IS 〜バイクと名人とSchoolLife〜   作:無限の槍製

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お久しぶりです。いや仕事とかロシアで戦ったりとかGGOでデスゲームしたりとか忙しく中々更新出来ませんでした。すまぬ!

今回は夏休みほのぼの編のラストだ!何故かって?次回からまたバトルだからだ!


第46話 夏を騒がす乙女達

8月21日(月)AM10時40分

 

「……………」

 

日差しが照りつける中、その表札を見つめる箒。『織斑』と書かれたそれを何度も確かめる。ここの訪問が初めてではない箒。しかし一夏の彼女となってからは一度も来たことはなかった。

 

(大丈夫、大丈夫だ……今日は家にいると言っていたではないか。いつでも遊びに来いと言っていた。ならば大丈夫、大丈夫だ…)

 

何度も何度も自分に言い聞かせる。しかし変に緊張しているのかずっと表札とインターホンと睨めっこしているだけだ。

 

(しかし、何と言って切り出せばいいものか……『来ちゃった♪』………いやいや無理だ。そんなこと言えるのはシャルロットぐらいだぞ!)

 

「何やってんだ箒」

 

「待て一夏。今お前の家にどうやって入ろうかと…………え?」

 

「よお、祭り以来だな」

 

「う、うえええって??!?!」

 

「お、おう?大丈夫か?暑さでやられたんじゃないか?」

 

いきなり後ろから声をかけられ、自分でも何を言っているのか分からなくなる箒。そこにはレジ袋を下げた一夏が立っていた。

 

「そ、そのだな!べ、別に不法侵入しようとしたとかそんなことはないぞ!うん!ちゃんとインターホンを押そうとしてたからな!うん!」

 

「………まあ、そういうことにしとくよ」

 

「ほ、本当なんだぞ!」

 

実は箒がインターホンと睨めっこを始めた頃には一夏はすぐそこまで帰って来ていた。そしてインターホンと睨めっこをしている箒を『何やってんだアイツ』と遠巻きで見ていたのだ。

 

「ここに立ってるのも暑いだろ。ちょうど飲み物買って来たところだからさ。上がってけよ」

 

「い、いいのか!?」

 

「おう、今日はみんな来てるし」

 

みんな来てる。箒はその言葉で今一夏の家にいるメンバーをだいたい察した。というよりも家の中から桐也と鈴の声が聞こえてくる。恐らくゲームをしているのだろう。

 

「ただいまー。箒も来たぞー」

 

「おかえりオリムー。いらっしゃ〜い、しののん」

 

一夏に続いて家に入る。玄関にトコトコと歩いて来たのは本音だった。その格好はIS学園の寮で生活している格好。つまり着ぐるみだ。しかも髪の毛もボサボサ。箒はもしやと怪しむ。そして一夏の発言で箒のもしやは現実となる。

 

「やっと起きたのかのほほんさん。顔は洗ったのか?」

 

「うん、ばしゃばしゃしてきたよ〜」

 

「ばしゃばしゃって……洗面所濡れてないよな……?」

 

「い、一夏!やっと起きたのか、とは……もしかしなくても、泊まったのか?」

 

「ん?ああ、昨日から4人泊まってるぞ」

 

頭の中で4人の姿を思い浮かべる。桐也、鈴、本音は確定だろう。そうなるとあと1人は一体誰なのだ?

そんな箒の疑問はリビングに入ると解決された。

 

「ラウラ!お前帰ってきていたのか!?」

 

最後の4人目はドイツに一時的に帰国していたラウラだった。そんなラウラの格好は黒猫のパジャマだった。

 

「む?まさか本妻がやって来るとは。少し邪魔しているぞ」

 

「ほ、本妻!?」

 

「そりゃあ名人の嫁だからな。いずれここも名人と箒の愛の巣に」

 

「あー……なんか一夏を旦那にするより、箒を嫁にした方が楽しそうだわ」

 

ニヤニヤしながら話す桐也と鈴。しかしそんな時でもゲームをする手を止めなかった。今2人がしているゲームは対戦格闘ゲーム。桐也の操る女性キャラが鈴の操る男性キャラにコンボを決めていく。やがて勝負は桐也の勝ちで幕を下ろす。

