私の宝物   作:御都合主義の狂信者

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こんにちは御都合主義の狂信者です俺ガイルの作品はこれが初めてです。
豆腐メンタルなので罵倒はしないでくださると嬉しいです。
後、感想が無いと寂しくなります。
こんな私の作品ですが宜しければこのままお読み下さい。


第1話 同じ目の同胞

「はぁ、何時も済まないな」

 

「いえ、教室にいるよりはましですから」

 

 私の名前は折本(オリモト) (トメ)総武高校J組2年だ。私は昔から生真面目で姉の様な人間が嫌いな事もあり、今は白衣とスエット着た教員の平塚(ヒラヅカ) (シズカ)先生の雑用を手伝っている。

 

「あっ、そろそろ部活なので失礼します」

 

 私はそう言うとその場を離れ特別棟のとある部屋の扉をノックする。

 

「どうぞ」

 

 部屋から返事が返って来たので私は部屋に入る。そこには黒髪ロングの少女である雪ノ下(ユキノシタ) 雪乃(ユキノ)がいた。

 

「いや遅くなった。ごめんね」

 

「いえ、どうせ平塚先生の雑用を手伝っていたりしたのでしょう。私は気にしないわ」

 

 まあこれが私と彼女の普段の会話だ。私は入学してから教員と良く話したり、雑用を手伝ったりしていた事もあり、平塚先生からこの部活を始めてみないかと勧められ部長として現在に至る。

 その後は先生から彼女を頼まれ現在に至る訳だ。ちなみに彼女とは学年の1位をめぐる良い好敵手(ライバル)な事もあり、それなりの仲だったりする。

 そして私は部長でありながら授業以外は先生方の雑用を良く手伝っている事もあり、毎度部活は雪乃よりも遅れてしまうのだ。

 まあ今回は、先生は別の用事もあったらしいので何時もより早く切り上げた訳だが。

 そんな訳で私は何時も通りに弁解をすると、直ぐに椅子を用意して座り持って来ていたラノベを読む。

 それから暫く読み耽っていると、急に部屋の扉が開き平塚先生が堂々とした態度で部屋に入ってくる。

 

「じゃまするぞ」

 

 そしてその言葉と共に雪乃は先生の方をジト目で睨みつける。

 ちなみに私はメガネの智の部分を摘み、位置を直して先生の方に顔を向けた。

 

「先生、ノックをして私が返事をするまであれほど…」

 

「まあまあ。だが君は実際返事をしないだろ」

 

 それに関しては先生くらいだと思う。現に私はノックをしたらちゃんと返事がくる。

 まあ何時もの事でもあるため私は何も言わないが、雪乃は既に半分は諦めてるみたいだから追求まではしない。ため息は吐くようだが。

 

「それで先生。その後ろの男性は誰でしょうか?」

 

 雪乃は平塚先生が連れてきた男子生徒を知らないみたいだが、私は彼の事は知っている。

 比企谷(ヒキガヤ) 八幡(ハチマン)。総武高校の文系3位の実力を持つ人物で、平塚先生が心配して雑用の際によく愚痴に零していたりする人物でもある。

 と言うよりも、教員とよく話したり雑用を手伝ったりしていれば、学園内の生徒の名簿とかもたまに目にする事もあって、学園内の人の名前はあらかた覚えていたりする。

 

「そうだな・・・こいつの名前は比企谷 八幡と言う。折本は既に知っていると思うが、こいつはかなり性格が捻くれていてな。よってこの部活に入部させる事にした」

 

 んっ?今、私の苗字を聞いた時、彼が何か酷く反応した様な・・・・・・。まあ今は良いとしよう。

 気にはなるが本人のトラウマだったりしたらたまったものじゃない。そっとしといて上げるべきだろう。

 

「ちょっと待って下さいよ、俺そんな話し聞いて…」

 

「言っておくが君に拒否権は無い」

 

 あぁ、こうなった先生は何言っても話は聞かないからなぁ…。哀れ八幡。まあその分多めには見て上げよう。

 

「「お断り・・・・・・」分かりました受けるとしましょう」

 

