IS 〜バイクと名人とSchoolLife〜   作:無限の槍製

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密着取材的な?


第36話 密着!生徒は見た!先生の1日!

8月8日(火)

 

本日は、一部の生徒の証言から判明した、3人の先生の1日を追っていこうと思う。

 

 

AM04時30分

 

織斑先生の朝は早い。今は夏休みで生徒は休みとはいえ、先生にとっては休みではない。休日にもやることはあるのだ。

織斑先生はそんな1日をまず朝のランニングからスタートする。

 

と、その前に。

 

「……また入ってきたのかコイツは」

 

織斑先生が布団をめくると、そこにはネコのパジャマを着たラウラ氏が丸まっていた。彼女が転校してきてから一ヶ月後、つまり臨海学校の前ぐらいから織斑先生の布団に入ってくるようになったらしい。

 

ラウラ氏曰く『家族になれば仲良くなれると一夏から聞いて。家族といえば添い寝とクラリッサから聞いて』らしい。

これに関して一夏氏は『どうして千冬姉と仲が良いって聞かれたから、それは家族だからだ、って言ったんだよ』

 

寒い冬なら織斑先生も考えたが、時期は夏。一緒のベッドで寝るには暑苦しかった。よって織斑先生は部屋のセキリュティーを色々といじったが、ラウラ氏には通用しなかった。

 

「おい、起きろ」

 

「……ん…」

 

「クソッ………可愛い」

 

ラウラ氏に布団を被せると織斑先生は着替え始める。いつものスーツではなく、動きやすいジャージだ。それも織斑先生の大好きな俳優『霧ヶ峰藤五郎』のファンクラブ限定直筆サイン入りジャージ。これが汚れると恐らく次の日にはIS学園は存在しない。

 

「よし、行くか」

 

織斑先生のランニングコースはかなり長い。IS学園がある人工島、二週らしい。距離はフルマラソンよりも長い。それを日課にしているのだ。そりゃあ人間やめれるわけだ。

 

因みに織斑先生が走っているとすれ違う部活は必ず道を開ける。何故なのか聞いて見たところ『織斑先生の顔が死にそうだから道を譲らなくてはいけない気がして』らしい。

つまり、織斑先生もまだ人間だった。

 

 

AM06時30分

 

花家先生の朝は、まずゲームのログインから始まる。一通りのゲームにログインしておかなくては気がすまないのだ。いつメンテナンスがあるか分からないから時間が少しでもあるうちにログインする。これは九条氏の言葉である。

 

「まだログインしてないのかアイツ……今日は9時からメンテだぞ」

 

フレンドの管理も日課になっているようだ。彼自身元医者であった為に、フレンドが長い間ログインしていないと心配になるのだ。

 

ベッドから降りてテレビをつける。この時間はいつものニュースを朝ごはんの時間まで眺めている。

花家先生はいつも寝間着の黒いTシャツに迷彩柄のズボンに保健室の白衣をまとっている。つまり今は黒いTシャツと迷彩柄のズボン。起きてから夜お風呂に入るまで着替えないのだ。単に面倒くさがりである。

 

『それでは、今日のラッキージャンケン運試し〜!ジャンケンに勝てば、良いことあるかもよ?それじゃあ、ジャンケン…』

 

「ぽん」

 

「ポオオオオンッ!!!」

 

「うわあっ!?」

 

ドアを勢いよく開けたのは、シャルロット氏。手はチョキになっている。因みにテレビのアナウンサーはグー、花家先生はパーになっている。

 

「タイガ先生、また寝起きの格好でウロウロするつもりでしょ!寝ている間にも汗かいてるんだから着替えてよ!」

 

「うるせえなぁ……別にお前が困ることないだろ」

 

「困るよ!……だって、最近先生………臭いよ?」

 

「!?」

 

まさかの生徒からの臭い宣言。花家先生のHPはゼロになった。

 

「これ借りてくね〜」

 

シャルロット氏はパーティーゲームを回収すると部屋から出て行った。部屋にはお天気お姉さんの声だけが響いていた。

 

 

AM09時50分

 

先生が全員早起き、というわけではない。

現に更式先生は今起きたところだ。未だに寝ぼけ顔。髪もボサボサ。でも部屋はキッチリ片付いている。

 

「………眠い」

 

目をこすりながらゲームを起動する。彼女もまた朝起きたらログインする人間である。そしてそのままプレイするので時折他のゲームにログインすることをすっぽかすことがある。その都度時が戻ればいいのに、と考えるらしい。

 

「んげ!?今日9時からメンテじゃない!!もーなんで言ってくれないのよタイガ先生は!!」

 

