Fate/EXTRA-NOCTURNE   作:ドラ

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ハーメルンを触るのも初めてなので、物語を始める前にテストをしてみる。
本編とはあんまり関係ありませんので、読み飛ばしてくださって構いません。


プロローグ

今にして思えば、これはたぶん、無限にあった並行世界(かのうせい)のうちのひとつなのだろう。

 

なんとなくわかる。そのどれもが、決して平坦な道ではなかったはずだ。苦楽で言えば心が折れそうなくらいに割合が偏っていると思う。

いや、実際に折れてしまった記録もあるだろう。時には途中で潰えた道もあったろう。半ばで閉ざされた未来もあったろう。

むしろ、圧倒的にその確率のほうが高いのではないか。大した才覚も経験も持たない魔術師もどきが、いつも満足に歩み続けられるわけはないのだ。絶えてしまった道がいくつあるのか、数えようにも知れない。

 

それでも。

 

咲き誇る焔の薔薇と共に、手を取り合った(じぶん)があった。

黄金と真紅に彩られた、愛と情熱に生きる彼女との道程は、きっと祝福に満ちたものだろう。

たとえ彼女(セイバー)が悪名高い暴君だったとしても、彼にとっては誰にも代えがたい花嫁に違いない。誰でもないわたしが保証する。

 

燦然と輝く太陽の如き明るさに、何度も救われた(じぶん)があった。

どこまでも奔放なようでいて、誰よりも純真な彼女との軌跡は、きっと幸福に溢れたものだろう。

たとえ彼女(キャスター)が国を滅ぼす大妖怪だったとしても、彼にとっては誰よりも愛しい良妻に違いない。他でもないわたしが保証する。

 

皮肉に笑う名もなき正義に、最期まで背中を預けた彼女(わたし)があった。

指摘も忠告も歯に衣着せず、けれど暖かな慈愛に満ちた彼との旅路は、きっと希望に続いたものだろう。

たとえ(アーチャー)が摩耗した夢の成れの果てだったとしても、彼女にとっては誰よりも頼もしい味方に違いない。何でもないわたしが保証する。

 

だから、そう。

この自分(わたし)の道筋も、きっと意味のあるものだって。

願いの結実を目指して、躓きながら走った日々は、どこかに繋がっているんだって。

今は信じたい。いや、信じられる。だから、だから―――。

 

 

 

だから、敵性プログラム(雑魚エネミー)相手にあんまり本気ださないでください。このままじゃ魔力が切れて志半ばで死んでしまいます。

 

「ジャッ」

 

彼が拳を振るった一動作だけで、一層胸の動悸が激しくなる。

まずい。苦しい。これはいけない。道中遮るお邪魔虫を初撃で粉砕してしまう様はまことに頼り甲斐があるのだが、それはそれ。代わりにごっそりわたしの体力を持っていかれるのでは結局割に合わない。

いくら休めば戻ると言っても、わたしの精神力だって無限ではないし回復アイテムもタダではない。ここはひとつ、精一杯の抗議の眼差しで以て反省を促そう。

 

「……困った。言葉を返すようだけど、本気は少しも出していない。仮に出していたとしたら、君は今頃絞り粕になっていることだろう」

 

彼は表情ひとつ変えず、けれど仕草だけは言葉通りに、後ろ頭を掻いて見せる。

そうでした。彼の言葉は正しい。それはたしかにそうなのだ、けど。今回ばかりはわたしも引きさがってはいられない。

 

「あるいは。これが僕の本気だとしたら、僕はとっくにどこかで死んでいる。ちょうど、こんなふうに」

 

更なる追い打ち。そして更なる接敵(エンカウント)必殺(デストロイ)。再びの疲労感に襲われ、意識を投げだしそうにもなりながら、それでも食い下がる。

だって、絶対わざとやってるよね? わたしがげんなりしていくのを見て、なんだか自分だけ楽しそうじゃありませんか。

第一、昔はもう少し優しかったはずだ。少なくとも、魔術師としては脆弱に過ぎるわたしに歩調を合わせる意思は見せてくれていた。だというのに、ここへ来て好き放題とはどういうことか。納得のいく説明をしてくれてもいいと思う。

 

「それは誤解だ。こんな、破壊するだけの戦いが楽しいはずがない。それでも、僕がそう見えているとしたら………」

 

………したら?

 

「………君がここまで来ていることが、失くした心のどこかで嬉しいんだろう。いつかの君なら、こんな真似をしたら無事では済まなかった。救いのない、光の遠い海の底だとしても―――君は君のまま、前に進んでいる。それは、この僕にはなかった未来だ。誇ってほしい」

 

思わぬ賛辞に、過労で半ば麻痺しかけていた脳が僅かに覚醒する。

いや、別に、この青年がわたしに敬意を払ってくれること自体は、実はそんなに珍しいわけではない。なので、正確にはわたしを微睡みから叩き起こしたのは内容そのものではない。

今となっては、それがあり得ないことはよくよく分かっている。誰よりも思い知っている自信がある。

けれど、今、たしかに―――その声色は柔らかくて。彼が、わたしに微笑んでいたような気がしたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――悪くない夢を、見ていた気がする。

 

通学路を歩いている今は、今朝見たそれがどんなものだったのかほとんど思い出せはしないけれど。

それでも、胸が晴れやかなのは良い事だ。やや憂鬱な平日の朝も、これなら乗りきれそうな気がする。

まあ、夢を見すぎたせいで遅刻の危機にあるわけで、晴れやかでも穏やかではないのだけども。大丈夫大丈夫、持久走には自信がある。上がる呼吸を我慢して走り続けるのは得意だ。

 

それにしても。今まで生きてきたなかで、()()()()()()()()()()()()のに。珍しい事も、あるものだ。




こんな感じの関係にしたい、のような。小説書くのって難しいナリィ……。
本編開始はそのうちに。あまり間を空ける予定はありません。今のところ。
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