鉄血のオルフェンズ好きな俺がIS世界に転生した結果がこれだよ   作:アインスト

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さらに久しぶりにこちらを更新。

今回はノーネームの名前をスコールが名付ける回です。

皆様のアドバイスもあり、ようやく名前がつけられます。

では、どうぞ。


閑話 俺の名前は ~My name is‥‥‥~

 

 

クーデター事件から数週間後。

 

黒河を保護した我々亡国企業は今日も平和のため活動する。

 

我々亡国企業の仲間となった黒河も意外と乗り気で、スコールに名付けてもらった新しいコードネーム"パピヨン"を気に入っている。

 

ちなみにコードネームの由来は、会った感覚の第一印象から"蝶"のようだからという理由らしい。

 

それから、彼女から俺のウヴァルの強化プランを掲示された。

 

 

 

闇奈「‥‥‥と、いう訳でどう?」

 

ノーネーム「その話はスコールを通したのか?」

 

闇奈「大丈夫大丈夫。そこはかるーく了承してくれたから」

 

 

 

何故だろう、何故かスコールが気前よく「いいよ」と許可した光景が目に浮かんだ。

 

まぁいい。

 

とりあえずその強化プランとやらを見せてもらおう。

 

 

 

闇奈「それがその強化プランで、アスタロトオリジンのデータを元に腕部装甲を作り直し。んで、脚は身軽さを確保するためブースタータイプをオミットして、ほら脚部ブースターがついてた脚じゃない方あったじゃない?それを流用して両脚ともブースター撤廃タイプにしたのよ」

 

ノーネーム「‥‥‥それで?その腕部装甲を追加したのはいい。だがその肩に残されたジョイントをどうするつもりだ?」

 

闇奈「そこはほら、シールドをもう一枚増やすの」

 

ノーネーム「なんと面妖な‥‥‥」

 

闇奈「防御率は増やせるからいいでしょ?」

 

ノーネーム「頭おかしいんじゃないのかパピヨン‥‥‥」

 

闇奈「あの人に比べたらそうでもないよ」

 

 

 

それもそうか、と自己完結した。

 

まぁ強化されるのは悪くないので了承しておく。

 

 

 

ノーネーム「それで、機体名は?」

 

闇奈「そうね‥‥‥"ウヴァルーシン"はどう?」

 

ノーネーム「シン?」

 

闇奈「ほら、"罪"って英語で"sin"っていうじゃない。そこから取ってみたんだけど」

 

ノーネーム「罪‥‥‥か‥‥‥」

 

 

 

俺は今まで数えきれない程罪を侵した。

 

暗殺、施設破壊、実験により生まれ落ちた子供達の始末‥‥‥他にも数えきれない程ある。

 

繰り返していくうちに俺はいつしか"罪を背負うのは俺だけでいい"と考えるようになった。

 

だからその相棒の名前を聞いた時、いよいよ数えきれない程の"罪"を背負う時が来たのだと皮肉にも笑っていた。

 

 

 

闇奈「ああそうそう、その"シン"にはもう一つ意味を込めてあるの」

 

ノーネーム「もう一つの?」

 

闇奈「それは私たちの願い、"これ以上貴方に罪を背負わせない"。そんな意味を込めてるの」

 

ノーネーム「‥‥‥そうか」

 

 

 

踵を返しその場から立ち去ろうとした時、不意に話しかけられた。

 

 

闇奈「ねぇ、もう貴方は罪を背負わなくていいの。貴方は頑張った、いいえ頑張りすぎたのよ。だから‥‥‥」

 

ノーネーム「‥‥‥それ以上言うな」

 

闇奈「あ‥‥‥」

 

 

 

俺は、まるで自分から逃げるようにその部屋から出ていった。

 

しばらく施設を歩き回り休憩室で休んでいた時、スコールがその場に立ち寄った。

 

 

スコール「‥‥‥元気、無いわね」

 

ノーネーム「‥‥‥だろうな」

 

スコール「まだ、後悔しているの?」

 

ノーネーム「‥‥‥何の話だ」

 

スコール「‥‥‥そうね。少し昔話をしましょうか」

 

ノーネーム「‥‥‥」

 

スコール「確か‥‥‥何年前だったかしら。貴方がここに来たのは」

 