 雪乃は何か言いたそうだがここの部長は私だ。何か言う前に先に言わせて貰う。

 

「そうか折本。お前ならそう言ってくれると思っていたよ」

 

 そして先生は彼をこの場に残してそのまま教室を出て行った。

 それから彼は何やら威嚇する様に唸っていたが無視する。

 

 その後雪乃に睨み付けるられて犬みたいに大人しくなる。私はそんな彼を見ないままに口を開く。

 

「取り敢えずそこらから椅子を用意して座ったらどうですか?」

 

 彼はそのまま椅子を用意して座ると何やらそわそわし始める。

 

「えっと、この部活って何をするんだ?」

 

「平塚先生からは何も聞かされて居ないのですか?」

 

「いや、急についてこいと言われてここまで来ただけだか」

 

 私は彼の言葉に思わずそう言い、その問いかけにあの人は何をやってるのかとため息を吐きながら雪乃に目配せをする。

 

「そうね・・・だったら当ててみなさいな」

 

 雪乃はイタズラを思い付いた子供の様に笑いながらそう言うと彼は少し考え始める。そして暫くして思い付いたのか手を叩く。

 

「文芸部か?」

 

 私は彼のその答えに、多分この場所が読書以外で時間を潰せるものは無い、また現に雪乃や私が読書をしている等の単純な理由で答えたのだろうと推測する。

 

「その心は?」

 

「この場所に読書以外で時間を潰せるものがまず無い、また現にお前達2人は今目の前で読書をしている」

 

「外れよ。それを言ったら読書をする全国の人は文芸部になる事になるわね」

 

 てかそのままだった。その後は彼が当てずっぽうに言ってそれを雪乃が制すといったやり取りが数回続いた。

 

「降参だ。で、結局何の部活何だ」

 

 そして彼はついに肩を竦めて降参すると、雪乃は席を立つ。

 

「持たざる者や求める者に慈悲の心を持って接する事をボランティアと呼ぶの」

 

 雪乃はそう言いながら彼の前まで歩き彼と向き合う。

 

「ようこそ奉仕部へ、歓迎するわ。まあ取り敢えず、私のような美少女とここまで話せれば、貴方が他人と話せるようになる日も遠いことではない筈よ」

 

 いや雪乃よ、全ての基準を自分にして、さも当然の様に自己完結するな。相変わらず背伸びしたい子供でこちらも悩むよ。

 

「おいちょっと待て。言っておくが俺は人と喋れないんじゃない、ただ話をしないだけだ。俺は基本高スペックなんだぞ。定期テスト文系科目学年3位、顔だって悪くない。それに毎日きちんと規則正しい生活をしている。欠点といえば、人の顔と名前を覚えるのが苦手なことと、友達と呼べる人間がほとんど存在しないことくらいだ!」

 

 あぁ、なるほど、言い訳が始まったか。取り敢えず子供の喧嘩が始まる前に止めるとするか。

 

「あなたは・・・・・・」「雪乃辞めておけ、今のこの男には何を言っても無駄だ」「留さんっ!?」

 

 雪乃は話の途中で割り込まれた事で私を睨み付ける。だが今の彼には何を言っても無駄だと言う確信がある。

 

「まず本人が他者を拒絶する人間不信で疑心暗鬼な奴を更生させるなら、時間をかけて信用を勝ち取るべきと言いたいのだよ」

 

 雪乃は何かそれでも言いたそうだが、私はそのまま、普段かけて外す事の無い伊達眼鏡を外し雪乃や彼に顔を向ける。

 そして彼は私の伊達眼鏡が外れた顔を見て絶句する。ちなみに雪乃も固まっている。

 まあ平塚先生にも教えていない秘密だからな。そう私は彼、比企谷八幡と同じ目をしているのだ。

 

「恐らく君のその目は私と同じく後天的な物だろう・・・・・・。まあそこから考えるにその目になった君の境遇もおおよそ想像出来るが、私は君に対して雀の涙程も同情する気は無い」

 

 私も同情をされたら腹が立つからな、それに今の私なら彼に対する説得力は充分だろう。 

 

