IS 〜バイクと名人とSchoolLife〜 作:無限の槍製
9月23日(土)PM11時40分
IS学園屋上
「…………」
空気が重い。それも当然だ。インフィニティーズ全員が全員だんまりを決め込んでいるからだ。理由は2つ。
1つは仮面ライダークロニクルの開始日が決まったのだ。9月24日から。つまり明日になった瞬間、ゲームが開始されるのだ。SNSを見てみると配信をまだかまだかと待つ人が多い。やはりクロニクルガシャットを購入した人はかなり多いらしく、その中にはキリヤんも含まれている。
2つ目は俺たちインフィニティーズに原因がある。早い話特訓が上手くいかなかったのだ。やはりISとは勝手が違うのかセシリアや鈴といった代表候補生もインフィニティーズでの戦い方に違和感を感じていた。
空は飛べない、絶対防御はない、武装は1つしか使えない、その他諸々、誰かは不満があるそうだ。
セシリアの武装はライフルのみ。BT兵器を使えないとなると戦略がかなり絞られ戦い方が単調になってしまうとか。
鈴は青龍刀。あまり不満はなさそうだったが青龍刀自体が小さくなっているため、パワーが足りないとか言っていた。
シャルはライフル……ではなくパイルバンカー。本人の戦い方からしてパイルバンカーだけというのは辛いだろう。普段文句をあまり言わないシャルだが、こればっかりは不満だそうだ。
ラウラは両腕のプラズマブレード。ラウラもあまり不満はなさそうだった。与えられた武器だけで戦場を駆けたこともあるからとか。
箒は刀。雨月とも空裂とも違う刀。名前はまだ無いらしい。箒も不満はなさそうだった。けど絶対防御がないのは少し怖いらしい。
俺は…………武器がなかった。
とまあ、慣れないインフィニティーズでの特訓は普段チームワークがいい俺たちでも、次第にイライラを募らせるぐらいには慣れないものだった。
「そろそろ時間だな」
ラウラが沈黙を破る。あと15分ぐらいで日付が変わる。日付が変わる5分前にそれぞれの持ち場につくことになっている。俺とセシリア、鈴とシャル、箒とラウラでIS学園を警備することになっている。勿論IS学園の先生たち、つまり千冬姉や山田先生も持ち場についている。
「いいか箒。相手の戦力は未知数だ。クロニクルガシャットの力がクジョーの力を超える可能性もある。気を引き締めるんだ」
「分かっている……だが、相手は一般人だ。あまり強引に押さえ込むなどしたくない」
「はぁ………それは私も同じだ。だがISに不満を持つものがいないわけではない。そんな時に仮面ライダーになるアイテムが手に入るチャンスが訪れるんだぞ。クロノスからゲーム以外での使用は禁止されているとはいえ、それでもルールを破るものは現れる。この学園が狙われる可能性はゼロではないんだ」
「だったら、ゲームエリアを作って、その中でしか変身できないとかにすればいいのに。そうすればこんなことする必要もないのに」
「確かにね。僕もそれは気になったよ」
鈴とシャルが言う通り、ゲームエリアを設けてその中でしか仮面ライダークロニクルを起動できない、そうすれば管理も楽だし変な暴動なんかも起きる可能性はない。この運営は少し抜けてる。
「そろそろ時間ですわね。行きましょう一夏さん」
「ああ、みんなも気をつけてな」
「よし、作戦開始だ」
もうすぐゲームが始まる。このゲームのエンディングはきっと誰にも想像できない結果になる。そんな気がする。
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9月23日(土)PM11時55分
「なになに、タイガ先生も買ってたの?」
「どういうもんか確認するためにな」
今自分たちがいるのは都内の公園。それなりの大きさを誇るそこは仮面ライダークロニクルを今か今かと待つ人間がそれなりにいた。
それなりっていうのも、実はネット上に『仮面ライダークロニクルコミニュティ』なるものが存在し、そこの掲示板に9月24日の0時丁度にこことは別の広場に集まり一緒にプレイしよう、という風に書き込まれていた。
