IS 〜バイクと名人とSchoolLife〜   作:無限の槍製

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すまない、バトルまで書けなかったよ!


第47話 闇に覆われた日

8月22日(火)PM00時30分

 

電車に揺られること約3時間。俺は長野県諏訪市にやってきた。理由は前の話を見てくれ。

荷物の用意やみんなへの言い訳、千冬姉からお小遣いをもらいにIS学園までドラゴンフォームで跳んでいったり、色々あったがなんとか諏訪までたどり着いたぞ。

 

さて、俺はここ諏訪市についてよく知らない。道なんて全然知らない。地図を見ても迷子になるのがオチだ。俺はそういう人間だ。

ということでこの諏訪市についてよく知る人物に案内してもらうことになった。

 

「あ、いたいた!おーい一夏くん!」

 

「歌野さん!お久しぶりです!」

 

この人は蒼崎歌野さん。千冬姉の中学時代からの友達。俺も会うのは久しぶりだ。古代の遺跡だの文明だの黒魔術だのよく聞かされた。それと何故か農業の話も。

 

「いやー一夏くんが再び古代遺跡に興味を持ってくれるなんてね!昔は目をキラキラさせながら聞いてたのにね!」

 

「そうでしたっけ?あ、でも農業の話はよく覚えてますよ。俺も畑手伝いに行ったりしましたし」

 

「懐かしいわね〜。あの頃は私に一夏くん、千冬の3人で畑を耕したわね」

 

そう言いながら車に乗り込む歌野さん。ナビを操作する手つきは妙に慣れている。っていうか、

 

「確か碑文の解析してたの、歌野さんの研究所ですよね?え、なんでカーナビ操作してるんですか?家に帰るようなもんでしょ!?」

 

「気にしないの!さあ、レッツゴーよ!」

 

どうやら方向音痴は治ってないようだ。

 

 

研究所に着いた。昨日の記者会見の後から片付けてないのか、妙に散らかっている。それでも机の上の資料だけは綺麗にまとめられていた。

 

「座れるところに座っといて。それと勝手に読んでいいから。ちょっと準備してくるね」

 

そう言って奥の部屋へと入っていく歌野さん。読んでいいなら読ませてもらおう。

 

机の上の資料はやはり古代遺跡の調査結果と碑文についてだった。調査が行われていたのは知っている。俺も行こうと思ったのだが、未確認やら代表戦やらで行けなかった。

 

遺跡はおよそ2000年前のものらしい。となると……今が2017年だから……西暦17年に存在したことになる。西暦17年とスマホで調べてみるが特にヒットしない。まあそんな昔の物が今になって出てきたんだ。当たり前っちゃ当たり前だな。

 

「この文字………確かクウガに刻まれてる」

 

「へぇ、一夏くんクウガ知ってるんだ」

 

「うええっ!?歌野さん、驚かさないでくださいよ!!」

 

「ソーリー。ちょっとこっちに来てくれる?」

 

歌野さんに連れられて奥の部屋へと入る。中には巨大な石像が鎮座していた。形的にクワガタみたいだ。その隣に置かれていた石板を持ってくる歌野さん。意外と力持ちだな。

 

「この石板。所々欠けちゃって読めないところがあるんだけどね。読めるところを何とか翻訳したのよ」

 

「なんて書いてあったんですか?」

 

「とりあえず単語を並べていくと『リント、グロンギ、クウガ』なの。何となく文章にしてみると」

 

「『リントはグロンギを倒すために、クウガを作り出した』ですか?」

 

「アメイジング!!凄いじゃない一夏くん!まさか読めちゃうなんて!とんでもない逸材が私の身近にいたのね!」

 

「ど、どうも……」

 

俺自身、何故読めるのか分からなかった。可能性としてクウガの力。いや正直これしか思いつかない。

 

「それで、そこから色々調べてみたんだけど。この『リント』が今風で言うと『人間』にあたるの。『グロンギ』は『未確認生命体』、『クウガ』は『未確認生命体2号』なの」

 

「つまり、昔の人が未確認を倒すためにクウガを生み出した、ってことですか?」

 

「昔からあんな怪物が暴れていたなんて。アンビリバボーだよ」

 

更に別の石板を持ってくる。今度は更に欠けていて読めない。文字も恐らく一文字二文字だ。

 

「で、こっちの石板には『ゲーム』、『闇』って単語は分かるんだけど、あとが分からなくて。今もこの調査中」

 

ゲームに闇………まさか超古代のデュエリストが!?いや冗談はさておき。ゲームからどこをどうして闇につなげるのか。まるで失敗した伝言ゲームだ。

 

「他に碑文は無いんですか?」

 

「やっぱりこんな小さな研究所じゃ、綺麗に読める碑文は貸してくれなくてね。そこの部分は大きな研究所に持ってかれたんだけど」

 

