「....えっとすまん、もう一回言ってもらってもいいか?」
「だ、だからこの雨だから泊めてあげなさいって....」
....うん、ごめん。二回言ってもらっても意味わからん。
「いやいや、まずいだろ」
「で、でもこの雨だし...」
「いや、さっき見た程度なら頑張れば帰れ....」
ザァァァァァ!!ゴロゴロ....
「......やっぱり泊めてもらっていいか」
「う、うん!とりあえずお店片付けよっか!」
「おう」
.....え?まじで泊まるのこれ?俺と小野寺ふたりっきりで?
.....まぁ俺に狼になる勇気なんてないけどね。小野寺は嫌じゃないのか?
「よし、終わり!えっと、じゃあこれからどうしよっか?まず私の部屋に上がってもらって....」
「....え?いいのか小野寺の部屋で」
「.......〜!う、うん!でもちょっと待ってて!片付けるから!」
ガタガタ!!
めっちゃ片付けてるよ。別にリビングとかで良かったのに。
「い、いいよ!」
『......』
小野寺の部屋に入ってからというものの、ずっと沈黙が続いている。
いや、こういう時って何話せばいいわけ?なんか小野寺も俯いちゃってるし.....
「あー、やっぱり帰ろうか?男と2人きりなんて嫌だろ?」
「え?ううん!比企谷くんなら大丈夫だよ」
.....なんかそれはそれで男として見られてないような気が。
「そうか?でもこれからどうするんだ?」
「んー、あ!アルバムでも見る?」
「それなら少しは話の種になるな」
「この頃るりちゃんと仲良くなったんだ」
「へぇ、長い付き合いなんだな。俺はずっとぼっちだったわ」
「....私は?」
「え?あ、あぁ。小野寺はと、友達だぞ?引っ越してからぼっちってことだよ」
「友達とか作ろうとは思わなかったの?転校生って最初は注目されるでしょ?」
「最初だけな。でもすぐに静かになる。まぁ別に不便なこともたいしてなかったしな」
「そっか.....あ!そういえば小学校の頃のアルバムもあるんだ!....えっと、あった。これ」
「いや、俺写ってないだろ....」
「そう思うでしょ?でもね....ほら」
そこには小野寺と2人で写っている写真があった。
「こんな写真いつとったんだ?」
「分からないけど、よく撮れてるよね」
「ほんとだな。この俺はあんま目腐ってないわ」
「ふふっ、そうかも。.....ねぇ、比企谷くん」
「?なんだよ?」
「.....2人きりの時は昔の呼び方じゃだめかな?」
「い、いや昔の呼び方ってなんか小さい子に言ってるみたいで恥ずかしいし....」
「でもなんか比企谷くんって呼んでるとなんだか距離が遠くなっちゃった気がして.....」
「......八幡ならいいぞ」
「え?」
「名前だよ。ハチくんだとなんか幼いからそのまま名前にしてくれ」
「.....うん!わかった!八幡くん!」
女子に名前で呼ばれるのってなんか恥ずかしいよね。俺だけか。
「あ、あと私のことも2人きりの時でいいから名前で呼んでほしいな」
「いやそれは.....」
「....お願い」
「うっ......こ、小咲」
「っ.....や、やっぱり恥ずかしいね」
「俺の方が恥ずかしいわ」
「あはは.....あれ?.....雨やんでる」
「....ん?ほんとだな。やっぱり帰るよ。妹も心配だしな:」
「うん」
「じゃあまたな、小野寺」
「......名前」
「あ......またな、小咲」
「うん!.....八幡くん、ちょっと横向いて?」
「え?あぁ」
チュッ
「おやすみなさいっ、八幡くんっ」
.....はぇ?俺今何された?.....俺今日眠れんかも。
その頃小野寺は
「〜っ!わ、私今は、八幡くんにき、ききキスしちゃった〜!!!
学校で顔合わせられないよぉ!」
続く