だからここはそれなりに集まっている。目に見える範囲だけでも15人ぐらいだ。
「だが、本当にこっちでいいのか?コミニュティが作られるぐらいなんだ。運営もあっちに敵キャラを用意するんじゃないのか?」
「いいや、コッチにもくる。よく思い出してよ。バグスターは1日1回。1体じゃないんだ。1体だったら10年ぐらい時間かけなくちゃいけないんじゃない?」
「なるほど………そろそろか」
時計の針が59分を指している。まもなくゲーム開始。それと同時にバグスターが召喚されるのか。それとも時間はランダムなのか。そこは自分にもよく分からない。ゲーム開始、つまりサービスが始まるのが24日0時なだけで、実際にバグスターが出てくるのは24日の23時かもしれない。
「さてさて、どうなることやら」
そして時計の針は12を指した。
9月24日(日)AM00時00分
公園にいる人たちが仮面ライダークロニクルを起動させる。起動させた人たちの姿が次々と仮面ライダーへと変身していく。形はエグゼイドに似てる。違いは色とか髪の有無とか。いかにも量産型って見た目だ。
「俺たちも行くか」
「そだね。始めますか」
『『仮面ライダークロニクル!』』
自分とタイガ先生も変身する。見た目は他の奴らと変わらない。さて試すことは色々あるけど、
『はーーい!みんな、ちゅうもーーーく!』
公園のど真ん中に奇抜な格好の女が立っている。視線が彼女に集中する。まさかと思うけどアレが仮面ライダークロニクルのチュートリアルを案内するナビゲートキャラか?
『私はポッピー!この仮面ライダークロニクルのナビゲーターにして、ドレミファビートのバグスターだよ!みんなよろしくね!』
「なに、じゃあドレミファビートのトロフィーゲットするときはアレ倒すの?」
「可能性は低いと思う。別の攻略の仕方があるんじゃないのか?」
タイガ先生に耳打ちする。タイガ先生は否定したけどやっぱりアレを倒すっていう可能性はゼロじゃないと思う。
『それじゃあ!私が仮面ライダークロニクルについてナビゲートするね!みんな仮面ライダークロニクルの大まかなルールは知ってるよね!私が説明するのは、それよりも大事なこと!みんなちゃんと聞いてね!
まず1つ目!みんなの変身しているソレ、名前はライドプレイヤーって言うんだけど、ライドプレイヤーの胸のライフゲージが無くなればゲームオーバー!逆に敵バグスターを攻略すればゲームクリア!簡単でしょ?
2つ目!武器はなんでもあり!バグスターにはなんでも通用するよ!知恵と勇気を振り絞って戦ってね!』
ここまでは普通のルール説明か……まだ心配なんだけど。
『3つ目!特別なキャラ、仮面ライダーが参戦することもあるよ!彼らはレアキャラだから倒せば強力な武器をゲットできるよ!
4つ目!これが一番大事だからね!このゲームでのゲームオーバー=現実での死を意味するよ!それに一度クロニクルガシャットを起動させたらバグスターウイルスが体の中に入っちゃって、体がピプペポパニック!でも大丈夫、クロニクルのラスボスを倒せば、ぜーんぶ元通り!だからみんな頑張ってね!』
ルール説明を終えたのかポッピーは姿を消した。あたりがざわつく。当然だ。こんなの誰も予想してないはず。自分だって、きっとタイガ先生だって予想だにしなかっただろう。
仮面ライダーがレアキャラか。つまり自分たちも狙われる可能性はある。それに一度バトルを開始したら抜け出すことはほぼ不可能。さらにウイルスに感染させることでゲームを途中で辞退できないようにしてやがる。
「じょ、冗談じゃねえ!!俺は死にたくない!」
「なんで……たかがゲームで命かけなくちゃいけないんだよ!」
「どうして!どうして元の姿に戻れないの!」
みんながみんなパニック状態だ。まあこの状況で落ち着く方が難しいだろうな。自分とタイガ先生の落ち着きっぷりが逆に怖い。
そして一人が逃げ出した。それにつられて逃げ出す人たち。結果公園には自分たちを含めて6人しか残らなかった。
「少なくなっちゃったね」
