『羽瀬川小鷹』視点。
翌日。
朝の十時、少々遅くなったかと思いながら、起床する。
そして三十分後にやってくる学校行きのバスへ乗り、学校に着くまでに色々考える。
昨日の今日だ。あいつがいつも通り部活をやっていたとして、どういう顔をして会えばいいのか。
というか、そもそも部活にきているのか? あいつのここぞという時のメンタルの弱さは折り紙つきだ。
もう少し早めに起きればよかったかな。一応……電話の一つでもかけてみるか。
『お客様の電話番号は、着信拒否設定されております……』
……あの女。
思いの他応えているみたいだな。こりゃ……部活が無いことを想定しておいた方がいい。
だが、他の連中が来ているかもしれない。この際だ、あいつらに全ての事情を話して協力してもらうのも手か。
そんなことを考えていると、バスは学校に到着し、俺は走って部室へ向かった。
たのむ、素直に部室にいてくれ……。
そんな面持ちで部室の扉を開けると、そこには……誰もいなかった。
夜空はおろか、理科や幸村までもが来ていない。
「……んなことだろうとは思ったが」
一応隠れているかも……なんてバカなことを思いながら、部室へ入り椅子に座る。
考えるんだ。まだ手遅れじゃない……。そう……信じたい。
俺とあいつの過去。その決着をつける資格が俺にはある。だがその前に、あいつの持つ事情とやらを解決する力を貸してやりたい。
となると、家に帰ったか。だったら、直接家に尋ねるのが手っ取り早いか。
……夜空の両親か。離婚して母親しかいないとは聞いているが、その母親……相当まいっているみたいだからな。
護身用にカッターでも持っていくか。いやいや何を考えているんだ俺は……。
がちゃ……。
突如、部室の扉が開いた。
夜空か、他の誰かか……。そう思い目を移すと。
そこにいたのは、高山ケイトだった。
「おっそーい。遅いよ……小鷹くん」
そう軽快な口調で俺に言うケイト。
遅いということは、少し前までは部活をやっていたということか。
「ケイト、あいつらはどうした?」
「人数が揃わないから、みんな帰っちゃったよ。駄目じゃないか、君みたいな真面目くんが早く来なければ、部活はまとまらないよ~」
そう、軽い口調のケイト。
帰ってしまった……か。やっぱり早起きは三文の徳って言葉、本当らしい。
「そっか。したら俺も帰るわ……」
そう、俺が部室の出口へ行こうとした時。
ケイトは静かに、その扉を閉じた。
まるで、俺が帰ろうとするのを邪魔するように。
「……なんのつもりだ?」
「小鷹くん~。せっかくだし……私といいことしようよ~」
「……」
いつものようにお遊び半分なケイト。
いつものように……。だが、そう見えて、全く違う感覚を覚えた。
今日のケイト……。なんか、マジでやばい。
扉を閉じて、俺を再度見たこの女の目は……とてつもなく凍えるような眼差し。
睨まれるだけで戦慄する。内側から出るのは……とてつもない怒り。
俺は、ごくりと唾を呑んだ。
「……その、俺やらなきゃいけないことがあるんだ。とても……大切な用事があって」
「小鷹くんさ……。君は都合がいいねぇ。怒りに任せれば嫌なことから逃げられると思い、考えなおしてみればなんでも思い通りに動くと思っている」
「……」
「あのさ。薄々感じてるとは思うんだけどさ。今日の私……昨日の君以上に……頭、イカれてるからね」
そう、いつもの軽快な口調はどこへ失せたか。
徐々に変化する。それは冷徹で、相手を突き刺すような棘のある言葉に。
明らかに怒っている。そりゃまぁ……怒る理由はわからなくもない。