「私は雪乃と違って全てを変われとは言わん。だが少しだけでも頭の隅に入れてもらえればそれで構わない」

 

 私は威圧的に声を低くして睨み付ける様に言う。私のこの腐った目はこう言う時、やけに凄みを与えたりする。

 

「おっ、おう」

 

 そして彼は戸惑い、目を泳がせながらそう返事をする。そのタイミングで丁度良く平塚先生が部屋に入って来る。

 

「話しは聞かせて貰ったよ」

 

 先程のタイミングといい、恐らく先生はこうなる事は読んでいたに違い無いだろう、そして先生の意図も何となくだが察した。

 

「それで折本は彼の更生についてどう思う」

 

「今の所は彼が馬耳東風の状態ですから信用を勝ち取る必要があると判断しますね」

 

 先生の問いかけに私はアッケラカンとそう答える。

 

「別に俺はこの性格を気に入ってるし変えるつもりも無い」

 

 そして彼はいきなりそう言うために、今度は雪乃がそれに突っかかる。そしてお互いの口論が始まる。

 

「まあまあ2人の意見は分かった。ではこうしよう。代々少年漫画ではお互いの正義がぶつかり合えば戦うものだ」

 

 それは少年漫画だけじゃなく戦争などの歴史や虐めにも言えることだけどね。

 

「先生、でしたら提案があります」

 

「ん、何かね言ってみたまえ」

 

 ここは先生の案に私の案を重ねてしまおう、その方が流れとして面白くなりそうだから。

 

「どうせですから部活動する中で卒業までに彼が改心出来るかで勝負を決めるのは如何でしょうか?」

 

 ちなみにこの部活中でが味噌である。つまり彼に直接変われと言うのでなく、彼が部活動をする中で改心したらというルールを取り付けた訳だ。

 

「ほう…。で、具体的な話をしてもらおう」

 

「分かりました。つまり彼に改心する事を強制せずに、彼と部活動を共に行い、卒業までに彼が改心した場合こちらの勝ち、逆に卒業までに彼を改心出来なければ彼の勝ちという訳です」

 

 このルールの利点は、まず部員が増える事が1つ、そして彼のストレスの負担が減る事、次に勝敗がハッキリしてる事だ。

 

「なるほどな。だがそれだけだとアレだから、追加で勝った方が負けた方に何か1つ好きに命令できる事にしよう」

 

 うわぁ、先生悪乗りですね。まあ確かにそれならこの勝負に乗り気になれると言うものか。と思っていたら彼は何でもと言う言葉に食いつく。

 

 やっぱり彼も男子だなぁと苦笑いしながら私は思った。

 

「仮に彼が勝った場合、身の危険を感じますのでお断りさせていただきます」

 

 だが雪乃は両手を胸元で交差させて、彼から距離を取りながらそう言った。てか負ける事が前提で言うのはどうかと思うが。

 

「そうか、流石の雪ノ下にも怖いものがあるか。済まなかったな」

 

 平塚先生はそう言って安い挑発をする。まあ背伸びしたい子供の様な雪ノ下だからな。この挑発には乗らざるをえないだろう。

 

「いいでしょう、あなたのその安い挑発に乗るのは癪ですが、受けて立ちます」

 

「ふふ、面白くなってきたな。さて私は一先ず去るとしよう」

 

 そう言って平塚先生は嵐の様に去って言った。私としても今後が楽しみだ。

 その後は何事も無く部活が終わり、私は自転車置き場に付くと自転車に乗る。

 

「ん? お前も自転車通学なの?」

 

「ん、そうだが、同じ目の同胞なら分かるだろう? 」

 

 そして私は彼にそう言うとそのまま下校する。途中まで同じ方向なのか先程から同じ道のりを一緒に走っている。

 

「・・・・・・これは笑うべきなのか」

 

「マジですか」

 

 そして何故か私と彼がお隣さんだった事実に、私は遠くを見つめる。

 ラブコメの神様はどうでもいい所で働いてくれるな、全く。




 誤字などの指摘はそれなりにありがとうございます。
 ですが我儘を聞いていただけるなら、誤字の報告は感想でなく誤字報告の機能を使用して報告してもらいたいです。

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