最愛の人へ   作:糖也

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第十三話 自分の気持ち

 

 

 

 

 

 

「起立、礼」

 

 

日直の声に合わせてお辞儀し、再び席に着く。

今日もいつも通り、学校に登校しこれから勉学に励むことになる。

まぁ、今日は金曜日で一日頑張れば再び休みになるのだが。

どうせなら今日も休みにして、四連休にしてくれても良かったのに、、

学校はそういうところに融通がきかない。

 

 

 

♪〜

 

 

 

「!!」

 

 

 

そんなくだらない事を考えていると、突然俺の携帯が大音量で鳴った。

周りを見ると、クラスメートと教師がこちらを見て固まっている。

今は、二時間目の現国の時間、

静かな授業中に突然大音量で音楽が鳴ったら、当然こういうことになるわけで、俺は冷や汗をかきながら先生の言葉を待つ。

 

 

 

「なんだ高山。

彼女か?」

 

 

なんでだよ。

 

 

 

「違います、、

すいませんでした、、」

 

 

俺は素直に謝る。

幸い、現国の教師はノリが良く、とても優しい人だったので、それ以上はなにもなかった。

俺は携帯を急いでマナーモードにした後、メールの差出人を確かめる。

 

 

差出人は真姫だ。

あいつ、なんで今メールするんだよ。

つーか授業中に携帯いじってんじゃねー。

俺は声には出さず真姫に文句を言いながらメールの内容を確認する。

 

 

『お弁当どおする?』

 

 

お弁当?

あーそうか、今日は母さんの代わりに真姫が弁当を作ってくれたんだったな。

昨日真姫が俺の家に来た時に、母さんは朝、用事があるとかで、真姫に俺の弁当を作ってくれないか聞いていたのを思い出す。

実際、朝母さんからの置き手紙にそう書かれていた。

こういう日がよくあり、母さんが作れない日はほとんど真姫が俺の弁当を作ってくれている。

そういえば朝、真姫から弁当をもらうの忘れてたな。

 

 

『昼休みに中庭に持って来て』

 

 

 

そう簡単に返信を返す。

おれは、いつも通り机に突っ伏して寝ようと思ったが、さっき怒られた手前、それはやめておこうと思い、反省の色を見せるべく真面目に授業を受けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

 

四時間目の終了を告げるチャイムが鳴る。

俺は約束通り、弁当をもらいに中庭に向かうため、席を立とうとすると、マルがこっちに近づいてきた。

 

 

「珍しいな、お前が起きてるなんて」

 

 

今日の俺は、四時間目まで全て起きて、授業を真面目に受けた。

あの事件のせいで目が覚めたからだ。

 

 

「そういう気分だったんだよ。」

 

 

「まぁいいや、ほら、早く飯食おうぜ」

 

 

マルとはいつも一緒に弁当を食べている。

 

 

「悪い、ちょっと待っててくれ。

中庭に真姫を待たせてるから。」

 

 

「なんかあんの?」

 

 

「ああ、今日母さんの代わりに真姫が弁当を作ってくれたんだ。

だからとりに行かなきゃ。」

 

 

そういって席を立つ。

 

 

 

「いいなー、俺も真姫ちゃんの弁当食べてーよ。」

 

 

「今度頼んでみればいいだろ。

あ、弁当先食ってていいぞ。じゃあな。」

 

 

 

マルと別れ、ゆっくり歩きながら中庭を目指した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外に出ると、暖かい日差しが俺を迎えてくれた。

最近は本当に暖かく、外で昼寝でもしようかと思うくらいだ。

周りを見て真姫を探す。

いた、木の下にあるベンチに弁当を二つ持って腰掛けていた。

周りに人はいない。

真姫に近づくと、なぜか目をつぶって耳に手を当てている。

俺は携帯を取り出し、無音カメラでその様子を撮影し、ポケットにしまった。

弱みとしてとっておこう。

 

 

「なにしてんだ?お前。」

 

 

「!!!」

 

 

 

真姫は、俺がいることに気付くと、顔をみるみる赤くし俺を睨んでくる。

 

 

 

「///あ、あんた、いるなら言いなさいよ!」

 

 

 

「今来たとこだよ。

それより弁当は?」

 

