IS 〜バイクと名人とSchoolLife〜   作:無限の槍製

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学園祭スタート!


第55話 Festival開始!

9月17日(日)AM11時00分

 

いよいよやってきた。祭りの時間だあああぁぁ!!

と、テンション高めで最初は接客していた。まあ10分ぐらいでいつもの調子に戻ったけど。

 

とにかく学園祭当日になった。一般開放はしてないから開始の花火なんてものはない。それでも生徒の弾けっぷりは異常だったが。

 

「うそ!?1組で織斑くんと九条くんの接客が受けられるの!?」

 

「しかも執事の燕尾服!九条くんいっつもアロハだから、これは見逃せないわ!」

 

「それだけじゃなくてゲームもあるらしいわよ?しかも勝ったら写真を撮ってくれるんだって!ツーショット!」

 

とりわけ1年1組の『ご奉仕喫茶』は盛況で、朝から大忙しだ。こちとら昨日も特訓がキツかったのに。

 

「いらっしゃいませお嬢様!こちらへどうぞ」

 

こんなにも大忙しなのに他のメンツは普通に楽しんでいる。特にメイド服のシャルは楽しそうだ。

ちなみに接客斑は俺、セシリア、シャルにラウラだ。箒は裏に回って料理を作っている。キリヤんはというと、

 

「はいはーい、こちら2時間待ちだよー。2時間待てば名人の接客プラスツーショットが出来ちゃうよ〜」

 

廊下の長蛇の列を整理している。各種クレームにも対応してて、かなり忙しそうだ。それでもキリヤんの奴、自分から雑務係がいいなんて言いやがって。

 

「ちょっとそこの執事、テーブルに案内しなさいよ」

 

次のお客を案内しようと入り口に向かうと聞き慣れた声が聞こえた。やや乱暴な口調だが、決して彼女は怒っているわけではない。そう、鈴はそんな不器用な子。

 

「ちょっと、何自分一人で納得したような顔してんのよ」

 

「おっと失礼。にしてもチャイナドレス似合ってるな鈴」

 

「クジョキリとは大違いね。アイツあたしを見るなり『パンツ見えてるぜ』なんて言ってくんのよ!」

 

「あ、鈴。パンツ見えてるぞ」

 

「お前もかぁぁ!!」

 

一枚布のスカートタイプで、かなり大胆にスリットが入っている。けしからん!実にけしからんぞ!

そういえば鈴は中華喫茶をやっているらしい。ヤムチャって奴だな…………あれ?これは違うな……そう飲茶(ヤムチャ)ってやつだ。

 

「あれ、お前いつもの髪型じゃないんだな。頭の丸いぼんぼんみたいなのなんだっけ…………シニン?」

 

「シニョンよ!勝手に殺すな!」

 

「そうそう、それそれ。相変わらず似合うな」

 

「そ、そう……まあ、ありがと。そ、それより!早く案内しなさいよ」

 

「あ、ああそうだったな。コホン……それではお嬢様、こちらへどうぞ」

 

鈴を空いているテーブルへと案内する。テーブルだのティーセットの高級感が漂ってくる。鈴はこういうのが苦手なのか、2回ほど座り直す。その度に見えちゃう。何がとは言わない。

ちなみに、メニューをお嬢様に持たせるわけにはいかないので、こうして俺やメイドが手に持ってお見せしている。

 

「この『執事にご褒美セット』って何よ?」

 

「…………お嬢様、当店オススメのケーキセットはいかがですか?」

 

「おいこら、誤魔化そうとしたでしょ」

 

「とんでもございません」

 

「…………その喋りやめて、気持ち悪い」

 

「…………こっちは仕事なんだぞ。少しは我慢してくれ」

 

「仕事ならメニューの説明ぐらいしなさいよ。結局コレなんなのよ」

 

『執事にご褒美セット』。文字通りのメニューである。執事にご褒美。つまり俺かキリヤんにご褒美が与えられるという、訳の分からないメニューだ。考えたの誰だおい!

 

説明を聞いた鈴は呆れながら他のメニューを見る。すると分かりやすい二度見をした。何か気になるものがあったのか?