1人嘆く更式先生。そんな彼女の部屋をノックする音が響く。

 

『おい木綿季、起きてるか?』

 

「千冬?今起きたとこ」

 

『さっさと朝ごはん行くぞ』

 

ハイハイと部屋を出ようとする。しかしこの時彼女は気づいていなかった。自分の格好に。上は白いシャツ、下は履いてなく下着が丸見えだ。更にタイミングが悪いことにこの部屋を通り過ぎる2人がいた。

 

『おはよう千冬姉』

 

『ういっす織斑センセー』

 

一夏氏と九条氏である。実は更式先生の部屋は一般生徒と同じ並びにある。そして2人が食堂に向かうのに必ず通る道でもある。

 

『おはよう2人とも。今日は早いんだな』

 

『たまには男2人で出掛けようぜって』

 

『こういう付き合いも大事なんだよ』

 

この会話が聞こえた瞬間に、やっと自分の姿に気がついた更式先生。しかし部屋の自動ドアは無慈悲にも開いてしまう。その瞬間2人にもこの姿が見えてしまった。

 

「あ…」

 

「ええっ!?」

「木綿季さんはもうちょっと周りの目も気にしなよ?」

「馬鹿め……」

 

「もう!見ないで変態ッ!!」

 

ではここで臨海学校開始前の九条氏と更式先生の会話を思い出そう。

 

『結構飛ばしてきたからな。もう肩バッキバキ。もう少し痩せた方がいいんじゃない?』

 

『そう?これでもスタイルには自信あるんだけど』

 

九条氏がここでセクハラまがいの発言をしているが更式先生はサラッと流している。つまりこの変態扱いされているのは一夏氏だけである。

 

「それ、ひどくね!?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

AM11時50分

 

織斑先生は書類をまとめ、花家先生は基本保健室でカルテをまとめている。更式先生は外へ外出中だ。そんな3人が同じ時間に集まる。それはお昼ご飯の時間である。

 

 

「今日もカレーか?九条もロコモコばかり食べるが、お前もカレーばかり食べるな」

 

「ここのカレーが美味しいからよ。それに花家先生だって最近Bランチばっかりよ」

 

「これは健康的な定食だからな。お前みたいに偏ってない」

 

織斑先生はキツネうどん、花家先生はBランチ、更式先生はカツ&唐揚げカレーを食べている。因みにこの3人が同じテーブルを囲んで食べているのは珍しい光景でもない。この3人プラス山田先生が食事をしていることもある。

因みに山田先生は実家に帰省中だ。

 

「ああ!またカレーをバカにしましたね!そういう人にはカレーのお裾分けです」

 

「あ!テメェ俺のエビフライにカレーかけやがったな!」

 

「食べてみてください」

 

「たくっ…………美味い」

 

「ですよね!ほら千冬もカレーを味わえ〜」

 

「黙れ、うどんにかけるな、インドに帰れカレーの化身!」

 

この生徒のような男女のやりとりを羨ましそうに眺める他の生徒たち。それもそのはず。何よりこのIS学園は女子校。今でこそ一夏氏と九条氏、花家先生がいるから普通だが、本来ならこんなやりとりは普通できない。

 

「しつこい奴には……ほらうどんの出汁だ」

 

「いやああっ!!カレーがうどんに侵されてる!!」

 

「バカばかりだ……」

 

などと言いながらも、きっと心の中ではここが心地いい居場所なんだと思っているに違いない。花家先生はそんな人だ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

PM04時40分

 

仕事がひと段落し、それぞれがそれぞれの休息の取り方をする。

 

 

『月に代わって……成敗いたす!』

 

自室のテレビで霧ヶ峰藤五郎のドラマを見る織斑先生。しかもポテチを食べながら。最早晩御飯の支度前のお母さんである。

 

『またつまらぬモノを切ってしまった……か』

 

「カッコいいな………」

 

そして何を思ったのかベッドの上に立つ織斑先生。手には通販で買った安い木刀。980円の木刀と自慢していた。

そして木刀を構えて、

 

「魑魅魍魎跋扈するこの地獄変。織斑千冬はここにいる。さあさあ、罪を認めぬ愚か者や……月に代わって……成敗いたす!」

 

決め台詞と同時に木刀をふるう織斑先生。部屋にラウラ氏が訪れたのも知らずに……。

 

 

「なんだかんだ余ったな…」

 

他の先生のお土産のチーズケーキを食べていた花家先生。しかし思った以上に量が多く、1人では食べきれなかった。男が手をつけたモノを食べる女子はあまりいないと思う。それならと男子2人の元へ行こうとするが、

 

「そういや、今日は2人で出かけるって言ってたな…」

 