ノーネーム「‥‥‥約6年前」

 

スコール「そうね‥‥‥懐かしいわ。あの頃の貴方は眩しかった。何せ貴方の目は目的のためにはなんでもしてやるっていう意志が宿っていたもの。でも、いつからかしら?貴方の目から意志が感じられなくなったのは。確か、ある任務を境に感じられなくなったわよね?」

 

ノーネーム「‥‥‥覚えていないな」

 

スコール「いいえ、貴方は覚えている。もちろん私やオータム、マドカも。あの時の惨状を覚えている」

 

ノーネーム「‥‥‥やめろ」

 

スコール「あの実験施設で生まれ育った子供達を貴方は"殺せない。まだ何の罪も侵していない子供達を殺す事など出来ない"と言った。だけど、同行していた別部隊のIS部隊が」

 

ノーネーム「やめろ‥‥‥」

 

スコール「彼女らが何の躊躇いも無しにトリガーを引き、あの子供達を殺した。しかも、貴方の目の前で」

 

ノーネーム「やめろっ!!」

 

スコール「‥‥‥ごめんなさい、ノーネーム」

 

ノーネーム「わかっている‥‥‥わかっているんだ‥‥‥何の罪も無い子供達が殺されたのは俺の責任だと‥‥‥!!」

 

 

 

あの時の記憶がフラッシュバックする。

 

奴等の凶弾が子供達を撃ち抜き、壁に赤い血潮がほとばしる。

 

その子供達のうちの最年長の少女だっただろうか。

 

あの子が、最期に遺した言葉が未だに忘れられない。

 

‥‥‥"泣かないで、笑って‥‥‥?"

 

あの子が目に涙を浮かべながら遺したあの言葉。

 

自分が死ぬ間際だというのに、涙を流していた俺に遺した言葉を、俺は忘れられない、いや忘れたくない。

 

だけど、あの時の俺は未熟だった。

 

あの子供達が殺されたからといって逆上し、奴等を文字通り"潰して"しまった。

 

あの時、スコールが止めてくれなければ俺はあのままずっと暴走を続けていただろう。

 

だが、あの子の言葉が今までずっと俺を奮い立たせてきた。

 

 

 

ノーネーム「う‥‥‥くっ‥‥‥うぅ‥‥‥!!」

 

スコール「‥‥‥ノーネーム」

 

ノーネーム「‥‥‥スコール‥‥‥?」

 

スコール「‥‥‥泣かないで、ノーネーム。あの時、あの子と約束したんでしょう?」

 

ノーネーム「‥‥‥ッ、そうだな‥‥‥俺は、もう泣かないよ」

 

スコール「そうね‥‥‥ねぇ」

 

ノーネーム「‥‥‥?」

 

スコール「貴方がここに来てからずぅっ‥‥‥と考えていた事があるの」

 

ノーネーム「考えていた事‥‥‥?」

 

スコール「そう‥‥‥貴方の"名前"よ」

 

ノーネーム「俺に、名前?だが俺にはもう既に‥‥‥」

 

スコール「違うわ。それではただの"名無し"。だから、私が名前をつけるの」

 

ノーネーム「お前が‥‥‥?」

 

スコール「そうよ‥‥‥だから」

 

 

 

「‥‥‥笑って、"ゼハート"?」

 

そう言って、彼女は俺に優しく微笑みかける。

 

彼女のその笑顔で俺は自然と強ばっていた表情が緩み、自然と笑っていた。

 

ところで、ゼハートとは?

 

 

 

ノーネーム「なぁスコール」

 

スコール「何かしら?」

 

ノーネーム「その、ゼハートというのは‥‥‥」

 

スコール「貴方の"名前"。良い名前でしょう?」

 

ノーネーム「ゼハート‥‥‥か。それで、苗字は」

 

スコール「ミューゼルよ?」

 

ノーネーム「ぶっ!?」

 

 

 

やられた‥‥‥。

 

まさかスコールのやつ‥‥‥?

 

け、結婚とか‥‥‥考えているのか!?

 

い、いやない!!

 

俺に限って断じてない!!