 

「ん」

 

 

真姫から弁当を受け取る。

 

 

「サンキュー」

 

 

そう言って来た道を引き返す。

 

 

「あ、あんた、戻るの?」

 

 

「え?ああ、マルと食べようと思って、」

 

 

「そう、、」

 

 

そう言うと真姫はシュンとして、目線を下に落とす。

ったく、素直になれよ。

 

 

「と思ったけど、あったかいからやっぱここで食おうかな。

ほら、横ズレろよ。」

 

 

そう言って真姫の横に座る。

真姫は数秒俺を見た後、安心したように微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「最近どうだ?学校」

 

 

真姫の作った弁当を食べながら真姫に質問する。

 

 

 

「べつに、どうもしないわよ。

授業も簡単だから、今は三年の内容を自分でしてるわ。」

 

 

「そ、そうか」

 

 

こいつは本当に頭がいい。

もともと両親が医者ということもあって、おばさんが真姫に勉強を教えている。

そのため、小学校の頃から勉強に関してはずば抜けていて、年上の俺が勉強を教えてもらうくらいだ。

 

 

「まぁそっちの心配はしてないよ。お前だしな。

それより友達とかできたのか?」

 

 

 

「、、、」

 

 

俺が聞くと真姫は食べている手を止める。

 

 

「そんなの必要ないわよ。いても邪魔になるだけだし、」

 

 

学校が始まってしばらく経った今もクラスに馴染めてないようだ。

相変わらずだな、こいつは、

 

 

「でも、友達がいた方が楽しいぞ?

困ってたら助けてくれるし、一緒に遊んだら楽しい。」

 

 

「、、、」

 

 

真姫は箸を持ったまま黙る。

こいつも心の底では友達が欲しいと思っているし、踏み出そうとはしているんだと思う。

だが、周りの環境と真姫の元々の性格があいまって、なかなか難しいのだろう。

せめて俺と真姫が同学年だったら良かったのに、

 

 

 

「まぁ無理して作らなくてもいいかもな。

しばらくは俺もいるし。」

 

 

そう、しばらくは俺がそばにいてやれる。

でも、それは俺が卒業するまでの話だ。

できるなら俺がいなくなるまでにこいつに、心を許せる友達を作っておいてやりたい。

真姫はまだ手を止めている。

 

 

「いただき!」

 

 

「あ!」

 

 

俺は真姫の弁当からタコさんウィンナーをひったくる。

真姫は怒って追いかけてきた。

俺は弁当を持ったまま中庭を走り回った。

 

 

 

 

 

 

 

しばらくの追いかけっこの後、俺のウィンナーを真姫にあげるという形で許してもらえた。

 

 

「何か飲み物でも買ってくるわ。あんた、なにがいいの?」

 

 

走って喉が渇いたらしい真姫はジュースを買いに行くようだ。

 

 

「じゃあお茶で」

 

 

「了解」

 

 

そういうと自販機まで歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?ヒロくん?」

 

 

真姫がジュースを買いに行って、しばらくすると誰かに声をかけられた。

俺は振り返って声の主を確認する。

 

 

「穂乃果、」

 

 

や、やばい、穂乃果を見るとどおしても昨日のことを思い出してしまう。

 

 

「「///」」

 

 

穂乃果もおなじようで、顔を赤くしてモジモジしている。

 

 

「ど、どうしたんだよ、こんなとこで」

 

 

「うん、ジュースでも買おうと思ったらヒロくんが見えたから声をかけたの。

ヒロくんは?ここでなにしてたの?」

 

 

「おれか?おれは、」

 

 

「ヒロ」

 

 

気がつくと真姫がジュースを持って立っていた。

 

 

「あ!真姫ちゃん!こんにちは!」

 

 

「こ、こんにちは、」

 

 

穂乃果は真姫を見つけると元気よく挨拶をする。

 

 

「穂乃果ー!

