IS 〜バイクと名人とSchoolLife〜 作:無限の槍製
なんならジオウのスタートだ同時に再スタートも考えたんですけど、色々と思い浮かんで来たので再開しまーす!
今回から二学期編です!
第52話 生徒会長はBrave man?
雨の中、俺は必死に走った。
後ろから助けを求める女の子の声が聞こえる。
俺はそれを無視して走った。いや逃げた。
次に彼女に出会った時、
彼女は俺のことを忘れていた。
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9月4日(月)AM09時30分
二学期が始まった。そう、夏休みは終わってしまったのだ。思い返せば俺ほとんど戦ってばっかじゃないか?宿題はなんとかなったけどもっと遊びたかったな……。
そして二学期1発目の授業……とは言いにくいな。ホームルームと1時間目の時間を使って全校集会が行われた。
内容は今月の学園祭についてらしい。夏休みが終わっても、学生は遊ぶことをやめない。実にいいことだ。毎月学園祭でもいい……いや良くはないか。
しかしこれだけ女子が集まるとすんごいうるさい。
「それでは、生徒会長からのお言葉です」
静かに告げたのは生徒会の1人だろう。メガネが似合うクールビューティってやつ。その声でざわつきが一気に収まった。
「やあみんな。おはよう」
壇上で挨拶しているのは水色の髪が特徴的な女子。2年のリボンをしたその人は扇子をバッと広げる。そこには『自己紹介』と書かれていた。
「今年は海外遠征に行ってたから、私のことを知らない人もいるわよね。私の名は更識楯無。この学園の生徒会長よ。以後よろしくね」
ニッコリと微笑む生徒会長。何人かの女子は魅了されたようだ。
でも俺の後ろからバカでかいため息が聞こえてくる。めんどくさそうにそっぽ向くキリヤん。どうしたんだろうか?
「早速だけど本題に入るわ。今月の一大イベントの学園祭だけど、特別ルールを導入するわ。その内容は……」
慣れた手つきで扇子を閉じ、横へスライド。それに応じるように空間投影ディスプレイが浮かび上がる。
「名付けて!『各部対抗九条桐也争奪戦』よ!!」
ディスプレイにデカデカとキリヤんの写真が映し出された。どういうことかと思い後ろを振り向く。するとそこには今まさに逃走しようとするキリヤんの姿があった。
「自分はこういうの嫌なんだよ!」
「あら、そう言って逃げるのかしら?」
逃げるキリヤんの前にさっきのメガネの生徒会役員さんが立ちはだかる。てか……なんであの人がアレを………ゲーマドライバーを持ってるんだ!?
「逃がしてくれない?お姉様?」
「その言い方はやめなさいと言ったでしょう九条桐也。それに本音は貴方には渡さない」
『爆走バイク!』『ギリギリチャンバラ!』
『マイティアクションX!』
キリヤんと生徒会の人はゲーマドライバーを装着して仮面ライダーに変身する。キリヤんはレーザーLv3に。一方相手は………アレ?あのピンクの頭……まさか、この前の仮面ライダー!?
「この前の借り、ここで返すぜ!」
「ノーコンテニューでクリアです!」
集会をしている後方でバトルが始まってしまった。キリヤんはLv3に対して相手はLv1。スペックの差は歴然としてるのに……何故か胸騒ぎがする。
「えー、後ろでバトルが始まっちゃったけど説明を続けるわ。学園祭では毎年各部『ギリギリ!クリティカルストライク!!』て投票を行っ『爆走!クリティカルストライク!!』まらないと思って『マイティ!クリティカルストライク!!』ことよ!」
いや全然聞こえない。バトルの音がデカすぎて全然聞こえないから!ほとんど被っちゃってるから!
「ぐあっ!?」
「ゲームセットね。会長、彼を連れて行きます」
「りょうか〜い。また後でね虚ちゃん」
虚と呼ばれた生徒会の人はキリヤんを担いでその場を後にしてしまった。てかキリヤん白目向いてなかった?
かくして波乱の二学期が始まったのである………。
◇
9月4日(月)PM04時13分
放課後の特別ホームルーム。今はクラスごとの出し物を決めるために、わいわい盛り上がっていた。一応俺はクラス代表として意見をまとめてるんだけど……。
『織斑一夏と九条桐也のホストクラブ』
『織斑一夏と九条桐也とツイスター』
『織斑、九条とポッキーゲーム』
etc………
「全部却下!」
ええええー!!と女子たちの大音量ブーイングが響く。
「こんなの誰が嬉しいんだ!なあキリヤん!」
「え?王様ゲームならやってもいいぞ?」
「おい!!」
助けを求めて視線を動かすも、すでに千冬姉は職員室に戻り、山田先生はなぜか頬を赤らめ、タイガ先生は立ったまま寝ている。おい教師どもそれでいいのか!
