第三者視点
「なあなあ、今の聞いたか?」
今日はいよいよ忍者アカデミー最後の日、明日からオレ達は下忍だ。
すでに7班21人は配属先が決まっている。
「ウヒヒヒ、オレはあのイズミちゃんと同じ班なんだぜ。羨ましいだろ?」
「お前、さっきからうるさい」
だが、まだ三人呼ばれていないヤツらがいる。
そいつらはアカデミー生達に"神童""天才""秀才"と呼ばれる程の才能を持ち、またこの三人を御せるとしたら火影位じゃないかと噂になった事から三代目の弟子である"三忍"にあやかって"二代目三忍"とも呼ばれている。
「それでは、第八班!」
授業、テスト中は眠り続け、実技の時だけ他のアカデミー生を圧倒する事から「神の動き」に
「志村ハフリ」
筆記ではいつも満点、また数少ない"神動"に張り合えた者である事から"天才"と呼ばれる名門うちは一族の男。
「うちはイタチ」
途中から加わったにも関わらず筆記で好成績を残し、"神動"にも食い下がった事から"秀才"と呼ばれる能面のような男。
「ヤマトテンゾウ」
この究極の問題児たちを一体誰が率いるのか。
あり得るとしたら"写輪眼のカカシ"か"三忍"の自来也か、もしかしたらーー
「ーーお前たちは火影様がお呼びだ」
「「「!?」」」
"二代目三忍"が実現するかもしれない。
sideout
オレ達第八班は三代目火影の執務室にやってきていた。
しかしおかしい。
すでにオレとヤマトは"根"、イタチは経験を積んだ後に暗部に行くことが決まっている。
本来、第八班は存在しない筈なのだ。
「うむ、よく来たの」
「……」
「こんにちは」
「お久しぶりです」
オレは無言で
三代目は真剣な目でオレ達……特にオレを見つめる。
「……これからお主たち第八班の最初で最後の任務を始める。演習場で集合じゃ」
ボンッ
そう言って三代目は煙を立てて消えた。
三人だけになった執務室でオレは二人の方を向く。
「どうする?」
「どういう意味ですか?」
ヤマトには分からかったようだ。
それに対してイタチが答える。
「演習場に行くか、行かないかという意味だろう」
「えっ、行かなくて良いんですか!?」
「オレは行きたくない。昼飯間際なのに任務なんて意図が透けて見える」
何かができるまで昼飯を食べさせないってヤツに違いない。
「それは分かるが、三代目は真剣な目だった。無視するのはマズくないか?」
「知るか。どうなろうが
「いや、ダメですから。信用って大事なんですよ?」
「忍の歴史は裏切りの歴史だ」
「皮肉はいい。とっとと行くぞ」
強引にイタチに引っ張られ、オレたちは演習場に向かった。
「よく来たなハフリ、イタチ、ヤマト。
お主たちにはこの二つの鈴をワシから」
ーー鳳遁 鳳嘴殺
三代目が鈴を取り出した時、話を遮って放たれた突きが三代目を貫く…が、
ボンッ
三代目は火影の格好をした丸太に変化し、ハフリの背後から戦装束の三代目が現れる。
「……今のは何の真似じゃ?」
多少怒気を放って三代目は問い詰める。
それに対し、ハフリはヘラヘラ笑いながら返答する。
「相手の物は持ち主を殺してから奪う方が簡単だ。
『鬼ごっこ、必勝法は鬼退治』ってな」
「くっ、お主は少々慢心が過ぎるようじゃな」
(こやつ、大蛇丸に似ておる……!今度こそ、ワシが導かねば!)
ーー口寄せの術
ボンッと音を立てて巨大な棍棒が三代目の手に現れる。
そのまま三代目は棍棒を振り回す。
キキキンッ
いくつもの手裏剣が四散する。
(手裏剣に手裏剣をぶつける事で本来不可能な方向から攻撃するイタチの変則手裏剣術……!
そしてーー)
「木遁 樹海降誕」
ヤマトが印を結んで地面に手をつけると、そこから大量の木が生え、三代目に襲いかかっていく。
「如意棒影分身!」
三代目の棍棒が増え、それから作られた壁が木々を押しとどめる。
(初代様の力を受け継ぐヤマト。
……やはりワシがこやつらの担当になってよかった。並の上忍では個人プレーで倒されてしまう)
ーー火遁 鳳仙火の術
イタチの火遁で木々が燃えていき、煙が立ち込める。
「くっ、これでは目が……」
ーー鳳遁チャクラモード
鳳遁を纏ったハフリが燃える木々を突破し、高速で迫る……が、
ガッ
ハフリは伸びた棍棒で殴り飛ばされる。
「許せ、木の葉の若葉たちよ。
ワシはお前たちを……負かすッッ!!!」
イタチ視点
三代目とハフリが燃える樹海で斬り合う中、それを遠くから観察している者がいた。
うちはイタチである。
イタチの眼が赤く染まり、勾玉が二つ浮かび上がる。
ーー写輪眼!