 

「ねえ………なんで喫茶店にラーメンとかうどんとか市販のお菓子を置いてるのよ!」

 

「あー、多分それ考えるのが面倒になったから適当に書いたやつだ。食うか?」

 

「なんで喫茶店でラーメンなのよ!いや置いてるとこもあるかもしれないけどさ!」

 

「因みにラーメンは2回、うどんは6回、市販のお菓子は12回の注文が入ってる」

 

「いやお菓子結構人気か!?…………もう、普通のコーヒーでいいわ」

 

ツッコミに疲れたのかコーヒーだけを頼む鈴。そんな鈴にサービスでもしてやりたいんだが、生憎当店はそのようなサービスを行うことは禁止されている。すまんな鈴。

 

「一夏!お客様の案内よろしく!」

 

「はーい。まったく……人気者は辛いぜ…」

 

特に人気があるわけでもないが呟いてみる。いや人気が欲しいわけでもないけど。

 

 

9月17日(日)AM11時50分

 

「そうそう、一夏くん。私、もうしばらくお手伝いするから、校内見てきなさい」

 

「さも当然の如くクラスにいるんですね楯無さん」

 

裏手に回って水分補給をしていた時に、楯無さんが話しかけてくる。いやホントなんでこの人いるの?貴女二年生でしょ?

 

「おねーさんの優しいサービスよ。ありがたく受け取っときなさい」

 

「でも俺がいなくなるとクラスの奴らからお叱りが……」

 

「私が適当に誤魔化すから大丈夫よ。ほら行った行った」

 

確かに楯無さん人気ありそうだもんな……普段の人との接し方で大体予想できる。楯無さんが代わりならお客さんも怒らないだろう。多分。

だったら楯無さんの厚意に甘えるとしよう。

 

「それじゃあお願いできますか?なるべく早く戻りますから」

 

「ゆっくりでいいのよ。じゃ、行ってらっしゃい」

 

執事服の上着を脱いで、廊下に出る。相変わらずの長蛇の列だ。そういえばキリヤん20分前にフラッと出て行ったな。同好会の手伝いとか言ってたけど………後で行ってみるか。

 

「少し宜しいですか?」

 

「はい?」

 

ふと、声をかけられた。それも階段の踊り場で。声の主はスーツの女性だった。うーん、なんとなく未来が見えるぞ……。

 

「失礼しました。私、こういうものです」

 

「………IS装備開発企業『みつるぎ』……もしかしなくても白式の装備提供ですか?巻紙礼子さん?」

 

「はい。織斑さんにぜひ我が社の装備を使っていただけないかと思いまして」

 

このような企業の人と会うのは初めてじゃない。一学期や夏休みの数日をこのような人と過ごしたことがある。

世界で唯一ISを使える男である俺の白式に装備を使ってもらえるというのは想像以上に広告効果があるらしい。

 

まあ、白式が嫌がるからどうしようもないんだけどな!

 

俺の白式は《雪片弐型》以外の格闘武器を好まない。盾も嫌がるし射撃武器なんて以ての外。けれども一度シャルに貸してもらって射撃武器を使ったもんだから、その結果射撃、格闘、防御をこなす《雪羅》が生み出された。

 

「すいませんけど、こういうのはちょっと……とりあえず学園側に許可を取ってからお願いします」

 

「そう言わずに!」

 

巻紙さんは見た目とは裏腹にズイズイと迫ってくる。腕を掴まれ、その場を後にすることができなくなってしまった。

 

「こちらの追加装甲や補助スラスターなどいかがでしょう?今なら脚部ブレードも付い「はーーーい、悪いけどそこまでだよ〜」

 

俺と巻紙さんの間に割って入ってきたのはキリヤんだった。いつものアロハと違うその姿は新鮮だ。まあ夏休みのバイトの時に見てるけど。

 

「名人にそういった商売は意味ないよ?名人に付けてやるべきなのは、お湯沸かし器とか黒歴史抹消装置とかだぜ?なんなら自爆装置なんかもいいかもな」

 

「え、いやそういったものは」

 

「無いなら帰るんだな。第一せっかくの学園祭で商売の話しされたんじゃコイツも気分がノらないってもんだぜ?ほら、お帰りは彼方でございます。行くぞ名人」

 

「あ、おい!」

 

キリヤんの後を追いかける。踊り場には巻紙さんが一人取り残されていた。

 