「とにかくまともな意見をだな!」
「それなら、メイド喫茶はどうだ?」
そう言ったのは、なんとラウラだった。まさかのラウラが立案したのがメイド喫茶だったためクラス全員がポカンとしている。
「客受けはいいだろう。それに経費の回収も行える。休憩所としての需要も少なからずあるはずだ。メイド服や執事服にもツテがある。どうだ、悪くはないだろう?」
説得力がある。言われてみればという感じだ。メイド服や執事服のツテは多分夏休みの時俺たち4人がバイトしてた喫茶店だろう。
「えーと……みんなどう思う?」
俺の質問は無意味だった。何故なら既にクラス全員の気持ちは一つだったのだから。
◇
職員室
「…………というわけで、一組は喫茶店になりました」
「また無難なものを選んだな。立案は誰だ?まさか九条ではないだろうな?」
「ラウラです」
キョトンとする千冬姉。それから何度か瞬きをして、盛大に吹き出した。
「ぷっ…………あっはははははは!!アイツが!?ラウラがそんなことを……くうっ…いかん………ハハハハハハハヴェ!?ゲホッゲホッ!?………あー、お腹痛」
思わずラウラと呼んでしまうほど面白かったのか。てか笑い方が汚い。人のこと言えないけどな。ブゥン!
「さて……ではこの申請書に必要な機材とか食材を書いとけ。1週間前には出すように。いいな?」
「うげ〜、めんどくさそうだな……まあやるしかないか……」
そんなこんなで千冬姉への報告を終え職員室を後にする。やっぱり職員室って変に緊張するから嫌なんだよな。
「やあ」
不意に声をかけられる。職員室を出てすぐのところにその人は立っていた。生徒会長の更識楯無さん。間違いはない。
「えっと……ども」
「おやおや?態度がお堅いゾ?もっとリラックスリラックス!」
「…………俺に何か用ですか?」
「うん。単刀直入に言って、君のコーチをしてあげようかなって」
俺のコーチ。真っ先に思い浮かんだのが箒、次に鈴、セシリア、シャル、ラウラ……片手はいっぱいだ。
「お気持ちはありがたいんですけど、生憎コーチはいっぱいいるんで」
「もう、そう言わないでよ。この学園の生徒会長……つまり学園最強の私がコーチにつくのよ?」
なに!?生徒会長=学園最強なのか!?いや多分学園最強なら千冬姉だ。アレは人間やめてる。多分生徒の中では最強なんだろう。
でもこの学校にはキリヤんという
「私がコーチにつけば…………今よりもっと強くなれるはずよ、クウガ君」
「!?」
反射的にバク転で距離を取りつつ顎を狙う。なんで俺がクウガだってことを!?まさか夏休みの最後の方でキリヤんが言ってた『俺の正体を知ってるやつ』って…………この人なのか!?
「それじゃあ、一度生徒会室に招待するから来なさい。ケーキぐらいだすわよ?」
「拒否しても連れて行くんじゃないんですか?」
「アハッ!正解」
俺は両手を挙げて降参のポーズをとる。確かに今の俺じゃこの人には勝てない。多分白のクウガだと今の状況でも圧倒されそうだ。
先輩はニンマリと笑う。まるで悪戯っ子のような笑顔で。
◇
生徒会室
「……いつまでぼんやりしてるの」
「ねむ…………ねむ…………ねむ……」
「こら、しっかりしなさい。もうすぐお客様が来るのよ」
そんな声がドアの向こうから聞こえて来る。2人とも何処かで聞いたことがある声だ。
楯無さんがドアを開ける。出迎えてくれたのは3年生の女子……てか今日キリヤんをボコボコにした人じゃん!!
そして、その後ろにいたのは意外な顔だった。
「えへへ………シュークリームが…………いっぱ〜い」
のほほんさんだった。まさか生徒会夜会だというのか!?