(アレが"志村の神童"が開発した血継淘汰。何という熱とスピードだ。
それにヤマトのあの術……かなり深い事情がありそうだ。
そして最後に三代目の棍棒。まさか伸びるとは思わなかった。初見では絶対に避けられない)
さすがは"うちはの天才"と言うべきか、凄まじい洞察力で次々に班員と敵の能力を分析していく。
「あの術、火遁のチャクラで代用できるか……?」
イタチが印を組み、集中すると全身を炎が覆っていく。
ーー火遁チャクラモード
イタチは三代目の背後に向かって走り出した。
sideout
三代目とハフリが燃える樹海で斬り合う中、イタチが背後から火遁のチャクラを纏って三代目に襲いかかる。
「伸びろ、如意棒」
しかし、伸びた棍棒でアッサリと突き飛ばされるイタチ。
その直後、
ボンッ
と音を出してイタチが消える。
どうやら影分身だったようだ。
ーー火遁
それと同時に三代目の真横から火遁を纏った手裏剣が飛来する。
「水遁 水陣壁!」
三代目はそれを水の壁で難なく防ぐ。
直後、三代目の足が地面から生えた手に掴まれる。
ーー土遁 心中斬首の術!
しかし、ヤマトのその術は三代目が突然崩れていった事で失敗する。
「幻術じゃ」
三代目の声が三人の頭に響き渡った。
演習場の真ん中で三人は仲良く地面に倒れていた。
「お主らの負けじゃ。
そもそもこの鈴取りはチームワークを試す物、せめて個人プレーでは倒せない事に気づくべきじゃったな……。
……お主らにはもう一度アカデミーから」
「まだ終わってませんよ?」
ハフリが三代目の言葉を遮った時、三人の姿がかき消える。
(何ッ!幻術だと!
……しかもこの精度、一人による物ではない。
まさかヤツら、既に結託していたのか……!)
ーー解ッ!
三代目が幻術を解くと前にハフリ、後ろにイタチとヤマトが現れる。
ハフリは両手の間に金色の雛鳥を作り、イタチとヤマトは印を組んでいる。
「鳳遁 大紅蓮鳳凰覇!」
ハフリから黄金の鳳凰が解き放たれる。
そして、
「ヤマト、オレが写輪眼で比率を合わせる」
「わかりました!」
ーー木遁 木龍の術
ーー火遁 爆風乱舞
放たれた木の龍と爆炎が合わさり、赤熱する龍へと変わる。
「「熔遁
(この威力、イタチとヤマトのチャクラでは出せない筈。
幻術か?)
ふと三人を見比べると、ヤマト以外には木の
(……まさか、ヤマトの木遁でハフリのチャクラを共有していたのか……!
マズい、この威力は防げん!)
ーー影分身の術
二人になった三代目はそれぞれ前後を向く。
「「口寄せ 五重羅生門ッ!」」
ゴゴゴゴーーッッ
厳つい鬼の顔が付いた門が前後五枚ずつ現れ、三人の必殺と激突する。
そして凄まじい炸裂音の後に軌道を変えられた二体は空中でぶつかり合い、相殺される。
あれ程の術が放たれて演習場以外には被害が無いのはさすが三代目と言うべきだろう。
だが、
ヒュンッ
三代目の本体から見て右から手裏剣が飛んでくる。
おそらくイタチの変則手裏剣術。
「グアッ!」
ボンッ
影分身を盾にして事無きを得るかに思われたが、影分身の煙の中から凄まじい殺気が放たれる。
そして煙を抜け、三代目の前に現れるハフリ。
(イタチの手裏剣にハフリのマーキングだと……!)
「飛雷神斬りッ!」
キィインッ
必殺のタイミングで放たれた斬撃はしかし、耳を塞ぎたくなるような音によって失敗したと理解させられる。
三代目が大きく裂けた服を脱ぎ捨てると、三代目の上半身が黒くなっている。
「土遁
惜しかったの、だがお主らは」
「三代目、オレたちの勝ちですよ」
またまた言葉を遮ったハフリ。こいつは三代目が嫌いなんだろうか?
ハフリが左手を掲げると、そこには二つの鈴。
「なんだとっ!?」
「三代目なら防ぐと思ってましたからね。最後の殺気は鈴への注意を逸らすための物です」
「やったな」
「やりましたね!」
(こやつ、まさか最初の『殺して奪う』とか言ったのもこの為か……!)
三代目の戦慄を
しかし、
「あー、喜び合っとる所悪いんじゃが……その鈴が無いヤツはアカデミーでやり直しじゃ」
彼らは内容を知らなかった。
説明中に誰かさんがいきなり襲いかかった所為で。
「……」
「……」
「……」
無言で距離を置く三人。
しかしイタチとヤマトはジリジリとハフリに近づいていく。
「三代目、チャクラとか最後とかほとんどオレの手柄なのでこの二人をどうぞ」
「いや、待て。それはおかしい」
「そうですよ!仲良く三等分しましょうよ!」
「いや、最後はオレの手裏剣が強力なサポートとなったからアカデミーに行くのはヤマトだけだ」
「いやいや」
「あっ」
互いを蹴落とさんとする三人を微妙な顔で三代目が見る中、ハフリが「すごい事思いついた」という感じの声を出す。
「鈴が無いヤツはアカデミー行きなら三代目もじゃないですか?」
「なるほど」
「あっ!」
「い、いや、ワシ火影だし……」
「でも下忍の小隊に出し抜かれる火影とか必要ないよな?」
「それもそうだな。そろそろ五代目が必要かもしれん」
「ですよねですよね!」
ハフリが悪どい顔で傷口を
「もうお主ら全員合格でいいわ!」
三代目が苦々しそうな顔でそう言うが、
「え、でも鈴無いし……」
「もっとこの里の将来を考えるべきです!」
「ちょ、なんで合格なのに文句言ってんですか!?もう帰りましょうよ!」
その後、三代目は三人を焼肉屋に連れて行き、口止めした。
しかし、里の将来を真剣に考えるイタチは納得せず、「三代目が下忍に負けた」という噂は瞬く間に広がっていった。
時系列が同じ物を一つに纏めました。