IS 〜バイクと名人とSchoolLife〜 作:無限の槍製
7月1日(土)AM09時……まで残り30秒
「うわあああっ!?遅刻だあ!!」
廊下を凄まじいスピードで駆け抜ける。今まさに遅刻寸前。実はズボンで見えてないけど足だけクウガに変身して駆け抜けている。
例の如く本来土曜日は授業はないのだが、やはりゲーム特訓のツケがここにも回ってきた。全く夜更かしして寝坊した日に限って授業があるってなんなんだよ!
まだ予鈴しかなってないからギリセーフ!千冬姉は本鈴ギリギリで教室に駆け込んでくるから大丈夫なはず!
「到着!!」
「はい遅刻ー」
おかしい。まだ本鈴がなっていないのに鬼教師が仁王立ちで教室にいる。そしてその隣にはミニスカートのシャルル……じゃない、シャルロットが青ざめた顔で立っている。成る程遅刻仲間だな!
俺たちに正体を明かした次の日には女の子として正式にこの学校に入学したことになった。つまり昨日だ。めっちゃ最近すぎて未だにシャルルと呼んでしまう。
「1分でも遅刻は遅刻だ。織斑とデュノアは授業終了後教室の掃除をしておけ。2回目以降の遅刻は反省文提出。5回目以降の遅刻はプラス特別教室行きだ。他の者も分かったな!」
「「はい……」」
しかしシャルが遅刻とは珍しい。後で何があったか聞いてみよう。
「では出席を……おい、九条はどうした?」
「はいは〜い織斑せんせ〜。キリヤんは包帯を交換してから来るって言ってました〜」
のほほんさんは軽く言うがキリヤんの怪我の具合は正直俺たちよりも酷いものだった。タイガ先生も何故あれでその日に意識が戻るのか不思議だって言ってた。
「そうか。ならこれで全員だな。今日は通常授業だな。IS学園生とはいえお前達も立派な高校生だ。赤点など取るなよ」
「ハハハッ、どうして俺を見るんですか」
「お前が一番バカだからだ」
ナチュラルにバカって言ったよこの人。しかし事実なので否定できない。それと最近知ったのだが去年までは中間テストは無かったらしい。それが今年になってから中間テストを追加したと。私聞いてない!!テストを追加したって喜ぶ人は少ないんだぞ!
「それと、来週5日から始まる校外特別実習期間だが、忘れ物するなよ。3日間とはいえ学園を離れるんだ。簡単に取りに帰れると思うなよ。あと自由時間は羽目を外しすぎないように」
話変わって来週の校外実習、つまり海ではしゃぐ……もとい臨海学校が始まる。初日は丸々自由時間。勿論海だからもう皆んなテンション上がりまくり。ぶっちゃけタッグマッチより盛り上がる始末。
因みに俺は水着を買うのがめんど臭い。適当に短パンとアロハシャツ……だとキリヤんとキャラが被るな。しかしまあめんど臭いなんて言ったら鈴とセシリアから色々言われた。面倒だが午後から見に行くか。
◇
7月1日(土)AM11時50分
「自分の遅刻は合法の筈なんだけど?」
授業が終わりガランとした教室に俺とシャルとキリヤんは掃除をしていた。包帯姿が痛々しいキリヤんだが文句を言いつつ掃除をするあたり、根は真面目なのだ。
「遅刻は遅刻なんだとさ。キリヤんは少し休んでてもいいから」
「そうだよ。桐也は怪我人なんだから」
「なーんか、そういう特別扱いもむず痒いんだよなぁ。まあ掃除ぐらいなら手伝うけど」
「そっか。それにしても楽しいな掃除は。特に普段使ってる教室だと尚更」
「そう?一夏って変わってるね」
「変人名人だな」
キリヤんは兎も角シャルあたりなら同意してくれると思ったのに!