散々部活だなんだと迷惑をかけておきながら、相談一つもせずに大ゲンカして、部活をめちゃくちゃにした。
昨日は昨日で怒りのままに突っぱね、今日になってわがままを通そうとする。
そりゃ……怒るのは当たり前だ。俺は日本人の謝罪の骨頂、DOGEZAをケイトに決め込んだ。
「ケイト……済まなかった。お前の説教なら後々何時間だって聞く、だから今だけは……」
「……あ、そう? いやいいよ別に、私を丸めこんで好きなことしにいけばいいさ」
「うっ……。なんか言い方があれだが、そしたら俺は」
「ただ、これを見ても……君は私を放って行けるのかな」
そう言って、ケイトはとあるものを取り出し、俺に見せびらかした。
それを見て、俺は目を見開いた。
「……退部……届?」
「そうそう、今日の朝よーぞらくんがさ、そりゃみすぼらしい顔でさ私にこれを私に来てさ。いやぁ教師としては申し訳ないと思いながら、心から笑いがこみあげてきたよなはっはっはっは」
「……」
「自分勝手に男一人追いかけてさ、部活まで立ちあげて同類集めて仲良しごっこまでして、飽きたら全部放り投げてさぁ。いやぁマジ笑えるよね。笑えるっしょ? つか笑えよ。この場でそれを一番に笑えるのは、まごうことなき君のはずだよ。ヒヒヒ……ふへへへへへへへぇ!!」
「っ!!」
俺は内から湧き出る感情に身を委ね、一目散でケイトの方へ駆け寄った。
そして力づくで退部届を奪おうとする。が、ケイトは簡単に渡さず俺を弄ぶように逃げ回る。
「てめぇ……。それを俺に渡しやがれ!!」
「はぁ? なぜ? どうして? 私は仮にも隣人部の顧問なんだよ? 部活をやめたいと思う部員の気持ちに配慮する役目があるのだよ~?」
「ケイトぉぉぉ!! あいつが……あいつがどんな気持ちでこの部活を立ち上げたか、あんたに理解できんのか!! 上から見下して嘲笑うのもいいかげんにしろ!!」
俺はあいつを侮辱するケイトに対し、真っ向からあいつを庇うようにケイトに激怒した。
その俺に対して、ケイトは途端に口を閉ざし……。
そして、更に凍りつくような瞳を俺に向けて……。
「じゃあ……てめぇはなんなんだよ!!」
「なっ!」
「あいつの気持ちを理解できるのか……だと? 嘲笑うのもいいかげんにしろ……? その彼女の頑張りを、自分の都合を優先して見ようともしなかった。そんな奴が良く言えたなそんな台詞をよぉ!!」
「うっ……それは」
「――さびしがり屋のくせに、他人に率直な行為を向けられるのは怖い、気づかないフリをする。聞こえないフリをする。逃げる。茶化す。誤魔化す。拒絶する。自分は好かれてなどいないのだと、自分にさえ嘘をつく……。そのてめぇの弱さが全部、この事態を引き起こしたんだろうがぁ!!」
俺に対し、ケイトは怒りを形として現わし俺に言葉を投げかけてくる。
そうだ。その事柄は全て俺に当てはまることだ。
誰よりも友達が欲しいと思いながら、都合の悪いことに対しては気付かないし聞こえない。都合が悪くなるとすぐに逃げる。
そして自分に嘘をついて正当化しようとする。俺の悪い所だ。
今回の事件だってそうだ。俺はあいつがソラだと気付き嬉しく思いながらも、三日月夜空という存在そのものに対し都合が悪いと感じた結果、あいつをソラと認めようとせず強情を張った。
そんな俺に、あいつを庇う資格なんてないかもしれない。だが……それでも俺はあいつを助けたいと思う。
都合がいいと笑われようが、偽善者だと蔑まされようが……。今俺は、自らの正義を貫かなきゃいけないんだ!!
