分

 

かれこれ20分ぐらい。俺と彼女…でいいのか、シャルルはお互いのベッドに腰掛けて向かい合い、視線が彷徨ったままの無言の時を過ごしていた。すごく気まずい。

 

「あー、そのだな、お茶でも飲むか?」

 

「う、うん。もらおうかな……」

 

らちがあかないので声をかける。お互い飲み物があったほうが話しやすいと思ったのだろう。俺は電気ケトルでお湯を沸かして急須へと注ぐ。

だが、しかし!お茶が出来るまで、再び沈黙がやってきた。仕方ないと言えば仕方ない。かもしれない。

 

「もう大丈夫だろ。熱いから気をつけろよ」

 

「あ、ありがと––––きゃっ」

 

湯飲みを渡す時に指先が触れ合って、シャルルが手を引っ込める。俺は思わず湯飲みを落としそうになり、慌てて握り直した。そしたらまぁ熱いお茶が俺の手にビチャーですよ!

 

「アチャーー!?!?」

 

急いで水道のところまで行って蛇口全開。なんとか事なきを得た。

 

「ご、ごめん!大丈夫?」

 

「ま、まあな。ここ最近は傷の治り早いし」

 

それは事実だ。クウガになってから傷の治りが尋常じゃないぐらい早くなった。いつだったか、イカの未確認生命体と戦った時に火傷したけどすぐに治った。確かあの時ライダーキック10回ぐらい叩き込んで倒したっけ。

 

「ちょ、ちょっと見せて。……大丈夫じゃないよ。赤くなってる。熱かったよね。ごめんなさい」

 

「だから気にすんなって。こんなのほっといたら治るし」

 

「でも……あ、僕氷もらってくるよ!」

 

「待て待て待ちなさい。その格好はマズイだろ。後で自分で取ってくる」

 

シャルルの格好はいつものシャープなラインが格好いいジャージなのだが、バレたからか胸を隠していない。その上体のラインがくっきりの服装だから胸があるのが思いっきりわかってしまう。

 

「それにここまで冷やしたから大丈夫だよ。じゃあ、ほれ」

 

「う、うん。ありがと」

 

今度はちゃんと受け取ったシャルル。一口日本茶を飲む。俺も一度喉を潤すと、とりあえず胸の事………じゃない、男装の件について聞いてみた。

 

「なんで男のフリなんかしてたんだ?あ、男装が趣味だったとか?」

 

「それは、その……実家からそうしろって」

 

「え、あ、えーと……ごめん、不謹慎だった」

 

「ううん、いいよ。一夏がそうやって冗談言ってくれて、ちょっと安心した」

 

そう言うシャルルの表情はさっきまでと違い、少し明るさが戻っていた。それでもいつもの美少年、もとい美少女の表情とは程遠い。

 

「実家というと……確かデュノア社の」

 

「そう。父がその社長。その人からの命令なんだよ」

 

「命令って、親だろ!?なんでそんな」

 

「僕はね一夏。愛人の子なんだよ」

 

またまた冗談を……なんて言えなかった。正直そんなのドラマの中だけだと思っていた。

 

「引き取られたのが2年前。ちょうどお母さんが亡くなったとき。父の部下の人が来て色々と検査したの。そしたらIS適応が高いことがわかって、非公式だけどデュノア社のテストパイロットになったんだよ」

 

シャルルは恐らく言いたくないことを話してくれている。だったら俺に出来るのはしっかりと事実を知ることだ。

 

「父にあったのは2回くらい。会話も全然なくてね。普段は別邸で暮らしてるんだけど、少しして本邸に呼ばれてね。あのときは凄かったよ。いきなり本妻の人に殴られたんだから」

 

愛想笑いをするシャルルだが、その声は乾いててちっとも笑ってはいなかった。俺もさすがに愛想笑いは返せない。

 

「それから少し経って、デュノア社は経営危機に陥ったの」

 

「え?だってデュノア社って量産機ISのシェアが世界3位なんじゃ」

 

「そうだけど、所詮は専用機。それにリヴァイヴは第二世代型。お金もかかるからほとんどの企業は国からの支援あって成り立ってるとこばかり。それで、フランスは欧州連合の統合防衛計画『イグニッション・プラン』から除名されているからね」

 

そういえばセシリアがいくつか言っていた。なんでも次期主力機の選定中らしい。イギリスのティアーズ、ドイツのレーゲン、イタリアのテンペストII型。そのため実稼働データを取るためIS学園に来たらしい。

 

「話を戻すね。それでデュノア社でも第三世代を開発してたんだけど、圧倒的データ不足で形にならなかった。それで政府からは予算を大幅カット、しかも次のトライアルで選ばれなかったら援助を全面カット、IS開発許可も剥奪するって流れになったの」

 

「なるほどな。なんとなくわかった。男装は注目を浴びるための広告塔、それに同じ男子なら日本で登場した特異ケースと接触しやすい。可能ならその使用機体と本人のデータを取ってこい……ってとこか」

 

「まあ、そんなところ。一緒に来てたタイガ先生は僕の男装がバレないようにって父が雇った傭兵なんだよ。元々は日本で医者をしてたらしいんだけど、医師免許を剥奪されたみたい」

 

あの人はそういうポジションの人なのか。でもあの人基本カルテ見てるか、ゲームしてるか、散歩してるところしか見てないぞ?

