IS 〜バイクと名人とSchoolLife〜   作:無限の槍製

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一夏、シャルルvsキリヤん、ラウラ!!


第21話 共闘 〜tag match〜

6月26日(月)AM09時10分

 

「よお名人、シャルル」

 

「よお、じゃないだろ!お前この大会に出て大丈夫なのか!?」

 

試合開始まであと50分。アリーナの控え室でバッタリ相手側と出会った。キリヤんとラウラ。キリヤんはともかく、ラウラは一匹狼っぽさがあったからキリヤんと組むのは予想外だった。

 

「今回は社長さん自らのお願いだからな。向こうには向こうの目的があるんだろ」

 

「大丈夫なのか……?」

 

「その件については大丈夫よ」

 

「木綿季先生」

 

現れたのは木綿季先生。なんか久々に見たぞ?最近この人の授業がことごとく変更されていた。もしかしてこの事と関係が?

 

「今社長が色々な偉い人に説明してるわ。多分大半が納得してくれる。あとは貴方次第よ」

 

「なーんか期待されちゃってる?んじゃまあ、名人達倒して見せつけてやるとしますかね」

 

張り切るキリヤんをよそに、ラウラは1人落ち着いている。これも絶対なる自信からくるものなのか。

 

「織斑一夏、貴様を許しはしない」

 

「またそれか。なんとなく事情は分かるけどな」

 

「と、思っていたが。今はどうでもいい」

 

「は?」

 

今どうでもいいって言った?

多分ラウラが許さない、認めない云々は少し前に俺が誘拐された時の事だろう。

 

あの時、クウガに初めて変身して未確認生命体を倒したあと、俺は気を失っていた。その後目が覚めた時には病院のベッドの上だった。なんでも千冬姉が、その時行われていたISの世界大会の決勝戦を放棄して俺を助けてくれたらしい。

どうもその時ドイツ軍が手を貸してくれたらしく、その見返りとして千冬姉は何年かドイツ軍で教官をしていた。ラウラはその時の教え子で、千冬姉を尊敬しているらしい。

 

そんな尊敬している千冬姉の弟が俺だなんて『認めない』。俺のせいで決勝戦を放棄せざるを得なかったから『許さない』。多分俺に対する恨みはここから来てると思う。もし俺の勘違いなら恥ずかしい。

 

しかし今ラウラの口からどうでもいいって言葉が出て来た。正直驚いている。

 

「いや、お前のことを完全に許したわけではない。事実、お前のせいで教官は二連覇出来なかったのだからな」

 

「返す言葉もな、って今更だけどそれは俺というより、俺を誘拐した奴らのせいじゃ……」

 

「間抜けに誘拐されるお前も大概だ。いやそんなことより、1つお前に聞きたい」

 

するとラウラはイスから立ち上がり(って足届いてなかったのか。確かにそのイス無駄にデカイよな)俺の顔をじっくりと見つめてから、

 

「何故お前と教官は仲が良いんだ?」

 

と一言。いやそれは姉弟だからだろ。それ以上もそれ以下もない。と普通の答えを出したら、なんかまた殴られそう。

 

「そりゃあ………大事な人…だから?」

 

「ほう」

「お熱いねぇ名人」

「もしかして一夏って……」

 

「いやいや変に誤解するなよ!?大事な人ってのは家族だから大事であってだな!」

 

「そんなの分かってるって。変に焦るなよ名人」

「からかってゴメンね一夏」

 

「家族……家族か。なら私も教官と家族になれば……もっと」

 

ふふふっ、と不敵に笑うラウラ。ともかくなんとか納得してくれたのか?それだと良いんだが。

 

「一夏、そろそろ準備しようか。お互い良い試合にしよう」

 

「そうだな。こちらも全力で迎え撃とう」

 

「ついでにシャルルの化けの皮を剥いでやるぜ」

 

「「え?」」

 

「なーんてな。まあ頑張ろうぜ」

 

キリヤんのあの言い方……もしかしてバレてるのか?シャルルがこの学園に来てからもうすぐ1月だ。勘のいいやつなら薄々気づいているかもしれないが。でもフランスには女に見える男もいるらしいし。気づいても確信には繋げられないはずだ。

 

「ねえ、一夏」

 

「大丈夫だシャルル。もしバレててもキリヤんならバラしたりしない。あいつは女の子にはすんごい優しいから」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「どう見る?」

 

「やっぱ女だわアレ。あんな可愛い男いるわけない」

 

「我がドイツの副官が言っていたが、この世には女の子のような男の子、つまり『男の娘』がいるらしいが」

 

「そういうのが好きなやつもいるらしいが……やっぱり自分は女の子の方が好きだわ」

 

「暫く黙認し続けたが……そろそろ教官に伝えるか?」

 

「いや、あーゆーのは自分から行かせないと。じゃないと次の一歩が踏み出せないだろ?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

6月26日(月)AM10時00分

 

「全力でやるとは言ったけど……いきなりそれで来るのか!?」

 

俺の白式、シャルルのリヴァイヴと対峙するのはキリヤんとラウラ。しかしその2人の格好が格好だった。

 

キリヤんは『仮面ライダースナイプ コンバットシューティングゲーマーレベル3』。うん、正式名称長いわ!

