捻くれ少年のラブコメディ   作:リヨ

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13話

ということで、今日は和菓子屋オノデラでバイトの日だ。

めんどくさいなぁ....まぁ歩いて数分だから遠くはないんだけどさ。

....よし、いくか。

「....すみませーん....今日バイトで来た....」

「なんとか間に合わせなさい!わかった!?....ったく....ん?なに坊や?何か用?」

「え、えっと...今日小野寺さんに頼まれてバイトに来たんですけど....」

「バイトぉ?そんなの頼んでないけど....訳わかんないこと言ってないで坊やはおうちに帰ってミルクでも飲んでな」

.....えぇー....何この人。ってここ小野寺の家なんだから小野寺さんじゃ皆そうだもんな。

「えっと、こ、小咲さんに頼まれて.....」

「小咲?あんたみたいなゾンビくんが小咲と知り合いとは思えないんだけど....」

人は見た目で判断しちゃいけないんだぞ!

「お、お母さんストーップ!!」

「あら、小咲。あんたこのゾンビくんと知り合い?」

「お、お母さん失礼だよ!比企谷くんは私が手伝ってもらえるように頼んだの!」

「この子が?.....料理できるの?」

「一般的なことなら.....和菓子は作ったことありませんけど」

「.....はぁ、まぁ今は緊急だし、比企谷くんだっけ?どのくらいの腕かみたいから簡単なもの作ってもらうわ」

「え?は、はい」

 

「が、頑張って!比企谷くん!」

......何作ればいいんだよ.....とりあえず昨日勉強した饅頭作るか。

 

「....え、えっと、できました」

「........」

小野寺母は値踏みをするように饅頭を見つめている。

そして、口に運んだ。

「......ほぉー、これは.....比企谷くん、下の名前は?」

「は?.....八幡ですけど」

「八幡くんね。あんた小咲のお婿になりなさい」

「ぶっ!?」

「は?」

「お、お母さん!な、何言ってるの!」

「いやぁ、初めてでこれだけできれば十分だわ。もしかしたら春並にうまいかも」

春?誰だ?どっかで聞いたことあるような気が...

「ま、とりあえず今日はなんとかなるわね。私は裏でやることあるから小咲、餡の作り方教えてあげな」

「う、うん!じゃあやろう!比企谷くん!」

 

「ここはこうするんだよ」

「なるほど....小野寺は作ったりはしないのか?」

「うん、このくらい簡単なのならできるんだけど、最初から最後までやるとなんか失敗しちゃうんだ」

「へ、へぇ....」

「だから代わりに私は....ほら!」

「ほぉ....こりゃうまいな。飾り付けだけでここまでなるのか。まるで芸術作品だな」

「えへへ、そうかな?私これだけは得意なんだ」

「これだけできれば十分だろ。いくら料理まずくてもこれならみんな買うわ」

「ほ、褒めすぎだよ。じゃあそろそろ本番行こっか。....これを運んで....よっと」

「俺持つぞ」

「大丈夫大丈夫....きゃっ!?」

「っ!」

俺は小野寺が転びそうなところでなんとか後ろから支えた。

「大丈夫か?」

「う、うん、ありがとう」

「小咲....あらあら、いつの間にそんな仲良く...」

「お、お母さん?...っ!」

「す、すまん!」

「やっぱり八幡くん小咲のお婿に...」

「お母さん!!」

「うふふ。小咲、そろそろ店番お願い」

「わ、わかった!」

「八幡くんもね」

「え?俺も?」

 

「いらっしゃいませ!」

「いらっしゃいませ....」

「ほら、もっと笑顔で!」

「い、いらっしゃいませ」

「.....」

「おい、明らかに引くんじゃない」

「あ、あはは...」

「八幡くん、これかけて」

「?眼鏡?」

「その目、特徴的だからね。怖がっちゃうお客さんもいるかもしれないから」

「はぁ....」

「おおっ!これは....小咲似合ってるわよね?」

「....」

「小野寺?」

「へ?あ、う、うん!すごく似合ってるよ!」

「さ、さんきゅ」

「小咲、今見惚れてたでしょ」

「っ!み、見惚れてないから!」

「うふふ、これは今後に期待ね。あ、あと私これからちょっと外でなきゃいけないから店番よろしくね。小咲、2人きりの今がアピールチャンスだよ」

「も、もう!早くいって!」

「はいはーい」

.....結局にあってるんだよな?

「いらっしゃいませ!」

「お、今日は小咲ちゃんが店番かね」

「あ、田中さん」

「小咲ちゃん、今度わしとデートでもいかがかな?」

「あはは、私じゃもったいないですよ」

「いやいや、小咲ちゃんすごい美人じゃよ?.....あー、もう彼氏さんがおったか」

「へ?....は、ハチくんはそういうのじゃ!」

「えぇのぅ、青春じゃのう〜。彼氏さんや、小咲ちゃんみたいな美人さんそういないからしっかり捕まえとくんじゃぞ」

「い、いや小野寺と付き合ってるわけでは....」

「今日は小咲ちゃんのためにいつもより多めに買おうかの!」

 

「ありがとうございました」

「あのじいさん、1人で勝手に納得して帰ったな」

「あ、あはは....で、でもこうして2人で働いてると夫婦みたいだね」

「ぶっ!?お、小野寺!?」

「ん?.......っ!?わ、私今な、なにを!?わ、忘れて!今の!」

「あ、あぁ.....」

......小野寺と夫婦ね........悪くないな。まぁそんなこと有り得ないけど。

 

「そろそろお店しめよっか」

「おう」

「今日はありがとね」

「別にいいぞ。これくらいだったら....うわ、すげぇ雨降ってる:

「え?...ほんとだね。あ、電話.....お母さん?うん....えぇ!?う、うん。わかった」

「なんだって?」

「お、お母さんこの雨で帰ってこれないって。....それで比企谷くんには泊まってもらえって」

「.......は?」

 

続く


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