そろそろいきますよ!」

 

 

中庭の入り口から穂乃果を呼ぶ声が聞こえる。

見ると、園田と南が穂乃果を呼んでいるようだ。

 

 

 

「じゃあ私はこれで。

真姫ちゃん!また今度ピアノ聞かせてね!」

 

 

そう言って穂乃果は走り去っていた。

 

 

 

「、、、なんの話ししてたの?」

 

 

真姫が聞いてくる。

 

 

「べつに、なにも」

 

 

真姫はジト目でおれを見た後に、再びベンチに座った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーうまかった。」

 

 

真姫の弁当を食べ終えたおれは、弁当箱を風呂敷で包みながら真姫にお礼を言う。

 

 

「ありがとな、うまかったよ。」

 

 

「///あ、あたりまえでしょ!誰が作ったと思ってるのよ。」

 

 

「ハイハイ」

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

不意に昼休みの終了を告げるチャイムが鳴り響く。

 

 

「じゃあ、また放課後な」

 

 

「うん、また後で」

 

 

そう言って俺たちはそれぞれの教室に戻るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ〜なんか疲れたな、」

 

 

隣の真姫に話しかける。

ほどなくして、今日も学校が終了し、今は真姫と二人で下校中だ。

 

 

「どうせ寝てただけなんでしょ?」

 

 

「バカ言うな、ちゃんと起きてたよ。

ったく、誰のせいで起きる羽目になったんだか、」

 

 

 

後半は真姫に聞こえないように呟く。

 

 

「ところで、今日ってなんの日でしょう?」

 

 

真姫からの質問。

 

 

 

「さぁ、なんだったっけ?」

 

 

おれはわざと知らないふりをする。

そう言うと、真姫はほっぺたを膨らませて俺の足を蹴ってきた。

俺はかまわずリズムよく足を進める。

しばらくすると、俺たちの家が見えてきた。

 

 

「じゃあ、また月曜日」

 

 

そう言って真姫は帰ろうとする。

 

 

「あ、お前、後でちょっと俺の部屋に来いよ。」

 

 

「なんでよ?」

 

 

そう聞き返される。

こいつ、わかってるくせに、わざと聞いてやがるな。

その証拠に、なぜか真姫はニヤケ顔だ。

 

 

「いいから、着替えたらすぐ来いよ。

じゃあな」

 

 

俺はドアを開けて家の中に入った。

俺には親達に課せられたミッションがある。

今日は、西木野家で真姫の誕生日パーティーが行われるため、準備の間、俺が真姫を引きつけておかなければならないのだ。

そのため真姫を俺の部屋に呼んで、ゲームでもして暇をつぶす必要がある。

 

 

「ただいまー」

 

 

俺は、着替えて、真姫がくるまでの間携帯で暇つぶしをすることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だーーー!

また負けた。」

 

 

「あんた、ほんっとによわいわね、」

 

 

しばらくして、真姫が俺の部屋を訪れ、今は俺と真姫と翼の3人でテレビゲームをしている。

 

 

 

「ヒロ兄、次俺とやろ!」

 

 

「ああ、いいぞ」

 

 

♪〜

 

 

「?」

 

 

俺の携帯が着信を知らせる。

 

 

「悪い電話だ。

真姫、翼の相手してやってくれ。」

 

 

「仕方ないわね。

ほら翼、いくわよ。」

 

 

翼の相手を真姫にまかせ、俺は部屋を出て電話にでる。

 

 

「もしもし」

 

 

「あーヒロくん?

準備終わったからもうきてもいいわよ。」

 

 

「わかりました。

じゃあこれから向かいます。」

 

 

ピッ

 

 

電話は真姫の母さんからだ。

どうやら準備が終わったのでさっさと来いってことらしい。

時刻はすでに18時。

父さんたちも今日は仕事を早く切り上げている。

この様子からも真姫が親たちに愛されていることがよくわかる。

俺の時もこのくらいしてくれればいいのに、

 

 

「おい、そろそろ帰って来いって。」

 

 

そう言って二人を帰らせるために無理やり家から連れ出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっとなによ」

 

 

「「いいから」」

 

 

抵抗する真姫を俺と翼で無理やり玄関まで連れてくる。

俺はノックした後、勢いよくドアを開け放った。

 

 

パーン!

パーン!

 

 

[誕生日おめでとー!]

