Hidden exceptions   作:ポン酢 

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第4話<<みんなと一緒にさようなら>>

__自分自身を信じてみるだけでいい。

     きっと、生きる道が見えてくる

                 ゲーテ__

 

 

 

 

 

__港まであと少し・・・!

 

 「間に合え・・・間に合え・・・間に合え!」

『マスター、心拍数が上がっています。落ち着いてください。』

「分かってるよ!・・でも!」

『マスター。必ず港にたどり着きます。安心して周囲の警戒を怠らないでください。』

「・・・わかったよ!」

メビウスにそう答えると、瞬く間に前方にいた敵機を2機壊していった。

・・やっぱりすごいや。メビウスは。

 

 

 そう考えていると、港が見えてきた・・!

 『目標地点までの距離を計算中・・・。』

 <<おい!さっき報告にあったACだ!やるぞ!>>

  まずい・・・!

「メビウス!」 

『分かっています。しかし、港まであと3マイルです。各個撃破はせずにこのまま突破します。』

『衝撃に備えてください。』

「う、うん!」

僕がそう答えたのをメビウスが聴き終えると、ブーストチャージを敵機にぶつけ、

                         流れでブーストドライブを使った。

そして、斜め下に落ちるようにブーストを使って地面に降りた。

                その直後にグラインドブーストを起動し、港へと直行した。

<<クソ!こちら第6小隊よりオペレーター!報告された所属不明のACに突破され 

                    港の方へ向かった!「大佐」に報告してくれ!>>

 

<オペレーターより第6小隊へ。了解した。今すぐそちらに「大佐」を

               向かわせるよう指示をする。引き続き現状況を維持せよ。>

<<了解。>>

 

 

 

 ・・・「大佐」?一体誰の事を言っているんだろう・・・

『マスター。港に到着しました。』

「え!?もう!?」

『はい。』

・・・ACってやっぱりすごいなぁ・・・

「・・・あれ?・・・あ!」

 モニターをよく見るとお兄さんやお姉さん達と一緒に輸送ヘリに乗っていく

                       自分と同い年ぐらいの子供たちがいた。

『マスター。こちらへ接近する人物を2名確認。攻撃しますか?』

 そう言われて近づいてくると言う人物をよく見てみると・・・

 「・・・!メビウス!攻撃しちゃ駄目!」

 『理由を。』

 「あれは・・・僕の友達だから!」

 『友達・・・。』

  そう。一見見てみれば敵かも知れないのに、このACに近づいてくる二人とは・・・

紛れもなく雪ちゃんとコーディーくんだった。

 「良かった・・・!生きてた・・・!メビウス!僕を下ろして!」

 『了解しました。』

メビウスがそう言うと、頭のパーツに当たる部分のハッチロックが解除され、外の光が差し込む。

眩しかったけど、そんなことは気にしないで無我夢中で外に出てその勢いでそのまま降りた。

・・だが。

「あ!」

ACのコアの上からジャンプしてしまった。僕からすれば高い高さから落ちていく・・・

あぁ・・・最悪だ・・・嫌だ!

 

 

「うわああああああ!」

もうだめだ。と思ったその時、メビウスがACの手のひらで、落ちていく僕を優しく拾ってくれた。

・・・助かったぁ・・・

「・・・怖かったぁ・・・。メビウス、ありがとう!」

ACの方を向いてメビウスに対してそう言うと、微かだけれどACが頷いたように見えた。

 

 

「え!?あ、アヤギくん!?」

「ウソだろ!?アヤギ、これお前が操縦してるのか!?」

二人が驚いてそう僕に言う。

「う、うん・・・一応。」

二人と会話していると、ふたりの後ろから体が仕上がっている男の人が近づいてきた。

 

 

「おーい!大丈夫かー!」

その男を三人で確認をしたら、見覚えのある人だった。

「「「おやっさん!」」」

__おやっさん。そうだ。あの人だ!__

おやっさんはこの街の重工業の工場長を勤めている、子供の面倒見がいい人だ。

 

緊急時はおやっさんがみんなを誘導する役割だったはず・・・なんでこんなところに。

「おやっさん!なんでこんなところに?」

 

「んなもんあとで話す。取り敢えずお前も乗れ!今から輸送ヘリとこの武装・・・いや、非武装ヘリでここから逃げるぞ!」

「武装・・・非武装ヘリ!?いつの間にそんなもの・・・

                  でも僕、逃げるならメビウスと一緒に行きたいんだ!」

「メビウス・・・?あのACか?」

 

・・メビウスを置いてなんていける訳なかった。僕にとってはもう大切な仲間だから・・・!

