綺羅ツバサの弟   作:しろねぎ

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ラブライブってキャラのバランスが絶妙だよね。


アイドル研究部

「ここは…保健室か」

 

目を覚まして周りを見渡すと、保健室であるという事が分かった。確か会長…絵里さんと希さんに抱き付かれて、意識を失ったんだった。我ながら情け無さすぎる。

 

自己嫌悪に陥っていると、保健室の入口が開いた。入ってきたのは絵里さんと希さんだった。

 

「良かった。目が覚めたのね」

「心配したんよ?いきなり白目剥いて倒れるんやもん」

「えっ、俺白目剥いてたんですか?」

 

想像すると怖いな。絵里さんと希さんが保健室まで運んでくれたんだろうか?希さん辺りが悪戯とかしてそうだが。

 

「大丈夫やで、悪戯とかはしとらへんよ」

「さらっと心を読まないでください。でも、ありがとうございました」

「気にしないで良いわよ。私達も悪かったし…それより、μ'sの所に行かなくて良いのかしら?気絶させた私が言うのも何だけど」

 

時計を見ると、約30分程自分が気絶していたのが分かった。それに絵里さんからμ'sの所に行くように言われるのは意外だな。

 

「仕事は私達がしておくから行きなさい。彼女達の肩を持つつもりは無いけど、変な意地を張るのは辞めたわ。意外だったかしら?」

「いえ、それは何よりです。このまま絵里さんも協力してくれれば俺としては万々歳なんですけど?」

「調子に乗らないの。彼女達の踊りが人に見せられるレベルじゃないと思ってるのは変わらないもの」

 

だから絵里さんに指導して欲しい、と言いそうになるのを堪える。物事には順序があるんだ。絵里さんも意地を張るのを辞めたなら次第に見えてくる事もあるだろう。それがμ'sに加入する事じゃなくても構わない。使命感だけじゃなく、絵里さんの気持ちで何かを決めて欲しい。

 

「それではお言葉に甘えて、様子を見て来ます」

「無理はダメよ?」

「そうやで。一応は病み上がり?なんやからね」

「はい。ありがとうございます」

 

2人にお礼を言って、アイドル研究部の部室を目指した。恐らくはあそこに居るだろう。

 

☆☆☆☆

 

アイドル研究部の部室の前に着いた。中から軽く声が聞こえた。よし、タイミングを見て入ろう。…………今だな。

 

「にっこにっk「寒いな…寒波か?」分かってて入ったでしょアンタ!」

「失礼な。矢澤先輩がいつもの挨拶をしようとしていたのを感じ取って扉を開けたなんてあり得ない。これは必然なんだ。運命で完璧な神の悪戯なんだ」

「嘘吐くんじゃないわよ!」

「あっ、お花いつもありがとうございます」

「アンタに贈ってる訳じゃないわよ!」

 

そうは言っても、ツバサに対して花を贈るのは何も矢澤先輩だけじゃない。かなりの数のファンが居る訳で、その内の幾つかはツバサの部屋には飾りきれずに、リビングや玄関の花瓶。そして俺の部屋にも来る。つまり俺がお礼を言うのは強ち間違ってはいない。

 

「えっと…ツカサ君と矢澤先輩は知り合いなの?」

 

俺と矢澤先輩とのやりとりを見て、高坂が疑問を口にした。部室に居る他のメンバーも高坂と同じ気持ちらしく、俺の返答を待っていた。

 

「……初対面だな」

「「絶対に嘘だ!!」」

「アンタ本当に性格悪いわね!」

 

メンバー全員から総突っ込みを受ける。矢澤先輩もキレた。全く、若干空気がピリピリしてたから和ませようとしたのに。

 

「まぁ冗談は置いといて、矢澤先輩“にっこにっこにー☆”をやるんですよね?はよやれや」

「泣かすわよ!?」

「今度矢澤先輩が妹達を連れて来た時に何も奢らなくても良いならどうぞ」

「にっこにっk」

 

☆☆☆☆

 

「どう?これがキャラ作りよ!これくらい出来る覚悟も無ければアイドルなんてお笑い草よ!」

「wwwwww」

「本当にアンタ私に対して辛辣よね!?」

「いや、お笑い草って言うので…」

「な、なんと言うか…仲が良いんですね?」

 

発言に困った南が無理に感想を述べようとする。しかしそれに矢澤先輩が喰ってかかった。

 

「どこが仲良く見えるのよ!」

「まるで夫婦漫才みたいだったにゃー」

「……凛、下らない事言わないで」

「ま、真姫ちゃん…怒ってるの?」

 

星空の言葉に西木野が不機嫌そうに注意する。それを見て小泉は若干怖がっていた。

 