 

 

ドアの向こうでは、両家の親がクラッカーで俺たちを出迎える。

 

 

「///あ、ありがとう」

 

 

真姫は照れくさそうにそう言った。

自分の誕生日パーティーがあるとわかっていても、こう言う時は照れるものだ。

 

 

「ほら、早く中に入って、

ご飯が冷めるわよ。」

 

 

おばさんがそう言って、俺たちを中に入れてくれた。

 

 

リビングには、母さんたちが作ったであろうご馳走の数々がテーブルの上に所狭しと並んでいる。

よく見ると七面鳥まであるではないか。

やり過ぎだろ。

俺は真姫をテーブルの真ん中に座らせ、その隣に腰を下ろす。

 

 

「良かったな、こんなに祝ってもらえるのお前くらいだぞ。

ま、可愛がられてる証拠だよ。」

 

 

そう言って真姫の頭を撫でてやる。

 

 

「それじゃあ未来のお婿さんに乾杯の音頭を取ってもらいましょう。」

 

 

おばさんがそんなことを言っている。

俺は違いますと一言言ってグラスを持ち、立ち上がった。

 

 

「えーでは、僭越ながら私が、乾杯の音頭をとらせていただきます。

今年で、真姫さんも、はや16歳です。

ですが、本人は日に日に暴力的になり、私はそれに耐え、毎晩枕を濡らす日々です。」

 

 

「な!」

 

 

俺は冗談めかしく挨拶をする。

 

 

「ですが、今日を境に、もう少しおしとやかになってくれることを願います。

では、真姫さんのさらなる成長を願って、乾杯!!」

 

 

[乾杯!!!!]

 

 

そう言った後、みんなでグラスを鳴らして、俺たちはジュースを、大人たちはお酒を一気に飲み干す。

真姫は俺を睨みながら、胸をポカポカ殴ってくる。

俺は真姫をなだめた後、ご馳走の数々を食べ始めることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜の世界に虫の鳴き声がよく響いている。

雲ひとつない夜空に月が浮かび、俺たちの顔を照らしてくれた。

 

 

「ここでいいだろ。」

 

 

「そうね」

 

 

 

誰もいない河川敷に俺たちの声が響く。

ご飯を食べた後、星が見たいと言い出した真姫のために、俺たちは今、星がよく見える川のほとりに来ている。

大人たちは、ビール片手に大騒ぎしているだろう。

俺は担いで来た望遠鏡とブルーシートを下ろしてセッティングを始めた。

真姫は川で水切りをしている。

 

 

「おい、あんま行きすぎんなよ。」

 

 

「わかってるわよ。」

 

 

俺はブルーシートを敷いた後、望遠鏡を設定し覗き込んだ。

うん、綺麗だ。よく見える。

 

 

 

「出来たぞ」

 

 

そう言うと、真姫は戻ってきて望遠鏡を覗き込む。

 

 

「すごく綺麗、、」

 

 

「だろ?見にきて正解だった。」

 

 

俺はブルーシートに寝転がりながら話しかける。

 

 

「懐かしいな、昔、一緒に星を見てお前もこの空が好きになったんだよな。

俺の真似して望遠鏡まで買ってさ、」

 

 

「な!べ、別に真似したわけじゃないわよ!」

 

 

「わかったわかった。」

 

 

今では本当に懐かしい記憶。

俺が中学一年の時だから、あれから5年も経っている。

 

 

「もう、お前も16だ。

はやいよな、ちょっと前までこんなだったのに。」

 

 

そう言って、胸のあたりに手を当てる。

 

 

「ちょっと、子供扱いしないでよ。

私だって成長してるんだから。」

 

 

そう言いながら真姫も俺の隣に寝転ぶ。

 

 

 

「どこがだよ、俺からしたら、まだまだ危なっかしい昔のまんまだ。

あーあ、早くお兄ちゃんも安心したいよ。」

 

 

「、、、」

 

俺がおちゃらけながら話す。

 

 

「ねぇ」

 

 

今度は真姫が話しかけてくる。

 

 

「なんだ?」

 

 

「、、、私って、そんなに魅力ない?」

 

 

「!」

 

 

突然しおらしくなった真姫からそんなことを聞かれた。

真姫の魅力。

他人から見ればこいつは本当に魅力的だと思う。

美人で頭も良く、ちょっと無愛想だが根は優しいやつで音楽の才能もある。

俺から見たら完璧人間だ。

他の奴がほっとくわけがない。

こいつがこんなことを聞いてくるってことは、誰か気になる奴がいるのかもな、

 