「うん!お願い!そのヘリでメビウスも連れて行って!」

「・・・よしわかった。すぐ支度しよう。いいな?」

「うん!わかったよ!・・メビウス!聞こえた?」

そうメビウスに向けて言うと、また頷いたように見えた。

 

「・・・よし!さっさと連結させるぞ!」

「わかったよ!」

 

 

_ガシャン_と、連結する音がした。

・・・もうそろそろだ。

そう考えていたその時。

何かがこちらに近づいてくる音がする。そんな気がした・・・。

そう思った時、メビウスが電子音をピコピコ鳴らしてから僕にこう伝えた。

『・・・マスター。こちらに急接近してくる敵機を確認。こちらへと

               接近してくる速度から考えると、ACの可能性が高いです。』

 

「え!?嘘!?おやっさんに知らせないと・・!」

僕は急いで無線をおやっさんのヘリの無線に合わせた。

「おやっさん!こっちに敵が接近してきてる!もしかしたらACかもしれない!」

「なんっ・・・!このタイミングでか!?畜生、

                このまま繋げてるとお前、戦闘すらできねぇぞ!」

 

「そんなこと言ったって・・・!」

そうこうしてるうちに、こっちに来ているであろう人の無線が聞こえてきた。

 

 

 

 

<<逃がすかぁ!ここで貴様のような無防備なACなど格好の餌食だ!

       お前を破壊するだけでもこちらには利益もある。

          そして地位も上がる!こんな戯言、聞こえてないだろうが、死ね!>>

 

 

・・・・バッチリ聞こえてるんだけどおおおおおおぉぉ!?!?

 

「メ、メメメメビウス!、たおっ、倒さないと・・・!」

緊張と驚きで手が震えて、嫌な結果が頭をよぎっていく。

・・・ここでなんとかしないと、皆が・・・

もしも失敗したら、皆が・・・・!

 

 

『マスター!』

「ふぇっ!?」

『マスター。大丈夫です。落ち着いてください。

                私たちであれば、この窮地から脱することができます。』

「でもどうやっ・・・」

『当機体の肩部に搭載されているフラッシュロケットを使用し、

                直撃させることでFCSを一定時間だけ使用不能にさせます。』

『その代わり、こちらではタイミングを計ることが大変難しいと思われます。

            なので、フラッシュロケットの発射はマスター。あなたに委ねます。』

 

「えぇ!?僕が!?」

『はい。』

「出来るわけ・・・」

『いいえマスター。マスターはその発射ボタンを押せばいいだけです。』

「・・・」

 

 

 

__やらなきゃ皆が・・・__

だったら僕は・・・

「・・・わかった。やるよ」

『よろしくお願いします。マスター。』

「うん。・・・おやっさん!連結を一回解いて!」

<ばっか野郎!お前、死ぬ気か!?>

「大丈夫。皆で生きるためにやることだから・・・!」

<・・・わかった。外すぞ!>

ガシャン。という音がして連結が解けた。

<馬鹿なことして死ぬのだけは許さないからな!>

「わかってます!」

そう言って、僕はボタンに指を乗せた。

 

 

すると、無線が聞こえてきた。

<<戦いを挑む気か!謎のAC。その心意気見事!だが、お前の首は戴く!>>

と、そういうと周りの家などを使いブーストドライブを駆使しながらこちらに近づいてくる。

 

「・・・!」

気づいた・・・。いや、”気づけた”!

あの敵AC、動きがパターン化されている・・・これなら!

 

「メビウス!多分だけど、次にブーストドライブが終わったら、

   12秒ぐらいあとにこっちから見て真正面に来ると思う。

   だから、そのタイミングになったら撃つけど、その場合成功率っていくつ?」

『もしそのとおりに動くと仮説を立てれば、約95%で成功します。』

「ありがとう。・・・これなら、いける!」

これがうまくいけば・・・きっと・・・!