 

「んで今からデートか?」

 

「い、いやそんなことはない。今日も偶々だ」

 

「ふーん……ま、今日はみんなで遊ぼうぜ。この後セシリーとシャルちゃん来るからさ」

 

「セシリー?ああ、セシリアか。今まで普通に読んでいたじゃないか。何故いきなりセシリーなどと」

 

「いや少し前にアイツがあだ名で呼んでほしいとか言ってきたからさ。ずっと考えてて、今思いついた」

 

「ていうか、なんでセシリアに対しては最初からあだ名じゃなかったんだ?」

 

一夏が桐也に尋ねる。確かに桐也は一夏を名人、鈴をリンリン、シャルロットをシャルちゃん、ラウラを隊長さんと呼ぶ。普通に名前を呼んでいたのは箒、セシリア、本音だけだった。

 

「それはまあ……アレだよ。自分にも色々とあるわけ」

 

「単に思いつかなかっただけじゃないのか?」

 

「ハハッ、そうそうソレソレ」

 

適当にはぐらかす桐也。鈴はそれが少し気になった。

 

「それよりそろそろお昼じゃないか?自分腹減っちまった」

 

「それもそうだな。ちょっと軽く作るか」

 

台所へと移動する一夏。なんだかんだ夏休みになっても集まるメンバーはいつもと同じだった。

 

 

「お邪魔しまーす。みんな久しぶりー」

 

「お邪魔します。みなさんお久しぶりですわ」

 

シャルロットとセシリアがやってきたのはちょうどお昼過ぎの時だった。丁度一夏の作った昼ごはんを食べ終わり、一夏と桐也が皿洗いをしていた頃だった。

 

「おお、久しぶりだな。ってこんな格好で悪いな」

 

「久しぶり一夏。ううん、こっちこそ押しかけちゃってゴメンね」

 

「ケーキを買ってきましたの。丁度みなさんお昼ごはんを食べ終えた頃だと思いまして。食後のデザートとしてお召し上がりください」

 

セシリアが皿洗いを終えた一夏に紙袋を手渡す。それは最近美味しいと話題のデザート専門店『シャルモン』のケーキだった。

 

「わざわざありがとな。早速食べるとするか。おお、美味そうだな!今日は暑いし、アイスティーいれるよ」

 

新しい食器を用意する一夏。その間に桐也と本音がケーキを確認する。イチゴのショートケーキにチーズケーキ、洋梨のタルトなど様々なケーキがそこにはあった。だらしなくヨダレを垂らす本音をケーキから引き剥がし、お皿にケーキをのせていく桐也。

 

「なんか………男どもの方がよく働いているような……」

 

「うむ……私たちの女子力の低さといったら……」

 

「女子力?そんなものより筋力の方が必要だ」

 

「キリヤんは〜よく出来た私の嫁なのだよ〜」

 

「それ、普通逆だから」

 

ツッコミながらもケーキをリビングに持ってくる桐也。並べられるケーキに女子たちは目を輝かせる。

 

「はーいアイスティーお待たせー」

 

アイスティーを持ってきた一夏。既にみんなは各々が食べたいケーキを確保していた。偶然にも誰とも被らず、一夏も食べたいケーキが残っていた。

 

「それじゃあ、いただきまーす」

 

各々ケーキを食べ始める。すると全員が全員驚きの表情を見せる。口の中に広がる甘さ、クリームの溶けていく感触、スポンジのふんわり加減など、どれもこれもが滅多に経験できないものと感動していた。

 

「うん、美味なコレ!家で作れないかな……」

 

「一夏さんがお料理上手でも、さすがに難しいでしょう。何せ『シャルモン』のシェフ『凰蓮・ピエール・アルフォンゾ』さんは国際大会で受賞経験のあるお方ですから」

 

えへん、と自らのことのように誇らしげに語るセシリア。そんな話を聞きながら、桐也はふと思ったことを口にした。

 

「なあセシリー。今日のレジ担当の特徴分かるか?」

 

「レジ担当ですか?………ええっと、メガネの男性でしたわね」

 

「城之内、まだバイトやってたのか………いや、それが聞けただけ十分だよ」

 

