IS 〜バイクと名人とSchoolLife〜 作:無限の槍製
桐也vs黒い仮面ライダー!
6月29日(金)AM11時30分
今まさに、第三アリーナは地獄と化していた。
事の発端はCブロックとDブロックの優勝者同士の試合中に乱入者が現れたのだ。黒いカラスの怪物達。どうにも未確認生命体のような何かに見えた。
そして奴らを見たシャルルは目を見開いた状態で、
「ぶっ殺す……」
と1人つぶやいてアリーナへと走って行った。いきなり隣の人がぶっ殺すなんて呟いたらビックリするし状況を飲み込むのに時間がかかる。俺は回らない頭をなんとか働かせながらシャルルを追いかけた。
そして今現在、
「死ねぇ!!」
カラスの怪物の顔にパイルバンカーを叩き込むシャルル。元々アリーナにいたセシリア、鈴、箒、のほほんさんもカラスの怪物と戦っている。
「シャルルの暴走って……タイガ先生の言う通りだな。アレは重度のバーサーカーモードだぞ!」
あの状態で目が赤色に光っていても違和感がない。それぐらいシャルルの暴走状態は度が過ぎている。壁に叩きつけられたカラスの怪物に何回も何回も拳を叩き込んでいる。生徒の避難が終わっているからと言ってアリーナを壊す勢いだぞ!
「来い!白式!!」
白式を纏いシャルルの元へ飛んでいく。俺には目もくれずカラスの怪物を殴り続けるシャルル。見るも無残な姿に成り果てたカラスの怪物。黒い血を辺りに撒き散らしながら絶命している。
「落ち着けシャルル!もう死んでるんだぞ!」
「うるさい!!私の怒りは、この程度じゃ収まらない!!」
シャルルの腕を掴むもすぐに振りほどかれ、投げ飛ばされる。うーん、流石代表候補生。男1人なら簡単に投げ飛ばされると。
こういう時にキリヤんがいてくれたら。女子の扱い上手そうだし。
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「ぐあっ!?」
校舎の壁を突き破り中庭へと飛ばされるスナイプ。ライフゲージは残りわずかだ。対する黒い仮面ライダーはライフゲージが1ミリも減っていない。つまり、一撃もダメージを与えられていないのだ。
「ちっ……やってくれるじゃねえか」
「その程度か、九条桐也」
「やっと喋ったと思ったら、結構重要なこと言うね。なんでおたく自分の名前知ってんの?」
「話す義理はない」
「なら、とっ捕まえて吐かせるだけだ!」
スナイプが指を鳴らすと黒い仮面ライダーの足元が爆発し、地面が陥没する。一瞬身動きを止められた黒い仮面ライダーの顔面にスナイプの拳が叩き込まれる。
「ふん、1発決めたぜ」
「……よく考えたな。バンバンシューティングのトラップ設置能力に爆走クリティカルストライクの超加速。一撃食らわすには充分な力だ」
「なんならもう1発いくぜ」
「無駄だ。今の1発が君の最初で最後の一撃だ」
『シャカリキスポーツ!』
「もう一本のガシャット…お前もレベル3に!?」
「グレード3」
『ガッチャーン!レベルアップ!!マイティアクショーンX!』
『アガッチャ!シャカリキ!シャカリキ!バッドバッド!!シャカッと!リキッと!シャカリキスポーツ!!』
黒い仮面ライダーとは真逆の派手なピンク色の自転車を鎧として纏う。そのふざけた姿とは裏腹に圧倒的な力を秘めている。レベル3はそれ程に強力だと桐也自身も知っている。
「それはそうと……あの時の車輪。あんたのだったのか。これはますます話を聞かないとな」
『ジェットコンバット!』
「第参戦術!」
『ガッチャーン!レベルアップ!!バンバンシューティング!』
『アガッチャ!ジェット!ジェット!イン・ザ・スカイ!!ジェットジェット!ジェットコンバット!!』
スナイプもレベル3に変身して空を飛ぶ。ふとアリーナの方を見ると黒い煙と爆発音が聞こえる。さっきから携帯のバイブ音が聞こえていたのはアレのせいかと納得する。
「時間がねえ。さっさと終わらせる!」
『バンバン!クリティカルフィニッシュ!!』
『ジェット!クリティカルストライク!!』
『バンバン!ジェット!!クリティカルインパクト!!』
「その焦りが、君の敗因だ」
『シャカリキ!クリティカルストライク!!』
クリティカルストライクはクリティカルインパクトに比べて圧倒的に威力不足だ。しかし桐也には『これだけで充分』だと言われているようなものだった。
「舐めやがって……持ってけ全部だ!!」
ガシャコンマグナムにコンバットガトリング、更にミサイルの猛攻撃を黒い仮面ライダーへと発射する。それに対して車輪を投げつける黒い仮面ライダー。
「重要なのは威力じゃない。タイミングだ」