「よっこいしょ……おおおっ!?」
「っと!無理すんなよシャルちゃん。机運びは名人がするから」
「俺かよ!まあやるけどさ!」
ていうかそれ岸里さんの机だろ。教科書全部置きっ放しの。本人曰く『机!教科書!ベストマッチ!フルアーマーデスク!』とかなんとか。因みに俺の机は空っぽ。必要な分だけ部屋から持って来るからだ。キリヤんは前に見たときは漫画とゲーム機とノートだけ入っていた。
それはそうと、キリヤん何気にシャルのこと『シャルちゃん』なんて呼んだな。
「あ、そうだ名人。お前水着持ってる?」
「いや、今日買いに行こうかなって」
「なら丁度いいな。シャルちゃんと一緒に買いに行きなよ」
「「え!?」」
◇
7月1日(土)PM00時30分
「ったく、なんで俺が運転手なんか」
「すいませんタイガ先生」
「ありがとうタイガ先生」
現在タイガ先生の運転で疾走中の俺とシャル。どうもタイガ先生も水着がないとキリヤんにボヤいた為、キリヤんが『丁度いいから名人と買いに行きなよ』なんて言ったらしい。
「織斑は兎も角、シャルも水着持ってないのか?」
「うん。臨海学校は休むつもりだったから」
確かに、あのままずっと男のフリをしていたら臨海学校は避けるべきイベントの筈だ。しかし折角の学校のイベントを楽しめないのは良くない。そう考えると早めにバレたのはある意味ラッキーかもしれない。
「ほら、着いたぞ。俺は適当に歩いてるから、2人でなんか買ってこい」
「わざわざありがとうございました」
「ありがとうね先生。そうだ!先生の水着も選んどくね」
「余計なお世話だ。テメェのだけ買ってこい」
そう言って財布から福沢諭吉を2枚取り出すタイガ先生。先生、やっていいことかどうかは置いといてありがとうございます!これでゲーム買ってきますね!
「何嬉しそうにしてる。これはシャルの小遣いだ」
「………」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「………」
「………」
「………」
「もっきゅもっきゅ」
一夏とシャルロットがショッピングモールに入って行くのを陰から見る4人の影。箒、セシリア、鈴、ラウラだ。
そしてその4人を後ろから見守るのは桐也。心の中では『何やってんのあんたら』などとボヤいている。
「何やってんのあんたら」
いや、声に出ていた。
「一夏め、皆んなをを誘わずシャルロットと2人きりで買い物に行くとは!」
「私達も一緒に買い物したかったですわ!」
「なんだって誘わないのよあのバカ!」
「しかし何故花家先生が送迎していたのだろうか」
(あ、これ自分がそそのかしたって言ったら殺されるやつだ)
静かに心の中でこれは秘密にしておこうと決意したキリヤんであった。そして始まる。尾行と言う名のミッションが!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ショッピングモールの水着売り場。そこで一夏と別れて今は1人で水着を見て回っている。どうせなら一夏に選んでもらうのもいいかも。タイガ先生は過保護すぎるから『そんな布面積の小さいやつ付けて大人ぶんな。これにしとけ』とか言ってきそう。
(でも、やっぱりタイガ先生に選んで欲しい気持ちもあるかも)
そう思いながら水着を見ていると何やら騒がしくなってきた。誰かが言い争ってる?
誰だろうと声のする方に行って見ると、
「片付けぐらい自分でやれよ。なんでも人任せだと人間バカになるぞ」
「ふうん、そういうこと言うの。まったく自分の立場を分かってないみたいね」
一夏と女性が言い争ってる……って一夏何してるの!?この世の中女尊男卑の社会になりつつあるのにバカとか言っちゃって!下手したら問答無用で有罪確定だよ!
「こら!何をしてるのかね!」
ほら警備員さん来ちゃったよ!……って、警備員さんも女性ばっか!男の人は1人って心許ない。大丈夫かな?いざとなったら一夏を連れて逃げないと。
「こらこらダメだよ名……うおっほん!!男の子がオバサンにちょっかい出しちゃ」
「お、おばさん!?」
「こほん。貴女も少しは落ち着いてください。いい歳して子供に突っかかるなんてみっともないですよ」
「品がありませんわね」
「これだから女尊男卑に染まってる年増はめんどくさいのよ」
「見た目年齢より老けて見えるぞ」
「な、なんなのよこの警備員!もういいわよ!」
警備員さんたちの説得?に応じたのか女性は去って行く。てか今のは下手したら警備員さんたちも危なかったんじゃ?