ラウラは『シュヴァルツェア・レーゲン《仮面装者ジョーカー》』。キリヤんを追い詰めたラウラの切り札。

 

まさに最初からクライマックス。2人は自分たちの全力をこちらにぶつけて来るつもりだ。ならこっちも全力でぶつからないと。

 

「シャルル!作戦通り行こう!」

 

「OK一夏!」

 

「よし、こちらも作戦通りに行くぞ」

 

「りょーかい。派手に決めるぜ」

 

アリーナに試合開始を告げるアラートが鳴り響く。そして戦いが始まった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

先に動いたのは一夏とラウラ。桐也とシャルルは飛翔しながら互いに牽制しあう。

一夏と雪片弐型とラウラのプラズマクローが激突する。単純なパワーならラウラ。刀の扱いなら一夏が優勢だった。

 

「ふっ!せやっ!」

 

「チッ!」

 

中学ではやめていた剣道だが、タイタンフォームに変身してからというもの、あの日以降一夏が剣を振るわなかった日はなかった。たとえ同居人が眠ったとしても、雨が降っていようとも、とてつもなく眠くても、一夏は剣を振るった。

 

みんなを助ける為、仮面ライダークウガとして戦うために。

 

(やはり剣の扱いは向こうが上か。流石教官の弟。教官も刀を扱うのは上手かったな。何度もあしらわれた。だがそれ故に!)

 

「戦闘中に考え事なんてらしくないんじゃないか!」

 

「やはり、癖も似ているな!」

 

一夏の剣技を破るラウラ。一瞬の出来事だった。一夏は自分の得手を破られ、更にはラウラの膝蹴りが直撃してしまう。

吹き飛ぶ一夏に追い打ちをかけるように腕部と脚部からワイヤーブレードが射出される。

 

「砕け散れっ!!」

 

「そうはいくかよ!!」

 

すぐに体勢を整え飛翔する。それを追いかけるワイヤーブレード。一夏の白式とラウラのワイヤーブレード。速度は圧倒的に白式が上だが、ワイヤーブレードは永遠と追いかけて来る。

 

(そうだ、そのままついて来いッ!)

 

(奴め、何を考えている?クジョーにぶつけるというのなら無駄だというのに……奴のことだ、他に考えがあるはずだ)

 

やがて一夏は桐也とシャルルの銃撃戦の場まで飛んでいく。一夏が飛んで来るのを確認したシャルルは桐也と距離を取り、一夏の方へと飛んでいく。

 

「頼んだぜシャルル!」

 

「任せたよ一夏!」

 

互いにすれ違い、一夏は桐也の元へ。シャルルはワイヤーブレードへと飛んでいく。

 

「勝負だキリヤん!」

 

「選手交代か?いいぜ、自分負ける気ないんで」

 

仮面の下で不敵な笑みを浮かべる桐也。そして一夏の雪片弐型と桐也のガシャコンマグナムが激突した瞬間、アリーナを包むシールドバリアが大きく振動した。

 

 

「そういうまとめる仕事は得意だよ!」

 

逆にワイヤーブレードへと飛んで行ったシャルルはワイヤーブレード一本一本を正確に掴んでいく。8本のワイヤーブレードを全て掴んだシャルルは呼び出したナイフに全てを結びつけ地面に投げつける。

手先の器用なシャルルならではの早業。ラウラも驚きを隠せない。

 

「チッ、面倒なことを!」

 

「お生憎様、僕のリヴァイヴはこういうのが得意なんだよ!」

 

ワイヤーブレードを切り離しシャルルに突撃するラウラ。貴重なワイヤーブレードを失ったのは痛いが、ラウラにはまだ文字通りの『ジョーカー』が存在する。

 

「これならどうだ!」

 

『メタル!サイクロン!ツインマキシマムドライブ!!』

 

両腕のガントレットにメモリを装填し、プラズマクローへパワーを回す。銀色の斬撃と緑色の斬撃がシャルルめがけて放たれる。

 

「確かに、これは当たったら痛いよね。でも当たらなければいいだけのこと!」

 

「なっ!?瞬時加速(イグニッション・ブースト)だと!?貴様も使えたのか!」

 

「まあね!切り札は残しとくものでしょ!」

 

斬撃を掻い潜りながら攻撃を続けるシャルル。更には手元の武器を瞬時に交換しながらダメージを与えていく姿がより一層シャルルの器用さを引き出される。

 

「くそっ!ちょこまかと!」

 

「ほら、隙がみえた!こいつは響くよ!」

 

リヴァイヴの左腕の盾をパージする。姿を現したのはパイルバンカー。今現在のシャルルの最強の一撃。しかも今のラウラは隙だらけ。ものの見事にラウラの腹部に叩き込まれ、ラウラは地面へと叩きつけられた。

 

「さて、向こうも終わるかな?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「そろそろ終わりにしようぜキリヤん!」

 

「くそっ、隊長さんはノックアウトか……こいつはヤバイな」

 

「降参した方が傷は少なくなるよ?」

 

俺とシャルルに挟まれたキリヤん。確かにキリヤんは強い。クリティカルインパクトを喰らえば確実に負けるだろう。たがらこそ俺はキリヤんがやや苦手とする接近戦へと持ち込んだ。

 

結果は見ての通り、キリヤんは追い込まれ、俺とシャルルはほぼ無傷といってもいい。ここまで事が上手くいくなんてラッキーだ。

 

そう、この時俺は気付くべきだった。事が上手くいきすぎていることに。

 

「……ハア、おい名人」

 

「なんだキリヤん?」

 

「油断、大敵な」

 

「一夏!後ろ!!」

 

後ろを振り返った時には、クアトロマキシマムドライブを発動したラウラがプラズマクローを振りかぶっていた。




油断大敵。キリヤんとラウラ相手にここまで事が上手くいくなんてありえないのだっ!それに気づけなかった一夏とシャルル。一夏にはクアトロマキシマムドライブの制裁です。

次回、決着!そしてあの黒い仮面ライダーが動き出す!

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