 

「しっかりしろよ名人。ああいうのには気をつけろって先生から言われてるだろ?」

 

「お前みたいにペラペラ喋れないんだよ………いやホント助かった」

 

廊下を歩きながら礼を言う。いつまでたっても企業の人っていうのは慣れないものだ。

 

「自分が来てなかったどうなってたことやら。上手く断れなくて無理矢理商品買わされて織斑センセーに怒鳴られるとこまで見えたぜ」

 

「ごもっともです…………はあ、なんか変に緊張したから腹減ったな」

 

「12時過ぎてるからな……そういやお前、誰か招待してるんじゃないのか?」

 

「え?……うわぁ!!忘れてたヤバイ!スマンキリヤん!このお礼は後で必ず!」

 

時計を確認しながらその場を後にする。時刻は12時13分。待ち合わせから13分も過ぎてる。しかもここから待ち合わせ場所の正面玄関に行くには最低でも4、5分はかかる。あいつ怒ってなきゃいいけど。

 

 

「お、いたいた。おーい、弾!」

 

「おー!一夏久しぶりだな!」

 

待ち合わせ相手は友達の五反田弾。この学園祭、一般開放はしてないが一人だけ生徒の紹介でこの学園祭に参加できるのだ。俺はそのチケットを散々行きたい行きたいと言うこの男に渡したのだ。

 

「あ、そういやお前に借りてたエロ本。アレお前に返したっけ?」

 

「え?あ、あーーーうん、返してもらったよ。うん夏休みに」

 

「そうだっけ?いや、返そうと思って探してたんだけど見つからなくてさ。そっか返してたか」

 

うん、返してもらったよ。黄色いヘルメットを被ったライダースーツの女に。

にしてもこんなエロ本だのなんだのという会話も久しぶりだ。最近はキリヤんとも話せてないし、楯無さんが部屋にいるせいで色々と溜まってきてる。ウン、ツライ。

 

「そんなことより!早く案内してくれよ〜。俺楽しみで1時間しか寝てないんだぜ?」

 

「そんなことって……話ふったのお前だろうが。それに遠足前の幼稚園児か。幼稚園児でももっと寝るわ…………まあ、取り敢えず鈴のとこでも行くか?あいつ驚くぞ」

 

「いいなそれ!でも……んー、いや、すぐじゃなくていいから、色々見て回りてえ」

 

確かに俺も全然見て回れてない。丁度いいし二人で回ろう。ホントは箒と回りたかったけど……そういや弾に彼女ができたって言ってなかったな……まあ、後でいいか。

 

とりあえず手近なところにあった美術部のクラスに入ってみる。

 

「芸術は爆発なんだぜ!!」

 

すぐに出る。さて次に回るか。

 

「ちょ、ちょっと待って織斑くん!うちの部長がごめんね!いきなりでゴメンね!謝るからすぐに帰ろうとしないで!」

 

「…………ここ、何やってるんですか?」

 

「ここは爆弾解体ゲームをやってるよ。景品もあるからやってみない?」

 

「やっていかないと!お前の首に時限爆弾をくっつけてやるぜ!」

 

「部長は黙ってて!さあさあ、どうぞどうぞ。男友達も一緒にね!」

 

暴走する部長を制御しながら部員が案内してくれる。てかあの部長でよく部活成り立つな。

爆弾を手渡されゲームが開始される。せっかくだから弾に教えてみるか。

 

「弾隊員!これより爆弾の解体作業に入る!まずは俺のやることをよーく見てるんだぞ!」

 

「了解であります一夏隊長!…………てかこのノリ懐かしいなオイ」

 

「あの時は鈴もいたからな………まずはセンサー類を無効化っと」

 

配線を調べ、隙間からニッパーを差し込む。そして衝撃センサーへと通じてる導線を一度に切る。よし、ジャンパー線が無くても大丈夫なやつだな。

隣で弾がアホみたいな顔で見ているが無視しよう。

 

「おお、流石織斑くん!早くも最終フェイズに突入ね!」

 

「さ、最終フェイズ?なんだそれ?」

 

「簡単に言えば映画でよくある『赤か青か』ってやつ」

 