ふっ、と自分だけ納得したように笑う桐也。それを桐也を除くみんなは不思議に思っていた。

 

 

「さて、これからどうする?外は暑いし、出来れば中で過ごしたいけど」

 

時刻は14時50分。ケーキを食べながら談話をしていたらいつのまにかこの時間になっていたのだ。

 

「じゃあさ、バルバロッサやろうよ!」

 

鈴がカバンから取り出したのはバルバロッサと呼ばれるゲームだった。カラー粘土で何かを作り、それを当てていくゲームだ。昔はよく鈴とこれで遊んだものだ、と思い出に浸る一夏。

 

経験者の一夏と鈴は最初説明役に回るということで、ゲームが始まった。

そしてみんなが粘土を完成させ、シャルロットがサイコロを振り、ゲームが開始される。

 

「えーと、1、2、3っと」

 

「私は……質問マスか。よし、ラウラに質問するぞ」

 

「ふっ、受けて立とう」

 

「ちなみに回答は『はい』『いいえ』『わからない』の3つね。『いいえ』を出されるまで質問できるから。まあ初めは大分類がお得ね」

 

鈴の説明を聞きながら、ラウラの粘土を見る。それは円錐状のなにかで、全く見当がつかない。

 

「それは地上にあるものか?」

 

「そうだ」

 

「人より大きいか?」

 

「当たり前だ」

 

「ビルより小さいのか?」

 

「いや、巨大だな」

 

「…………分かったぞ!!」

 

箒とラウラを除く参加者が驚きの表情を浮かべる。この変に威圧感を放つ円錐状のなにかが分かると。箒はそう言ったのだ。

 

「答えは………山だ!」

 

「ほう、正解だ」

 

ええー!?、と更に驚きの表情を浮かべる参加者。山にしては尖った造形にしたラウラもだが、それを当てられる箒は一体何者なんだと、心の中で思う。

 

その後も、

 

「ボロ雑巾か?」

「違いますわ!キリヤんさん失礼すぎません!?」

 

「これは桃まんよ!」

「げっ、桃まんかよ。水餃子じゃなかったらシューマイだと思ったのに」

 

「あ、お馬さんだ〜。作るの上手だね〜」

「ありがとう、本音。なんだか照れちゃうな……」

 

などとわいわい騒ぎつつ、楽しい時間はあっという間に過ぎていった。

 

 

「みんな寝ちまったな」

 

「だな」

 

時刻はPM23時49分。もうすぐ日付が変わる。

あの後、みんなで夕食を共にし、今現在一夏と桐也を除き熟睡している。遊び過ぎた反動だろう。それを確認した2人はたまには男同士腹を割って話そうとソファに座っていた。

 

「んじゃ早速聞くけど、お前箒とどこまでいったんだよ」

 

「どこまでって………まだデートもしてない」

 

「おいおいもう夏休み終わるぞ?一回ぐらい行けよ」

 

「うん……でも未確認とかいるし、俺もそんなに遊んでらんないし」

 

「遊べる時に遊ばねぇと後悔するってよく言うだろ?未確認が出たら自分に任せとけって。タイガ先生も元気になったんだし」

 

「…………うん」

 

「そんでそのデートの最後には勿論………悪い電話だ」

 

桐也の会話を遮るように、携帯から着信音が流れる。通話するために席を外す桐也。仕方なく一夏はテレビをつけた。

 

「まあ、確かにデートしないとな………明後日ぐらい、いや急すぎるか」

 

テレビを見ながらデートプランを考える一夏。しかし次の瞬間、一夏の頭の中からデートのことは消えることになった。

 

「おいおい………マジかよ」

 

「なあ、名人。ちょっと悪いんだけど自分帰る……ってどうした?」

 

「悪いキリヤん。俺明日から長野に行ってくる」

 

今現在、テレビで流れている記者会見。

 

その内容は、

 

『長野で発見された古代遺跡の調査の完了と碑文の解析』についてだった。




こうしてやっと碑文とか遺跡とかクウガらしさを出していくスタイル。そして次回は新キャラ続出です。バトルのとこまで書けたらいいな〜。

ではsee you next game!

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