 

 

 

スコール「ねぇゼハート、いいでしょう?」

 

ノーネーム「あ、いや‥‥‥」

 

スコール「む‥‥‥もう一押し必要かしら?」

 

ノーネーム「‥‥‥?」

 

スコール「ゼハート、こっち向いて」

 

ノーネーム「あ、あぁ‥‥‥!?」

 

 

 

スコールの方を向いた瞬間、何が何だかわからなかった。

 

そしてこれが口づけだという事に気付いたのはその数秒後だった。

 

 

 

スコール「‥‥‥どう?」

 

ノーネーム「‥‥‥ふっ‥‥‥参った。俺の負けだ」

 

スコール「そう‥‥‥なら、いいわよね?」

 

ノーネーム「‥‥‥ああ」

 

 

 

もう一度、するのかと思ってスコールの表情を伺っていたその時。

 

ドアを蹴飛ばしてオータムとマドカが飛び込んできた。

 

 

 

オータム「スコールゥゥゥゥ!!テメェ何してんだコラァ!!」

 

マドカ「抜け駆けは許さん‥‥‥!!」

 

スコール「あらオータム、怖い顔してどうしたの?」

 

オータム「どうしたの、じゃねぇよスコール。何抜け駆けしようとしてんだよ」

 

スコール「えー、だっていいじゃない。もう苗字は決めちゃったんだもの」

 

マドカ「決めるのなら何故私達に言わない?普通相談が大事だろうが」

 

スコール「ごめんなさいね。だって私だけで決めてみたかったんだもの」

 

マドカ「よろしいならば戦争だ」

 

スコール「あら言うじゃないマドカ。オータムは?」

 

オータム「私もマドカと同じ気持ちだぜ‥‥‥スコール!!」

 

 

 

三人が一斉に外に飛び出し、ISを装着して戦闘を始めた。

 

うーむ‥‥‥痴話喧嘩、というやつなのだろうか?

 

だが俺には恐らく関係無い。

 

俺は三人の戦闘技術に夢中になっていたのだから。

 

 

 

ノーネーム「‥‥‥可憐だ」

 

闇奈「そうねえー」

 

ノーネーム「‥‥‥ぬ?いたのか?」

 

闇奈「まあね。技術者として興味あったから」

 

ノーネーム「痴話喧嘩には?」

 

闇奈「興味無し。だって見てておかしいもの。だけど貴方は愛されてるわ。少なくともあの三人には」

 

ノーネーム「お前はどうなんだ?」

 

闇奈「私?私はいいのよ。私を好きになる人なんて物好きはいないだろうしね」

 

ノーネーム「‥‥‥そうか」

 

闇奈「さてと、私はまだまだやらなきゃならない事が山積みだから再開しないと。貴方はあの三人をどうにか止めといて」

 

ノーネーム「了解した」

 

 

 

俺は戦闘を続けていた三人に声をかける。

 

「今日の食事は俺が作ったものだから喧嘩しているとやらんぞ」と。

 

その一言が聞こえたのか、三人は目の色を変えて降りてくる。

 

 

 

スコール「ゼハートの作ったご飯なら喧嘩してられないわね」

 

オータム「だな。なんだか馬鹿馬鹿しくなってきちまった」

 

マドカ「‥‥‥何やら情けなく感じるな」

 

ノーネーム「‥‥‥さて、スコール」

 

スコール「どうしたの?」

 

ノーネーム「俺は決めた。俺は今日から‥‥‥」

 

 

 

 

"ゼハート ミューゼル"。

 

それが俺の新たな名前だ。

 

だが、拾ってもらった恩はスコールだけには返さない。

 

オータム、マドカにも返す。

 

それが今の俺の義務だ。

 

そして、俺は泣かない。

 

例えどんなに辛い事があったとしても。

 

これからの(ノーネーム)(ゼハート)だ。

 

これから先、皆を支えて生きていく。

 

今までの罪を背負って、今日も俺は生きる。

 

‥‥‥ありがとう、スコール。

 

 

 

 

次回に続く。




ウヴァルーシン

アスタロトオリジンのデータを元に腕部装甲を追加、脚部装甲を変更した機体。
性能は搭乗者次第である。


【挿絵表示】



【挿絵表示】



さて、いかがだったでしょうか。

楽しんでいただけたなら幸いです。

では次回の更新でお会いしましょう。

感想、質問等いつでもお待ちしてます。

ではでは(´・ω・`)ノシ

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