2人は今日はいないことを思い出す。それならと、最後の望みをかけて一つの部屋を目指す。その部屋からはテレビの音が少し聞こえるから住人はいるのだろう。そして花家先生はついいつもの癖でノックをした後、すぐにドアを開けてしまった。

 

「いるかシャル」

 

「いつもキラメク7つ星!狙った相手にシューティング!悪い子にはパイルバンカー!そう、オレンジの疾風をまといし私こそ!疾風魔法少女、マジカルシャルちゃん!なんダゾ!」

 

「………」

 

ベッドの上で決めポーズをするシャルロット氏。きっと花家先生には気づいている。7つ星のところから気づいている。それでも止まらなかった。止まれなかった。だからこそ花家先生はこう告げる。

 

「止まるんじゃねえぞ」

 

「早く出てってーーー!!!」

 

 

「ん?今シャルちゃんの部屋から叫び声が……ま、いっか」

 

部屋で恋愛ゲームをする更式先生。絶賛女の子攻略中である。現在のシチュエーションは『もうすぐ大会が迫っているなか、中々タイムが縮まらない女の子を励ます』王道シーンである。

 

『もうダメよ。私は……あの大会に出ない。出るだけ恥をかくだけなのよ!』

 

「なんだこいつめんどくさい奴だな……やっぱ前の女の子の方が素直で可愛かったな」

 

・そんなことはない!大会ならきっと実力がだせるさ!

・だろうな。恥をかくだけだ。やめとけ。

・そんなことより飯食いに行こうぜ。

 

「この選択肢……これか」

 

『そんなことより飯食いに行こうぜ』

 

『そんなこと?そんなこととはなによ!人が真剣に悩んでるのに!』

 

『だから、悩む暇があるなら飯食おうぜ?練習終わったなら、あとは飯食って寝る!……お前は優柔不断なんだから、勢いに任せとけ。それに恥かくのもいい経験だろ?恥で終わらせたらそこまでだ。それを次のバネに活かせるかどうかが大事なんだから』

 

『………君は、ホントサラッとそういうこと言うね』

 

ー彼女の好感度が上がったー

 

「…………早く『ときめきクライシス』作ってくれないかな社長」

 

どんなにクソゲーでも最後までクリアする。それが更式先生だ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

PM10時50分

 

さて、ここまで先生方の日常を記してきたが、分かる人には分かっているだろう。お昼ぐらいから適当になっていると。ぶっちゃけめんどくさい。これも部長に言われなかったらやってない。

 

「お、ちゃんと書けてるね」

 

「部長に言われましたから。それにしてもここまで書いて後はどうするんですか?」

 

「特に決めてないわ。まあ残しといたらいざという時にネタに困らないでしょ」

 

「あとは就寝の部分なんですけど……私行きたくないです」

 

「え?どうしてよ」

 

「更式先生は兎も角、後の2人は命の危機を感じます」

 

「なるほどね……でも甘いわ!そんなんじゃ新聞部部長の座は渡せないわ!」

 

「いらないです」

 

「ま、ここは部長の私が本気を見せるしかないわね……じゃ、行ってくるZE!」

 

 

織斑先生は夜23時前には寝ている。ラウラ氏は恐らく日付が変わってから潜入しているらしい。

 

「誰だ貴様!」

 

「なんだとっ!!」

 

朝は恐らく寝ぼけて私には気づいていなかったみたいだ。流石お婆ちゃんから教わった忍術だ。

 

 

次に花家先生。

潜入しようとしたら部屋の前にシャルロット氏がいたらしい。

 

「今一夏と桐也とタイガ先生、ゲームで疲れて寝てるから。また今度お願いします」

 

流石花家先生の正妻だ。華麗に部長を撃退した。

 

 

最後に更式先生。

部屋に入ると、目が血走った更式先生がゲームをしていた。ブツブツと『イベント……イベント……』と呟いていたらしい。

その後、目があった更式先生に引き込まれて部長は夜通しゲーム地獄を味わったらしい。

 

 

以上、就寝時間が適当になったが、これが先生たちの日常である。

私は今から部長の看病があるので、これで失礼します。




ええ、途中から適当になりました!本当にすまない。思えばこういうのは普通の学校の日を書くのが一番ですね。

今回密着していたのは所謂謎キャラ。今後もその存在が出たり出なかったり?忍術を使ってたため千冬たちには気付かれず密着取材的な何かが出来てました。つまりこの謎キャラが最強……!

次回から遂に『平成ジェネレーションズ編』に突入!と言いたいところですが、その戦いにつながる前日談をまず書いていこうかなと。

ではsee you next game!

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