 

「いや、そんなことはない。

ただもうちょっと素直になれればいいけどな。

顔は良いんだし。」

 

 

「!!///」

 

 

真姫が顔をそらす。

 

 

「な、何言ってんの!イミワカンナイ!」

 

 

また怒られる。

どうしろってんだよ。

 

 

「おまえ、好きなやつでもいんの?」

 

 

「!!///」

 

 

暗くてもわかるくらい顔を真っ赤にしている。

 

 

「いるとしたら、、」

 

 

「?」

 

 

 

「私に好きな人がいるとしたら、あんたはどおする?」

 

 

聞かれて改めて考える。

これはまえにも考えたこと、

真姫と悠介。

二人が付き合っているのを想像すると、なんだかモヤモヤして落ち着かない。

結局のところ、俺はどうしたいのか自分でもわかっていないらしい。

 

 

 

「わからん。」

 

 

「、、、そう」

 

 

少しの沈黙が訪れる。

真姫に好きな人か、、

あんなに小さかった真姫が今ではすっかり大人になり、一丁前に好きな人がいるかもしれないなんて、

なんだかどんどん置いていかれているような気がするな。

 

 

「でもさ、」

 

 

「?」

 

 

「俺は昔からおまえと一緒にいて色んなことを見てきた。

だからこそ、一緒にいた分おまえのことが大切だし離れていくと少し寂しい。」

 

 

真姫は寝転びながらこちらをむくと目を見開いて俺の話を聞いてくれる。

だから俺も真姫の方を向き、まっすぐに俺の気持ちを打ち明けようと思った。

 

 

「でも、だからこそ、俺が一番おまえの幸せを願ってる。

多分この気持ちは、おまえの両親にも負けてない。

嘘じゃないぞ?」

 

 

そう、これが俺の偽らざる素直な気持ち、

真姫には誰よりも幸せになってもらいたい。

 

 

「おまえが、好きな人と一緒にいて幸せなら俺はなにも言わない。

でも、もしお前がそれで不幸になったりしたら、俺は真っ先にそいつをぶん殴ってお前を連れ戻しにいく。」

 

 

「!!」

 

 

「中途半端なやつは許さないぞ?

誰に見せても恥ずかしくないような、そんな男を連れてこい。

大丈夫、お前は見る目もあるし、頭もいい。

きっといい嫁になる。俺が保証してやる。」

 

 

「、、、」

 

 

俺が話し終わった後、真姫は俺を見て微笑んだ。

 

 

「なんだよ、」

 

 

「ううん、あんたは本当に変わらないわね」

 

 

「?」

 

 

そういうと真姫は一度目を閉じ何かを考えた後、決心したように再び俺の目を見る。

 

 

 

「ねぇ、ヒロ」

 

 

「ん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「好きよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?」

 

 

今なんて言った、こいつ。

 

 

「ずっと黙ってた。

ヒロが私のことをそんな風に見てないのがわかってたから、、」

 

 

突然の告白、、

俺は驚きのあまり、黙って真姫の話を聞くしかなかった。

 

 

 

「ずっと好きだった。

昔から、あんたといるとすごく胸がドキドキして、でも、あんたが他の女の子と話していると胸が苦しくなる。」

 

 

真姫は真っ直ぐに俺の目を見ている。

 

 

「子供扱いしないで、、

ちゃんと私を一人の女の子として見てよ。」

 

 

「、、、」

 

 

「一人の女の子として、私と

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

付き合ってよ」

 

俺の頭は完全にフリーズしていた。

真姫が俺のことを好き?ありえない、、

でも、確かにそう言った。

真姫は美人で、家事もでき、頭もいい。

そんなこいつと俺が釣り合うわけがない。

 

 

「ねぇ、答えて、」

 

 

ブルーシートで見つめ合ったまま、真姫は口を動かす。

 

 

「、、、」

 

 