「……あぁそうだ。俺が悪い。だから……それらの罪滅ぼしをこれから行う」
「いひひひひひ!! 罪滅ぼしって……それこそ都合のいい奴の台詞だ。償う覚悟があるから許しを講う資格もあるって? 結局は自分勝手だ。独りよがりだよ小鷹くん」
「……だとしても俺は、あいつの元へ行かなきゃいけない! その退部届も、あいつの手で破かせる!!」
「させないよ小鷹くん。こりゃもう受け取ってしまったものだ。君をあの子の元へ行かせもしないし、彼女を隣人部に戻すこともしない。あの子は失敗した。多くの罪を残したままねぇ。だから……彼女にはこれから先も、地獄を見てもらう」
「そんなことはさせない!! あいつは救われなきゃいけないんだ!! 罰を負うことが罪滅ぼしになる……? 痛みを痛みで清算しようだなんて考えは……あいつには似合わねぇ!! 俺が責任を持ってあいつの起こした過ちに対し向き合わせる!!」
俺とケイト、一歩も引かない状態。
だがケイトは意地でもここを通さないつもりだ。
どうする……。相手は教師で少女で年下だ。武力で制圧すると絶対に問題になる。
そうなったら、俺をこの学校に入れてくれた父さんや、父さんの友人である天馬さんにも迷惑がかかる。
だが、それ以外にどうやってこのわからず屋を説得できる……?
「……俺と勝負しろ……ケイト」
「勝負?」
「あぁ、ルールはあんたが決めていい。それであんたが勝てば俺は全てを諦める」
「ほぉ?」
「だが……俺が勝てば、あんたは俺に従ってもらう。それでいいよな……?」
「いひひひひひ!! クッソ面白いこと言うじゃないか小鷹くん、ルールは私が決めていい……かぁ。その言葉、クソ後悔しないでよねぇ!!」
そう高らかに笑い、ケイトは部室の道具入れからある物を取りだした。
それは……リバーシ。またの名をオセロ。
オセロといえば、最初の夜空との話し合いで出てきたことがある。
ケイト自身が、オセロが得意でオセロ研究会を立ち上げようなんて話をしていた。
ということは当然、オセロはケイトにとって断然有利な勝負だ。
といっても、ルールを決めていいと言ったのは俺だ。男に二言はない、そういうことだ。
「一応言っておくけど、私オセロの段位持ちだからね。あとネットオセロのぶら☆ほわってゲームあるけど、上位ランカーだったりするのよん」
「御託はいい。そんなん聞いた所で、怖気づくかよ」
「ったく可愛げがない。それじゃ……白黒つけようじゃないか……。小鷹くん!!」
そして、俺とケイトのオセロによる勝負が始まった。
先行後攻は俺が決めていいと言うので、俺が黒――すなわち先行を貰う。
最初は互いに相手の石をひっくり返す。最初の内は特に展開が動かない。
だが、オセロは中盤が大切だ。いかに角を取るか、そこにかかっている。
オセロは四つ角を取れば断然有利、それ常識。
「……いやしかし小鷹くん、オセロってのは人の心理に基づいて作られてると思わないかい?」
勝負が中盤に差し掛かる辺りで、ケイトはそんなことを言いだした。
「言葉で惑わすつもりか?」
俺がそう受け流すと、ケイトはにやりと笑って答える。
「いやいや。こうやって安全な位置を取ろうとする。誰にも邪魔されない空間を取ろうとする。そして一つの駒は、二人かかりで無理やり手駒にする。人の欲望ってのがそのままゲームになっている。笑えるよねぇ」
と、ケイトはペラペラとそんなこと言い続けているうちに、勝負は動きを見せる。
最初に四つ角を取ったのは俺だ。よし、これで攻め方が有利に……。
なるはずだったのだが、俺が四つ角を取ることに集中していたのがあだになったのか、反対側の陣地が手薄に。
そして取った右上の角の対面になる右下の角を取ったのだが、その間が全部ケイトの白で埋まる。
これでは、四つ角を取った意味が全くといっていいほどない。
「なんでだ! 四つ角は上手く取ってるのに!!」
「あぁお上手ですねぇ小鷹くん。最も、君が四つ角を取ることに集中するように上手く誘導したんだけどね」