「けど?」

 

「ちゃーんと!データは残してあるわ!コッチよ!」

 

パソコンの前に座る歌野さん。その横から覗き見る。デスクトップに農業王と書かれている。

USBメモリを差し込み、ファイルを開く。

 

「データだけ勝手にもらって来たわ。これが発見された碑文で一番綺麗なものだった」

 

そこに書かれていたのは長文だった。

 

『邪悪なるものあらば希望の霊石を身につけ炎の如く邪悪を打ち倒す戦士あり』

 

『邪悪なるものあらばその技を無に帰し流水の如く邪悪を薙ぎ払う戦士あり』

 

『邪悪なるものあらばその姿を彼方より知りて疾風の如く邪悪を射抜く戦士あり』

 

『邪悪なるものあらば鋼の鎧を身につけ地割れの如く邪悪を切り裂く戦士あり』

 

多分上からマイティ、ドラゴン、ペガサス、タイタンフォームに該当するんだろう。でも最後の文がどれに該当するのか分からなかった。

 

『聖なる泉涸れ果てし時、凄まじき戦士雷の如く出で太陽は闇に葬られん』

 

凄まじき戦士……雷の如く……今度は手から電気を飛ばすサンダーフォームか?……いや違うな。それと太陽は闇に葬られん、って言うのも気になる。てかどれもいいワードには聞こえないんだが。

 

「闇……ここでもその単語か。歌野さんはどう思います……歌野さん?」

 

「一夏くん、天気悪くなって来たわよー?今日は晴れるって聞いたのに」

 

「もう、人が碑文読んでる時に何天気の様子を伺って………」

 

外を見てみると確かに空は曇っていた。でもそれは普通の曇り空って言うよりは、

 

「『太陽は闇に葬られん』………まさか!?」

 

俺は急いで研究所を出て白式を起動させる。片道3時間かけた道をあっという間に駆け抜けた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

8月22日(火)PM00時30分

 

午前中、女子達で遊んでいた私と本音は、たった今クジョキリの部屋に戻って来た。一夏はいきなり長野に行くとか言うし、クジョキリはいきなり帰るで、コッチの予定が狂いまくり。まったく、男2人揃って何を考えているのやら。

 

「ただいまー」「ただいま〜キリヤ〜ん」

 

「だから何度も言ってるだろ。俺は家には帰らない。何回言えば分かるんだ?」

 

「それはこっちのセリフや!なんでお婆の家に帰ってこんの!?そんなに都会っ子になりたいんか!!おにい!」

 

「「おにい!?」」

 

「げ、本音……リンリン」

 

「なんや、誰やあんたら!!」

 

部屋ではクジョキリとクジョキリ似の女の子が口喧嘩をしていた。

 

 

「コイツ、自分の妹の花凛」

 

「初めまして、九条花凛よ。兄貴がお世話になってるわね」

 

「私は布仏本音だよ〜よろしくね〜」

 

「鳳鈴音よ。まさかクジョキリに妹がいたなんてね。もしかして妹が来るからさっさと帰ったわけ?」

 

「さっさと追い返すためにな」

 

「何よ!人が迎えに来たって言うのに!」

 

「呼んだ覚えはない!」

 

妹、花凛はどうやらクジョキリを連れて帰ろうとしていたらしい。それは何故か。まあ大体予想はつくけど。

 

「こんな化け物ばっかりの街に兄貴を住ませるなんて危ないじゃない!お婆も心配してるんだよ!犠牲者の中に兄貴の名前がないか不安で不安で……」

 

「だから心配しすぎなんだよ。自分は大丈夫だから」

 

「…………知ってるもん。兄貴が自分のこと『自分』って言ってるのは「それ以上言うな!」ッ!?」

 

「…………ハァ…もういい、お前が出て行かないなら自分が出て行く。好きなだけくつろいでろ」

 

そういうとクジョキリは部屋を出て行った。花凛は頰を膨らませてそっぽ向いている。

 

「子供かあんたら……本音、クジョキリを連れ戻してきて」

 

「分かったよ〜。キリヤんもピリピリしてるな〜」

 

トコトコと部屋を出て行く本音。さて、2人だけになったけど、まったくどうしたものかしら………外も天気悪くなってきたし。

 

カーテンを開ける。外は夜かと疑うぐらいに暗かった。今日は晴れるってテレビで言っていたはず。なのにこの暗さ。ウソもいいところよ。

 

「にしても、なーんか嫌な予感がしてきたわね」




新登場の『蒼崎歌野』と『九条花凛』。2人とも『ゆゆゆ』の白鳥歌野と三好夏凛をイメージしています。分からなかったら検索検索ゥ。

次回はちゃんとバトルするから。もしかしたらまた新キャラ出すかも。

ではsee you next game!

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