 

<<ここでくたばり餌となれ!>>

そう無線から聞こえた瞬間、予想していた軌道に、ACが合わさった。

「今だ!」

そう言って僕はフラッシュロケットを発射した。

<<なっ!?>>

 

・・・フラッシュロケットはACに綺麗に当たったおかげか。なぜか動かなくなった。

「おやっさん!今!」

<おうおう!さっさと繋げて逃げるぞ!>

「うん!」

 

そしておやっさんは再度メビウスの機体と連結して、直ぐに高度を上げた。

そして旋回しながら港、そして街から離れていった。

 

 

 

 

 

 

__ヘリで逃げ切れたのは、パイロットの大人と、おやっさん。

     そして、僕たちのような子供達や、少し年上のお兄さん、お姉さん達だけだった。

 

  ・・・街の大人の人達は、今言った逃げ切った人以外皆、街に取り残された。母さんも__

 

<・・なんとかなったな。子供のお前なのに成し遂げたのは凄いが、無茶なことはもうするなよ?>

「はい・・・」

『お疲れ様でしたマスター。』

「うん。ありがとう、メビウス。・・・ところでおやっさん。これからどこに?」

<街から一番近く、一番離れたスラム街に行く。そこは昔、

          俺が少しだけ街として復興させたことがあってな。ざっと40キロ先だな>

「うえぇぇ・・・」

<疲れてるだろ。ほら、お前はまだ子供なんだ。今のうちに寝とけ。

                   あっちのヘリのみんなはもう寝ちまってるしな>

「・・・いえ、このまま起きてます。」

<そうか。お前がそう言うなら、好きにやれ。>

「はい・・・。」

<・・・にしても綺麗だな。”夕焼け”ってのは。>

「はい・・・。でも、あんなことがあったのに、

             それがたった一日の出来事だなんて、まだ思えないです・・・」

<そうだろうな。何しろ、今日だけで色々変わっちまったからなぁ・・・>

「・・・はい。」

<・・じゃ、俺は操縦に専念する。寝るも寝ないも好きにやっとけ。

                      あとで眠くなっても知らねぇけどな!>

そうおやっさんが言うと、ブツッと電子音がして無線が切れた。

 

 

                            ♪Sunset(Alex Vourtsanis)

「ねぇ、メビウス。」

『はい。なんでしょう?』

「今日あったばかりなのに、こういうこと言うの

 おかしいかもしれないんだけど、いいかな・・・?」

『大丈夫です。どうぞ。』

「ありがとう・・・」

「・・・僕、もう逃げない。もう怖がらない。強くなってみせる。

 おやっさんも、雪ちゃんもコーディーくんも守れるぐらい強くなるんだ。ならなきゃダメなんだ。

 ・・・だからメビウス。これからも一緒にいてくれる・・・?」

『勿論です。私は当機体に搭載されているAI。

 離れることなどありません。私は、マスターの傍に居ます。』

「・・・ありがとう、メビウス!」

 

__絶対、強くなる。皆のためにも、母さんのためにも!

        誰にも負けないぐらい、強くなってみせる!__

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_____________________________________

 

 

 

「あぁ最悪だ!」

失態だ。正しくこれは失態だ。

目の前の格好の餌食だったはずだ!あのただただ棒立ちしていたACだったはずだ!

そんな!ただの!ACに!フラッシュロケットを当てられ!攻撃出来ず逃げられたとなれば!

これは上から何を言われてもおかしくはない!

 

『おうおうどうした大尉殿。さっきのACとガキ共逃がしたこと後悔してんのか?ハハハ。』

 

「ええい黙れ黙れ黙れぇ!傭兵のくせに生意気な奴め!

 上からのお墨付きでなければ、今ここで殺してやれるものを!」

「なんならここで撃ち殺してもいいのだぞ愚か者め!上のことなど気にする必用も・・・」

 

男がそう言うと、傭兵の方のACは、三日月型のような形をした

レーザーブレードを大尉のACの前まで横から振った。

 

「ぬうっ!?」

『・・・アンタ、あれか?折角の餌を取り逃がすって事は、今アンタが立っているその地位は、

      インチキしてきて積み重ねて得た物なのか?普通の大尉ならあんなヘマはしないぜ?』

 

「ッ・・・!貴様ァ!!言わせておけばなァ!ヴェニデはそのような卑怯な真似などぉ!」

 

そう大尉が叫ぶと、ACが動き出し、傭兵のACに手を出そうとした・・・

が、次の瞬間。大尉のACは動かなくなっていた。

なぜなら、傭兵のレーザーブレードがコアに突き刺さっていたため。

「あーあ。変な気を起こさなきゃ1年ぐらい余命は長引いたのによ。」

「あー司令官か?わりぃ。大尉殿が変な気を起こしたから殺しちまった。

           まぁ、もっても後1年ちょっとだったと思うし、良いだろ?」

そう傭兵がヴェニデの司令官へと伝えると、傭兵は無線を切り、こう思った。

 

「あのACとあのガキ・・・将来、いや近いうちに・・・伸びるだろうな。フッ。」

傭兵はそう言うと、地平線へと消えていく太陽が沈むまで眺め続けた・・・。

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