ミサイルを次々と破壊していく車輪。しかし肝心の極大レーザー攻撃は打ち消すことができず、押しとどめるだけだった。
「この野郎!このダメ押しならどうだ!!」
『爆走!クリティカルストライク!!』
爆走クリティカルストライクでレーザーの両リアユニットアームを召喚し、コンバットガトリングと合体させる。これで更に威力アップしたクリティカルインパクト。これなら押し切れると確信した瞬間、
「確信したな、九条桐也」
『マイティ!クリティカルストライク!!』
「なんだと!?」
「言ったはずだ、重要なのはタイミングだと。確かにクリティカルインパクトは最強の技だ。しかしその反面ガシャットのエネルギーを大幅に消費する燃費の悪い技だ。だがタイミングをずらすだけで威力はクリティカルインパクト並み、更にエネルギー消費も少なくなる」
黒い仮面ライダーのライダーキックがクリティカルインパクトを押しとどめていた車輪を押し込む。クリティカルインパクトのレーザー攻撃を切り裂きながら突き進む黒い仮面ライダー。スナイプも更に出力を上げるが時すでに遅し。
黒い仮面ライダーのライダーキックがスナイプのライフゲージをゼロにした。
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「くそっ!なんなのよこいつら!」
「鈴さん!後ろ!」
「嘘っ!?」
倒しても倒しても増え続けるカラスの怪物。合流したラウラのおかげでさっきよりは幾分か戦いやすくなった。というのもラウラ1人で五体ぐらい相手してるんだけど。
「大丈夫か鈴!」
「ったく、守るべき一般生徒に守られて大丈夫なわけないで、しょ!!」
「む、助かる」
今度は箒の背後に現れたカラスの怪物を鈴の青龍刀が貫く。なんだかんだいいコンビじゃないか。
「私を忘れてもらっては困りますわ!」
「失せろ、有象無象が!」
セシリアのブルー・ティアーズとラウラのリボルバーカノンが敵を撃ち抜く。てかラウラは仮面装者じゃなくて普通のレーゲンなんだな。
「大丈夫かのほほんさん」
「ありがと〜オリムー。助かったよ〜」
でものほほんさんは、失礼だが専用機持ちレベルの力はないし、箒のように直感で動くタイプでもない。誰かが守ってあげなくちゃいけない系女子だ。今度は箒たちに失礼になるが、1人でもなんとかしてくれそう系女子とは違うのだ。
「一夏!後で覚えておけよ!」
「一夏さん!何か失礼なことを考えましたわね!」
「後でぶっ飛ばすから一夏!」
「………潰す」
「なんでさ!声には出してないぞ!」
「「「「思ってたんかい!!」」」」
「ごめんなさい!」
かなり危険な状況だがこんなジョークを飛ばされるぐらいは余裕ができた。でも余裕がないのはシャルルについてだ。今だに怪物の頭を千切っては投げ、千切っては投げを繰り返すシャルル。絵面が最悪だ。
何がシャルルをあそこまで駆り立てるのか…後でタイガ先生に聞く必要があるな。それにしてもシャルルのあの動き、若干人間やめてるぞ。あんな無茶な動きをしてたら体を壊しかねない。いや体を壊しても戦いに行くはずだ。
「一か八か……やってみるしかない」
「おい一夏!ぼーっとするな!」
怪物の強烈な一撃を喰らい、壁へと叩きつけられる。更に3匹の怪物が俺の元へと追撃を仕掛けてくる。更に瓦礫が降り注いでくる。
「頼むから、みんな気づかないでくれよ……変身!!」
怪物と瓦礫を払いのけ、紫のクウガ=タイタンフォームへと変身する。てかみんな気づいてないよな?
「未確認生命体……2号」
「何故青ではないのですか!」
「ったく、来るの遅いんじゃない?」
「あれが…噂の」
よかった……バレてない。あとはシャルルの気を引ければ、
「うおおおっ!!!」
「なっ!?ぐううっ!!!」
いきなりパイルバンカーで攻撃してくるシャルル。すまんセシリア、ドラゴンフォームだと多分腹に穴開いてる。でも作戦第一段階は成功だ。あとはなんとかシャルルを気絶させて動きを止める。注意を引ける俺でしか出来ないことだ。
「こいシャルル!お前の全力、受け切ってやる!」
「殺してやる……殺してやる未確認生命体!!」
出来れば戦いたくなかった。でも、お前を絶対止めてやる!
シャルルが未確認生命体に憎悪を抱いているのを利用し、なんとか自分に意識を向けさせた一夏。
焦りから大技を仕掛けるも見事に防がれ、更には会心の一発を喰らいライフゲージがゼロになった桐也。
男性陣がかなりキツイ状況に陥っておる。さあどうする!?
次回は多分タッグマッチ最終回!もしかしたらもう少し続くかも!
一夏vsシャルルでお送りします。
ではsee you next game!