そう、ケイトはあざ笑うかのように、俺が端を埋めることばかりに頭が行っているのとは対照的に、中央の方を白で埋めていく。
「あのね小鷹くん、オセロはあくまで角を取れば優勢になるだけであって、角を取らなくても勝つ方法はあるのだよ」
「な、なんだと?」
「オセロってのはほしい場所を取るゲームじゃない。相手にその場所を取らせるゲームだ。自分の手を制御するんじゃなく相手の手を制御する。そうやって角を取られても、元から相手に辺を作らせる動作を取らせれば、"角以外"の場所を全部私が取れてしまう。要は相手の角の取り方次第で優勢になるものもならなくなるってことさね、あぁちなみにこれ舐めプだから」
「ぐ……ぐがが……」
俺が二つ角を取った所で、ケイトの白が場の全体を支配しているような状態だった。
段位持ちは伊達ではないということか、残っている石は約三割。
しかも残り二つの四つ角の傍がまだ空いており、そこに石を打った方が角を取られて負ける状況が明白になっている。
順番的に、俺が四つ角の傍を取らざるを得ない状況になるか。いやケイトなら、俺が四つ角を取った所で、その反対側の四つ角と共に他の端を埋めてくるだろうか。
なんというか……気合だけで勝てる相手ではなかった。
「さて小鷹くん、最後に言い残すことはあるかい? 君の親友との……一生のお別れだよ?」
「……あんたも知ってたのか」
「私がどうしてよーぞらくんの姉の事を知っていたと思う? そういうことだよ、よかったねぇ、重荷になっていた物が外れて」
「……よくねぇよ」
俺は負けるとわかっていながら、往生際は悪く夜空のことを語り始める。
「確かに……俺の親友の本性は、あの夜空のままなのかもしれない。十年前から、ああだったのかもしれない」
「……」
「だが、それとは別に……十年前のあいつの正義感こそが、本当のあいつなんじゃないかって思うこともある。矛盾しているかもしれない、俺の押しつけかもしれない」
「そりゃあ押しつけだ。彼女のゲスな心は……正義感なんてもので釣り合うことはない。君は……騙されていたのさ」
「……それでも構わない。だからこそ俺は……信じようと思う。信じたいと思う。今更勝手な都合だが」
俺は静かに、自分の今夜空に抱く思いを口に乗せた。
「俺は……あいつに変わってほしいわけじゃない。ただ……戻ってほしいだけだ」
「……」
「あいつ……本当はすごい優しい奴なんだ。甘ったるくて、本当は他人を叱るってことも歯痒くてできないやつなんだ。あいつの遠回りな行動は、それの裏返しなんだ」
「……」
「それが……俺のせいかそれ以外の何かのせいか、それが突っかかって表に出せなくなっているんだとしたら、せめてそれを取り除いてやりたい。あいつの信念……たった一人でも百人分大事にできる友達を作る。それを……本物にしてやりたい」
「…………」
「最悪、あいつが戻ってさえくれれば、俺は……あいつの前から消えたってかまわない」
俺が自分の本心を明かすと。
ケイトは、オセロの石を強く盤上に打ち込み……。
その重い口を開いて、俺にあることを話し始めた。
「……私個人が、さらりと聞いた話なんだけどさ」
「え?」
「よーぞらくん……小さいころ実の母親に殺されかけたことがあるんだってさ」
「なっ!?」
「包丁で刺されそうになったんだってさ。あり得ないよね……人の親が……そんなことしていいわけがない」
そう、震える声でケイトが語った。
それを聞いて俺の中で、静かな怒りがこみ上げる。
どうやら、俺が思っている以上に、あいつの家庭の事情はやばいらしいな。
なら……尚更俺が行ってやらないと。手遅れになって……何も、変わりはしないだろう。
「……小鷹くん、いじわるなことしてすまなかったね。だが一つ言わせてくれ……。よーぞらくんの家には行くな、最悪……殺されるかもしれないよ」
「……」