「普通だろ。ライドプレイヤーに変身した時点で死へのカウントダウンは始まってるんだ。勝ち目があるかどうか分からないバグスターを相手にして、自分の寿命を縮めたい奴はそうそういないだろうな」
「………自分、思うんだけどさ。別にライドプレイヤーに変身したから死へのカウントダウンが始まってるわけじゃないよね。生まれた時から始まってるんだよ、カウントダウンは。それをイマイチ分かってない人、多いと思うんだよね」
「…………何が言いたい?」
「別に。ただ思っただけ…………っと、そろそろ始まるみたいだね」
残ったライドプレイヤー6人の目の前に茶色いブロックが現れる。見た目からしてマイティアクションXのブロックだ。となると敵は……
「私の名はソルティ伯爵。君たちが私の相手ということかね?」
現れたのはソルティ伯爵。マイティアクションXのボスキャラだ。マントに偉そうな口調はまさに伯爵。でもまあ、
「相手は自分とタイガ先生だけだぜ。速攻で終わらせる」
「ったく。とっとと終わらせるぞ」
『爆走バイク!』
『バンバンシューティング!』
「零速!変身!!」
「第弐戦術!変身!!」
『ガッチャーン!レベルアップ!』
『爆走バイク!!』『バンバンシューティング!!』
ライドプレイヤーに変身した状態で更にゲーマドライバーを装着、そしていつも通り変身。とりあえずライドプレイヤーの状態でも変身はできるな。
あとはコイツを倒すだけ!
「そらそら、動き止まってんぞ!」
「くっ、いきなり蹴ってくるとは卑怯な!」
「卑怯もクソもあるか。テメェをぶっ飛ばしてガシャットロフィーをもらう。それだけだ!」
連続で蹴りを叩き込む。それと同時にタイガ先生がマグナムでソルティに反撃を許さない。
「そらよっと!」
「時間が惜しいな。九条!さっさと決めるぞ」
「ほいほいりょーかい。んじゃ早いけど決めますか」
『『ガシャット!キメワザ!』』
「これで決まりだ!」
『爆速!クリティカルストライク!!』
『バンバン!クリティカルフィニッシュ!!』
自分のサマーソルトで打ち上げられたソルティにタイガ先生の一撃が突き刺さる。まあこれで死ななかったら大したもんだよ。
ソルティはそのまま爆散し、中から小さなピンク色のガシャットが落ちてきた。これがマイティアクションXのガシャットロフィーか。多分最速クリアだよね。
「おい、ボケっとすんな。次行くぞ」
「ああ、はいはいっと………って、邪魔なんだけど。そこどいてくれる?」
次の場所に向かおうとすると、自分とタイガ先生の前にライドプレイヤーが立ちはだかる。まあ、なんとなく理由分かるんだけどね。
「レアキャラはっけーん。怪我したくなかったらそのベルト置いてってよ」
「おいおい、このベルト使ったらさっきのに勝てると思ってんのか?確かに逃げずにこの場所に残ったってことはあんたら4人、腕に自信はあるんだろうけどさ」
「俺たちを倒そうなんざ考えない方がいいぞ。怪我したくなかったらな」
「ナメた口聞いてんなオイ。悪いけど俺たち4人ダチなんだよ。4対2。勝てると思ってんの?」
「たった2人多いだけで勝った気になるなんておめでたい奴だな。勝ちたいならお前らみたいなの、あと30人は呼んでくるこった」
売り言葉に買い言葉。正直一般人相手するのは気がひける。でもこっちだって仮面ライダーとしての責任がある。早く別の場所に行って、1人でも死人を出さないこと。きっと他の場所にもコイツらみたいに無謀にもバグスターに挑戦する奴がいるはずだからな。
「しょうがない。最速で決めるぜ」
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こうして、仮面ライダークロニクルの長い初日が始まったのだ。
なんかクロニクル編がすごく長くなりそうな予感がする。やりたいことたくさんあるのに。
とりあえず今年の更新はコレが最後になります。次回は来年になります。
次回はとりあえず夏休み編のハルナとハルカを出したいところ。
ではSee you Next game!