「別に凛にも花陽にも怒ってないわ。こっちが真面目な話で来てるのに、後から出て来てふざけてる先輩に苛ついてるだけよ」

「あー…悪かったよ。真面目な空気は兎も角、ピリピリした空気は嫌いなんだよ。良い意味でピリピリしてるなら未だしも、険悪なのは少し気が滅入る」

「…少し分かります。私も弓道の試合前の緊張感のある空気は好きですが、さっきの空気は一触即発と言った感じであまり居心地は良くありませんでした」

「……分かったわよ。今回は許してあげるわ」

 

園田のフォローもあって、何とか西木野は納得してくれたみたいだ。西木野は根が真面目だからな。あんまりああ言うのが好きじゃないんだろう。

 

「…もう良いわ。アンタ達はアイドルとしての自覚が足りないのよ!はい、もう話す事は無いわ。出ていきなさい!」

 

そう言うと、矢澤先輩は高坂達を部室から追い出した。

 

「アンタも出ていきなさいよ」

「矢澤先輩も素直じゃないですね」

「うっさいわね…てっきりアンタの事だから私の言う事に喰ってかかって、追い出すのを止めると思ってたわ」

 

矢澤先輩は椅子に座って俺の方を見た。『どんな魂胆があるの?』と言いたげな目で。だから俺は素直な考えを述べる。恐らく嘘は通じない。

 

「矢澤先輩、俺の姉は綺羅ツバサです。現在のスクールアイドルの頂点です」

「知ってるわよ、嫌味?」

「俺はツバサを尊敬してます。ツバサに対してそれは言いませんけどね。恥ずかしいですし」

「だから…何が言いたいのよ?」

 

訳が分からないといった態度を取る矢澤先輩。まぁこれだけじゃ通じないよな。言うのは恥ずかしいんだが、まぁ本心だし仕方ない。

 

「実は俺、ツバサと同じくらい矢澤先輩を“尊敬”してます」

「…は?」

 

俺の言葉に理解が追い付いてない様子の矢澤先輩。そりゃあ当然だ。矢澤先輩の一番の憧れがツバサ…A-RISEなのだから。それと同じくらい尊敬してると言われても理解出来ないよな。

 

「ツバサと同じくらい尊敬してます。本心ですよ?1人になっても諦めてないんですよね?スクールアイドル。練習を続けてるのも知ってますよ」

「……諦めてないってだけでツバサと同列に考えるわけ?」

「はい。姉がトップスクールアイドルをやってるからこそ、その苦労は知ってます。そして潰れたスクールアイドルも多く見ています。矢澤先輩は“諦めてないだけで”って言いましたよね?」

「…言ったわ」

「その“諦めない”って事がどれだけ大変か…他の人間には出来ない事なんですよ?」

「………」

 

矢澤先輩は俯いている。矢澤先輩が何を考えているかは分からない。でも、俺は言いたい事を言おう。

 

「だから矢澤先輩の事を尊敬します。誰が何と言おうと俺は矢澤先輩を尊敬してるって胸を張って言います」

「………」

 

矢澤先輩は俯いたままだ。とりあえず、言いたい事は言った。完全な自己満足だけどな。

 

「………アンタの言い分は分かったわ。とりあえず、出てって」

「…開口一番にそれですか。分かりました。失礼します」

 

失敗したか?矢澤先輩の表情は窺い知れないが、出ていけと言われてしまった以上はあまり良い印象は受けなかったかも知れない。

 

「これは失敗したかもな…本心を言ったら失敗するとかマジで凹むわ…」

 

アイドル研究部の部室を出た後、1人で呟く。どうするかなぁ…

 

☆☆☆☆

 

「どうしてこうなった」

 

屋上に行くと、矢澤先輩とμ'sが一緒に練習していた。

 

「あっ、ツカサ君!にこ先輩が一緒にスクールアイドルをやってくれるって!」

 

南が嬉しそうに矢澤先輩が加入した経緯を話してくれた。

 

先ず、俺が生徒会の活動をしている間に高坂達がアイドル研究部の部室に行って待ち伏せしようとした。しかし既に部室に居た矢澤先輩と鉢合わせする。

 

次に気まずい空気になる。だが沈黙を破ったのは意外にも矢澤先輩だった。そして矢澤先輩から出た言葉は謝罪の言葉だった。『アンタ達に自覚が無いって言ったのは謝るわ。御免なさい』だそうだ。

 

それで希さんから、以前矢澤先輩がスクールアイドルをやっていたと言う過去を聞いた高坂達も謝罪。和解して、改めて高坂達が矢澤先輩をμ'sに誘い、矢澤先輩はそれを快諾。現在に至るそうだ。まぁ経過はどうあれ部活が統合されたなら、生徒会としてもやる事は1つだ。こうしてμ'sは部活としての活動を開始した。




矢澤先輩はネタ扱いされがちだけど、アイドルとして最も重要な魂ィッ!を持ってるよね。
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