「いや〜すみませんねえ。では引き続きお買い物をお楽しみください」
そう言うと一斉に同じ方向に走り去っていく警備員さんたち。なんだったのだろうか。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「いやー危なかったな。エナジーアイテム『モノマネ』がこんな時に役立つとは」
「あんた思いっきり名人って言おうとしたでしょ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「さっきは災難だったね」
「全くだよ。どうしてこうもトラブルに巻き込まれるのか」
水着を選び終わりタイガ先生を待つ俺とシャル。さっきは変な女に絡まれるし大変だった。でも警備員さんも話のわかる人たちで助かったぜ。
「あ、あれタイガ先生じゃない?隣にいるのって……織斑先生!?」
「え"え"!?」
思わず変な声を出してしまった。遠目からもわかる白衣姿のタイガ先生の隣にはビシッとサマースーツを着こなす千冬姉がいた。何やら買い物袋を大量に持たされているタイガ先生に満面の笑みの千冬姉。なんとも奇妙な光景だ。
「おう、お前ら。教室の掃除はご苦労だったな」
「買い物は終わったのか?」
「僕は買いたいものは買ったけど。一夏は?」
「俺も欲しいものはあらかた………いや、まだ買ってないのがあった。悪いけど先に帰っててくれシャル」
「そう?分かったよ。先に帰ってるね。それじゃあタイガ先生送迎よろしく!」
「よろしくお願いします花家先生」
「ったく、ほら帰りの電車賃だ」
わざわざ電車賃をくれるタイガ先生。こんな兄ちゃん欲しかったなぁ。千冬姉は小遣いケチるし。
その後3人を見送った後とある店に入った。目当てのものは……あったあった。値段も丁度いいし、喜んでくれるよな箒。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
7月4日(火)PM11時00分
幻夢コーポレーション・社長室
「遂に完成した!ギリギリチャンバラ!」
「やっとですか。随分と時間がかかりましたね」
「レーザーは特殊だからね。それなりに試行錯誤したのさ。さああとはうまく乗りこなしてくれよ」
◇
同時刻、グロンギのアジト
「次は俺が出る」
「……本気か?お前の出番はもっとあとだぞ?」
「勘違いするな。ゲゲルをするのではない。クウガと仮面ライダーを倒しに行く」
「ハハッ、活気盛んだなガドル」
「お前も呑気に過ごしていると足元を掬われるぞダグバ」
「そうだな。んじゃ俺もついてくよ。ハハッ心が躍るなぁ」
「全く……何故『ゴ』の奴らは問題児ばかりなのだ」
◇
同時刻、IS学園・桐也と本音の部屋
「明日は海だねぇキリヤん!」
「楽しそうだな本音。自分は浜辺で優雅に過ごさせてもらうよ」
(それはそうと……明日は何も出てこないよな。バンバンシューティングもジェットコンバットもエネルギー充填が完璧じゃないって木綿季さん言ってたし。変身はできて一回だけか)
「キリヤん?どうしたの?」
「え?ああ、いやなんでもないよ」
「ねえキリヤん………無茶だけはしないでね」
「………分かってるよ。本音に心配はかけない」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「よお箒。こんな時間まで練習か?」
「なんだ一夏、お前も起きていたのか」
シャルが女だと分かってから1人部屋となった俺は時間を潰すために寮の休憩室でまったりしていた。そこに現れたのは箒だった。剣道の自主練をしていたのかうっすらと汗をかいている。
「む、なんだ一夏。そうジロジロと見るな」
「え、ああ悪い。なんだかお前と2人きりって久し振りだなって」
「それもそうだな。まあここ最近も色々あって語らう時間などほとんどなかったからな」
それもそうだ。最近は無人機に謎のカラスの怪物、シャルが暴走したり、キリヤんとラウラのコンビにボコボコにされたり。未確認との戦いも激しくなっていくし。まともに休める時間がなかった。
「正直疲れが溜まってるよ」
「だろうな。顔を見れば分かる。最近よく眠れてないんじゃないか?」
「え、そんなに顔に出てる?」
「どれだけお前の顔を見てきたと思ってる。それぐらい分かる」
なるべく疲れは顔に出さないようにしたつもりだったが、まさかバレてたとは。いや〜流石箒。中々の観察眼だ。
「その……なんだ。大変なら、私達を頼れ」
「え?」
「お前の重荷を全て背負えるわけではない。だが支えることぐらいなら出来る。だから頼れ。誰にでもそれは許されることなんだ」
そう言われた瞬間、俺は声に出そうとした。
『実は、俺がクウガ、未確認2号なんだ』と。
でもそれが箒に聞こえることはなかった。怖かった。それを伝えたら拒絶されるんじゃないかって。また箒と離れ離れになるんじゃないかって。それが怖かった。
「おう、いざって時には頼らせてもらうぜ!」
ダメだ。箒やみんなに頼っちゃ、みんなを危険にさらしてしまう。
「ああ、いつでも頼ってこい!」
ダメだ。そんなことをそんな笑顔で言われたら……
「んじゃ寝るな!箒も早めに寝ろよ。明日は海なんだからな」
「ああ、おやすみ一夏」
休憩室を後にし部屋に戻り、俺はベッドに倒れこんだ。そこから後はよく覚えていないが、朝起きると枕が少し濡れていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
やがて戦いが始まる。
兎が仕掛ける陰謀に、白き翼と紅き翼が海を駆ける。
そして黒き強戦士に、赤き戦士と最速の侍が挑む。
波乱の臨海学校が始まる。
みんなに頼れば戦いに巻き込んでしまうと考えてしまう。それが怖くて1人で抱え込みがちになり始める一夏。
表向きは飄々としているが、裏では色々心配する桐也。
そして戦いは前半戦の山場!いきなり『ゴ』の殴り込み。ギリギリチャンバラの完成。そしてまさかの箒と鈴の対決?
次回はこんな感じで、どうすっか?
ではSee you Next game!