「正直、それが怖くてね。よーぞらくんの母親、精神病院に送られる一歩手前までいったこともあるらしいんだ。そんな危険な人物に、君の覚悟だけで送り出すわけにはいかない」
「……だから、わざとらしく芝居までうって、俺を止めたのか?」
「そうだ。その……どうやら私……君の事が。いや……やめよう」
と、何かを言いたそうにしたが、ケイトは途端にやめた。
そして、それと変わるように、寂しそうな声で。
「私としては、身近な人が傷つくってのは見たくないのさ。妹のマリアもそうだが……同じ施設で育った今はシスターをやっている家族同然の人たちもそうだ」
「……そういや、あんた孤児だって」
「そうだよ。私のお母さんとお父さんはね……」
「……」
「――私の目の前で、強盗に殺されたんだよ」
それを耳にして、俺は握っていた石を落とした。
唖然とした。驚愕した。言葉も出なかった。
そんな、人に語るのにも覚悟がいるような過去、語られた俺は正直困惑した。
しばし、固まって動けなくなった。
「……」
「……あ、やっべ」
と、ケイトは止まった時間を動かすかのように。
わざとらしく焦った声を出した。俺がその目線の先を見ると。
僅かに取れる場所、よく見ると……そこに俺の黒をおいたら一気に白をひっくり返せる場所だった。
なんというか、うかつすぎるほど、まるで描かかれたように、演出されたかのような盤上の配置。
これを俺が取れば、逆転できるかもしれなかった。
「……ケイト」
「なんだい?」
「ここ……取ってもいいよな?」
「……ふふっ。いいよ」
そう、ケイトが小さく笑って、うなずいた。
俺は、迷わずその位置を取った。その結果、若干黒の石の方が多くなったように見えた。
次のターンケイトはおける場所が無くなり、結果俺が有利に進めた。
そして互いに石を置き終わり、数えようとした時だった。
「こりゃ数えるまでもねぇわ。私の負けだ……」
「……ケイト」
「素人に負けてしまったよ。あぁ情けない情けない。あぁそうだ負けたら君に従うというルールだったっけか。私はどうすればいいんだい?」
「……」
俺は、その問には答えなかった。
行動で示すことにした。俺は、部室の扉に手をかけた。
後ろは見なかった。心配するケイトの顔を、見たくなかった。
多分……ケイトのやつ。最初からわざと負けるつもりで……。
申し訳なかった。全てが、今まで余計な心配ばかりかけ続けて。
嫌な思いまでさせて……俺は。
……ならばこそ、俺は再度覚悟を胸にする。
夜空を……俺の手で助け出し、全てをゼロにする。
この隣人部に……新たな始まりをくれてやる。その代償が、俺自身であったとしても。
「……最後に、一ついいかな?」
「……なんだ?」
「もし……よーぞらくんを少年としてではなく……少女として出会っていたなら……。君は……彼女をどう見ていたのかな?」
その儚げな声から放たれた問いに、俺は……心に従い答えた。
「――多分、俺はその少女を……好きになっていたと思う」
「――行ってこいよ、情けない騎士様よ」
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俺は走った。全力で夜空の家に向かった。
これは始まりに過ぎない、終わりの後に来る……予想だにしない事の数々への挑戦。
この腐った青春滑稽劇への反逆、そして付きまとう因縁という過去への脱却。
十年経って、色々なことがあった。それは急激に訪れた。
その激動に対し流されまくった。振りまわされ、理不尽に自分の都合を押し通した。
それらの代償が今振りかかろうというなら……それに対し俺は、真っ向から戦ってやる。
一人の親友のため、そして……俺自身のために。
「……なんで」
呆けたように口を開け、そう口にする目の前の少女。
そいつを見て、俺は疲れながらも、苦手な笑顔で返した。
「……久しぶり……だな。さあ……腹を割って話そうぜ……"親友"」
さあ……行こうぜ親友。
俺とお前の決着、そして……。
――この青春滑稽劇への、反逆の始まりだ。