ゲームのこれも最後は赤と青の二本のコードになり、どっちかを切れば解体完了、間違えれば俺たちは死んでしまう。

 

「弾隊員、好きな方を切りたまえ」

 

「了解であります!………え、ホントに切っていいの?」

 

「切ってよろしいのです。ほら早く切らないと部長さんに首に時限爆弾つけられるぞ」

 

「うおおっ!?もう後ろにスタンバってる!?」

 

部長さんが弾の後ろで待ち構えている。すぐに部員さんに取り押さえられたが。

弾隊員はまだ迷っている。赤か青か。マイティフォームかドラゴンフォームか。紅椿かブルー・ティアーズか。ラビットかドラゴンか。うどんかラーメンか。決めるのはお前だぞ!

 

「うおおおっ!コッチだぁぁ!!」

 

パチン、と青のコードを切る。ビーーーッとアラームが鳴った。

 

失敗である。残念だね。

 

「いやなんかそんな3人一斉に『コイツ何やってんの』みたいな目で見るなよ!なんか悲しくなるだろぉ!」

 

ギャーギャー騒ぐ弾を置いて参加賞の飴玉をもらい部屋を後にする。黄金のリンゴ味だった。美味である。

 

 

「あー、なんか疲れたな……どっかで飲み物飲もうぜ」

 

「あれから結構回ったな……よし、鈴のとこ行こうぜ」

 

時刻は12時52分。何だかんだ1時間ぐらい休憩をもらってる。連絡ないし大丈夫だろうけど、なんか心配だな。

俺たちは階段を上って2組の教室へと入った。チラッと1組を見たが落ち着いた様子だった。これなら大丈夫だな。

 

「いらっしゃいま………帰れ」

 

「いきなり暴言吐きましたよこのツインテ!どうなってんの!」

 

「どうして弾がここにいるのよ!」

 

「第一チャイナドレス似合わねー。もっとこう大人の女性になってからだな」

 

弾の言葉にイライラが限界値に到達したのか、鈴の投げたお盆は弾の顔面に直撃した。スッゲー痛そう。人ごとみたい?そりゃ人ごとだもん。

 

「なんだよいってーな!あーあ、さっき会った可愛い人と大違いだ」

 

「誰よそれ」

 

「虚さん。コイツ緊張して噛みまくってんの」

 

「うるせえ!」

 

ワイワイと騒ぐ中学時代トリオ。いかん、他のお客さんがめっちゃ見てる。

とりあえず席に着いてメニューを開く。

 

「はい、水」

 

「おわっ!?お前もっと静かに置けよ」

 

「顔にかけられてないだけありがたいと思いなさい」

 

「相変わらず凶暴だなお前は!」

 

「うっさいわね。それ以上喋ったら一本ずつ歯をへし折る」

 

デンジャラスである。でもまあこれでも中学時代に比べれば落ち着いた方だ。昔は3人で厨二病拗らせてたもんなぁ。

 

『白き閃光!イチナツ!』

 

『赤き剛腕!ダ・ン!』

 

『龍の拳!スズネ!』

 

うん、バカだわ。でも何だかんだ楽しかったよな…………なんかあの時に戻りたくなってきた………もし、あの時に戻って、俺がISに触らなかったらどうなってたんだろう。みんなに出会ってないんだろうか。

 

「おい……おーい」

 

「え?どうした弾」

 

「なにボケッとしてんだ?携帯なってんぞ?」

 

「あ、ああ悪い」

 

確かにボーっとしてたかも。携帯の音に気づかないなんて。相手はシャルだった。何かあったのか?

 

「はいはい、どうした?」

 

『あ、一夏?他の人が休憩入るからそろそろ戻ってきてほしいんだけど』

 

「お、了解。今2組だからすぐに戻るよ………ってわけで、俺戻るから。弾も暇だったら寄ってってくれよ」

 

「「おー、キリキリ働けー」」

 

二人して同じこと言うなよ………そして、そんなこんなで学園祭前半が終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この時思ってもみなかった。まさかこの学園祭であのゲームが始まることになるなんて。




特に進展のないお話です。皆さんは学園祭どんな思い出がありますか?私は部室で友達とたこ焼き焼いてサボってました。

次回はバトルまで書きたい!多分書けるはず!

ではSee you Next game!

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