ダメだよ真姫

俺なんかじゃダメなんだ

今の俺じゃあお前を守ることはできても、いつかは不幸にしてしまう。

きっと、お前にお似合いの人がいつの日か現れるから

俺なんかじゃなくて、ちゃんとお前に釣り合うようなそんな人が現れるから

だから今はダメだ

早とちりで俺なんかを選んだらきっと後悔する

それは俺が一番、真姫にしてほしくないことだ。

 

 

 

「ごめん、、」

 

 

「!」

 

 

「正直、俺はお前をそんな風に見てなかった。

今の俺の中のお前は、大切な幼馴染でそれ以上じゃないんだ。」

 

 

真姫は目線を外し目を伏せる。

 

 

「それに、俺なんかを選んだらお前はきっと後悔する。

なんの取り柄もない俺だ。きっとお前を不幸にする。

それは俺が一番望まないこと。

だからごめん、」

 

俺と真姫が繋がる未来。

それは間違い。

 

 

「結局のところ、俺は自分に自信がないんだ。

真姫を幸せにできない、だから逃げる。

そういう最低の人間なんだよ。」

 

 

「そんなこと、言わないでよ、」

 

「!」

 

 

突然真姫が上体だけ起こし、泣きながら俺に話しかける。

 

 

「そんなこと言わないでよ。

私は小さい頃からヒロを見てきた。

だから知ってる。

ヒロが誰よりも優しくて友達思いで、そして何より

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私のことを大切に思ってくれてるって!」

 

 

「、、、」

 

 

真姫は泣きながら続ける。

 

 

「自分に自信がないなんて思わないで!

私は昔からあなたに救われてきた。

そのおかげで今の私があるの。

そう、今でもあなたは私のヒーローなの。」

 

 

「!!」

 

 

「ヒロは最低なんかじゃない。

いつでも私を優先してくれたでしょ。

だから、今度は自分のために行動する番。

私のために私を振るとか考えるのはやめなさい!

あなただけの理由を聞かせて」

 

 

真姫に言われて初めてわかった。

こんな俺でも誰かの助けになることができていたと、

あれだけ真姫に自信を持てだなんだ言っておきながら今の俺はどうだ。

全くもって情けない。

本当にこいつには頭が上がらないな、

 

 

 

「ああ、悪い。

もうあんなことは言わないよ。

自分にも自信を持つ。約束だ。」

 

 

そういうと真姫は少しだけ笑ってくれた。

 

 

「でもごめん、

やっぱりお前とは付き合えない。」

 

 

「!!、、どうして?」

 

 

「わからないんだ。

お前のことが好きかなんて、いくら考えても。

こんな中途半端な気持ちではお前とは付き合えない。」

 

 

「そう、」

 

 

「ごめん」

 

 

「いいわよ!べつに」

 

 

そういうと真姫は突然立ち上がり俺の方を向く。

 

 

「だったら、あんたをこれから振り向かせればいいだけじゃない!」

 

 

「!?」

 

 

「今はわからなくても、これから次第でどうにでもなるでしょ?

私は絶対に諦めないから!

覚悟しなさいよね!」

 

 

ははっ、やっぱすげーなこいつは、

学校でもこれくらい積極的ならいいのに

 

 

「さっ帰りましょ、またお腹すいてきちゃった。」

 

 

そう言って、真姫は歩き出す。

 

 

「真姫!」

 

 

「?」

 

 

ギュッ

 

 

「!!」

 

 

「ありがとう」

 

 

俺は真姫を抱きしめてそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人で夜の道を歩き、ようやく家まで帰ってきた。

外にいても、親たちの騒ぎ声が聞こえてくる。

 

 

「真姫、ちょっと玄関で待っててくれ。」

 

 

「え?」

 

 

俺は自分の家の玄関で真姫を待たせて二階に向かう。

あった。

二つの袋を取り出し、一階に降りる。

 

 

「はいこれ!」

 

 

「!!」

 

 

「誕生日おめでとう」

 

 

これから俺たちの関係がどうなっていくかはわからない。

もしかしたら、真姫が他の人を好きになるかもしれないし、あるいは、俺たちが付き合うのかもしれない。

そんなことはわからないが、あんなことがあった以上、真姫のことを、これからは一人の女の子として意識してしまうのは当然だ。

真姫は、二つの袋を受け取り、

 

 

「ありがとう」

 

 

満面の笑みでそう言った。

 

 

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