IS 〜バイクと名人とSchoolLife〜 作:無限の槍製
「久しぶり〜ラウラ」
「…………おい」
とあるファミレスの一角。私は久しぶりにシャルロットと待ち合わせをしていた。最後に会ったのはいつだったか。多分2、3年前だとは思うが…………にしてもだ。
「なんだその姿は……」
「あはは……ちょっとバタバタしてて」
放射線科医師であるシャルロットがバタバタするのは仕方ないかもしれない。だが今のシャルロットの姿は酷かった。
ボサホザの髪、目の下の隈、ヨレヨレの白衣。
高校時代、私に散々オシャレのアレコレを言っていた奴と同一人物とは思えない。
「髪ぐらい解いたらどうなんだ?」
「時間なくて……」
「まったく………じっとしていろ」
鞄からアレコレ取り出しシャルロットの髪を解く。もともとキレイでサラサラな髪がここまで酷くなるとは……
「あはは、ラウラこういうの出来るようになったんだ」
「いつまでも昔の私と思うなよ。これくらいできる」
「IS学園のころは私がしてたのにね」
「まったくだ」
ふと昔のことを思い出す。10年くらい前になるのか。仮面ライダーとグロンギの戦いは。
あの頃の私は未熟だった。些細なことで仲間にあたり、何度迷惑をかけたことか。
それから卒業し、黒ウサギ隊の隊長として再び舞い戻ったわけだが、やれ甘くなっただの、やれ可愛くなっただの、以前より部隊に締まりがなくなってしまった気がする。だというのに部隊の戦果は前よりも良くなった。
「ほら、だいぶマシになっただろう」
「ありがとラウラ……ふぁ…」
「眠いなら少し横になったらどうだ。幸いにも他に客の姿はない。夜中の11時だからな」
「じゃ、お言葉に甘えて………」
私の膝枕でスヤスヤと寝始めるシャルロット。IS学園のころはコレが逆の立場だったというのに。今ではコイツの方が甘えん坊になってしまった。
いや、甘えん坊なのは昔からか。
「それにしても、この街も変わらない………クジョーが高校時代最後に戦った場所もこの近くか……やはり時が進めば街も元どおりになるか」
クジョーの最後の戦いを思い出す。あそこまで無茶する男は初めて見た。絶対にアイツを倒すという気迫が伝わってきた。まあ、最後は自分の命を優先して、私たちの元へ帰ってきたが。
「今思えば、誰よりも人間臭かったのはクジョーなんだろうな」
怖いことから逃げ、めんどくさいことから逃げ、嫌なことから逃げ、でも結局は立ち向かわなくちゃいけない。仕方ないと受け止め、全力で立ち向かう。それが九条桐也という男だった。
「…………ううん………タイガ………先生…」
「なんだ、夫婦になってもその呼び名なのか?」
シャルロットの頭を優しく撫でる。きっと花家先生もシャルロットのことを『シャル』と呼んでいるのだろうな。それこそ、シャルロットにとっては一つの幸せなのだろう。
今、シャルロットは幸せそうな笑顔をしている。
1人でも多く、こんなマヌケで幸せそうな笑顔を、守りたいものだ。
トゥルーエンディング 〜花家シャルロットとラウラ・ボーデヴィッヒ〜
次回から、新章『桐也vs一夏編』第1部サラシキ編です!
ではSee you Next game!