「申し訳ございません会長、すぐに起こしますので」
「いいのよ虚ちゃん。このまま寝かせてあげて。久々にたくさん動いたから疲れてるのよ。それと虚ちゃん、一夏くんにお茶を出してあげて」
お茶の準備を任せて、2年生でありながら会長職を務める楯無さん。優雅に腕組みをして座席にかける。一連の流れに違和感を感じないのはすごいな。
「彼女は布仏虚。本音ちゃんのお姉ちゃんであり、ここの生徒会のとっーーーーても大事な存在なの。彼女がいないと生徒会は崩壊するわ」
「私たちは代々更識家、いえお嬢様にお仕えする身。それが私どもの仕事ですので」
「虚ちゃん、ここでお嬢様はやめてよ」
「失礼しました。ついクセで」
やりとりからして楯無がすんごいお嬢様で、更識家がすんごい名家なのはわかった…………てか、木綿季先生も更式だよな。漢字違うけど。
「思ったんですけど木綿季先生もサラシキですけど関係あるんですか?」
「ないわ。一ミリもね」
即答…………これ関係あるんじゃないか?楯無さんは笑顔で返答してくれたけど、俺にはそれ以上その質問をするなと言っているように見えた。
「織斑君も、どうぞ」
「ど、どうも」
「プハー!やっぱり美味しいわね虚ちゃんの紅茶は!…………コホン。さて本題に入りましょうか………単刀直入に言うわ。一夏くん、君は弱い。無茶苦茶弱い」
いきなり切り込まれたぞ。そんなの分かってんだよ。誰よりも俺自身が。
「だから、学園祭までの期間私が特別に鍛えてあげましょう。ISも生身も、勿論……ね?」
声には出さなかったのはのほほんさんは俺の正体を知らないからだ。それなりに気遣ってくれてる。
「俺が弱いのは認めます………でも今の言い方は……少しイラッとしましたよ」
「うん、わざとだから」
ニコニコしながら楯無さんは遠慮なく言ってくる。まったく言ってくれるもんだ。流石にキレちまったよ…………。
「だったら勝負しましょう。一対一の真剣勝負…………楯無さんも仮面ライダーなんでしょ?それで勝負しましょう」
「ええ、いいわよ。それで私はどれだけ手を抜けばいいのかしら?」
「何言ってるんですか?本気で来てくださいよ」
「そう?じゃあ、お言葉に甘えるわね」
◇
畳道場
「なんで袴なんですか?」
「え?その方が雰囲気出るでしょ?」
放課後の畳道場で俺と楯無さんは向かい合っていた。ギャラリーはゼロ…………いや逆にいたら困る。俺が凄く。
「そういえば虚さんも俺の正体を?」
「勿論よ。そして危険分子だと分かればすぐに殺すべきって言ったのも虚ちゃん。そして現段階での最強の仮面ライダーも虚ちゃんよ」
「え?学園最強は楯無さんじゃ!?」
「学園最強はね。ライダー最強なら虚ちゃんよ。今日の戦い、いいえ以前の戦いから見て分かるでしょ?」
俺はあまり見てないんだけど……キリヤんの話を聞く限りかなり凄いらしい。
「さて、勝負の方法だけど……流石に君を再起不能にするのは色々問題になりそうだから……私を床に倒せたら君の勝ち。逆に君が降参したら私の勝ち。それでいいかな?」
「舐められましたね。痛い目みますよ」
「どうせ私が勝つから大丈夫よ」
楯無さんはゲーマドライバーを装着してガシャットを手にする。それはタイガ先生が以前使っていた大きめのガシャットだった。
『タドルファンタジー!』
楯無さんがガシャットを起動させる。そして現れたゲーマ。まるで魔王を彷彿とさせるその姿。これが楯無さんの本気なのか。
『Let's Going King of Fantasy!』
「術式レベル50!」
『デュアルガシャット!』
「変身!」
『ガッチャーン!デュアルアップ!タドルメグルRPG!タドルファンタジー!!』
「…………変身!」
俺はクウガマイティフォームに。楯無さんは水色のボディに赤い鎧を見にまとった仮面ライダー=『仮面ライダーブレイブ ファンタジーゲーマーLv50』に変身した。
「かかって来なさい。お姉さんが相手してあげる」
「…………絶対泣かせてやる!」
というわけで楯無さんが仮面ライダーブレイブ。虚さんが仮面ライダーエグゼイドです!え、知ってた?
さていきなり本気のレベル50ですけど勿論100も後々出しますので。
次回は一夏クウガvs楯無ブレイブ!
ではSee you Next game!