ハフリが我愛羅と戦う少し前。
ーー封邪法印
カカシがイタチの弟、サスケの身体に文字を書き込み、術を発動させる。
すると床までビッシリと書かれた文字は首元に集まっていく。
ドサッ
「ガラにもなくそーとー疲れたみたいだな」
サスケは第三試験の予選での疲れから床に倒れる。
その首に付いていた呪印は周りを文字で囲まれ、その効力は封じられている。
「封印の法術まで使えるようになったなんて……」
ゾクッ
カカシは突如悪寒を感じて振り返る。
しかし、
「ーー来ると思ったよ、大蛇丸さん」
「なにっ!?」
カカシが大蛇丸を視認する直前、横から大蛇丸の腕を掴んだ四代目が飛雷神の術で飛ぶ。
「……?
なんだ、今の悪寒は?」
結果、カカシは悪寒の正体がわからず困惑する事になった。
「まさか私の行動を読んでいたとはね……ミナト」
「アナタが行く場所なんてサスケくんの所しか思いつきませんよ」
飛雷神のマーキングがあった森の中で対峙する二人。
その顔は対照的で大蛇丸は苦々しそうに四代目は余裕を持った顔をしていた。
「私にもう一度戦いを挑んだ事、精々後悔しないことね」
ーー口寄せ 穢土転生
大蛇丸が地面に手をつけると地中から二つの棺桶が現れる。
その棺桶には上の方に"初"の文字と"二"の文字が刻まれていた。
「フフ、三代目も居たら面白かったのだけど……」
「趣味が悪いですね」
ギギギと音を立てて開く棺桶。
その中からかつて初代火影、二代目火影と言われた忍が出てくる。
「穢土転生か……」
「扉間の術を会得するとは大したヤツだの」
「初代様、二代目様」
呼び出された2人を見て、同じく穢土転生の四代目は複雑な気分になった。
「ムッ、此奴も穢土転生か」
「フンッ、ワシの術を簡単に真似しおって……。
しかも開発者であるワシに使用した方が精度が低いとはな」
「まぁ、オレたちは精度を上げればすぐに解除するからの」
「……そろそろいいですか?」
自分がdisられるような発言に血管をピクピクさせる大蛇丸。
「少し待て。お主、名は何と言う?」
しかし図々しく延長を申し込む初代。
「あ、四代目火影の波風ミナトです」
「なんと!」
「……四代目という事はサルは死んだのか?」
「いや、情けない話ですがオレの方が先に死にまして……」
申し訳なさそうな顔をした四代目は、とんでも無い事を暴露した。
「あっ、オレを穢土転生したのが二代目様が造ったクローンの志村ハフリという少年なのですがーー」
「「「っ!?」」」
本人の知らぬ所で明かされる驚きの事実に三者三様の驚き方をする。
「……なるほど、それであの才能」
大蛇丸は納得し、
「クローンだと!」
初代はその非人道的な所業に怒鳴る。
そして肝心の二代目は、
「あの時の赤子がそんなに成長したか……待て、少年と言ったか?」
「え、はい」
「バカな、あの子はーー」
「何やら面白い事を話していらっしゃいますが、そろそろ始めましょう」
「「!」」
ブゥウン
大蛇丸が印を組むと二人の目から知性が消える。
「ーーで、逃げられたと」
「……はい、すいません」
「いや初代と二代目を穢土転生されて、九尾状態で初代を倒した上に人柱力にされてると勘違いされたのはいいんだよ?
……ただ、なんでオレの情報バラしてんの?」
「ホントすいません」
「それしか言えないんならコレだから」
謝る四代目に黒い札の付いたクナイを見せるハフリ。
四代目はそのクナイを見て身震いする。
「……あ、ハフリ君の事を話した時に二代目様がおかしな事を言ってました」
「ほぉ」
「二代目様が造ったクローンは少年じゃないとか。
……もしかしてハフリ君はハフリちゃんだったり?」
チャキッ
ふざける四代目に笑顔を貼り付けてクナイを見せる。
「じょ、冗談です!」
オレが少年じゃない?
少年の意味は「七、八歳から十五、六歳の若い男性」。
人によって誤差があるからオレは十分に当てはまるはずだ。
当時あまり研究されていなかったクローン技術、何か身体に異常が起こって若返ったか老化したのか、はたまた性転換したのか。
六道仙人は男だから性転換はないはずだが……。
(待て、何故オレは六道仙人が男だと言い切れた?)
ハフリの頭に角の生えた二人の青年の姿が浮かぶ。
(片方が六道仙人だとして、もう一人は誰だ?
というか何故オレの目に六道仙人が映っている?)
次に頭に浮かんだのは鏡に映る髪の長い白髪の女性。
その頭にはもちろん角が。
(何故、女性の姿が鏡に映ってる……?)
「この女は、誰だ?オレは……」
その言葉を口に出すと、突如頭に激痛が走る。
それはまるで
わかりかけていた情報が次々に消えていくのがわかる。
何故、何時からこの頭痛が始まったのかすら分からなくなっていく。
気がつけば自室のベットの上にいた。
どうやら自力で帰っていたらしい。
ん?
なんか濡れてると思ったら腕から血が流れていた。
止血しようと袖をまくった時、目に入ったのは
『ワタシはアナタ』
そう書かれた血文字だった。
夢遊病、二重人格、洗脳。
何なのかはわからないが、自分がかつてない程異常な状態に陥っているのはわかった。
いや、本当に今まで無かったのかすらわからない。
この血文字を見るまで自分で家に帰ったと思っていた。
もしかしたらそういった事が以前にもあったかもしれない。
……もしかしたら伯父上はこの事を知っていたのだろうか?
この問題を解決するためにあの人格を消す呪印を付けたのだろうか。
それはそれでムカつくが、殺すべきではなかったかもしれない。
ふと足音が聞こえたのでそちらを見ると息を切らした暗部の男がいた。
「ハフリさん!三代目が大蛇丸と共にと共に結界の中に閉じ込められました!
また、音の忍が街で暴れまわっているようで…「ザシュッ」グハッ!」
暗部の男が突然床に倒れる。
その背中にはメスのような物が刺さっていた。
気配を感じて見ればそこには黒いローブを着た音の忍。
そいつはゆっくりとローブを脱いだ。
「お前が志村ハフリだな?
……なるほど、大蛇丸の言ってた通り極上の細胞を持っているようだな」
男の両眼は写輪眼だった。
そして頭や手にもビッシリ移植されたらしき写輪眼が見える。
「ふふふ。
さぁ、お前の真価を見せてくれ!」
男はローブに入っていた大量のメスを宙に浮かせる。
その時、男の両眼は万華鏡写輪眼になっていた。