 

「でも一夏にバレちゃったし、多分僕は本国に呼び戻されるかな。デュノア社は……潰れるか他の傘下に入るか。まあどうでもいいけど」

 

「…………」

 

「なんだか話したら楽になったよ。聞いてくれてありがとうね。それと、今までウソついてゴメン」

 

頭を下げるシャルルを、俺は肩を掴んで頭を上げさせていた。

 

「頭を上げてくれシャルル。そんな謝らなくていいから。それよりお前はこれからどうするんだ?」

 

「どうって……時間の問題だよ。フランス政府もこのことを知ったら黙ってないだろうし、僕は代表候補生をおろされて、よくて牢屋だよ」

 

「え、そ、そんなに?それはヤバイな………あ、そうだ!だったら、ここにいろよ!」

 

その時のシャルルの顔は驚きを隠せていなかった。中々面白い顔できるじゃないか。

 

「特記事項第22、本学園における生徒はその在学中においてありとあやゆる国家・組織・団体に帰属しない。本人が同意しない場合、それらの外的介入として許可されないものとする」

 

暗記していたテキストがこんな時に役立つなんて思いもしなかった。勉強はキチンとするべきだな。

 

「つまり、ここにいれば少なくとも3年間は大丈夫なんだろ?それだけ時間がありゃあなんとかなる。いやなんとかする」

 

「……よく覚えられたね。特記事項って55個もあるのに」

 

「……勤勉なんだよ、俺は」

 

「そうだね。ふふっ」

 

やっとシャルルが笑った。緊張感のあった空気はやっとのことでなくなったようだ。

 

「とにかく決めるのはシャルルだから、考えてみてくれ」

 

「うん、ありがとう」

 

なんだか勢いで押し切ったが、もう少しちゃんと考えるべきだったか?そう思うと不安になるが……いや、考えるのはヤメだ。今はシャルルが元気になったことに喜ぶべきだ。

 

コンコン。

 

「「!?」」

 

「一夏さんとシャルルさん、いらっしゃいます?夕食をまだ取られていないようですけど、体の具合でもよろしくないのですか?」

 

いきなりのノックとセシリアの呼び声に2人してビビる。一瞬俺たちの会話を密かに盗聴していた悪の手下が来たのかと。

いや普通こんなの考えねえな。どうやら久しぶりに頭を使ってハイになってるみたいだ。

 

「とりあえず隠れろシャルル!いやクローゼットじゃなくて普通に布団でいいから!」

 

「……何をしていますの?」

 

「うおっ!?…セシリアか。なんだ?どうした?」

 

「いやそれよりも、今シャルルさんが凄い勢いでベッドに飛び込んだので何事かと」

 

「え!?いやちょっとアクション映画見ててさ!それのマネしてたんだよ!なあシャルル!!」

 

「そ、そうだよ!もう気分はアクションスターさ!今なら何が来ても生身で勝てそうだよ!アハハハハーー」

 

枕に顔を埋めた状態でシャルルが話す。ハッキリ言ってモゴモゴ言ってるようにしか聞こえない。

 

「あ、そうだ!飯だったな!ほら行こ行こ!シャルルは暴れた後だから少しシャワー浴びるってさ!ほらはやく行こうぜ!シャルルも早く来いよー!」

 

「う、うん!」

 

なんとかゴリ押しでセシリアを部屋から出す。正直怪しさ全開だったな。いやー危なかった。

 

 

6月10日(土)PM10時30分

 

俺とシャルル、セシリアに先に食堂にいた箒と鈴と飯を食べた後、鈴の部屋でゲームを遊び、そしてそれぞれが自分の部屋に戻ったのが今の時間だ。そしてあることについて思い出したのも。

 

「そういや、月末の学年別トーナメントってタッグマッチなんだよな?シャルルはペヤ決めてるのか?」

 

「僕はまだ。そういう一夏は桐也と組むの?」

 

「キリヤんは多分出ないんじゃないかな?確かいろんなお偉いさんが来るんだろ?キリヤんの専用機?って極秘らしくてさ。多分表舞台のイベントには参加しないと思う」

 

「そうなんだ。桐也の仮面ライダーって凄いよね。あんなに火力があるのってそうそうないよ」

 

「それをいうならラウラも凄いよな。てかあの2人がおかしいのか。火力バカだな」

 

「そんなこと言ってると、2人から集中砲火もらうよ?」

 

かもしれない。いやあんなの食らったらISでもクウガでも死ぬ予感しかしない。

 

「あ、そうだ!だったら俺たちで組もうぜ!」

 

「まさか僕と組むの?」

 

「その方が何かと都合がいいだろ?シャルルはアテがあったのか?」

 

「いや正直助かったけど、一夏の方があったんじゃない?」

 

「いや俺もなくてさ。箒はのほほんさんと、セシリアは鈴と組むからさ。だったら俺たちで組もうぜって。近距離の白式と中遠距離のリヴァイヴ。中々いいんじゃないか?」

 

「それもそうだね。うん!いいよ!僕たちなら勝てるよ!」

 

「決まりだな!」

 

まさに5分間で決めた即決コンビ。でも、互いに背中を預けられる仲間なのは、今決まったことじゃない。

 

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6月26日(月)AM09時00分

 

今日から一週間かけて学年別トーナメントが始まる。それぞれの思惑が交差することになる戦い。そして最初の戦いは、

 

一年の部、Aブロック1回戦1組目

 

織斑一夏&シャルル・デュノア コンビ

VS

九条桐也&ラウラ・ボーデヴィッヒ コンビ

 

だった。

 

「なんで、キリヤんがこの大会に出てんだよ……!」

「しかも最悪のコンビだね」

 

「よし、ノッてくか隊長さん」

「我々の前では、有象無象の1つでしかないことを分からせてやる」

 

 

簡単には終わらない戦いが、今始まる。




やっと6月最終週だね(白目)
この作品の6月が長い!あと数話続くので……多分11月に6月終わるよ。
次回から学年別トーナメント決戦編!まずは一夏、シャルルVSキリヤん、ラウラの対決!オールラウンダーVSバカ火力の対決です。

ではSee you Next game!

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